上京して一人暮らし始めたら、毎日違う美少女が泊まりに来るようになった

さばりん

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第三章 GW帰省編

第四十九話 濃密なキス

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 綾香と抱き合いながら惰眠だみん謳歌おうかしていたら、あっという間に4時間が経ち、スマートフォンのアラームが鳴った。

 俺は目を覚ましてタイマーを止めて、ふとスマホの画面を見る。
 すると、大空から何本もの電話がかかってきているのに気が付いた。

 俺は綾香を起こした後に、大空におびの連絡を入れた。ぷんすか怒っている大空に何度も謝ったが、これは後で、スイーツでも買ってあげないと機嫌直してくれないな……。

 俺は急ぎ足で駅前の家族がいる元へ戻るため、綾香とお互いに着替えを済ませてそそくさとホテルを後にする。


 ◇


 俺たちがホテルから出る際、もう我慢できないと言ったようにホテルの前で抱き合い、濃密なキスをしているカップルに出くわしてしまった。
 二人が入り口をふさいでいるため、俺たちは外に出ることが出来ず、目の前の光景を直視することもはばかられて、お互いそっぽを向いてしまう。視線を逸らしていると、キスを終えたカップルがようやく俺たちに気が付いた。
 ラブラブカップルの二人は、恥ずかしがる様子一つ見せずに、俺たちに軽く会釈をして、入れ替わるようにしてホテルのフロントへと向かって行った。

 ホテルを出ると、既に空はオレンジ色に染まり始めて、夕陽が辺りを照らしていた。
 俺たちは太陽が沈む方角にある大通に向かって歩き始める。
 
 二人の間には、少しだけ隙間が空いた、微妙な距離感を保ったまま並んで歩いていた。

「ねぇ……」
「ん?」

 ふと綾香に声を掛けられたので顔を向けると、綾香は恥ずかしそうにボゾボゾと言葉を口にする。

「さっきの人たちにも……私たちってそういう関係って思われちゃったのかな……?」

 さっきの人たちというのは、おそらくラブホテルの前ですれ違ったラブラブカップルのことだろう。

「まあ、そうじゃないかな……ラブホテルから若い男女が出てきたわけだし……」
「そっか……そうだよね」

 俺が答えると、綾香は地面の方へ顔を俯いてしまう。
 帽子越しであったこともあり、表情を伺うことは出来なかったものの、夕日のせいか、綾香の耳は真っ赤に朱に染まっているように見えた。

 沈黙が続いたまま、大通りの交差点まで出ると、綾香が俺の一歩前へトコトコと歩み出て振り返った。

「それじゃあ、私はこっちだから、また大学で……」
「うん、それじゃまた、大学で」

 綾香はニコっと笑みを浮かべてから踵を返して、交差点を渡って歩いていってしまう。
 一瞬こちらを振り返ったが、俺が手を振り返すと、にっと笑みを浮かべて交差点を渡り切った。綾香の後姿が、夕陽に照らされて影が伸びているせいなのか分からないが、少し寂しそうな後ろ姿であったのか、気のせいだろうか……?

 そんなことを思いながら、俺は綾香の姿が見えなくなるまで見送った。
 俺と綾香の、ドタバタのGWの秘密の添い寝は、幕を閉じた。


 ◇


 大地君と別れた後、私は重い足取りでキャリーケースをコロコロ引きながら、実家に向かっていた。
 ずっと頭の中で考えていたのは、先ほどのラブホテルでの大地くんとの一件。

 雰囲気の流れとはいえ、どうして私は大地くんにあんなはしたない誘いをしてしまったのだろう、自分の行動を改めて振り返り後悔する。
 
 大地くんの直後の行動や言動は、紳士そのものだった。

 むしろあそこで、大地くんがとどまってくれて助かった。あのまま、大地くんが理性を抑えきれなくなり、もしそのままエッチなことををしてしまったら……この後、大地君とどう顔を合わせればいいのか分からなくなっていたに違いない。

 そして今後は、帰り際に出会ったカップルのことを思いだす。

 ホテルの前でキスを交わしていたカップルの人たちから見れば、私たちがそういう肉体関係を持ったカップルに見えていると大地君は答えたけど……それって、あの人たちみたいな濃密なキスを求めあって、ホテルでそういう行為をシているということであって……
 
 ホテルの入り口の前でカップルがしていたようなお互いが求めあうようなキスを、もし私が大地くんとしていたら……

「大地くんっ……」
「綾香……」
「チュッ……レロッ…ンンッ……ちょ、大地君……チュッ……ハァッ……!」

 私と大地くんが、キスをしている自分の姿を頭の中で妄想してしまい、私の顔が火傷しそうなくらい火照って熱くなるのを感じた。
 
 他の人に見られないように頬を抑えながら下を向いて、人々を掻き分け、すたすたとキャリーケースを引きながら歩いていく。

 ダメだ……私今度からどうやって大地くんに声を掛ければいいのか結局わからなくなっちゃったよ……。
 私はこの後一日中、頭の中で大地君との妄想でふけってしまい、一日中ずっと呆けてしまうのだった。
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