転生したいらない子は異世界お兄さんたちに守護られ中! 薔薇と雄鹿と宝石と

夕張さばみそ

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番外編(ネタ)

【茶番】とりあえず雪夜が大人になれば解決すると思った(そうではなかった)前編

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 何だかんだで幼年期の本編が終わった昼下がり。

 キリは雪夜の子守りをしながら中庭の掃除をしていると、突然ロカにコップを差し出された。

 コップには赤色の液体が入っており、挿されたストローがこっちを向いている。

「……は? 何? てか、どっから出てきた?」

 問い返すとロカは「若返りの薬だ!」と言ってくる。

 生粋の鉱族オタク特有の会話のドッジボール(相手の会話を汲み取らず、自分の喋りたい事だけ早口で喋るアレ)だと思い、イラッとしつつもキリは続けた。

「いや、器の中身を尋ねてんじゃねーよ! オレ、仕事中なんだけど見てわかんねぇ? まぁ、青頭君は自由業だから宮仕え的な苦労、わっかんねぇかもしれねぇけどさぁ~?(華族的嫌味)」
「ああ! わかるぞ! それでこの若返りの薬なんだが!」

 どう足掻いても自分が話したい話題にもっていく鉱族の固有結界が発動している。
 面倒なので逃げようとしたが、肩を掴まれた。
 振り解こうにも、ロカの腕が凄いビキビキになっている。

 足元では雪夜が両手を握り締めて嬉しそうに踊っていた。

「す、すごいや! ロカおにいさん! キリのかたがアルミホイルみたいに、シワクチャだ! キリ、がんばれー!」
 もっとシワクチャにされろという事なのか、それを耐えろという事なのか判別がつかない応援をしていた。
(キリがローゼンにアイアンクローされた時も元気に応援していた幼児)

「つうか、いてぇよ! 何なんだよその怪力! 剛腕ヒルシュ様の爪の垢でも煎じて飲んだのかよ青頭!」

 鉱族は基本的に貧弱なのに、自身の興味がある分野では普段は使っていない潜在能力の80%を発揮してくるのだとキリは知った。
 そしてロカは陰キャの鉱族とは思えぬ程に流暢な早口で語ってくる。

「それで今朝、開発したばかりのこの若返りの薬なんだが(略)華族は若さと美しさに興味をもつ種族だろう?(略)だからガルニエ公爵閣下やキリみたいに妙齢の雄個体に(略)若返りの反応を実験……あ、いや、試作してみたいのだが、どうだろうか!?」

 セリフの間に『(略)』を挟まねばならない程の文字数で一方的に語られ、キリはキレた。

「どうだろうかじゃねーよ! 妙齢の雄個体オッサンとか失礼極まりねぇ上に実験動物扱いしてんじゃねぇか! ンなモン、飲むわけねーだろ!」

 コップを避けると、ロカはフッ……と翳りを帯びた笑みを浮かべた。

「……いや、いいんだ。自分は本編でキリに首筋をナイフで何回か刺されたが……」
「あっ……」

 気まずい空気が流れた。それでもロカは健気系ヒロインのように続ける。(※攻)

「一言も謝ってもらってないまま何か普通にそのままだが……」
「いや、その、それは……あのな?」
「それでも自分は気にしてないから! キリも気にしないでくれ!」

 いくらラリっていたとはいえ、重要な場面で的確にロカを行動不能にした上に特に何のお詫びのターンもなく幼年期編が終わっている事実をつきつけられたキリは青い顔で謝罪する。

「それはマジでゴメンって! あの後メチャクチャ謝罪したってモノローグが入る所だったんだよ! カットされたけど!」
「大丈夫! 気にしてないさ! あの時のキリはクスリがキマっていただけだからな! ちょっと首と胴体を繋げるのに時間がかかったが、本当に気にしてない!」
「スゲー気にしてんじゃん! ホントそれはゴメン!!!!!」

(※本編の雪夜視点では分からないですが、キリは謝罪してロカと友達になってました)

 だが本編の揉め事の落とし前を番外編で何かやってチャラの空気にしてしまうと、幼児誘拐未遂や女性への暴言等の犯罪行為を謳歌した上に現状で何のお咎めも無しのサイアンが番外編で処される事で許される流れにもなりかねない。

 仮にサイアンにどのような哀しい過去設定とかあったとしても、それはそれ、本編は本編、番外編は番外編でボコボコにされてほしい……キリはそう考えてロカに提案した。

「つかさ、そういうのはサイアンみてーに、そこらへんに居そうな上に死にそうにねぇし死んでも別にいい奴に飲ませればよくね? オレもサイアン探すから、アイツで実験しまくろうぜ!!」

 主人公サイドにあるまじき発想だが、ロカは首を振った。

「それがサイアンを捜したんだが、そこらへんにいなかったんだ……」
「へ~……」

 そこでキリは、フト気づいた。

「……って、おい! いなかったからって次に何でオレとローゼン様の所に来るんだよ! 順番的におかしいだろ!!!」

 サイアンの次に『殺してもいいポジ』扱いを受けている事にキリは激しくツッコミを入れた。
 だがロカも言い返してくる。

「いや、華族は毒物耐性が三種族で最も高いから、仮に何かあってもいけるかな? と……」
「『毒』って言っちゃってんじゃねーか! 華族は毒耐性あっても猛毒なら普通に死ぬんだよ! つかオマエら鉱族ならメンタルが続く限りノーダメ設定だろ! 鉱族のお仲間にでも飲ませろよ!!!!」
「仕方ないだろ! 自分は知り合いが居ないんだから!」
「その数少ない知り合いに実験とかやるから、お前ら鉱族ってトモダチいねーんじゃん!」
「と、トモダチがいないとか、本当のこと言うな!(涙声)確かに鉱族は推しへの解釈違いでよく殴り合いをしているが、基本的に内気で温厚な種族なんだから優しくしてあげてくれ! 心が死んだらホント普通に死ぬからな!」
「殴り合いしてる時点で温厚設定とか息してねーんだよ! 普通の種族は推しの解釈違いで戦争しねーから!!! あとそれだけ図太いメンタルなら簡単に死なねーよ安心しろ!!!」

 ロカと取っ組み合いのケンカが始まる。

 そうしていると何処からともなく『ズズー』と妙な音がした。

 その後に「ホギャアホギャア」とか聞こえてきた。

 更に「雪夜ァアアアアアアア!」と、ド低音の絶叫が轟く。


 キリが振り返ると、中庭の噴水の傍でロカが持ってきたコップが空になって転がっている。

 傍には、ローゼンが赤子を抱き上げて青ざめていた。


 それを見たキリは瞬時に察した。

 1・いじきたない雪夜、ロカの持ってきた飲み物を美味しいジュースとでも思ったらしく、キリとロカがケンカしている間にコッソリ飲む。(ズズーはストローの音と思われる)
 ↓
 2・たまたま通りがかったローゼン、赤子になってゆく雪夜を見つけ、攻にあるまじき悲鳴(低音)を上げる。
 ↓
 3・キリとロカ、ローゼンにアイアンクローで処される(未来予想図)


「あだだだだだだだだだ!」


 3の未来予想図を想像している間にキリとロカはローゼンの108ある必殺技の1つであるアイアンクローで二人揃って地面から浮いていた。

「いてぇ! いてぇいてぇいてぇですゥゥウローゼン様ァァァア! 割れる割れる頭割れる割れちゃうぅぅうううううううう! ヤダァアアア!!!」

 本編だけでなく番外編でまで喰らわされる必殺技()にキリが涙目でヒロインのような裏声で絶叫していると、ローゼンは雪夜(赤子)を上着の胸元に入れたまま(抱っこ紐の代わりと思われる)はち切れんばかりにキレていた。

「割れてしまえ! 莫迦どもが! 本編だけでなく、此処でまで雪夜を危険な目に遭わせるなど、貴様らは何をしているのだ阿呆が!」
「本編で雪夜が危険な目に遭うのは、大概、本人の自業自得ばっかじゃないですか!? そもそも今日の元凶は若返りの薬とかいう危険物をガキの手の届く位置に置いてたロカであって、シバくならロカだけ……」

 キリはそう言いながら、横で同じくアイアンクローをされているロカに視線を向けると、ヤツは目を輝かせていた。

(嘘……! ローゼン様の必殺技を喰らってキラめいてるとかマジ何なの? ドM……? キッツ!)

 しかしキリの予想とは裏腹に、ロカはローゼンの赤い爪が頭部に喰い込む程に被虐されているのに音の速さでメモをとっていた。

「す、凄いぞ! 華族は樹族よりも筋力が劣るとされているが、閣下の馬鹿力はそこらの樹族の平均筋力を大きく上回っている! 優美華麗を矜持とする華族でこんなにもが生み出せるなんて理解不能だ! しかもこれだけお強いなら本編でバラとかムダに使わずにも出てくるな! これは色々と検証する必要がある! と呼ばれた樹族よりもは存在するのかどうか!」
「やめろロカぁああああああ! オマエの悪気ゼロのナチュラル大暴言の余波でオレの頭までローゼン様に割られかけて痛いマジこれ死ぬ死ぬ死ぬー!」


 で、

 ローゼンのアイアンクローで頭部破壊されかけた(もはや拷問)キリとロカは中庭に正座させられ、ローゼンから爆裂怒られた。

 ガミガミクドクド言われたが、怒るローゼンの腕の中で雪夜(赤子)は笑顔で彼の頬をぺちぺち叩いたり、長い髪を引っ張ったりと「かまって」感を出しており、その雪夜の行動にローゼンの表情から怒りが抜けてゆく。
 それを見ていたロカはまたメモをとっていた。

「若返りの薬は人間にも効くのか! 大発見だ! よし! この調子で次の段階に……」

 懲りてねぇ! とキリはキレたし、ローゼンもキレた。

「大発見だ☆ じゃねーよ! もしかして若返り過ぎてたら胎児になってたんじゃねぇのかコレ! 間一髪じゃねぇか! つか、この雪夜どうすんだよ!」
「小僧! 雪夜は元に戻るのだろうな!? もしもこのままだったならば、楽には死なせんぞ!!!!」
「ローゼン様の言う通りだよ! マジほんとどーすんだよ! 雪夜が大人にならなかったらローゼン様が攻として覚醒しないまま終わっるっつーBL詐欺じゃねぇか!! 目覚めさせろよ! ローゼン様の眠ってる野生を!」

 2人がかりで鬼詰めされるロカだったが全然堪えていない。
 このままではローゼンが攻の本能を眠らせたまま完結してしまうのかと危ぶまれたが、ローゼンが雪夜を抱えてロカに近づいた途端、雪夜が

「ピギャアアアアアアアアアアア!」

 とギャン泣きしだしたのだ。

 ご機嫌だった雪夜の爆泣きにローゼンがオロオロしている。

「雪夜!? どうしたのだ? 空腹なのか?」

 あやそうとするローゼンだったが、雪夜はローゼンの顔を見るとピタリと泣き止み、キャッキャと笑う。

 が、ロカが近づくと彼の顔をピシャリと叩いた為、ローゼンが慌てだした。

「ゆ、雪夜! いくら空腹でも人の顔を叩くんじゃない!」
(本編で雪夜をブッ叩いてややこしい事態にした、おまいう……とキリは思っても空気を読んで言わなかった)

 攻撃的な雪夜に驚くローゼンだったが、ついでに近くにいたキリに雪夜は「ビエェエエエエ」と泣きながら尻を隠そうとしている。

 雪夜のよく分からない行動に戸惑う面々だったが、そこで屋根の上で寝ていたらしいヒルシュが飛び降りてきた。

「雪夜クンの泣き声が聞こえたのですが、どうなさったのですか~?」

 噴水の中央に着地し、そのまま衣服の裾をつまみながら水を掻き分けて近づいてくる。


------------------------------------


【あとがき】

茶番を書きたくなったので突発でやってしまいました。

無駄に後編に続きます。

ローゼンは薔薇の鞭で戦ってる時よりも、キリにアイアンクローしてる時の方が相手に極限ダメージを与えているような気がしたので、ラリったヒルシュや無限再生サイアンにアイアンクローしてたらもっとスムーズに終わったんじゃないかなというくらい、キリの痛がりぶりが酷かったですね。


なお、この茶番は本編と一切関係はありません()

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