悪役令嬢をヒロインから守りたい!

あんこ

文字の大きさ
上 下
18 / 31
一章

箸休め

しおりを挟む
オールハイン昔話 《セバタロウ》


昔々、とても仲睦まじい老夫婦がいました。

夫婦は愛し合っていましたが、子供がいませんでした。

ある日、アイリスおばあさんは山へ狩りに、

エリオットおじいさんは川へどこでもアイリスおばあさん人形を洗濯に行きました。

おじいさんが洗濯をしていると、川上から、イイカゲンニシロハラグロクソデンカ、イイカゲンニシロハラグロクソデンカと、大きな紅茶の箱が流れてきました。

おじいさんは少し腹が立ったので、どうしようかと悩みましたが、可哀想だから仕方ない、可哀想だから、ほんと可哀想、川に流されてほんと可哀想と煽りながら、紅茶の箱を持って帰ることにしました。

家に帰ると、既におばあさんがイノシシと野うさぎを捌き終えた後でした。

今日はイノシシと野うさぎ鍋ですよ!と、嬉しそうに言うおばあさんにおじいさんはデレデレしながらそうか、そうかと繰り返します。

おばあさんは、おじいさんが紅茶の箱を抱えているのに気づき、割ってみましょうといいました。

言われるがままに箱を割ってみると、中から、紅茶の茶葉にまみれた男の子がでてきました。

おばあさんとおじいさんはたいそう喜び、この子は幸薄そうな顔をしているから、セバタロウと名付けようと決めました。

セバタロウは嫌な顔をしましたが、おばあさんの意思は絶対です。

セバタロウはすくすくと育ち、とても苦労人な性格に育ちましたが、わりとスペックは高く、おじいさんとおばあさんの身の回りの世話を自分から申し出ました。

15歳になったセバタロウはおじいさんとおばあさんに鬼ヶ島の鬼リリス退治を命じられました。

おじいさんによると、なんでも、性格が悪く、何故かおばあさんを目の敵にしているので、ぶっ殺してこいとのことでした。

おじいさんは、途中で食べなさいと、食用コオロギ一匹、コオロギ型のチョコ二つをもたせてくれました。


旅立ったセバタロウが最初に出会ったのは、スナイパーライフルを担いだ犬、ミシェルでした。

ミシェルは、チョコをよこせとセバタロウを脅します。

セーバタロさんセバタロさん、おててにもったチョコレートーひっとつ私によっこしなさい

スナイパーライフルを向けられては言うことを聞くしかありません。
セバタロウはおとなしくチョコレートを渡しました。

ミシェルはそんなセバタロウをみて、あ、やだ、タイプかも、と思い、結婚を申し込みました。
セバタロウも満更ではなかったらしく、それを快く受け入れました。

夫婦になった2人は歩き続けます。

やがて、猿のアスランに出会いました。

アスランは持っていたリンゴを握りつぶし、チョコレートを欲しがりました。

流石に身の危険を感じたセバタロウはおとなしくチョコレートを渡します。


チョコレートを食べたら、死ぬまで私のために働かなければならないよ?とセバタロウは冗談を言いましたが、真に受けた猿のアスランは、セバタロウに永遠の忠誠を誓ってしまいました。


お供が増えたセバタロウは、
雉のエヴァンに出会いました。

セバタロウの手元にはもう食用コオロギしか残っていません。

しかし、雉のエヴァンは虫は大好物のようで喜んで食べました。

あまりにも喜ぶので、辺りにいた虫を雉のエヴァンの口にたらふく詰め込むと、言うことを聞くからもうやめてくれと泣きながら雉のエヴァンは謝りました。


船に乗って、鬼ヶ島に渡った一行の前に、
鬼の手下Aデューク、鬼の手下Bレオンが現れました。

鬼の手下Aデュークは蝶々を追いかけて崖に落っこち、鬼の手下Bレオンは、鬼のパンツはママに洗ってもらってるんですかぁ?という雉のエヴァンの煽りに耐えきれず泣きながら逃げていきました。


手下をやられた鬼リリスは怒り狂い、ソーラン節を踊りながらセバタロウ達を崖へ追い詰めていきました。

その時、エリオットおじいさんが現れ、鬼リリスの踊りを鼻で笑いました。

鬼リリスはなんなのよぉぉぉぉぉぉぉぉ!と叫びながら、逃げていきました。

セバタロウはいいました、おじいさんが最初からいけと。

エリオットおじいさんは、お前の嫁さんが鬼の息の根を止めようとライフルを構え出したあたりからやばいと思っていたと、そんなので頭を吹き飛ばしたらR指定入ってしまうといいました。

エリオットおじいさんとアイリスおばあさんは結局心配で後ろからついてきていたのでした。

なんだかんだでみんな仲良く暮らしましたとさ。


おひとよしおひとよし。

✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎




「っていう童話を考えたんだが、どうだ?セバスチャン」

「早く寝てください、そして、しばらく目覚めないでくださいアホ殿下」

「セバタロウ冷たい」

「……は?」

「セバスチャンさんおやすみなさい」
しおりを挟む
感想 92

あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

【完結】悪役令嬢の反撃の日々

くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。 「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。 お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。 「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

ローザとフラン ~奪われた側と奪った側~

水無月あん
恋愛
私は伯爵家の娘ローザ。同じ年の侯爵家のダリル様と婚約している。が、ある日、私とはまるで性格が違う従姉妹のフランを預かることになった。距離が近づく二人に心が痛む……。 婚約者を奪われた側と奪った側の二人の少女のお話です。 5話で完結の短いお話です。 いつもながら、ゆるい設定のご都合主義です。 お暇な時にでも、お気軽に読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました

さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。 私との約束なんかなかったかのように… それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。 そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね… 分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!

貴方もヒロインのところに行くのね? [完]

風龍佳乃
恋愛
元気で活発だったマデリーンは アカデミーに入学すると生活が一変し てしまった 友人となったサブリナはマデリーンと 仲良くなった男性を次々と奪っていき そしてマデリーンに愛を告白した バーレンまでもがサブリナと一緒に居た マデリーンは過去に決別して 隣国へと旅立ち新しい生活を送る。 そして帰国したマデリーンは 目を引く美しい蝶になっていた

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!

ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。 え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!! それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?

処理中です...