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EP1_4章

4章_10 危機迫る南門

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 「門が破れるのはそろそろか?
いい加減、城内強襲隊も出番が無くて帰ってしまうぞ。
いつまで奴らを給料泥棒にさせとくんだ?」

男は冗談を飛ばしながら、
腕を組んでブラナス城塞南門を見つめてそう言った。


「シエン隊長、
ロキシェル将軍がこの南門へ向かっているそうです。
もう間もなくご到着なさるかと。」


伝令の報告に、シエン隊長は顔をしかめた。

「だからさっさと門を落とせと言ったんだ。
どうせこっちの仕事が遅いとケツを叩きに来るに違いない。
俺ァ年下のネーちゃんに苛められるのは趣味じゃねえ。

前線で戦って来るから、鎧のネーちゃんにはそう伝えておけ。
あと、南門は俺が開けてやるから、援護はよろしくな。」


シエン隊長は後ろに控えていた城内突撃隊に指示を出し、
南門を破壊すべく用意していた爆薬入りの大樽を運ばせ、南門へと迫った。


危機迫る南門の中では、
ブラナス城塞の本隊も静かに準備を進めていた。

「もう門は半刻と持ちません!ご指示を!」


泣き叫ぶような伝令の声の先には、
ブラナスの将軍、ロッド・ポズナンの姿があった。




「開放の西門、拮抗の北門、物量の東門、
そして、奇策の南門。突破口は此処、南門にあると見ている。
皆々、今までよくぞ耐え抜いてくれた。

敵が今にもこの南門を破らんとする時、
我がブラナス軍の精兵をもって南門の敵を殲滅する。
城壁の見張りは、敵の動きを常に捕捉しておくのだ。」

困難を極める現状の中にあってもなお、
ポズナン将軍は堂々たる態度で事態に臨んでいた。
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