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EP1_3章

3章_4 カムランの意地

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 目の前に広がる惨状に、
さすがのエルザも恐怖を隠すことができない。


「なんてこと。あんな攻撃、当たったらおしまいじゃない。」

オリオンの右手の大剣は、
兵たちの鮮血で赤黒く光っており、
その一撃の一部始終を見てしまったエルザの声は、
泣いてしまいそうなほどにか細く揺れていた。

しかし、恐怖に足の止まってしまったエルザを、
オリオンが見逃してくれるはずもない。

足を引きずりながらエルザとの距離を詰め、
再び大剣が振り下ろされる。

そのオリオンの攻撃を予期していたカムランは、
既に走り出していた。間一髪、
台地を穿つような一撃がエルザに届くより先に、

カムランはエルザの肩を抱えて地面に飛び込むように倒れた。


「隊長、あなたが諦めてしまったら、
兵たちは報われない。
オリオンは確かに恐ろしい、
でも足はもうがたがたでろくに動けやしない。

勝ち目がないわけじゃないんだ、戦わないと。」


少し息の上がった声でエルザを励ますと、
カムランはソードブレイカーを構えてオリオンの正面に立つ。

オリオンは引きずる右足に力を込め、
立ちはだかるカムラン目掛けて大剣で切りかかる。


先ほどの一撃でよほど力を使ったのか、
剣速も鈍く、痛む足で思うように踏み込むことができない
オリオンの攻撃をカムランは容易にかわした。

空を切った大剣は、
そのまま地面に突き刺さる。

刺さった大剣を足掛かりに、
カムランはオリオンの身体を一気に駆け上がった。

オリオンの顔面に蹴りを入れて目を眩ませた後、
自重の全てを乗せて左肩を切り付けた。

弩の大矢で既に一部を引き裂かれていた左肩は、
その斬撃で完全に切り離され、
オリオンの左腕は根元からちぎれ落ちた。


右足はボロボロで、左腕は切り落とされた。
もはやあの大剣を使いこなすことはできないだろう。

しかし、このカムランの考えは、
オリオンの闘志に早くも覆されたのだった。

オリオンは雄叫びと共に片腕で大剣を引き抜き、
カムランへ怒りの一撃を振り下ろした。


カムランは予想外の一撃を回避することが出来ず、
芯を外したものの、
ソードブレイカーで剣撃を受けてしまった。

巨体を誇るオリオンとの体格差は、
そのまま受ける剣撃の重さになる。

カムランは剣撃の威力に吹き飛ばされ、
そのまま投石車の瓦礫に激突した。
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