5 / 66
第一章:視点はだいたい橘礼人
オオカミ使いによるゲーム説明
しおりを挟む
テレビに映ったのは、翁の面を被ったがたいの良い一人の男(?)だった。
リビングにいるほぼ全員に緊張が走る中、翁の面をかぶった男が唐突に喋り始めた。
「皆さん、私の『無月館』へようこそ御出で下さいました。各々今の状況に戸惑っておいででしょうが、なに大したことはありません。私は皆さんと楽しいゲームをしようと思いこうしてお呼びした次第です」
リビングに集まったメンバーのうち、顔に刺青のある、いわゆるヤンキー風の伊達男がこの言葉に食って掛かった。
「は、ふざけんな! お呼びしたって、無理やり誘拐しておきながら何身勝手なこと言ってんだよ! 早く俺を家に帰せ!」
その言葉につられ、ほかのメンバーも思い思いに文句を投げかける。しばらく文句が言い続けられ、文句を上げる声が徐々に減ってきた頃合を見計らい、再び翁が語り始める。
「さて、皆さんのご意見は了解しました。しかし、まずは私の提案するゲームの内容を聞いてみてからもう一度考えてみてはどうでしょうか?」
「だから、そんなゲームはどうでもいいから……」
再びヤンキー風の男が文句を言おうとすると、李が口を挟んだ。
「いったん話を聞いたほうがいいだろ。この面の男の話を聞いた後でないとまともに質問に答えてもくれないだろうからな。そもそも、この閉じ込められた状態で、俺たちに面の男の話を聞く以外の選択肢は存在しないんだ」
冷静にそう言ってのけた李に気後れしたのか、ヤンキー風の男は口をつぐみ、不服そうにしながらも話を聞く姿勢になった。
翁の面をした男は、表情こそ見て取れないが、いかにも感心したというように大きく一度うなずくと、少し茶化すように口笛を吹いた。
「いやはや、優秀な若者がいてとても頼もしいことですな。まだまだ日本の将来は安泰だ」
李は翁の面の男が映るテレビを睨みつける。
「そんな言葉が聞きたいわけではない、さっさとそのゲームの内容とやらを教えろ」
「ふふ、まったく、物おじない若者だ。現在君たちの生殺与奪はすべて私が握っているというのに」
この言葉を聞き、再び全員に緊張が走る。
「ああ、そんな緊張する必要はないよ。いくら生殺与奪を握っているからと言ってすぐに殺すのでは、ここに呼び集めた意味がなくなってしまうからね。さて、余計な話はこれぐらいにして、君たちと私たちで行うゲームの内容を説明しようか。おっと、その前にまず、テーブルの下にあるトランクを一人一つずつ取り出してくれないかな。ああ、ひとつ百キロ近くあってすごく重いから、女性陣は男性陣の手を借りて引き出してもらうといい。ただし、私が開けていいというまで絶対にトランクを開けてはいけないよ」
皆戸惑いながらも、翁の面をした男の指示に従う。テーブルの下をのぞきこみ、言われた通りテーブルの下にあった、大型のやけに重いトランクケースを取り出した。
全員がトランクケースを取り出し終わった頃を見計らい、翁の面の男が再び口を開く。
「さて皆さん、一斉にトランクを開けてみてください。大丈夫、爆弾は入っていませんので」
何がおかしいのか、肩を震わせて含み笑いをしながら、トランクケースを開けるように命じてくる。
それぞれが開けていいのか戸惑い、お互いに顔を見合わせた後、意を決してトランクを開け始める。すると、トランクを開けたものから次々に驚きの声が上がった。橘もトランクの中に入っていたものを見て、とても驚いた。諭吉だ。
「そのトランク一つにつき、ちょうど十億円が入っています。ここには、全員合わせて二十四人いますからね。総額は二百四十億円といったところですか。どうです皆さん、それは、私からあなたたちに用意したプレゼントですよ」
「まじか、この金もらえるのか……」
ヤンキー風の男がぼそりと呟いた。その表情には、先程までの苛立ちが消え去り、突然出現した大金への欲が見え隠れしている。
「ええ、私に二言はありませんよ。それでは今度こそゲームの内容を説明させてもらいましょうか。これから私たちと君たちとで行うゲーム、その名も『ヒツジとオオカミとオオカミ使いのゲーム』」
この言葉を聞き、再びざわめき始めた場を制するように、翁の面の男はくぎを刺した。
「悪いがこれから先、ゲームの内容を語り終えるまで、質問は禁止とする。何か意見や疑問があったとしても後にしてもらうし、いちいち君たちのリアクションに構いはしない。静かに聞いていたまえ」
突然のどすを利かせた声に、全員が黙り込む。
「まずは大雑把に内容を説明させてもらうと、オオカミ使いである私が君たちを一人ずつ殺していくから、君たちは私に殺されないように逃げ回るというゲームだ」
「な、なんだよそのゲーム! ふざけ」
「口をはさむなと言ったはずだ」
批判の声は、オオカミ使いの一言で消滅する。
「言っておくが、決して君たちに不利なゲームではないのだよ。まずオオカミ使いは私一人だけだ。たいして君たちヒツジは二十三匹いる。数では明らかに君たちが有利だ。ただし私は少しばかり高性能な武器や秘密の通路などを使わせてもらうがね」
「二十三……」
ついオオカミ使いの言葉が引っ掛かり、橘がぼそりと口走る。と、オオカミ使いはそれに答えるように話を続けた。
「今私の話をよく聞いていたものならばわかっただろうが、ヒツジの数は二十三匹だ。そう、君たちの中に一匹だけオオカミがいる。オオカミはヒツジのふりをしながら君たちの中に紛れているが、陰では私の手伝いをし、チャンスとあらば君たちに牙をむけるだろう。故に君たちヒツジは、ヒツジのふりをしたオオカミと、オオカミ使いである私から殺されないようにしながら、逆に私たちを捕まえることが目的だ。まあこれが大まかなゲームの内容といったところかな。では、次に、この単純でつまらないゲームを面白くするためのいくつかの要素を説明しよう。
・面白要素その①:この館の中のありとあらゆるところに設置された、殺傷能力のある武器。
簡単に見つかっては面白くないから、見つからないように工夫しておいてある。見つけたその武器は、当然私との遭遇に備えて護身用として持っていてもよいし、ほかの仲間に相談して、オオカミに凶器が渡らないように捨ててもよい。もしくは、仲間であるほかのヒツジを殺す道具として用いてもよい。おっと、そんなことに用いるわけがないだろうと思うだろうが、次の面白要素を聞けば納得してもらえるだろう。
・面白要素その②:ヒツジ側、つまり君たちがこのゲームに勝利した際、君たちがもらえる報酬は、そこにある二百四十億を生き残りの人数で等分した額となる。
どうだい、武器の用途に幅が増えたとは思わないかな?
・面白要素その③:安全な食事
これは、君たちへの特別サービスだよ。厨房にある大きな冷蔵庫の中身は見たかね? 大量の食糧が入れられていたと思うが、すべて安心安全の品質を保証しよう。こんな孤島で食糧難にあっては、ゲームを楽しむこともできないだろうからね。
・面白要素その④:このゲームは、ヒツジの全滅、または、オオカミとオオカミ使いの捕獲による、ヒツジたちの勝利が決まるまで、永久に行われる。
もちろん、警察や家族が助けに来てくれることを期待してもいいが、残念ながらその期待が当たる確率はゼロだと言っておこう。
・面白要素その⑤:オオカミと、オオカミ使いを殺してはならない。
ふふふ、私も殺されたくないのでね、こんな要素をつけさせてもらった。君たちが私を殺してはいけないというのは、別に私が殺されたくないからというだけでは、もちろんない。いいかな、このゲームが行われる舞台は、この『無月館』含め、『無月島』全体だ。君たちはもう知っているだろうが、この無月島では、ある時期だけ月が見えなくなるのだよ。君たちは一度この島に来ているのだからわかっていることではあるだろうがね。まあ、それは置いといて、ここが無月島であるということは、君たちを連れてきたこの私でしか、この島から脱出する方法を持っていないということだ。
さて、このゲームの内容は一通り伝え終わった。それでは、質問タイムとしようではないか。ちなみに、質問は今この場でしか聞かないので、思いつく限りの質問をするのがよいぞ」
リビングにいるほぼ全員に緊張が走る中、翁の面をかぶった男が唐突に喋り始めた。
「皆さん、私の『無月館』へようこそ御出で下さいました。各々今の状況に戸惑っておいででしょうが、なに大したことはありません。私は皆さんと楽しいゲームをしようと思いこうしてお呼びした次第です」
リビングに集まったメンバーのうち、顔に刺青のある、いわゆるヤンキー風の伊達男がこの言葉に食って掛かった。
「は、ふざけんな! お呼びしたって、無理やり誘拐しておきながら何身勝手なこと言ってんだよ! 早く俺を家に帰せ!」
その言葉につられ、ほかのメンバーも思い思いに文句を投げかける。しばらく文句が言い続けられ、文句を上げる声が徐々に減ってきた頃合を見計らい、再び翁が語り始める。
「さて、皆さんのご意見は了解しました。しかし、まずは私の提案するゲームの内容を聞いてみてからもう一度考えてみてはどうでしょうか?」
「だから、そんなゲームはどうでもいいから……」
再びヤンキー風の男が文句を言おうとすると、李が口を挟んだ。
「いったん話を聞いたほうがいいだろ。この面の男の話を聞いた後でないとまともに質問に答えてもくれないだろうからな。そもそも、この閉じ込められた状態で、俺たちに面の男の話を聞く以外の選択肢は存在しないんだ」
冷静にそう言ってのけた李に気後れしたのか、ヤンキー風の男は口をつぐみ、不服そうにしながらも話を聞く姿勢になった。
翁の面をした男は、表情こそ見て取れないが、いかにも感心したというように大きく一度うなずくと、少し茶化すように口笛を吹いた。
「いやはや、優秀な若者がいてとても頼もしいことですな。まだまだ日本の将来は安泰だ」
李は翁の面の男が映るテレビを睨みつける。
「そんな言葉が聞きたいわけではない、さっさとそのゲームの内容とやらを教えろ」
「ふふ、まったく、物おじない若者だ。現在君たちの生殺与奪はすべて私が握っているというのに」
この言葉を聞き、再び全員に緊張が走る。
「ああ、そんな緊張する必要はないよ。いくら生殺与奪を握っているからと言ってすぐに殺すのでは、ここに呼び集めた意味がなくなってしまうからね。さて、余計な話はこれぐらいにして、君たちと私たちで行うゲームの内容を説明しようか。おっと、その前にまず、テーブルの下にあるトランクを一人一つずつ取り出してくれないかな。ああ、ひとつ百キロ近くあってすごく重いから、女性陣は男性陣の手を借りて引き出してもらうといい。ただし、私が開けていいというまで絶対にトランクを開けてはいけないよ」
皆戸惑いながらも、翁の面をした男の指示に従う。テーブルの下をのぞきこみ、言われた通りテーブルの下にあった、大型のやけに重いトランクケースを取り出した。
全員がトランクケースを取り出し終わった頃を見計らい、翁の面の男が再び口を開く。
「さて皆さん、一斉にトランクを開けてみてください。大丈夫、爆弾は入っていませんので」
何がおかしいのか、肩を震わせて含み笑いをしながら、トランクケースを開けるように命じてくる。
それぞれが開けていいのか戸惑い、お互いに顔を見合わせた後、意を決してトランクを開け始める。すると、トランクを開けたものから次々に驚きの声が上がった。橘もトランクの中に入っていたものを見て、とても驚いた。諭吉だ。
「そのトランク一つにつき、ちょうど十億円が入っています。ここには、全員合わせて二十四人いますからね。総額は二百四十億円といったところですか。どうです皆さん、それは、私からあなたたちに用意したプレゼントですよ」
「まじか、この金もらえるのか……」
ヤンキー風の男がぼそりと呟いた。その表情には、先程までの苛立ちが消え去り、突然出現した大金への欲が見え隠れしている。
「ええ、私に二言はありませんよ。それでは今度こそゲームの内容を説明させてもらいましょうか。これから私たちと君たちとで行うゲーム、その名も『ヒツジとオオカミとオオカミ使いのゲーム』」
この言葉を聞き、再びざわめき始めた場を制するように、翁の面の男はくぎを刺した。
「悪いがこれから先、ゲームの内容を語り終えるまで、質問は禁止とする。何か意見や疑問があったとしても後にしてもらうし、いちいち君たちのリアクションに構いはしない。静かに聞いていたまえ」
突然のどすを利かせた声に、全員が黙り込む。
「まずは大雑把に内容を説明させてもらうと、オオカミ使いである私が君たちを一人ずつ殺していくから、君たちは私に殺されないように逃げ回るというゲームだ」
「な、なんだよそのゲーム! ふざけ」
「口をはさむなと言ったはずだ」
批判の声は、オオカミ使いの一言で消滅する。
「言っておくが、決して君たちに不利なゲームではないのだよ。まずオオカミ使いは私一人だけだ。たいして君たちヒツジは二十三匹いる。数では明らかに君たちが有利だ。ただし私は少しばかり高性能な武器や秘密の通路などを使わせてもらうがね」
「二十三……」
ついオオカミ使いの言葉が引っ掛かり、橘がぼそりと口走る。と、オオカミ使いはそれに答えるように話を続けた。
「今私の話をよく聞いていたものならばわかっただろうが、ヒツジの数は二十三匹だ。そう、君たちの中に一匹だけオオカミがいる。オオカミはヒツジのふりをしながら君たちの中に紛れているが、陰では私の手伝いをし、チャンスとあらば君たちに牙をむけるだろう。故に君たちヒツジは、ヒツジのふりをしたオオカミと、オオカミ使いである私から殺されないようにしながら、逆に私たちを捕まえることが目的だ。まあこれが大まかなゲームの内容といったところかな。では、次に、この単純でつまらないゲームを面白くするためのいくつかの要素を説明しよう。
・面白要素その①:この館の中のありとあらゆるところに設置された、殺傷能力のある武器。
簡単に見つかっては面白くないから、見つからないように工夫しておいてある。見つけたその武器は、当然私との遭遇に備えて護身用として持っていてもよいし、ほかの仲間に相談して、オオカミに凶器が渡らないように捨ててもよい。もしくは、仲間であるほかのヒツジを殺す道具として用いてもよい。おっと、そんなことに用いるわけがないだろうと思うだろうが、次の面白要素を聞けば納得してもらえるだろう。
・面白要素その②:ヒツジ側、つまり君たちがこのゲームに勝利した際、君たちがもらえる報酬は、そこにある二百四十億を生き残りの人数で等分した額となる。
どうだい、武器の用途に幅が増えたとは思わないかな?
・面白要素その③:安全な食事
これは、君たちへの特別サービスだよ。厨房にある大きな冷蔵庫の中身は見たかね? 大量の食糧が入れられていたと思うが、すべて安心安全の品質を保証しよう。こんな孤島で食糧難にあっては、ゲームを楽しむこともできないだろうからね。
・面白要素その④:このゲームは、ヒツジの全滅、または、オオカミとオオカミ使いの捕獲による、ヒツジたちの勝利が決まるまで、永久に行われる。
もちろん、警察や家族が助けに来てくれることを期待してもいいが、残念ながらその期待が当たる確率はゼロだと言っておこう。
・面白要素その⑤:オオカミと、オオカミ使いを殺してはならない。
ふふふ、私も殺されたくないのでね、こんな要素をつけさせてもらった。君たちが私を殺してはいけないというのは、別に私が殺されたくないからというだけでは、もちろんない。いいかな、このゲームが行われる舞台は、この『無月館』含め、『無月島』全体だ。君たちはもう知っているだろうが、この無月島では、ある時期だけ月が見えなくなるのだよ。君たちは一度この島に来ているのだからわかっていることではあるだろうがね。まあ、それは置いといて、ここが無月島であるということは、君たちを連れてきたこの私でしか、この島から脱出する方法を持っていないということだ。
さて、このゲームの内容は一通り伝え終わった。それでは、質問タイムとしようではないか。ちなみに、質問は今この場でしか聞かないので、思いつく限りの質問をするのがよいぞ」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
彼女が愛した彼は
朝飛
ミステリー
美しく妖艶な妻の朱海(あけみ)と幸せな結婚生活を送るはずだった真也(しんや)だが、ある時を堺に朱海が精神を病んでしまい、苦痛に満ちた結婚生活へと変わってしまった。
朱海が病んでしまった理由は何なのか。真相に迫ろうとする度に謎が深まり、、、。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】共生
ひなこ
ミステリー
高校生の少女・三崎有紗(みさき・ありさ)はアナウンサーである母・優子(ゆうこ)が若い頃に歌手だったことを封印し、また歌うことも嫌うのを不審に思っていた。
ある日有紗の歌声のせいで、優子に異変が起こる。
隠された母の過去が、二十年の時を経て明らかになる?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
この欠け落ちた匣庭の中で 終章―Dream of miniature garden―
至堂文斗
ミステリー
ーーこれが、匣の中だったんだ。
二〇一八年の夏。廃墟となった満生台を訪れたのは二人の若者。
彼らもまた、かつてGHOSTの研究によって運命を弄ばれた者たちだった。
信号領域の研究が展開され、そして壊れたニュータウン。終焉を迎えた現実と、終焉を拒絶する仮想。
歪なる領域に足を踏み入れる二人は、果たして何か一つでも、その世界に救いを与えることが出来るだろうか。
幻想、幻影、エンケージ。
魂魄、領域、人類の進化。
802部隊、九命会、レッドアイ・オペレーション……。
さあ、あの光の先へと進んでいこう。たとえもう二度と時計の針が巻き戻らないとしても。
私たちの駆け抜けたあの日々は確かに満ち足りていたと、懐かしめるようになるはずだから。

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!
ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!?
夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。
しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。
うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。
次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。
そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。
遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。
別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。
Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって!
すごいよね。
―――――――――
以前公開していた小説のセルフリメイクです。
アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。
基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。
1話2000~3000文字で毎日更新してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる