中身はクズモブなのに『ピュア』だけでゴリ押す第六王子のハーレムは完成する〜非戦闘スキルなのにバトルも無双〜

ahootaa

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第17話 黒い影

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 翌日、アイリスをつれてダンジョンへやってきた。
 アイリスの装備は旅装に、革の盾のみ。
 素人にあれこれと、たくさん注文すると混乱させるだろう。
 まぁ、僕も初心者だが……。
 逆に初心者だからこそアイリスの気持ちがわかることもある。

 入り口には何故か騎士団の姿があった。
 数にして五人。
 屈強そうな男たちが入り口を占拠している。
 魔物討伐の勅命でも降りたのだろうか?
 関係ないので、素通りしてダンジョンに入る。
 どうもジロジロ見られてる気がしたが、気のせいだろう。
 
 気にせずダンジョンへ入ると、何故かついてくる。
 気持ち悪いな。
 何か狙われるようなことあったかな?
 心当たりがありすぎてどれかわからない。
 フランソワが勇者を独占した件か?
 剣聖ガーベラ・ストライク家の刺客か?
 賢者サルビア・セージ家の刺客か?
 いや、アイリス・バルーン家あたりも怪しいか。
 恨まれるとしたらこの辺りか?

 ガーベラも察知したようで、いつものように血に飢えた様子ではない。
 いたって冷静だ。
 恐らく、人の少ない小部屋に入ったら襲われるだろう。
 それにしても、初陣が対人戦とかアイリスが不憫すぎる。
 
 まぁ、僕も対人戦は初めてだから、怖いけど『剣聖』スキルもあるしな。
 音速で剣が振れるなら問題なく倒せるだろう。
「アーサー、剣聖スキルは調整して使わないと体がボロボロになるから気をつけて下さいね」

 え?
 どういうこと?

 あぁ、よく考えればわかるな。
 鍛えてない僕の体で音速の剣を振ると体がついてこないよね。
「ああ。わかった。何回なら使えるだろうか?」
「今のアーサーなら一回使えばボロボロになるわ。切り札だと思って」
「確かに、この前使った後、ボロボロだったよ……」
 そりゃ、そんなに甘くないよね。
 使わない方向で行きたいな。
 
 さて、次の角を曲がれば小部屋だ。
 曲がったとたん、騎士達は僕たちを取り囲んだ。
「なんだ? お前たち、僕を第六王子とわかっての行動か?」
「おお、拷問しなくて済んだぜ。名乗ってくれてありがとよ」
 騎士の鎧を着ている辺りや、この言動、ひょっとしたら、正式な命令なのかもしれない。

「お前たちの命令はお父様は知っているのか?」
「そんなことはどうでもいいんだよ。俺たちの目的は、成長前の勇者を殺すことだからな。上のことなんか知らねーよ」
「でも、命令があったから隠れる気がないんだろ? だれからの命令だ?」
「アホか? そんなこと答えるわけないだろうが」
 騎士は剣を抜く。
 僕たちも応戦する。

「アーサー、こいつら、やりますよ? 状況によっては、逃げるべきです」
「いや、堂々と来ているうちに倒さないと毒殺されるよ。捕まえて情報を引き出そう」
「そうですね。承知しました。一人は生かしておきましょう。恐らく、四人なら私が抑えられます。残り一人を任せてもいいですか?」
「そうだな、サイトを狙っているようだし、アイリスと僕とでなんとかしよう」

 アイリスを見ると、震えている。
 仕方ないよな。
 初の戦闘が騎士とか、僕もイヤだもん。
「アイリス、盾で僕を守ってくれ」
 まず、『受け』スキルを発動しておこう。

「かしこまりました。命にかえましても」
「いや、そこまではいいよ。僕は僕の身を守るしね。そうだな、アイリスは僕の前で自分の身を守ってくれるといいんだよ」
「承知しました」

 まだ固まっているが、なんとかなりそうだ。
 問題は、僕だな。
 最悪、剣聖スキルで一人倒すことを目標にすればいいか。
 いや、『ピュア』で、言うこと聞かせるのはアリだな。
「みんな、手出しは無用だ。少し作戦がある。任せてくれ」
「わかりました。お任せします」
「イェーイ!任せるZE!」
「さすが、アーサー様……ポッ」
 一人、空気を読めてないが、いいだろう。

『ピュア』「こんなバカなことはやめて、詳しく話してくれないか?」

「はい。これは、シャルム将軍からの指示で、勇者を暗殺してくるように言われました」
 僕の相手をする騎士は話し出した。
「何を言ってるんだ?」
 そういうと、リーダー格の男がしゃべった男を斬り殺した。
 こわっ!

『催眠術』「リーダーのお前、残りの三人も殺せ」

 ズバズバ切って行く。
 やはり効いたか。
 一人殺して罪悪感がない状況なら「大きな抵抗感」がないと予想した通りになった。
 大きな抵抗感がなければ、させることができるのが『催眠術』だ。

 仕上げに……。

『ピュア』「落ち着いて説明してください。何か力になれるかもしれません」

 リーダーは落ち着く。
 落ち着くが、話そうとはしない。
 恐らく重ねがけが必要なんだろうが、もったいないから、手持ちの布で手足を縛る。
 体格のいいサイトが担ぎ、馬に載せて帰る。
 お母様に相談して、直接王に取り次いでもらうことにした。

 お母様と一緒に馬車で王城を目指すことにした。
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