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19話 ご注文は可愛い後輩のマッサージですか?

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電話をかけると、金沢はワンコールもしないうちに電話に出た。なにお前、俺ガ○ルのザザ虫君なの?友達いないから、電話とか珍しくてすぐ出ちゃうタイプの人なの?
「もしもーし?金沢ー?」
「紫乃?なんだよいきなり電話してきて。」
金沢は呆れたようにため息をついていた。
「今どこー?生徒会室に来て欲しいの。なるはやでー。」
「俺の意見とかガン無視じゃん・・・。まぁ今教室にいるし・・・。行くよ、生徒会室。」
「うぇーい!ありがとー!」
金沢は、私に何を言っても無駄な事を理解している様で、電話越しでも分かる落胆っぷりだった。
人員は増えたけど、私の精神的なHPは減ってんだけど・・・。これはプラマイゼロでいいのかな・・・?
私は電話を切ると、葵くんに笑顔でOKサインを出した。
すると葵くんは「良かったですね。」と苦笑いをしていた。
紫乃のHPは100削られた。ちなみに全体的HPは53万。それって戦闘力じゃないのかよ。
私は双方からの精神的攻撃を受けたので、大人しく作業をしていた。
書類を捲る音や、シャーペンが紙の上を走る音がよく聞こえた。ついでにありとあらゆる関節がゴキゴキと変な音を奏でているのも聞こえた。
先程も言ったが、ずっと同じ姿勢でいると身体が痛い。関節が固定されて、動くと変な音がする。
葵くんから書類を受け取るために手を伸ばすと、肩に電気が走った。
「折れた・・・。今完全に逝ったわ・・・。」
「ハードな運動もしてないのに折れるわけないじゃないですか・・・。」
早く取れと言わんばかりに、葵くんは私の目の前で書類をヒラヒラさせ、ため息をついていた。
「何してんですか。早く取ってください。」
「鬼か!?鬼なのか!?痛いから取れないんだよ!右肩押さえてんの見て察してよ!」
私は半泣き状態で葵くんに訴えかけた。
「はぁ・・・仕方ないですね・・・。幸か不幸か、というかなんというか・・・。」
そう言うと葵くんはスっと席を立ち、私の背後に回った。やめろ、俺の背後に立つな・・・。拳をお見舞いしてしまうぞ・・・。
「ん?どしたのかな?葵くん?」
冗談はさておき、葵くんが背後に行った理由を聞いた。
「先輩の肩がどうにかならないといけないらしいので、肩を揉んであげようという後輩の優しさです。感謝してください。」
「葵くん・・・。」
私はこの時、葵くんにトキメいた。
なんだよ、このツンデレ王子め・・・!私には今君が王子に見えるよ・・・。後ろに白馬が見える・・・。
私はツンデレ王子こと葵くんに肩を差し出した。
「お手柔らかにお願いしますね・・・。」
「任せてくださいよ・・・、せーんぱい♡」
そう言うと葵くんは、私の肩に手を置いた・・・。
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