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番外編

御影が酔っ払ったら

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 御影はお酒が強い。若葉の知り合いの誰よりも強い。そしてそんな御影が酔った様子をみたことがある人間は羽倉含め誰もいない。
 そうなれば気になってくるのは、御影が酔ったらどうなるかだ。
 若葉はネットでいろいろなお酒をみながら、いかに御影を酔わせるかを考えていた。
 かといって飲ませすぎて急性アルコール中毒になってしまうのは怖い。
 そんなことを考えながら度数が高く美味しい日本酒を一升だけ買うことにした。これを飲んで酔った御影がみれればラッキーぐらいの気持ちだ。
 本音を言えば、若葉が飲みたかっただけだったりするが。
 この日本酒は基本的に県外では販売されておらず、都心では一店舗だけに卸しているらしい。そこまで行ってもいいが、それならネット通販で楽してしまおうとぽちっとクリックを押した。

 それから一週間後の土曜日。頼んでいたお酒が届いた。
 御影はどうしても終わらせたい仕事があるということで、休日出勤をしている。夕方には帰ってくると言っていたので、それに合わせて夕飯を作り出す。
 魚屋でちょっと奮発して買ったお刺身と評判の焼き鳥屋で買った塩焼き鳥を、お皿に盛りつけし直して、キムチとタコを合わせものや椎茸を蒸して柚子胡椒で味付けしたおつまみなども用意しておく。
 こうしてみると完璧に居酒屋メニューだなと思うが、たまにはいいだろう。
 後はお味噌汁でも作ろうと、野菜室をごそごそと漁っていれば、玄関が開く音がした。
「若葉、ただいま」
「お帰りなさい。悠麻さんお味噌汁の具何が良い?」
「んー、気分は玉ねぎとじゃがいも」
 リビングへと顔を出した御影は、具材のリクエストを言うと自室へと向かう。休日出勤とはいえ、スーツで行ったので着替えたいのだろう。
 野菜室から玉ねぎとじゃがいもを取り出して、味噌汁を作っていれば、着替えを終えた御影がキッチンへとやってくる。
 そして若葉の腰を抱き寄せ、頭のてっぺんに口づけを落とす。
「うまそうな匂い」
「もうすぐできますよ」
 こんな会話どこからどうみても新婚夫婦の会話だろう。だがまだ婚約中なだけであって、婚姻届は出していないので夫婦ではない。
 こんな姿朱利達にみられれば、何と言われるかわからない。なんにせよ、きっとからかわれるのがオチだ。
 御影には座ってもらい、お味噌汁をつけて渡す。
 そして冷蔵庫で冷やしておいた日本酒を机の上に置く。
「ん?日本酒?」
「私も詳しくはわかってないんですけど。日本酒のリキュールらしいですよ。ストレートでもライム搾っても良いらしいって」
「へぇ、とりあえずストレートで飲んでから他の飲み方楽しむかな」
 そう言いながらグラス置き場から、深めのグラスを取り出していそいそと開けている。
 酔ってくれないかなと思っていたが、こうして喜んでいる姿がみれたのでそれだけで十分かもしれない。
「若葉は?」
「あ、私水割りにしようかなって」
 この日本酒の面白いところは、冷凍庫で冷やしても凍らずにとろとろになるというところ。それを御影に伝えてみれば、やってみようという話になった。
 グラスをお互い上に上げてから、一口飲む。
 思っていたよりは飲みやすく、味もまろやかで美味しい。
 御影も気に入ったようで、口元がにやけていた。
 食事の時はいろいろな話をする。今日あったことや、お酒のこと、後は次の休みはどこに行こうかなど。
 御影と共に過ごす日々は、穏やかでもあるが楽しくて幸せな日々だ。
 食事を終えて、洗いものなどの後片付けをした後も御影はソファーに移動して日本酒を飲んでいた。
 若葉が思っていたよりも、御影の口に合ったらしい。
 それでもさすがにペースが早いのではと心配になってしまう。自分が酔わないかなと仕掛けたことではあったが、結局のところ心配してしまうので若葉の狙いは一生叶わないかもしれない。
「悠麻さん。今日は此処までで…す…」
 お酒を取り上げようとすると、 手を掴まれてぐいっと引っ張られ御影の膝の上に向き合うように座らされる。
「悠麻さん?」
「可愛い、本当お前可愛い、何なんだよ。どんだけ可愛いんだよ。殺す気かよ」
「はっ…はぁ?!」
 御影はぎゅうぎゅうと若葉を抱きしめながら、首筋に額をぐりぐりと当てる。
 突然の行動と言動に驚きすぎて変な声がでてしまう。顔をあげた御影の瞳はとろんとしていて、頬が少しばかり赤くなっていることに気づいた。
(…もしかして、酔ってる?!)
 期待をしていなかった目論見が成功してしまったらしい。
 ちゅっ、ちゅっと耳の付け根や首筋に口付けを落としながら、熱くなった手が若葉の背中へと侵入していき、素肌をすりすりと撫でられる。
「若葉、好きだ。この黒い髪をずっと梳いていたいし、唇には何度でもキスがしたくなる。吸い付くような肌に触れていたいし、できれば四六時中抱いてたい」
「あ、え、あぅっ、ゆ、ゆ、ゆーまさん落ち着いて!お願い!落ち着こう!」
 逆上せる。これは恥ずかしさで頭が沸騰してしまう。
 こんな離さないという風に強く抱きしめられて、触られて、至るところに口付けをされるとパニックになってしまう。
 しかも、普段は絶対に言わなことを口に出し、あげくその表情は表情筋はどこへ消えたのだというほどに、ゆるゆる状態だ。
(あぁ、でもこんな悠麻さん見れるなんて思わなかった。甘えられるって、思っている以上に嬉しいかもしれない)
 御影は若葉の胸にすりすりと頬擦りをして、目を閉じている。
 腕が緩まることが無いので動くことができないため、御影の頭を抱えるように抱きしめ撫でることにした。
「お前の心臓の音を聞いてると落ち着く」
「ドキドキしてるから、あんまり聞かないでほしい…」
 そう若葉が言うと、御影は胸から顔をあげて若葉の顔をじっとみてから、ぺろりと頤を舐める。
 くすぐったくて身を捩るが、それも許してくれないのか苦しいぐらいに抱きしめられる力が強まり、唇を啄ばまれる。
 何度も触れ合わせてから、ぬるりと御影の肉厚な舌が口腔へと入りこんでくる。舌をすり合わせて、唾液を交換するような貪るキスに甘い痺れがじわじわとのぼってくる。
 御影は蕩けた笑みを浮かべながら、その手は迷いなく若葉の素肌を撫でて、ブラのフックを外された。
 その手つきに本当に酔っているのかと疑問が浮かんだが、若葉自身お酒を飲んで気が大きくなったり箍が外れることはあるので、そんな感じなのかもしれない。
 意識は保っているが、箍が外れて普段言わない言葉がするすると出てきてしまうような。
 ブラを引き抜かれて、床へと放られてしまう。結構お気に入りなのだから、もう少し大事に扱っていただきたい。
 服の上から胸を揉まれ、胸の頂を探すようにくりくりと指の腹でおされる。
「んんっ」
 刺激を与えられたことで、尖りだした頂を服の上から口に含まれて舌で押しつぶされたりじゅるりと吸われる。
 普段直接与えられる刺激。服の上からだといつもと感じ方が変わって、背中がむずむずとして足のつま先を丸くしてしまう。
「やっぱり直接のがいいな」
「ん、…悠麻さんのばか」
 白のTシャツだったのもあって、唾液で濡れたそこは服の上からでも胸の頂の色と尖りがわかってしまう。
 服を捲くられてふるりと現れた胸に御影は顔を埋めて、痕をつけるように強く吸われる。
 執拗なまでに胸をしゃぶられて、下腹部の疼きが止まらなくなっていく。
 触ってほしいのに胸ばかりに集中していて、下着の意味もなくなるほどに濡れぼそったそこには触れてくれない。
 腰がゆるゆると無意識に動く。それに気づいた御影は、口端をあげて腰を突き上げるふりをする。
「ひぁっ」
 服の上からもわかるほどに膨れ上がった御影のものが、下着越しに当たる。
「ゆーまさ、ん…ちょうだい、はやくちょうだいっ」
「もっと若葉が快楽に蕩ける姿を俺はみたい。あぁ、でもお前のここはぐちょぐちょに濡れてるな」
 下着越しに秘処を撫でられてるが、その焦らす愛撫に目尻に涙が浮かぶ。
 若葉は御影の唇に何度も口付けを落として、何度も「ちょうだい」と強請る。強請りながら、御影の熱棒を取り出して、手で擦りあげる。
 先端からは先走りがぬるりと出ていて、御影も我慢をしているのだとわかった。
 このままでは我慢の限界を越えて、生のままに受け入れてしまいそうになる。それはまだ駄目だとわかっていながらも、押し寄せる快楽が正常な答えに導いてくれない。
「若葉、好きって…俺の目をみて言って」
「…好き、好き、悠麻さん大好き、泣きたくなるぐらい好きなの。ずっと一緒にいたいぐらい好き」
「ん、俺も、お前がいない将来なんて見えないぐらい好きだ」
 そう御影が微笑みながら言うと、ポケットに隠していたのか避妊具と取り出して素早くつけ、若葉の下着を横にずらして挿入した。
「ひぁああっ、あ、あ、」
「締めすぎ…っ」
 若葉も御影も荒い息を吐いたままに、理性もどこかへ消えただ高みを目指すように貪りあう。
 最奥をごりごりと押しつぶされ、膣壁を擦られ、その苦しさと気持ちよさで涙をぼろぼろと零しながら、甘い嬌声をあげる。
 お互いを求めすぎて、音も匂いも触れ合う肌も全て、溶けて一つになっていくようだった。
 足先から波のように快楽が押し寄せ、激しく突き上げられたことで、目の前がバチンとはじけて真っ白になる。
 身体がびくびくと痙攣し、膣内を締め上げると御影は呻き声を出しながら、より奥へと穿ち若葉を抱きしめながら、身体を強張らせた。
 若葉は背中を反らしながら、腕をだらりと放り、天井を見上げながら息を吐く。御影は、若葉を抱きしめ、その胸に顔を埋めながら満足そうに微笑んだ。

 その後ソファーでもう一度、ベッドでもう一度これでもかと愛された。
 わかったのは、御影が酔い始めたら甘い言葉を囁きながら、若葉をこれでもかと攻め立てるということだった。
 二度と酔わないかななど思わないようにしようということと、御影が飲み過ぎないように注意しようと決めた。
 この話を聞いた朱利には「砂吐きそう」と言われてしまい、大変だったことを伝えたかったのだが、ただの惚気だと言われた。
 そして他では絶対に言うなと忠告を受けたので、大人しく従うことにした。
 そうか、これは惚気なのかと今更なことを思った若葉だった。
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