上 下
56 / 104
EP1_4章

4章_7 メルヴィアの将軍

しおりを挟む
 東門を襲う敵軍を大きく回り込み、
三人は北門の時と同じように敵軍の後方に身を潜めた。


東門の攻勢は今までの各門のそれとは大違いで、
既に城門には破城槌が取り付けが進んでおり、
その間も火矢と投石車での攻撃が雨のように続いている。


「ここは一刻を争う事態だな・・・。
こちらの仕事はさっさと済ませて、
西門に戻って開放しないと。

トラリス、さっきのをもう一発お見舞いしてやってくれ。」


トラリスは返事の代わりに弓を引き絞って構える。

敵軍の後方を狙って、
乱れ撃つように放たれた矢は、

敵兵を次々と射抜いていく。


そしてまたしても、
最後に放った矢は指揮官らしき甲冑の騎士の
後頭部を貫くべく突き進む。


見事命中と思われた瞬間、
青銀に煌めく甲冑の騎士がおもむろに背中から抜いた剣に当たり、
矢は弾かれた。

まぐれなのか気付いたのか、
三人には分らなかったが、
指揮官に異変を悟られてしまったことには変わりなかった。

「まずい、あの甲冑の指揮官には多分感づかれた。
剣で弾いたから、
どこから弓が飛んできたのかもきっと分かったはずだ。
残念ですが、この東門は一度諦めましょう。
これでも時間は稼げるはずです。」


敵が動き始める前に、
三人は静かに南門の方角へと姿を消した。


「ロキシェル将軍、お怪我はありませんか!」
突然大将を襲った不意打ちに、護衛は慌てていた。

雪のような銀色の長髪が、
流れる風に乗って背中から抜きかかった剣の刃にそっとかかる。

淡いエメラルド色の目が、
矢が飛んできた方向を見透かすかのように見据える。




「今の矢は、後ろからだったな。
北門の指揮官がやられたというのもおそらくは同じ手だろう。
いきなり王手を打とうとは、横着者の奇策か何かだ。

やられる側としては癪だ。
後方部隊、私に続け!」

抜きかけた剣を振りかざし、
兵も揃わぬままに馬を駆りだす。

風にたなびく銀髪に誘い込まれるように、
兵たちがそれに続いた。


トラリスの攻撃を受けてから数分と立たない即断、
即決の指揮。ロキシェルと呼ばれたメルヴィアの将軍は、
約二千の精鋭を率いてメリッサたちの向かう南門へ出撃した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

性転換マッサージ2

廣瀬純一
ファンタジー
性転換マッサージに通う夫婦の話

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

処理中です...