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EP1_6章

6章_3 会議は踊る

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 「大公殿下亡き今、
再びメルヴィアが迫り来る日は遠くないであろう。

何か手を打たねばならんが、
このエンタール公国の属する連合王国の主、
トルトゥーザ王は、新たな公王を正式に立てねば、
このエンタール公国を認められぬ故、
援軍は出せぬと抜かしてきおった。

相変わらずの盟主ぶりだ。
しかるに、今々の助けは期待できぬ。」


うなだれるロクサリオに、軍師たちが山と意見を示すが、
なかなか上出来なものは出てこないでいた。


「申し上げること忍びないが、
エンタール公国の兵だけでは、
メルヴィアが本気で侵攻をしてきた場合、
打ち破ることは難しい。何としても、
トルトゥーザとその連合諸国を味方につけねば。」


公国きっての猛将で知られるポズナンの真言に、
軍議に出ていた皆が事の深刻さを理解した。


「しかし、公王叙任の儀を執り行うには、
結局トルトゥーザまで新王自らが出向かなければならない、
そういうお話でしたね。」

沈黙を破ったのは、メリッサだった。
毎晩のように泣き暮らしているのか、
目の赤みが取れないようだが、
軍議の中で彼女は冷静さを失うことは無かった。


「そのとおりであります。姫様。百余年の昔に、
盟主トルトゥーザ王国が定めた鉄の掟にございます。
歴代、各国の大公は、トルトゥーザの都に赴き、
叙任を受けることでようやく公王と認められていたのです。

しかし、当時メルヴィアは敵国ではありませんでした。
一方、今や戦時中。最短距離でトルトゥーザに向かうには
メルヴィア領を通過する必要があるが、
その道はもう危険すぎる。

いつ襲われるかもわからない相手がいる中、
大変な旅をすることなど自殺行為に近い。」

文官の言葉が終わるなり、再び議論は紛糾する。


しばらく逡巡していた様子のロクサリオの一言が、
躍る会議を止めた。
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