ヲタクで腐女子な私にリアル乙女ゲームは攻略不可

9話 何かが始まる予感。回避策を探せ！

「ほれ、出来たよ。」
「ざーす。」
ありがとうございます、だろ！私の手料理なんて希少価値なんだから有難く食べろや。希少価値って程美味い訳では無いけど･･･。
金沢が黙ってもぐもぐと食べる姿は、小動物に餌付けしてるよな気持ちにさせられる。こういうのたまにはいいな。相手を支配してるみたいで。
･･･ふと我に返ると、ある疑問が浮上した。
「てか、前から思ってたんだけど、どうやってうちに入ってくんの？」
不思議なんだよなぁ、鍵閉めてるのに･･･。どうやって入ってくんだろう･･･？
「鍵をぶっ壊して。」
「嘘だろ･･･？」
修理代とかうちで払ってんの！？
いつの間に引き落とされたんだ･･･？
「嘘。お前が予備の鍵を家のポストに貼り付けてるの知ってるから。」
ですよね、知ってた。でも、それって。
「ストーカーじゃん。」
「幼なじみだから大丈夫。」
幼なじみってそんなチートスキルじゃないと思うけど･･･。やっている事ただの犯罪者だからね？
「ウチ来る時は事前に連絡してくれよ。そしたら、ちゃんと正規ルートでお迎えしてやるから。」
そしたら、今みたいな労働をしなくて済むんだから。
「俺があたかも隠しルートを使ったかのような言い方だな。」
「事実そうだろうよ。」
ひとしきり言い合いが終わったところで、私はまた、マツバさんについて思考を巡らせていた。
マツバ･･･。この名前に対する違和感はなんだろう･･･？
凄く嫌な気分になる。･･･気のせいかな？
「そーいえば、明日新しい先生来るらしいよ。」
金沢の声により、私はまた現実に戻された。
新しい先生かぁ･･･。この時期だから教育実習生とかだと思うけど･･･。
「先生？教育実習生じゃなくて？」
「そーそれ。確か盛岡って名前らしい。」
「へぇ･･･。！？」
「どうした？」
「いっ、いや、なんでもない。」
盛岡！？マジか！あの乙女ゲーム予知能力までついてるの！？怖すぎる！
いや、待て。もしかしてガセネタ･･･って事もあるだろ。
「てか、誰から聞いたのそんなこと。」
ボッチ君なのに、誰から聞いたんだろう･･･？もしかして、念願のお友達･･･！？
「ツブヤイッターで流れてた。」
ですよね。知ってた。
「ネット民は情報に強いなぁ･･･。てか、ネットでのコミュ力高いなお前。リアルでも同じくらいコミュニティ持てばいいのに･･･。」
「めんどくさいからやだ。」
「そうですか･･･。」
そう言って私に寄生するのはどうかと思うんですけどねぇ･･･。自立して欲しい。頼むから。
「ごちそうさん。うまかった。」
「どーいたしまして。ご馳走様でした。」
2人ともチャーハン完食したので、金沢にはそろそろ帰って貰おう。本当なら皿の1枚でも洗わせてやりたいが、キッチンがえぐい事になりそうなのでやめておこう。同じ過ちは繰り返さぬようにしないと･･･。
「よっしゃじゃあ始めるか。」
何言ってんだこいつ。なにを始めるんだよ。帰れよ。明日学校ですけど？
「一応聞いておく。何始めるの･･･？」
「わざわざお前の家に来た理由が、飯食うだけだと思ったの？ははっ、甘いな･･･。」
ニヤリと笑った金沢は、さっきまでチャーハンをもぐもぐと食べてた金沢とは別人に見えた。ちょっと･･･どういうことかな･･･？
乙ゲーは終わってますけど！？なにこれ現実！？夢だよね！？夢だよね(確認)！？
「さて、始めようか･･･。夜のゲームを･･･。」
もう、目の前の金沢は幼なじみではなく、男の子という感じだった。
なんか、乙ゲーっぽいんだけど･･･！これってもしかして、幼なじみルート来ちゃう感じですか！？