上 下
193 / 203
仮面の男、襲撃

仮面の下の表情

しおりを挟む
「そうですね、あの身体から放たれている威圧感はまさしくマスターのものです。」
創一が驚いていないところからやはり気づいていたか。
「だが、中に入っているのは俺ではないな。色々とおかしすぎる。」
そう、確かにあの身体は俺のだったがまるで中の人間は使いこなせていなかった。まるで借り物の身体を使っているかのように。
それに放たれた魔力も俺のとは違う。あれほどの禍々しい魔力は俺のものではない。
だとすると、アレは・・
「多分あいつだな。」
「マスターも同じことを思っていましたか・・」
「あぁ、恐らく間違いない。あの魔力は奴だな・・」


「チッ!やはりまだまだ勝てないか・・」
先程、陸斗によって異次元に蹴り飛ばされた仮面の男は特にダメージがあった様子はなく、ただ怒りのみを爆発させていた。
「この仮面も随分と窮屈になったもんだ。」
そう言って男が仮面を外すとそこには陸斗と同じ顔があった。
「ふぅ、こいつの姿になったのは癪だがものすごい力を感じる・・」
そう言って男は魔力を放出させる。それは先程よりも強くなっていた。
「まぁ、いい。これくらいじゃなきゃ潰し甲斐がない。見ていろリクト、お前の大事なものを根こそぎ破壊してやる。手始めに教国から破壊してやる。」
男はそう言って闇の中に消えていった。

その頃、フィル達はアイリ達にこのことを伝えていた。
「仮面の男・・?」
「はい、あまり強くはなかったのですが・・」
「倒しきれなかったのには理由があるんでしょ?」
横からエイフィーが話しかけた。
「はい・・」
「恐らくそいつは教国に戻ったわね。」
「なんでそんなことを・・」
「だってそいつリクト様を恨んでる感じだったんでしょ?でもまだ力が足りないから教国で力を蓄えてるんだと思う。」
「今回の戦いでまだ差があることに気づいたなら教国で再び力を蓄えるはずよ。今のうちに潰さないと。」

何故か教国に行こうとしている2人にメイが話しかける。
「あの・・教国には変な結界が張られてて通れないんです・・」
「だったら、力づくで通るしかないでしょ?私達ならそれくらい出来るわ。」
このクランは何故こうも化け物揃いなのか、メイの思考はそれでいっぱいだった。


「やっぱり2人とも行くと思ったよ。はい、これ。」
そう言って陸斗は2人に転移石を渡した。
「教国の近くまでならこれで行けるからね。ただ、入ることは結界のせいで無理だけど。」
まぁ、結界もあるけど法律もあったしね、と陸斗は呟いた。
「じゃあ、私達で終わらせてきます。」
「うん、万が一のことがあったら早く戻ってきて。」
「分かりました。」
そう言って2人は転移した。
「これで一件落着となればいいんですがね・・・」
「まぁね。アレは一筋縄では行かないよ。念のため2人が危機に陥ったら眷属転移で連れ戻すけど。」
陸斗はこの戦いは長引くと感じていたのだった。

眷属転移・・自分の部下にしたものに命の危険が迫った場合強制的に自分の元へ転移させるスキル。便利ではあるが使用者と転移者両方の魔力を使うという欠点がある。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

死んだと思ったら異世界に

トワイライト
ファンタジー
18歳の時、世界初のVRMMOゲーム『ユグドラシルオンライン』を始めた事がきっかけで二つの世界を救った主人公、五十嵐祐也は一緒にゲームをプレイした仲間達と幸せな日々を過ごし…そして死んだ。 祐也は家族や親戚に看取られ、走馬灯の様に流れる人生を振り替える。 だが、死んだはず祐也は草原で目を覚ました。 そして自分の姿を確認するとソコにはユグドラシルオンラインでの装備をつけている自分の姿があった。 その後、なんと体は若返り、ゲーム時代のステータス、装備、アイテム等を引き継いだ状態で異世界に来たことが判明する。 20年間プレイし続けたゲームのステータスや道具などを持った状態で異世界に来てしまった祐也は異世界で何をするのか。 「取り敢えず、この世界を楽しもうか」 この作品は自分が以前に書いたユグドラシルオンラインの続編です。

ざまあ~が終ったその後で BY王子 (俺たちの戦いはこれからだ)

mizumori
ファンタジー
転移したのはざまあ~された後にあぽ~んした王子のなか、神様ひどくない「君が気の毒だから」って転移させてくれたんだよね、今の俺も気の毒だと思う。どうせなら村人Aがよかったよ。 王子はこの世界でどのようにして幸せを掴むのか? 元28歳、財閥の御曹司の古代と中世の入り混じった異世界での物語り。 これはピカレスク小説、主人公が悪漢です。苦手な方はご注意ください。

異世界ハーレム漫遊記

けんもも
ファンタジー
ある日、突然異世界に紛れ込んだ主人公。 異世界の知識が何もないまま、最初に出会った、兎族の美少女と旅をし、成長しながら、異世界転移物のお約束、主人公のチート能力によって、これまたお約束の、ハーレム状態になりながら、転生した異世界の謎を解明していきます。

転生したら、犬だったらよかったのに……9割は人間でした。

真白 悟
ファンタジー
 なんかよくわからないけど、神さまの不手際で転生する世界を間違えられてしまった僕は、好きなものに生まれ変われることになった。  そのついでに、さまざまなチート能力を提示されるが、どれもチートすぎて、人生が面白く無くなりそうだ。そもそも、人間であることには先の人生で飽きている。  だから、僕は神さまに願った。犬になりたいと。犬になって、犬達と楽しい暮らしをしたい。  チート能力を無理やり授けられ、犬(獣人)になった僕は、世界の運命に、飲み込まれていく。  犬も人間もいない世界で、僕はどうすればいいのだろう……まあ、なんとかなるか……犬がいないのは残念極まりないけど

~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。 小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。 本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。 お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。 その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。 次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。 本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。

オタクおばさん転生する

ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。 天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。 投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)

許すかどうかは、あなたたちが決めることじゃない。ましてや、わざとやったことをそう簡単に許すわけがないでしょう?

珠宮さくら
恋愛
婚約者を我がものにしようとした義妹と義母の策略によって、薬品で顔の半分が酷く爛れてしまったスクレピア。 それを知って見舞いに来るどころか、婚約を白紙にして義妹と婚約をかわした元婚約者と何もしてくれなかった父親、全員に復讐しようと心に誓う。 ※全3話。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

処理中です...