中身はクズモブなのに『ピュア』だけでゴリ押す第六王子のハーレムは完成する〜非戦闘スキルなのにバトルも無双〜

ahootaa

文字の大きさ
上 下
6 / 63

第6話 今ある問題

しおりを挟む
 僕は、今いくつかの問題を抱えている。
 一つは、先の兄への対応。
 態度が180度変わった兄との距離感に戸惑っている。

 二つ目は、2人のフィアンセとの距離感。
 ガーベラは毎朝お稽古の師範代というポジションで関わってきている。
 こちらは稽古が厳しすぎる。
 もう逃げたい。
 サルビアは実家の両親が、従者というポジションが気に入らないということで、未だに実家にいる。
 どうやら、説得されているらしい。
 また、ガーベラの実家であるストライク侯爵家からも圧力がかかっているらしい。
 ストライク家としては「まずは、一人目を生んでから次の妻を」との親心らしい。
 非情にめんどくさい。

 三つ目は、先日連れて来たメイドのアイリスが僕にべったりなことだ。
 メイドとしての仕事に支障をきたすレベルなので、フランソワがお怒りだ。
 そして、王家に使えるメイドの多くがそうなのだが、貴族の家出身者が大半であるということだ。
 アイリスの実家であるバルーン家は古くからある子爵家で、アイリスは当主の妾の子というポジションらしい。
 王城に勤めていたはずの娘が、事後報告という形で第六王子の屋敷に転勤となってしまったのだ。
 子爵家もいい顔をしなかったらしい。
 僕はただ『ピュア』の効果を試したかっただけなのに。

 そして、最大の問題は『ピュア』についてだ。
 朝の2回のルーティンの使用をしてしまうと残りが2回で、その2回では一般人の心を大きく動かすことはできないらしい。
 お兄様のときは、嫌がらせがイヤすぎて、朝のルーティンを減らした。
 そのおかげで、あの有り様だが、結果オーライととらえよう。
 それでも、朝のルーティンはどうしても使ってしまうのだ。
 アイリスが2回で心を動かせたのは元々屋敷勤めを望んでいたのと、どうやら、僕への恋慕の気持ちもあったらしい。
 なんたる偶然。
 僕は陰キャモブだが、両親は美形だ。
 つまり、顔だけは華やかなのである。

 そう、僕は最後の『ピュア』の使用回数を一番大きな問題だと考えている。
 しかし、世間は違うようだ。
 一つ目がまずいのか?
 二つ目がまずいのか?
 いや、三つ目なのか?

 とにかく、僕は、今、お母様とともに王城に緊急招集を受けている。
 正直、どうでもいいが、ヘタすれば、大事件にはなるだろう。
 ビビりの僕としては、行きたくなかった。
 しかし、すぐにフランソワに捕まってしまったのだ。
 だから、今、馬車の中でお母様とフランソワから冷たい目線で見られている。
 きっと、横で僕にべったりくっついているアイリスも同罪だ。

 お母様にとって唯一の子供が変な子供で非常に申し訳ない。
 でも、僕にとっては他人と思えないこともないので、気にしないようにしよう。
 我ながらクズだな。

 王城に到着すると、お父様の執務室に通された。
 王城はいつもよりバタバタしている印象を受けた。

「王、失礼します。お連れしました」
「入れ」
「はっ」
 連れられて入る。
「失礼します。シャルム様、ご機嫌うるわしゅう」
 きれいな礼をする、お母様。
 僕も続く。

「よい、今は急ぎの用件だ。前置きは終わりだ。まずは話を聞いてくれ。おい、ラムダ、説明せよ」
「はっ。失礼します。担当直入に申し上げますと、勇者様と生活を共にしていただけませんでしょうか?」
 ラムダと呼ばれる無骨な男――確か将軍――が話し出した。

「は?それはなぜでしょう?まだ、どのようなお方か、お会いもしていませんが」
「失礼いたしました。結論を急ぎすぎました。実は、勇者様がどうも城内での暮らしにご不満があるようで、街で暮らしたいとおっしゃられています。つきましては、イザベラ様と、アーサー様がお住まいの屋敷でしたら勇者様の望まれる環境が整うとの判断でございます」

「えーっと……」
 珍しく、お母様がうろたえている。

「ラムダよ。それでは、説明が足るまい、イザベラ様、アーサー様、失礼いたしました。勇者様は召喚されて間もない身、城内の堅苦しい雰囲気が好ましくないらしく、程よく接待ができて、王族であられる方のおわすところで過ごしていただこうという考えです。いかがですかな?」
 横にいた宰相が付け足した。

 それを聞いて、僕は安心した。
 自分が原因の問題ではないからだ。
 勇者のことはよくわからないけど、同じ日本人のよしみで仲良くしてあげてもいい。
 今、この場で怒られないのなら。

「説明はわかりました。それで、私の屋敷が王城との距離や、アーサーが末っ子の第六王子であることも考えての判断ということですね。そして、接待については、メイドが一人多く配置されていますものね。そういったところでしょうか?」

「はははっ。イザベラにはかなわんな。すべてお見通しだな。まいった。頼む!すまん!」

「もう、シャルム様はいつもズルいです。そういえば私が何も言い返せないのをご存じで……」
「まぁ、そう言うな。どうだ? 今晩は城に泊まっていくだろ?」
 あらあら、第七王子ができたらどうしましょ?

 でも、お父様も、お母様も僕がメイドを連れて帰ってきたことを叱らずに責任を取らせるつもりだな。
 面倒だけど、仕方ないな。
 勇者の面倒を見てやろう。
 お父様はさすがだな。
 全てバレバレだった。

「して、アーサーよ、お前はこの短期間で女の子を三人も連れ込んだそうだな。お前も俺に似て女泣かせなのかもしれんな。あと、アドルフは喜んでいたぞ!がははは」
 がはは!じゃねーよ。
 全部バレてんのか。

『ピュア』「お父様、そんなことはありません。僕なんて小物ですから」

 お父様はその後も「がははは」と笑っていた。
 効いてんのか?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)

@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」 このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。 「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。 男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。 「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。 青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。 ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。 「カクヨム」さんが先行投稿になります。

元体操のお兄さんとキャンプ場で過ごし、筋肉と優しさに包まれた日――。

立坂雪花
恋愛
夏休み、小日向美和(35歳)は 小学一年生の娘、碧に キャンプに連れて行ってほしいと お願いされる。 キャンプなんて、したことないし…… と思いながらもネットで安心快適な キャンプ場を調べ、必要なものをチェックしながら娘のために準備をし、出発する。 だが、当日簡単に立てられると思っていた テントに四苦八苦していた。 そんな時に現れたのが、 元子育て番組の体操のお兄さんであり 全国のキャンプ場を巡り、 筋トレしている動画を撮るのが趣味の 加賀谷大地さん(32)で――。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...