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12.ワイバーン狩り
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ワイバーンは一匹ごとに縄張りを持っているから、一匹獲ったら次を探すのに結構歩かないといけない。そうやって見付けた二匹目は、早くもあたしが狙うことになった。といっても師匠が前を歩いて囮になり、あたしは師匠のカウントに合わせて射るだけだ。鯱の時と同じだ。
「三、二、一」
あたしの矢はワイバーンの口に飛び込み、落とすことに成功した。
「おめでとうございます。初ワイバーンですね」
「あ、ありがとうございます」
その後は師匠のカウントなしで自分の判断で射るようになり、ワイバーンを探す時もあたしが先行するようになった。何とか自力でワイバーンを獲ったと言えるようになった。
日があるうちに狩を切り上げて野営地に向かった。師匠はテントを立てて、あたしは竈の用意をした。
「せっかくだから火魔法と水魔法の練習をしましょうか」
師匠に見本を見せてもらい、それからあたしが火を出して薪に火を点けた。ついでに水を出すのも簡単に成功した。簡単すぎて拍子抜けしてしまったほどだ。
「元々適性はあったのだし、魔力の封印が解けた時点で使えるようになっていたと思いますよ」
夕食は芋と玉ねぎとベーコンの炒め物だ。食べ終わると師匠は立ち上がって防具を脱いだ。
「お風呂に行きましょうか」
「は、はいっ」
あたしは急いで自分のカバンからタオルと「ある物」を出した。防具職人がこっそりあたしに渡した物だ。それをタオルに包んで防具を脱ぎ、師匠の後についていった。
野営地から少し歩くと温泉があった。白濁したお湯に浸かった。
「はああ~~」
思わず声が出てしまうほど気持ちいい。ところがその後、妙な状況におちいった。お互いに相手をチラチラ見て隙を窺いつつ、自分は隙を見せまいとするような動きだ。あたしは緊張に耐えられなくなった。
「あ、あの、師匠」
あたしは「それ」を師匠に見せた。浣腸の時、薬液をおなかに注入するための革袋だ。袋自体は水やワインを入れる物と同じでコップ五杯程度が入るんだけど、飲み口の部分が長くなっている。それから太い栓だ。師匠は目を丸くしたけど、師匠も背中に隠していたものをあたしに見せた。やはり革袋と栓だった。
「す、すみません師匠。あの防具職人さんから、これで師匠を悦ばせてあげるようにって渡されてたんです……」
「そうだったんですね。私は、特訓の続きをしてあげようかと……」
「ど、どうしましょう」
「ん……それなら、お互いにお浣腸しましょうか」
「は……はいっ」
こうしてあたしたちは、ほとんど抱き合うように体をくっつけて、お互いに白濁した温泉のお湯で浣腸した。そしてお互いに栓をして、泣きながら慰め合った。
次の日は早いうちに山を下りた。街に着いてギルドの食堂でお昼を食べてから、建物の裏にある解体所に行って職員を呼び出し、訓練場にワイバーンの死骸を並べた。このへんもあたしの地元と同じだ。
「今日はワイバーンか」
「この一匹が私の獲物で、残りは彼女のですから別々に値段を出してください。あ、それから彼女は皮を少し自分用に残したいそうです」
「きゃああ、天使ちゃん」
そこへ防具職人が現れた。
「もう狩に行ってきたの? 早いのね」
「彼女のアイテム袋に使う皮を獲りに行ってきたんです」
「なるほど、アイテム袋ね。せっかくだから、これで服を一着作らない?」
「服ですか?」
「そう。今まで着てたあの服を魔導防具の上に着るのはダメだけど、かといって防具姿だと入りにくい高級なお店ってあるわよね。そういうお店でもワイバーン革の服なら大丈夫だし、同時に腕のある冒険者だっていうことも示せるわ」
「なるほど……」
「天使ちゃんのシルバータイガーの服と同じようなデザインなら、おなかの皮でこれくらいあればいいと思うわ」
「は、はい。それからアイテム袋の方は……」
「それなら、翼膜でこれくらいあればいいんじゃない?」
「はい、わかりました。じゃ、すみません。その分の皮を返却でお願いします」
「ふむ、分かった。じゃあその分を引いた評価額を出しとくからな」
「はい、お願いします」
ワイバーンは皮の需要があっていいお金になるって聞いてたけど、早くも稼いでしまった。激しい戦闘の末に倒すと皮が傷んで値が下がるそうだけど、師匠の指導のおかげで皮は無傷だ。
それからあたしたちは受付に回った。
「Bランクの昇格試験を申し込みたいんですが。彼女が受験者、私が推薦者です」
「はい、試験ですね。試験官はどうしますか?」
冒険者が試験官を務めることもあるんだけど、受験者と親しい間柄だったりすると試験官になれない。だから当然師匠に試験官をお願いすることはできない。
「ギルド職員の方にお願いします」
「わかりました。課題の魔物について、希望はありますか?」
「ワイバーンでお願いします」
「交通手段はどうしますか?」
「魔導二輪車を出します」
「わかりました。それならすぐに都合が付きそうです。日程調整しますのでお待ちください」
試験官と一緒に狩場に行って、ワイバーンを単独で倒せればBランクに上がれる。ただしPTで受験する場合はもう一ランク上の魔物を倒さないといけない。この支部だと、Bランクの単独受験なら試験官をしてくれる職員がいるっていうのは師匠から聞いていた。それより上のランクだと師匠が試験官を頼まれるらしい。受験者が失敗した時は試験官がその魔物を倒せるっていうのが、試験官の条件だ。
「三、二、一」
あたしの矢はワイバーンの口に飛び込み、落とすことに成功した。
「おめでとうございます。初ワイバーンですね」
「あ、ありがとうございます」
その後は師匠のカウントなしで自分の判断で射るようになり、ワイバーンを探す時もあたしが先行するようになった。何とか自力でワイバーンを獲ったと言えるようになった。
日があるうちに狩を切り上げて野営地に向かった。師匠はテントを立てて、あたしは竈の用意をした。
「せっかくだから火魔法と水魔法の練習をしましょうか」
師匠に見本を見せてもらい、それからあたしが火を出して薪に火を点けた。ついでに水を出すのも簡単に成功した。簡単すぎて拍子抜けしてしまったほどだ。
「元々適性はあったのだし、魔力の封印が解けた時点で使えるようになっていたと思いますよ」
夕食は芋と玉ねぎとベーコンの炒め物だ。食べ終わると師匠は立ち上がって防具を脱いだ。
「お風呂に行きましょうか」
「は、はいっ」
あたしは急いで自分のカバンからタオルと「ある物」を出した。防具職人がこっそりあたしに渡した物だ。それをタオルに包んで防具を脱ぎ、師匠の後についていった。
野営地から少し歩くと温泉があった。白濁したお湯に浸かった。
「はああ~~」
思わず声が出てしまうほど気持ちいい。ところがその後、妙な状況におちいった。お互いに相手をチラチラ見て隙を窺いつつ、自分は隙を見せまいとするような動きだ。あたしは緊張に耐えられなくなった。
「あ、あの、師匠」
あたしは「それ」を師匠に見せた。浣腸の時、薬液をおなかに注入するための革袋だ。袋自体は水やワインを入れる物と同じでコップ五杯程度が入るんだけど、飲み口の部分が長くなっている。それから太い栓だ。師匠は目を丸くしたけど、師匠も背中に隠していたものをあたしに見せた。やはり革袋と栓だった。
「す、すみません師匠。あの防具職人さんから、これで師匠を悦ばせてあげるようにって渡されてたんです……」
「そうだったんですね。私は、特訓の続きをしてあげようかと……」
「ど、どうしましょう」
「ん……それなら、お互いにお浣腸しましょうか」
「は……はいっ」
こうしてあたしたちは、ほとんど抱き合うように体をくっつけて、お互いに白濁した温泉のお湯で浣腸した。そしてお互いに栓をして、泣きながら慰め合った。
次の日は早いうちに山を下りた。街に着いてギルドの食堂でお昼を食べてから、建物の裏にある解体所に行って職員を呼び出し、訓練場にワイバーンの死骸を並べた。このへんもあたしの地元と同じだ。
「今日はワイバーンか」
「この一匹が私の獲物で、残りは彼女のですから別々に値段を出してください。あ、それから彼女は皮を少し自分用に残したいそうです」
「きゃああ、天使ちゃん」
そこへ防具職人が現れた。
「もう狩に行ってきたの? 早いのね」
「彼女のアイテム袋に使う皮を獲りに行ってきたんです」
「なるほど、アイテム袋ね。せっかくだから、これで服を一着作らない?」
「服ですか?」
「そう。今まで着てたあの服を魔導防具の上に着るのはダメだけど、かといって防具姿だと入りにくい高級なお店ってあるわよね。そういうお店でもワイバーン革の服なら大丈夫だし、同時に腕のある冒険者だっていうことも示せるわ」
「なるほど……」
「天使ちゃんのシルバータイガーの服と同じようなデザインなら、おなかの皮でこれくらいあればいいと思うわ」
「は、はい。それからアイテム袋の方は……」
「それなら、翼膜でこれくらいあればいいんじゃない?」
「はい、わかりました。じゃ、すみません。その分の皮を返却でお願いします」
「ふむ、分かった。じゃあその分を引いた評価額を出しとくからな」
「はい、お願いします」
ワイバーンは皮の需要があっていいお金になるって聞いてたけど、早くも稼いでしまった。激しい戦闘の末に倒すと皮が傷んで値が下がるそうだけど、師匠の指導のおかげで皮は無傷だ。
それからあたしたちは受付に回った。
「Bランクの昇格試験を申し込みたいんですが。彼女が受験者、私が推薦者です」
「はい、試験ですね。試験官はどうしますか?」
冒険者が試験官を務めることもあるんだけど、受験者と親しい間柄だったりすると試験官になれない。だから当然師匠に試験官をお願いすることはできない。
「ギルド職員の方にお願いします」
「わかりました。課題の魔物について、希望はありますか?」
「ワイバーンでお願いします」
「交通手段はどうしますか?」
「魔導二輪車を出します」
「わかりました。それならすぐに都合が付きそうです。日程調整しますのでお待ちください」
試験官と一緒に狩場に行って、ワイバーンを単独で倒せればBランクに上がれる。ただしPTで受験する場合はもう一ランク上の魔物を倒さないといけない。この支部だと、Bランクの単独受験なら試験官をしてくれる職員がいるっていうのは師匠から聞いていた。それより上のランクだと師匠が試験官を頼まれるらしい。受験者が失敗した時は試験官がその魔物を倒せるっていうのが、試験官の条件だ。
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