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番外編(ネタ)

三種族的な求婚方法でサイアン様に迫るコーラルさんと巻き込まれた三種族の話(ポロリもあるよ)前編

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※本編とは関係ないギャグ展開ですが、本編のネタバレ(?)が一部あります。


大丈夫な方のみどうぞ


↓↓↓










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 三種族は愛し方がそれぞれ違う。

 華族は愛した者が自分以外の者を愛さないように独占せずにはいられない。
 樹族は愛した者を力づくで奪い取らずにはいられない。

 そして鉱族の愛は……。



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「タイトルの通りだよ。つーわけで、サイアン様に溺愛されるのを手伝いな!」

 コーラルがキリの目の前で寝言を言いだした。

 近くの野原でピクニックをしていた一行(雪夜、ローゼン、キリ、ヒルシュ、ロカ)の目の前に突如として現れたコーラル。

 彼女の再登場に全員が目を丸くしていた。

 が、雪夜は即座にローゼンの膝から飛び上がると

「シャー!」「フー!」

とコーラルに向けて激しく威嚇しだしたのだ。

 そんな雪夜の姿にローゼンは狼狽うろたえる。

「雪夜!? 一体どうしたというのだ!? 何故、野蛮な樹族どものように野生に目覚めている!? そんな振る舞いは止めぬか! 害獣ヒルシュになってしまうぞ!」

 今にもコーラルに噛みつきそうな程に野生化する雪夜。(←主人公)
 だが、キリは気づいた。

(雪夜のアホ、コーラルに蹴り転がされたり、ローゼン様が鉈で袈裟斬けさぎりにされた事を思い出して怒ってんのか! おやつのウサギリンゴにすら目もくれてねぇ程、はちきれんばかりにキレてやがる!)

 雪夜の憤りは凄まじく、ローゼンが止めようと雪夜の体に腕を回すも、抱っこを嫌がる猫のようにローゼンの腕を『パシィッ!』と前足(手)で叩いて拒んでいる。

 そして抱っこ拒否をされたローゼンは、肩を震わせ、しっかりショックを受けていた。

「ゆ、雪夜……!? 莫迦な……! 私がわからぬというのか……!?」

 そんなシリアスなセリフで表現するレベルのショックだったかとキリは思ったが、かつてない程に荒れる雪夜をローゼンは何とか抑え込もうとする。

 そして彼の腕の中でも怒った猫のようにシャーシャーフゴフゴウガウガ言っているという、心が和まない光景になっていた。(ローゼンがメンタルショックでまた曇っているし)

 だが、それよりも何よりもキリは気になる事がありすぎてコーラルに問う。
(雪夜の口にクッキーを入れつつ)(そして雪夜は落ち着いた)(クッキーに敗北したローゼンは泣いた)

「てゆーか、雪夜のドラネコリアクションで印象が薄まってたけど、最初の意味深なのに特に意味が無い文言の後に、意味不明な事を言いながらオマエが出てきてんの……? シリアス展開かと思ったら、また茶番やんの……?」

 キリの鋭利なツッコミの後、ロカが立ち上がってコーラルを指差す。

「奴隷商人コーラル!? お前……白化現象を起こしたんじゃなかったのか!」

 予想通りのリアクションと説明を口にするロカにコーラルは鋭利なオカッパヘアーをかきあげながら得意げに笑った。
 だがコーラルが二の句を続ける前にロカが先に喋る。早口で。

「一度白化現象を起こした鉱族は二度と(略)というのが定説だが、もしかして何らかの理由で(略)といった現象が(略)起きたのか!? 興味深いな! よし! 調べよう!」

 本編でコーラルと知り合いと言ってたのにメスやらメモ帳やらを取り出して許容オーバーの文字数のセリフと共に目を輝かせるロカをキリは話がややこしくなるので止めた。

「おい! やめろロカ! アイツはもう、オマエが知ってるコーラルじゃねぇ! 今度こそちゃんと眠らせてやるんだ! アイツもそれを望んでる!」

 適当な事を言いながらロカにハリセンを手渡すキリ。
 その扱いにコーラルはキレた。

「女に厳しいBL展開やめろ! それは本編だけで充分すぎんだよ! そしてロカの野郎も戸惑いながら素振りしてんじゃねぇ! 極めつけは頭にツノ生えてる樹族は丸太を持ってくるんじゃねぇ! 丸太は武器じゃねぇ!!!」

 丸太は武器だが、コーラルの暴れっぷりにツッコミを出来る存在は番外編で自分しかいないと悟ったキリは、とりあえず今日もツッコミを入れた。

「つうかマジで何でオマエ、普通に居るんだよ……。本編と関係ない番外編っつっても自由フリーダムすぎんだろ……」

 キリの言葉にコーラルは途端に神妙な面持ちへと変わり、経緯を話しだした。

「確かにアタイはサイアン様によって■■された……。(※ネタバレの為、伏字でお送りしております)信頼し、尊敬していた、あの方によって……」

 しんみりした空気が流れる。
 どう声をかけたらいいかわからなくなるような末路だったが、コーラルは話を続けた。

「でもね、悔しさとか無念さとか残念さとか何かそういう負の感情的なのがアレだよ……、ほら、何か煮詰まっちまってさぁ……。このままじゃ終われねぇ! 心残り多すぎなんだよ! みたいに思っちまったりなんかして……」

 フワッとした言い方にローゼンが「樹族レベルの語彙力ではないか」とツッコんでいたがコーラルは苛立ち全開で言い返してきた。

「うるせぇよ女装公爵! メスみてぇにブチ犯されてぇのかこのショタコン野郎!」

 ローゼンの地雷ワードを的確に踏み抜いてきた。
 瞬時にローゼンの柳眉が何か凄い事になり、鞭を取り出し始めている。

「誰が女装公爵だ! 不遜で無礼で不躾な台詞をこの私に向けて、よくも……!」
「うるせぇ! テメーじゃ需要ねーだろうけど汚ぇモブに売り飛ばして攻じゃなく受にしてやろうか!」
「意味不明な事を言うな! そして女装の発案者は私ではなくキリだ!」

 ローゼンが従者に全責任を丸投げしているのはさておき、コーラルはトークを続ける。今度は拳を握り締めて熱くなりながら。

「それで最終的にアタイは思ったのさ……」

 コーラルの話にロカが「何をだ?」と相槌を打ってあげていた。(陰キャが一番、レディに優しい世界)
 だがそんな慈愛のロカさんにコーラルが指をつきつける。

「1つしかねーだろ!『くそ! どうせならサイアン様と一発ヤッておけば良かった! むしろサイアン様とヤれねぇままとか耐えきれねェエエ~! ならどうせアタイの出番は今後ねぇし、サイアン様をブチ犯してヒィヒィ言わせてやっか! サイアン様の余裕ぶったオスの顔をメスにさせて最終的に快楽堕ちさせてから清々しく去るしかねぇ!』とか考えてたら、なんか、居た」


 な ん か 居 た……?

 人としてどうかと思う不純な動機と雑な展開に周囲はドン引きしていた。
 更にコーラルはロープを取り出して猛獣を捕獲する狩人の如く振り回し始めている。

「つうわけで、サイアン様をブチ犯しに行くから、テメーら手伝いな!」

 本編よりイキイキしているコーラルにキリはツッコまずにはいられなかった。

「いや! ちょ、待てよ! これ一応、BL作品なんで以外は帰ってくれねーかな!?」
「うるせぇ! BL要素が息してねぇ癖にBLジャンル名乗ってんじゃねぇよ!」

 流石に五歳児と数百歳児(ローゼンとかヒルシュとかロカとか)の恋愛展開は、諸々の法とか掟とか攻の倫理観が疑われる展開でBANされる可能性がある為、ブチかませるわけがない。

 だがコーラルは全ての枷から解き放たれた獣の如く、色々と欲望をブチかましまくる。

 隣りのローゼンを見ると、雪夜(クッキーむさぼり中)に聞こえないように雪夜の両耳を塞ぎつつも、キリと同じく『うわぁ……(絶句)』系の顔で引いていた。

 華族は大っぴらに性的な会話をするのは『品性下劣』という文化の為、引かずにはいられなかったのだ。

(ただし華族は三種族中、最も性癖が狂ったムッツリスケベが大半なので表面上は『不潔! ふしだら!』という反射的な態度をするのが常識なのもあるが)


 逆に三種族中、最も性的な会話に抵抗がない上に性癖がそこまでネジ曲がっていない事に定評がある樹族社会出身のヒルシュは、のんびりした口調で提案した。

「なるほど~。それでは貴女が、あの殴った味が最悪なウサミミのお方と交尾するお手伝いをすればいいわけですね?」
 酷すぎる言葉にコーラルは血気盛んだった表情を珍妙なものを見る目へと変える。

「大体その通りなんだけどさ、つかサイアン様への表現、おかしいだろ! なんだよウサミミとか殴った味って!」
「はぁ、それ以外に特にこれといった特徴が無いお方でしたので、殴って不味かったとしか……」

 キリからするとサイアンは特徴しかないキャラだが、ヒルシュにかかると普通の人に見えるらしい。

 だがコーラルはキレた。
 愛するサイアンをモブ扱いされたからではなく……。

「おい、鹿ァ! 殴った味って、何処をだよ! サイアン様の何処らへんを殴って差し上げたんだよ! その部位と殴った時のサイアン様の反応も詳しく言えよ! 言えねー場所を殴ったのかよおい!」

 へ、へんたいだ……とキリは引いた。

 ローゼンは雪夜の教育に悪すぎる環境と判断したのか、クッキーで気を引きながら避難させた。
 どう見ても幼児を誘拐している犯罪の光景に見えたが、今は雪夜の健全な成長を守るのが大事だろうとキリは己の心をムリヤリ納得させて目を背ける。

 その間にも、ヒルシュはコーラルに胸倉を掴まれながら小首を傾げて考え込んでいる。

「鹿! どこだ! サイアン様のどこを殴打してアヘらせたんだコラ! 言えやぁあああ!!」
「はぁ、よく覚えてませんが、どっか殴りましたねぇ……」
「どっかって何処だよ! 適当に言うんじゃねぇよ! これだから脳筋の樹族は!」
「とりあえず、あの美味しくない方を殺すつもりで殴ったのですが……うっぷ」

 不味さを思い出してえづくヒルシュの姿にコーラルが瞬時に距離をとりつつも叫ぶ。

「テメェ! こっちに吐くんじゃねぇぞ! つうかアタイだってまだサイアン様を殴った味とか知らねーのに抜け駆けしやがって!」
「あの、言わないでください……。あの美味しくない方を殴った味を思い出すと胸の奥から熱いものが……」
「ちくしょう! サイアン様との出来事が記憶の奥底にまで刻み込まれた経験とかマウントとりまくるじゃねぇかこの鹿野郎! アタイなんかボコられた記憶しかねぇのに! サイアン様の前にテメーをメスにしてやろうか!」

 ヒルシュ相手に暴走するコーラルにキリが疑問をぶつけた。

「いや、あのさ……普通に疑問なんだけど、あそこまでされてサイアンが好きって……普通におかしくね? 恨みでブッ殺すなら理解できるし超手伝うけど、ブチ犯すって……え? マジ何? 思考回路おとめかいろどうなってんの? あの扱いからサイアンとヤリてぇって本気でどういう精神構造してんの? サイアンにそんだけ萌える長所なくね? まぁ、声と顔は良かったけどさぁ……」

 サイアンの顔が確かに凄く良かった(書籍のキャラ紹介ページをご参照ください)(ステマ)が、キリのdisにコーラルはヒルシュの胸倉から手を放すと、得意げに口角を上げた。

「あ? んなモン、決まってんだろ?」

 コーラルの真摯な顔にキリは察した。

 確か、コーラルは幼い頃、サイアンに助けられたという設定だった。
 あんな目にあっても、消し去れない思い出があるのだろう。

 とかなんとか美しいイメージ映像と共にシンミリしていたキリにコーラルが堂々と叫ぶ。


「サイアン様のカオと声とカラダ目当てだよ!」


 ドヤァ……と言い切るコーラルにキリはツッコんだ。

「内面マジどーでもいいのかよ! そりゃ顔が好みなら性格がクズでも変態でもどうもでいいか! 分かったわ! じゃあオマエがサイアンをブチ犯す手伝いをすれば帰るって事だよな! それでラスボス消してくれるなら方法は別に何でもいいけどよ! でも主人公側として手段が非道すぎるって気もするけど、まぁサイアン死ぬならいいか!」

 キリはサイアン絶許勢なので何としてでもヤツを大地に還したかったのだが、コーラルが親指を下げてきた。

「おい! エゲツねぇこと言いながら主人公サイドぶってんじゃねぇよ!! でもアタイだけじゃ毎回、返り討ちにされてっから、力貸しな!」
「返り討ちにされてたのかよ! 一回失敗した時点で諦めろよ!!」
「うるせぇ!! 一発ヤらせてくれたら満足すんだよ! いいから手伝えや!」

 とても助力を乞う態度ではなかったが、キリのサイアンをボコボコにしたい想いと、ロカは不死身っぽいサイアンは何をどうすれば滅せるのかという学術的興味から参加し、ヒルシュはウッカリ間違えて殴ってまたあの味を体感したくないので存在を大地から滅ぼしておきたいですという微妙に後ろ向きな殺意でコーラルの恋()の手伝いをする運びとなったのだった。(※BL小説です)





→ 中編につづく



-------------------あとがきのようなもの---------------------------


久々の茶番です。
恋に一生懸命な女の子はカワイイ派なのですが、私が書くとこんなんなりました(血の涙)

本編の特大ネタバレにならないように考えて伏字にしたりしてみましたが、書いててドキドキでした。(本編を読んでくださった方へのお礼のつもりですが、そうでない方が読んでも楽しんでもらえたらいいなという気持ちからの茶番でもあり……)



茶番ではキリが本編以上にキレッキレのツッコミをしてくれますが、茶番で輝くローゼンの雪夜溺愛っぷりや、本編とあんまり変わらないヒルシュやロカさんの変化球ぶりをお送りできればと思います。


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