中身はクズモブなのに『ピュア』だけでゴリ押す第六王子のハーレムは完成する〜非戦闘スキルなのにバトルも無双〜

ahootaa

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第20話 本領発揮

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 僕って、そういえば、ちゃんとダンジョン攻略に向かうのは初めてだな。
 今までは、どこか、いやいや行かされてる時や、実験のためだけに行ってたからな。
 がんばるぞ。

 僕は現在先頭で4階層を歩いている。
 横には、アイリスと、ガラハッドの十人組がいる。それ以降は九つの十人組が続いている。
「兄さん、こんなことは初めてですよ。隊長が先頭をあるくなんて、すごいやる気ですね」
「そうなんだよ。僕もやりたいことがあるからね」
 
 そうこう言っているうちにオーガの姿が見えた。
「オガ丸……」
「オガ丸?」
「いいんだ。こっちの話だ」
「へい」
「じゃあ、ちょっと、戦ってくるから少し待ってて」
「え?俺たちはいかなくていいんですか?」
「すぐ終わるから大丈夫だ」
「わ、わかりました」

 僕は歩いて近づいた。
『催眠術』「テイムされろ」
 オーガは、片膝をついて、頭を垂らした。
 野性味を残したかったので『ピュア』はしない。

「すごいですね。何をしたんですか?」
「秘密さ。お前も僕にスキルの情報は全て言えないだろ?」
「そうですね」
 一部のスキル以外はあまり言わない傾向らしい。
 スキル情報が洩れると、相手に弱みを握られることになるかららしい。
 まぁ、『鑑定』が使える僕には関係ないんだけどね。

 今日までの4日間で『鑑定』は4回できた。
 4人に『鑑定』をかけた結果、一番優秀だったのは、このガラハッドだった。
 勇者と同じ『剛剣』と『瞬光』を持っており、ベーススキルに『親愛』を持っていた。
 ガラハッドの見た目はアレだが、スキルは優しさにあふれている。
『親愛』は、「自分の信頼する者を守るときに力が3倍になる」書かれていた。
 つまり、今この場では僕を守ってくれる時は3倍の力になれるということだ。
 是非とも守ってもらおう。
 スキルもこの際だから、よく観察して盗んでおこう。
『剛剣』スキルは『剣聖』が使いにくくなりそうだから『瞬光』はいただいておこう。
『親愛』はどっちでもいいかな? なくても困らないだろう。

 よし、やることは決まった。
 5階層の階層主まで急ごう。

 途中、ザコモンスターを相手に、アイリスとの連携を確認したり、『瞬光』を見せてもらったりして自分の力をつけながら進んだせいもあって、今日の攻略は階層主で終わりそうだ。
 人数が多い分、進行自体も時間がかかる。
 最後尾の管理もしながらなので、ゆっくりでしか進めない。
 しかし、大きなトラブルはなかった。
 それが、せめてもの救いだ。

 さて、次の角を曲がると階層主がいる。
 全開はここで全滅しかかった。
 慎重に行こう。
「全員、止まれ」
「はっ」
「この先には植物型の階層主がいる。こいつはしびれ毒を出してくる。ここは僕が倒してくるから待っておけ」
「はっ」

 オーガを連れて一人で向かう。
 アイリスやガラハッドは来たがっていたが、毒にかかれば足手まといだ。
 置いていく。
 オーガは愛着がわかないように名前を付けていない。
 使い捨てるつもりだ。
 前回悲しい思いをした反省を生かしている。

 まず、オーガに先行させる。
 オーガはダッシュで向かわせ、その後ろを僕が追いかける。
 オーガが毒で倒れた後、すぐに、スキルを発動させる。
『催眠術』「テイムされろ」
 そう、階層主をぶつけて、そのスキにテイムする、という作戦だ。
 理論上、最下層まで行ける。
 まぁ、そんなに甘くはないだろうが。

 テイムした植物――ラフレシア――に解毒するように命令する。
 ラフレシアは自分の蔓の先を注射のようにして、オーガへ打ち込んだ。
 これで解毒できるのであろう。
 オーガはすぐに動き出した。
 すごい効果だな。

 隊の元へ戻り、勝ちどきを上げる。
「勝ったぞー!」
「おおーーー!」
「すごい!ラフレシアを一人で攻略するなんて聞いたことないぞ!」
「ほんとだ!アーサー様は天才だ!」
 すごい褒められて照れくさい。
 しかし、いいものだ。
 やはり、ピュアな気持ちで主人公ムーブをできるとこんな気持ちになるんだな。
 大山健一君もこんな気持ちで毎日をすごしていたのか。
 これはやめられない。
 もっと、がんばろう。

 僕にとって、初めて努力が実った瞬間かもしれない。
 この気持ちを大切にしよう。
 前向きに努力をして、成功する。
 そう、成功するまでが1セットだ。
 成功させなければ、落ち込んでしまう。
 どんな手を使ってでも成功させよう。

 今日はここで野宿だな。
 階層主のフロアで休むとしよう。
 ボスのリポップは一日がインターバルだ。
 階層主の小部屋にはザコ魔物はリポップしないらしい。
 今晩の休憩にはもってこいだ。

「よし、ここで野営をする。準備を進めてくれ」
「はっ」

 明日からは、行ったことのない階層へのアタックとなるな。
 気を引き締めていこう。
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