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第16話 タンクアイリス
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アイリス・バルーンはメイドである。
戦闘訓練は受けていない。
ダンジョンに連れて行けば足手まといになることは予想できる。
しかし、連れて行くなら今しかない。
僕も、サイトもダンジョン初心者である、今だ。
今なら浅い階層でレベリングができる。
盾スキルは僕の生命線になりえる。
早いうちから育てたかった。
まずは、革の盾からスタートだ。
最終的にには大楯を持って、タンクとして仕事をしてもらいたい。
メイドに望みすぎだろうか?
いや、バルーン家の許可を得た今となっては、連れて行かないわけにもいかない。
そして、最終的には、僕のパーティを勇者パーティとして売り出して行きたい。
僕は望んでいないのに、モブ確定だが。
まぁ、いい。
よく言えば、プロデューサーとも言える。
そう、カーディガンを肩からかける、あの人だ。
サイトはフランソワと、いい関係になったので、僕の近親者になる。
勇者は僕の家から動けないのだ。
完全なる偶然でやらかしただけだが、サイトはフランソワと結婚させよう。
そうすることで、勇者パーティのホームが僕の屋敷になる。メンバーも全て僕にゆかりのある者だ。
いや、フランソワの実家が気になるな。
結婚することで、サイトを連れて行くような動きをされるとこまるな。
プロデューサーのポジションが無くなる。
フランソワに実家の話を聞いてみよう。
「ねぇ、フランソワ、今いいかな?」
「はい、アーサー様。どういたしました?」
「サイトがフランソワと結婚したいって言ってたんだけど、フランソワの実家はなんか言って来そうなの?」
「いいえ、私の実家は取り潰しになっていますので、何の心配もありません。あとは、サイト様に気に入っていただけるかどうかです。幸い、サイト様は貴族ではありませんので、自由に恋愛ができるかと思います」
「なるほど、それじゃ、早く結婚できるようにしようか。サイトに聞いてくるよ」
「ありがとうございます。そこまでしていただくのは申し訳ないのですが……」
「今までお世話になったし、フランソワには幸せになってほしいんだ」
僕が幸せになるためにも。
今度はサイトの部屋だな。
「サイト様、お時間よろしいでしょうか?」
「オーゥケェーイ!カモーン!」
「失礼します。連日、ダンジョンではご活躍いただき、ありがとうございます。レベリングも順調なようで安心しました。パーティメンバーともうまくやっていただいているようですが、次からは前衛を増やす予定をしています。よろしいでしょうか?」
「オフコォース!カモーン!」
「は?」
「はい。もちろん、大丈夫です。連れて来てください」
一回やってみたかったんだよね、コレ。
コイツ、おもしろいな。
「わかりました。それでは、我が家のアイリスを連れて行きますね。彼女は戦闘経験がないので、1階層からでレベリングします」
「そ、そうだね。それでお願いします」
復活まで少しインターバルがあるようだ。
今のうちに進めてしまおう。
「あ、そういえば、フランソワが挙式はいつがいいのか心配してましたよ。よかったら、お母様に一任されてはどうですか?お母様ならバッチリ準備してくれるはずですよ。急がないと、勇者様目当てに、別の貴族が言い寄ってくるかもしれません」
「そ、それはまずいね。フランソワと添い遂げると誓い合ったんだ」
「わかりました。それでは、お母様に伝えておきますね」
「その必要はありません。全て聞かせてもらいました。すぐにでも、準備に入りましょう」
おお、こういう時のお母様は行動が早い。
僕の婚約もあっという間に手続きが終わっていた。
任せておこう。
あとは、事実婚にしておいたら完璧かな?
フランソワの部屋を動かそう。
「お母様、フランソワは年齢的にも、早く妊娠した方がいいと思うのですが、今から部屋をサイト様と同じにしてはどうでしょう?」
「あら、今日のアーサーはさえてますね。それはいいアイデアですね。そうしましょう。フランソワ、いらっしゃい」
「はい。イザベラ様」
「あなたの部屋はサイト様と同じ部屋にしなさい。今から私物を運んでちょうだい」
「はい。かしこまりました」
「サイト様もよろしくて?」
「オフコォース!いつでもカモーン!」
お、戻ったな。
最近、パリピじゃなくて、ただのうるさい人に見えてきた。
慣れって怖いな。
こっちは問題無さそうだな。
僕はアイリスを鍛えて明日からのダンジョン探索での動きを確認しておこう。
「アイリス、ちょっと、いい?」
「はい。大丈夫です」
「明日の探索に向けて少し訓練をしようか」
「承知しました」
「アイリスには盾の才能があるらしいんだよ。だから、明日の探索では主に僕を守る動きになるけどいいかな?」
「もちろんです。アーサー様をお守りできるなんて光栄です。がんばります」
ああ、この子、性格的に尽くしたい子なんだな。
だから『受け』なんて怪しいスキルがあるのか。
「早速だけど、この盾を持ってみて」
家にあった丸い革の盾を渡す。
「重さはどう? 持てそう?」
「はい。問題ないかと思います」
「そっか、それじゃ、木剣で攻撃するから防いでみてね」
「はい。承知しました」
初めはゆっくり攻撃する。
しっかりガードできてる。
やはり『受け』も発動しているようだ。
僕が「守ってくれ」と、言ったからそれを『受け』たんだな。
よし、次の段階もやっておこう。
「アイリス、『盾』と言いながらガードしてみて」
「かしこまりました」
『盾』 ガキィーン
大きな音が鳴って強い反動があった。
これがスキルの、効果だな。
動きも素早くなっていた。
恐らく「素早く動いて、攻撃を跳ね返す」あたりの効果なのかな?
地味だけど、タンクにとっては最高のスキルだな。
明日は実戦でも試してもらおう。
その後は30分ほど、いろいろ試した。
スキルの発現回数の上限が今の所ない。
何回でもできるが、インターバルが必要なようだ。
およそ一分。
これが必要な時間だ。
この時間さえしのげば鉄壁の『盾』が発動する。
その間は自力で守ってもらうしかない。
でも、今僕たちが行っている低レベル帯なら問題なく通用しそうだ。
明日のダンジョン攻略が楽しみだ。
戦闘訓練は受けていない。
ダンジョンに連れて行けば足手まといになることは予想できる。
しかし、連れて行くなら今しかない。
僕も、サイトもダンジョン初心者である、今だ。
今なら浅い階層でレベリングができる。
盾スキルは僕の生命線になりえる。
早いうちから育てたかった。
まずは、革の盾からスタートだ。
最終的にには大楯を持って、タンクとして仕事をしてもらいたい。
メイドに望みすぎだろうか?
いや、バルーン家の許可を得た今となっては、連れて行かないわけにもいかない。
そして、最終的には、僕のパーティを勇者パーティとして売り出して行きたい。
僕は望んでいないのに、モブ確定だが。
まぁ、いい。
よく言えば、プロデューサーとも言える。
そう、カーディガンを肩からかける、あの人だ。
サイトはフランソワと、いい関係になったので、僕の近親者になる。
勇者は僕の家から動けないのだ。
完全なる偶然でやらかしただけだが、サイトはフランソワと結婚させよう。
そうすることで、勇者パーティのホームが僕の屋敷になる。メンバーも全て僕にゆかりのある者だ。
いや、フランソワの実家が気になるな。
結婚することで、サイトを連れて行くような動きをされるとこまるな。
プロデューサーのポジションが無くなる。
フランソワに実家の話を聞いてみよう。
「ねぇ、フランソワ、今いいかな?」
「はい、アーサー様。どういたしました?」
「サイトがフランソワと結婚したいって言ってたんだけど、フランソワの実家はなんか言って来そうなの?」
「いいえ、私の実家は取り潰しになっていますので、何の心配もありません。あとは、サイト様に気に入っていただけるかどうかです。幸い、サイト様は貴族ではありませんので、自由に恋愛ができるかと思います」
「なるほど、それじゃ、早く結婚できるようにしようか。サイトに聞いてくるよ」
「ありがとうございます。そこまでしていただくのは申し訳ないのですが……」
「今までお世話になったし、フランソワには幸せになってほしいんだ」
僕が幸せになるためにも。
今度はサイトの部屋だな。
「サイト様、お時間よろしいでしょうか?」
「オーゥケェーイ!カモーン!」
「失礼します。連日、ダンジョンではご活躍いただき、ありがとうございます。レベリングも順調なようで安心しました。パーティメンバーともうまくやっていただいているようですが、次からは前衛を増やす予定をしています。よろしいでしょうか?」
「オフコォース!カモーン!」
「は?」
「はい。もちろん、大丈夫です。連れて来てください」
一回やってみたかったんだよね、コレ。
コイツ、おもしろいな。
「わかりました。それでは、我が家のアイリスを連れて行きますね。彼女は戦闘経験がないので、1階層からでレベリングします」
「そ、そうだね。それでお願いします」
復活まで少しインターバルがあるようだ。
今のうちに進めてしまおう。
「あ、そういえば、フランソワが挙式はいつがいいのか心配してましたよ。よかったら、お母様に一任されてはどうですか?お母様ならバッチリ準備してくれるはずですよ。急がないと、勇者様目当てに、別の貴族が言い寄ってくるかもしれません」
「そ、それはまずいね。フランソワと添い遂げると誓い合ったんだ」
「わかりました。それでは、お母様に伝えておきますね」
「その必要はありません。全て聞かせてもらいました。すぐにでも、準備に入りましょう」
おお、こういう時のお母様は行動が早い。
僕の婚約もあっという間に手続きが終わっていた。
任せておこう。
あとは、事実婚にしておいたら完璧かな?
フランソワの部屋を動かそう。
「お母様、フランソワは年齢的にも、早く妊娠した方がいいと思うのですが、今から部屋をサイト様と同じにしてはどうでしょう?」
「あら、今日のアーサーはさえてますね。それはいいアイデアですね。そうしましょう。フランソワ、いらっしゃい」
「はい。イザベラ様」
「あなたの部屋はサイト様と同じ部屋にしなさい。今から私物を運んでちょうだい」
「はい。かしこまりました」
「サイト様もよろしくて?」
「オフコォース!いつでもカモーン!」
お、戻ったな。
最近、パリピじゃなくて、ただのうるさい人に見えてきた。
慣れって怖いな。
こっちは問題無さそうだな。
僕はアイリスを鍛えて明日からのダンジョン探索での動きを確認しておこう。
「アイリス、ちょっと、いい?」
「はい。大丈夫です」
「明日の探索に向けて少し訓練をしようか」
「承知しました」
「アイリスには盾の才能があるらしいんだよ。だから、明日の探索では主に僕を守る動きになるけどいいかな?」
「もちろんです。アーサー様をお守りできるなんて光栄です。がんばります」
ああ、この子、性格的に尽くしたい子なんだな。
だから『受け』なんて怪しいスキルがあるのか。
「早速だけど、この盾を持ってみて」
家にあった丸い革の盾を渡す。
「重さはどう? 持てそう?」
「はい。問題ないかと思います」
「そっか、それじゃ、木剣で攻撃するから防いでみてね」
「はい。承知しました」
初めはゆっくり攻撃する。
しっかりガードできてる。
やはり『受け』も発動しているようだ。
僕が「守ってくれ」と、言ったからそれを『受け』たんだな。
よし、次の段階もやっておこう。
「アイリス、『盾』と言いながらガードしてみて」
「かしこまりました」
『盾』 ガキィーン
大きな音が鳴って強い反動があった。
これがスキルの、効果だな。
動きも素早くなっていた。
恐らく「素早く動いて、攻撃を跳ね返す」あたりの効果なのかな?
地味だけど、タンクにとっては最高のスキルだな。
明日は実戦でも試してもらおう。
その後は30分ほど、いろいろ試した。
スキルの発現回数の上限が今の所ない。
何回でもできるが、インターバルが必要なようだ。
およそ一分。
これが必要な時間だ。
この時間さえしのげば鉄壁の『盾』が発動する。
その間は自力で守ってもらうしかない。
でも、今僕たちが行っている低レベル帯なら問題なく通用しそうだ。
明日のダンジョン攻略が楽しみだ。
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