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05.特訓
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師匠に連れられて料理屋に入った。
「いらっしゃい。おや、今日はお連れさんが一緒かね」
「は、はいっ。師匠に付いて修行するために、北東領から来ました」
「ほおお。そりゃあ随分遠くから来たもんだ。だったら海の幸は珍しいだろう。たんと食べな」
実際、海産物はほとんど食べたことがなかった。干した貝を使ったスープくらいだ。初めて食べる生の魚や、名前すら知らない海の生き物。とにかく全てが驚きだった。
それから師匠の家に移動した。魔導二輪車があるからすぐに着いたけど、村からはかなり離れている。小さな入り江一つが丸ごと師匠の持ち物だという。崖に設けられた階段を下りると砂浜だった。
「お風呂に入りましょう」
「は、はい」
師匠に付いて砂浜を歩いて行く。一番端まで来ると、崖沿いの海岸に石造りの大きな浴槽があった。厚さが腕の長さほどもある、ものすごい重厚さだ。
「ここから温泉が湧いているんです」
まさか温泉まであるとは……超一流の冒険者がどうしてこんな辺鄙な所に住んでるんだろうと思ったけど、これはむしろ高級別荘と言ってもいいんじゃないだろうか。
「それではこれから、今日の特訓を始めます」
お湯に浸かっていると、師匠が言った。そうだ、旅行じゃなくて修行に来てるんだ。
「は、はいっ」
「ではまず、この浴槽の縁に座ってください。こうして、膝下を左右に出して……」
お尻を浴槽の外に向けて、ぺたんこ座りになった。
「それでは温泉のお湯でお浣腸します」
今度は拘束されていない状態での浣腸だ。切なさのあまり師匠に抱き付いて泣いた。いつの間にか師匠とキスして舌を絡ませていた。
「次は特訓の本番、相手は触手魔物です」
あたしが正気に戻ると師匠は言った。そうだ、浣腸は特訓の準備に過ぎないんだった。
「しょくしゅ……まもの?」
まさか、この状態で魔物と戦うんだろうか。カラダは完全にメロメロなのに。
「触手魔物は、女の子の体から出るお汁が好物なんです。お汁を吸わせるのが特訓です。その時に、腸に入り込んだ触手によって魔力中枢に強い刺激が与えられます。体を傷付けられることはないので安心してください。唯一の危険は海に引き込まれて溺れることですが、そうならないようにこの革紐の輪に手を通します」
浴槽の外、砂浜と反対側の崖に革紐が通されていた。そこに手を通して体を海に浸せば、魔物がやってくるらしい。それにしても想像をはるかに超えたブッ飛び具合だ。まさか魔物にカラダを任せるのが特訓だったとは。
でも今の口ぶりからすると、師匠自身もその特訓を経験してるんだろう。この歳であの強さ、普通じゃ考えられない。そこに至った道筋も普通じゃないってことだ。
「い……行きます」
意を決して体を海に浸した。夜の海は真っ黒で、正直ものすごく怖い。海自体があたしにとっては未知の領域だ。その上、触手魔物っていう名前を聞くだけでも恐ろしい未知の魔物。でも師匠を信じるしかない。
ひんやりした海水の中で体を伸ばした途端、足首にヌルヌルしたものが巻き付いた。指のような細さじゃなくて、もっと太い。これが触手……そう思う間もなく、触手が全身を這い回った。両方の乳首に、何かが吸い付いている。股間にまで触手が這ってきた。そしてついにお尻の穴にすごい太さの触手が入り込んできた。太いだけじゃなくて、おなかの中で動いてる。それからおなかの中に何かが流れ込み、たちまちもよおしてきた。切なさのあまり完全に真っ白になってしまった。
目が覚めるとベッドの上だった。またしても失神してしまったらしい。
「あっ……お、おはようございます」
「おはようございます。気分はどうですか」
「なんだか……全身に力がみなぎってる気がします」
「そうですか。計画通り、殻を破るのは成功しました。今は強い魔力が体を巡っている状態です。頑張りましたね」
……やった! あたしの中で止まってた刻が、動き出したんだ。
「師匠、ありがとうございます!」
「当初の目標は達成しましたが、これからもこういう特訓をしていけば魔力が伸びるので、続けることをおすすめしますよ。ところで、魔法はどれくらい使えますか」
「えっ……あ、あの、以前は生活魔法が少し使えたんですが」
「なるほど。それを封印してしまった事情があるんですね。そしておそらく、魔力の成長も止まってしまったと」
すごい、師匠は何でもお見通しなんだ。
「はい……。以前のPTで、野営の時あたしの魔法もそれなりに役に立ってはいたんですけど、あの魔法職二人が加入して、魔法はあたしの役目じゃなくなって……」
「そうですか。魔力が強くなったことで、身体強化の効き目も大幅に伸びているとは思いますが、それだけでは勿体ない気がします。実は私も、魔法が封印されていた時期があるんです。この際、魔法を開発してみませんか」
魔法と呼ばれるのは体の外に魔力を放出して何かを起こさせることだ。身体強化のように、体の中で魔力が自分自身に作用するのは魔法とは呼ばない。
あたしが魔法を使えたら……さすがに師匠みたいに万能になるのは無理だけど、最低でも以前使えていた生活魔法は取り戻したい。
「いらっしゃい。おや、今日はお連れさんが一緒かね」
「は、はいっ。師匠に付いて修行するために、北東領から来ました」
「ほおお。そりゃあ随分遠くから来たもんだ。だったら海の幸は珍しいだろう。たんと食べな」
実際、海産物はほとんど食べたことがなかった。干した貝を使ったスープくらいだ。初めて食べる生の魚や、名前すら知らない海の生き物。とにかく全てが驚きだった。
それから師匠の家に移動した。魔導二輪車があるからすぐに着いたけど、村からはかなり離れている。小さな入り江一つが丸ごと師匠の持ち物だという。崖に設けられた階段を下りると砂浜だった。
「お風呂に入りましょう」
「は、はい」
師匠に付いて砂浜を歩いて行く。一番端まで来ると、崖沿いの海岸に石造りの大きな浴槽があった。厚さが腕の長さほどもある、ものすごい重厚さだ。
「ここから温泉が湧いているんです」
まさか温泉まであるとは……超一流の冒険者がどうしてこんな辺鄙な所に住んでるんだろうと思ったけど、これはむしろ高級別荘と言ってもいいんじゃないだろうか。
「それではこれから、今日の特訓を始めます」
お湯に浸かっていると、師匠が言った。そうだ、旅行じゃなくて修行に来てるんだ。
「は、はいっ」
「ではまず、この浴槽の縁に座ってください。こうして、膝下を左右に出して……」
お尻を浴槽の外に向けて、ぺたんこ座りになった。
「それでは温泉のお湯でお浣腸します」
今度は拘束されていない状態での浣腸だ。切なさのあまり師匠に抱き付いて泣いた。いつの間にか師匠とキスして舌を絡ませていた。
「次は特訓の本番、相手は触手魔物です」
あたしが正気に戻ると師匠は言った。そうだ、浣腸は特訓の準備に過ぎないんだった。
「しょくしゅ……まもの?」
まさか、この状態で魔物と戦うんだろうか。カラダは完全にメロメロなのに。
「触手魔物は、女の子の体から出るお汁が好物なんです。お汁を吸わせるのが特訓です。その時に、腸に入り込んだ触手によって魔力中枢に強い刺激が与えられます。体を傷付けられることはないので安心してください。唯一の危険は海に引き込まれて溺れることですが、そうならないようにこの革紐の輪に手を通します」
浴槽の外、砂浜と反対側の崖に革紐が通されていた。そこに手を通して体を海に浸せば、魔物がやってくるらしい。それにしても想像をはるかに超えたブッ飛び具合だ。まさか魔物にカラダを任せるのが特訓だったとは。
でも今の口ぶりからすると、師匠自身もその特訓を経験してるんだろう。この歳であの強さ、普通じゃ考えられない。そこに至った道筋も普通じゃないってことだ。
「い……行きます」
意を決して体を海に浸した。夜の海は真っ黒で、正直ものすごく怖い。海自体があたしにとっては未知の領域だ。その上、触手魔物っていう名前を聞くだけでも恐ろしい未知の魔物。でも師匠を信じるしかない。
ひんやりした海水の中で体を伸ばした途端、足首にヌルヌルしたものが巻き付いた。指のような細さじゃなくて、もっと太い。これが触手……そう思う間もなく、触手が全身を這い回った。両方の乳首に、何かが吸い付いている。股間にまで触手が這ってきた。そしてついにお尻の穴にすごい太さの触手が入り込んできた。太いだけじゃなくて、おなかの中で動いてる。それからおなかの中に何かが流れ込み、たちまちもよおしてきた。切なさのあまり完全に真っ白になってしまった。
目が覚めるとベッドの上だった。またしても失神してしまったらしい。
「あっ……お、おはようございます」
「おはようございます。気分はどうですか」
「なんだか……全身に力がみなぎってる気がします」
「そうですか。計画通り、殻を破るのは成功しました。今は強い魔力が体を巡っている状態です。頑張りましたね」
……やった! あたしの中で止まってた刻が、動き出したんだ。
「師匠、ありがとうございます!」
「当初の目標は達成しましたが、これからもこういう特訓をしていけば魔力が伸びるので、続けることをおすすめしますよ。ところで、魔法はどれくらい使えますか」
「えっ……あ、あの、以前は生活魔法が少し使えたんですが」
「なるほど。それを封印してしまった事情があるんですね。そしておそらく、魔力の成長も止まってしまったと」
すごい、師匠は何でもお見通しなんだ。
「はい……。以前のPTで、野営の時あたしの魔法もそれなりに役に立ってはいたんですけど、あの魔法職二人が加入して、魔法はあたしの役目じゃなくなって……」
「そうですか。魔力が強くなったことで、身体強化の効き目も大幅に伸びているとは思いますが、それだけでは勿体ない気がします。実は私も、魔法が封印されていた時期があるんです。この際、魔法を開発してみませんか」
魔法と呼ばれるのは体の外に魔力を放出して何かを起こさせることだ。身体強化のように、体の中で魔力が自分自身に作用するのは魔法とは呼ばない。
あたしが魔法を使えたら……さすがに師匠みたいに万能になるのは無理だけど、最低でも以前使えていた生活魔法は取り戻したい。
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