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朝
十一話 よう、拉致されちまったぜ
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ショートホームルームが終わるとアンナはすぐにアリスの元に移動する。
「アリスちゃん、すこしあなたの使い魔を連れていってもいいかな? 校長に簡単に説明したいのと今後問題が起きてもフォローできるようにしておきたいの。すぐ話は終わるから、授業が始まるとき一緒に戻るから」
「どうぞ、ぜひお願いします……頼れるのはアンナ先生だけです、ぐすっ……」
あまりにアンナが頼もしく見えるあまり、アリスは目に涙を浮かべてしまう。今日一日の出来事が、ストレスという形で小さな体のアリスには大きくのしかかっていたのだ。今日初めて心から頼ることができる相手を見つけたアリスからしてみれば、アンナから後光が見える思いでもあり、天使にも見えた。
「あなたが今日までどれだけ努力していたか、先生は見てたつもりだから、安心して勉強に励むのよ? ふふ」
アンナは微笑みをアリスに向けるとアリスの頭を撫でた。そしてたわしに手を差し伸べる。乗れ、と。
「ん、なんだ、お手か? わん」
たわしは悪びれた様子もなく四つん這いになると、アンナの手に自分の手を乗っける。アンナとアリスの間に流れていた感動的な空気は一瞬にしらける。アリスは僅かに顔を怒りに引きつらせる。
「先生? たわしは少し乱暴に扱われるのが大好きなので、持ち運びは鷲掴みで大丈夫ですよ。なんなら全力で握っていただいても」
「そお? じゃぁそうするわね。おいで、たわしちゃん」
にこやかにアンナは言うとたわしをギュっと握りしめる。
「あったたたた! ちょ、まってーな! たわしっていっても俺は生き物だぞ!」
「あっ、ごめんなさい……アリスちゃんがそう言ってたから」
「いいですよ、それ歓喜の悲鳴なんで。いわゆるツンデレなんですよ」
たわしは大きく目を見開いてアリスに視線を合わせる。なにをいってるの、アリスちゃん? そもそもツンデレってそうじゃないぜ?! たわしはそう突っ込みを入れようとした刹那、アンナは意地の悪い笑みを浮かべる。
「そう? じゃぁ、かわいいかわいいたわしちゃんを、私が喜ばせてあ・げ・る」
アンナは少し色っぽい声色をたわしにかけると、本気でたわしを握りしめた。たわしの毛が手のひらに刺さるが、それはそれで心地の良い痛みであることをアンナは覚えた。
「あだだだだ、ちょ、まって、そんなんありえないから! アリスちゃんたすけてえええええええ! 俺が悪かったから」
「先生、たわしのヤツこんなに喜んでますよ!? さすが先生、凄いですね!」
突如のよいしょにアンナも悪い気はしなかった。アンナはアリスにウインクを飛ばすと両手でサムアップをしていた。たわしはなすすべもなく、痛みに耐えながらもこの地獄の終わりを待つほかなかった。
「さて、たわしちゃん、ここから私が良いっていうまで静かにしてなさいね? じゃないと、あなた……その針金ほどいてゴミにして捨てるわよ?」
「あ、お母さんと同じこと言ってる! たわしってやっぱりそういうものなんですか?」
「ふふ、まぁ時間もないし先生はいくね。アリスちゃん借りてくわね」
そして、たわしは痛みとほどかれるかもしれないという恐怖に耐えながら、ただただ口を開くまいと誓ったのであった。なぜなら、この先生ならやりかねない……と、たわしは危機感を抱いていた。
「アリスちゃん、すこしあなたの使い魔を連れていってもいいかな? 校長に簡単に説明したいのと今後問題が起きてもフォローできるようにしておきたいの。すぐ話は終わるから、授業が始まるとき一緒に戻るから」
「どうぞ、ぜひお願いします……頼れるのはアンナ先生だけです、ぐすっ……」
あまりにアンナが頼もしく見えるあまり、アリスは目に涙を浮かべてしまう。今日一日の出来事が、ストレスという形で小さな体のアリスには大きくのしかかっていたのだ。今日初めて心から頼ることができる相手を見つけたアリスからしてみれば、アンナから後光が見える思いでもあり、天使にも見えた。
「あなたが今日までどれだけ努力していたか、先生は見てたつもりだから、安心して勉強に励むのよ? ふふ」
アンナは微笑みをアリスに向けるとアリスの頭を撫でた。そしてたわしに手を差し伸べる。乗れ、と。
「ん、なんだ、お手か? わん」
たわしは悪びれた様子もなく四つん這いになると、アンナの手に自分の手を乗っける。アンナとアリスの間に流れていた感動的な空気は一瞬にしらける。アリスは僅かに顔を怒りに引きつらせる。
「先生? たわしは少し乱暴に扱われるのが大好きなので、持ち運びは鷲掴みで大丈夫ですよ。なんなら全力で握っていただいても」
「そお? じゃぁそうするわね。おいで、たわしちゃん」
にこやかにアンナは言うとたわしをギュっと握りしめる。
「あったたたた! ちょ、まってーな! たわしっていっても俺は生き物だぞ!」
「あっ、ごめんなさい……アリスちゃんがそう言ってたから」
「いいですよ、それ歓喜の悲鳴なんで。いわゆるツンデレなんですよ」
たわしは大きく目を見開いてアリスに視線を合わせる。なにをいってるの、アリスちゃん? そもそもツンデレってそうじゃないぜ?! たわしはそう突っ込みを入れようとした刹那、アンナは意地の悪い笑みを浮かべる。
「そう? じゃぁ、かわいいかわいいたわしちゃんを、私が喜ばせてあ・げ・る」
アンナは少し色っぽい声色をたわしにかけると、本気でたわしを握りしめた。たわしの毛が手のひらに刺さるが、それはそれで心地の良い痛みであることをアンナは覚えた。
「あだだだだ、ちょ、まって、そんなんありえないから! アリスちゃんたすけてえええええええ! 俺が悪かったから」
「先生、たわしのヤツこんなに喜んでますよ!? さすが先生、凄いですね!」
突如のよいしょにアンナも悪い気はしなかった。アンナはアリスにウインクを飛ばすと両手でサムアップをしていた。たわしはなすすべもなく、痛みに耐えながらもこの地獄の終わりを待つほかなかった。
「さて、たわしちゃん、ここから私が良いっていうまで静かにしてなさいね? じゃないと、あなた……その針金ほどいてゴミにして捨てるわよ?」
「あ、お母さんと同じこと言ってる! たわしってやっぱりそういうものなんですか?」
「ふふ、まぁ時間もないし先生はいくね。アリスちゃん借りてくわね」
そして、たわしは痛みとほどかれるかもしれないという恐怖に耐えながら、ただただ口を開くまいと誓ったのであった。なぜなら、この先生ならやりかねない……と、たわしは危機感を抱いていた。
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