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人間のジャパニーズ辻北彩瀬改め、ハイエルフ族のユグドラシルの果実子であるエストーリャ・サステリア・ユグドラシルと申す。

性別は胸とさよならバイバイして股に息子が着いた。どうぞよろしく息子よ。

混乱して訳が分からないよ状態だったため、全く喋らず周りのエルフたちの会話をひたすらリスニングした。そのついでに言われるがままに風呂に入った。サッパリした。いつまでも果汁まみれは嫌よね。

エルフのメイドさん達に丸洗いされその後の全身のケアまで至れり尽くせりだった。なんかいい香りするオイル塗り込まれたしマッサージされた。人生でこんなこと初めてなんだけど??

まあアラサーにして初体験はともかく、エルフにおいての私の立ち位置は非常に高いらしい。

エルフ・ハイエルフという種族は植物(精霊樹と呼ばれるユグドラシルの分枝)の精霊から派生した人類に分類されていて、精霊の血がより濃く・魔力も高く・長寿であるのがハイエルフなようだ。

太古の昔に人型の実態をとった原初のエルフたちから生殖を繰り返し現代エルフ達がいると。交配の中で人間の血が入ったり、ダークエルフの血が入ったりして原初のエルフのような血の濃さはハイエルフとてもうないらしい。

さてここまでが古代から現代のエルフ史。ここからは私の存在について言及する。

私はユグドラシルの初の実子らしい。

はいここテスト出ます。初の、実子。

だもんでエルフ達からするととんでもなく神々しいらしいよ。全く実感無いけど。若返ったおかげで体が軽い気はするけども。

閑話休題。

とりま自分の価値に対する認識としてはやんごとないレベルの血の濃いハイエルフ爆誕ということでOKか。

そして今後の己のは、サステリア皇国の皇都へ向かうらしい。現存していていたエルフ族の中で最も血の濃いハイエルフであった皇帝に、私は会わねばいけないらしい。

この世界のことがまだ分からないし、ひとまず会うだけ会うか。少しでも知識を貯めて判断できるようにしたい。偉そうなこと言える身分な予感がするから、変な偏見なく知識を教えてくれる人がいれば紹介して貰おう。

魔法なんかもありそうだし、エルフと言えば魔法とか弓が得意そうだよね。弓はやった事ないから置いといて、ファンタジーをこよなく愛すオタクとしては使ってみたい気持ちはある。

ざっくりと方針を決めたあと、身の回りのお世話をせっせとやいてくれていたメイドさん達に声をかける。


「皇都に行かなければいけないことはわかりました。その間、常識を始めとした知識を得たいのですが、教えてくださる方を紹介して頂けますか?」
「!かしこまりました!御館様に直ちにお伝え致します!」


他のメイドさんより若そうな女の子がピャッと効果音が出そうな程驚いたかと思うと、慌てた様子で部屋を出ていった。あ、声出すの初めてだったから驚かせた?バタバタ走って行ってしまった。

落ち着いたアンティークな家具で囲まれたすごく広い部屋のソファにちょこんと座る推定外見年齢6歳程度の私。中身干物女なアラサー…いや、萎えることを考えるのはよそう。

暫くお茶を飲みながら待っていると、メイドさんよりやや格式ばったクラシカルなドレスを着こなした妙齢の女性が部屋に入ってきた。他の子達に比べると髪の毛がただの金髪ではなくうっすら緑がかっている。私の髪の毛の方が緑成分強いけど。


「神子様、お初にお目にかかります侍女長のアマナテリアと申します。どうぞアマナとお呼びくださいませ。」


アマナは床に膝立ちすると、左手を胸にあて、右手は軽くスカートの裾をつまみながら深深とお辞儀をした。これがこの国の女性の最高敬礼らしい。木の洞から連れ出されて神聖な神殿チックな大きい建物に連れてこられた時も、女性はみんな同じお辞儀をしていた。

下が絨毯だからまだいいけど、屋外とかでこのポーズは膝痛くならんかね。

それはさておき。アマナ曰く、ここはユグドラシルのお世話をするエルフたちがいるユグドラシル神教の神殿らしい。御館様と呼ばれるのは神殿の長であるクラウィジーリャ・サステリア・ランドルフを指すようだ。

始めが個人名、ミドルネームは所属する国、最後が氏族を表しているらしい。ふーん。

教育係は今日中はちょっと難しいから明日以降つくとのこと。今日はアマナが質問などに答えてくれるそうだ。じゃあ遠慮なく気になった事バンバン聞いていきますかね。皇帝さんに会う前に思いつく限り疑問を解消しておこう。


「質問の前に。紙とペン頂けます?」
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