上京して一人暮らし始めたら、毎日違う美少女が泊まりに来るようになった

さばりん

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第三章 GW帰省編

第四十六話 運命の出会い!?

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 大空と兄妹愛を改めて再確認した翌日からは、帰省後の予定を一気に消費した。

 高校のクラスメイトや、部活仲間たちと遊んだり、散髪に言って髪を切ったり、母校へ出向き、担任だった先生へ久しぶりに挨拶しに行ったりと、行事に時間を費やしているうちに、あっという間に帰省から3日が経過していた。

 その間も、大空とは毎日一緒に添い寝した。そりゃもう、『うちの妹は最高だぜ』って名言が出ちゃうくらい、妹成分を吸収しまくった。妹も嫌な顔一つせず、というか、むしろ喜んで一緒に兄妹の添い寝を楽しんだ。
 
 帰省生活の半分を過ぎた四日目、今日は家族全員で、車で札幌まで出向いていた。
 母親がどうしても札幌にしかない商品が買いたいということで、片道二時間かけてわざわざショッピングしにやってきたのだ。

 地元にもいくつかのショッピングセンターのような場所はある。
 しかし、ブランド物やそのショップ限定となると、どうしても札幌まで出向かなければならない。

 母と大空は夢中で時間を忘れて買い物を楽しみ、父親は二人の荷物番を任されていた。
 手持ち無沙汰になった俺は、父親に一言びを入れて、暇つぶしがてら駅前大通りの地下街を一人で散策することにした。
 
 上京する前までも、こうして家族で年に2、3回定期的に訪れはいた。相変わらず道内一の繁華街ともあり、多くの人で活気にあふれていた。

 都内へ上京し、徐々に都内の人混み慣れはしてきたとはいえど、札幌の人だかりも負けてはいなかった。

 地下街をぷらぷらと散策し終えて時計を見ると、そろそろお昼時の頃合いになっていた。

 家族に合流しようと歩き出して、歩き出そうとしたらトントンと誰かにふと肩を叩かれる。
 ばっと振り返ると、そこには見知った顔が立っていた。透明感あふれ出る美少女で、ニコニコとしながら胸元辺りで小さく俺に手を振ってきていた。

「こんにちは」

 同じ大学の友達で、人気女優の井上綾香いのうえあやかが、何食わぬ顔で目の前に現れた。

「綾香!? なんでこんなところにいるの!?」

 俺が目を見開いて動揺を隠せないと言った様子で彼女を見つめていると、綾香がニコっと微笑みながら口を開いた。

「明日の仕事が急にキャンセルになってね、私も急にGW休みが出来たの! それで、せっかくだから実家に帰ろうかなと思って、運よく飛行機が空いてたから、さっきこっちに戻って来たの。そしたら、偶然大地くんが地下街を歩いてるのを見かけて、最初は目を疑ったんだけど、よく見たらやっぱり大地君で! びっくりしたよ!」

 綾香はテンション高く、嬉しそうに目の前にいる経緯を説明してくれた。

「そうだったんだ、確かにこんな広い道内で会うなんてすごい確率だな」
「本当にそうだよね!」

 まさか、全国で一番デカイ北の大地の同じところで、都内の知り合いに出会うとは……本当になんというか……。

「なんか、運命的だよね」

 俺が思っていたことを綾香が頬を少し染めながら上目づかいで言ってきた。
 むずかゆい気持ちになり、俺はそっと視線を逸らす。
 お互いに甘酸っぱい雰囲気が流れる中、急に辺りがざわざわとどよめきだした。
 
 辺りをきょろきょろ見渡すと、通行人の人たちが俺たちの方を見て、ヒソヒソ何やら話をしている。

「ねぇ、あれって?」
「絶対そうだよね!」
「井上綾香だ」
「すげー初めてみた! 綺麗……」
「隣にいる男はだれだ?」
「弟とかじゃない?」

 ヤバイっ! 綾香がバレた!
 それもそのはず、井上綾香は都内に活躍の場を広げる前は、道内を中心に活動していた。つまり、北の大地で綾香を知らない者はいないほどの有名人なのだ。変装をしていない今の綾香が、バレないはずがなかった。

「こっち来て!」
「えっ!?」

 俺は考える前に勝手に身体が動き、綾香の腕を掴んで逃げるようにその場から立ち去る。
 ギャラリーは、手を引っ張られていく井上綾香の姿をボケっと眺めていたが、ついてくる者はいなかった。

 俺たちは地下街にあったパーキングへと続く階段を下りて、地下駐車場へと逃げ込んだ。
 ようやく息を整えて、安堵のため息を漏らす。

「あっぶね……大騒ぎになるところだった……」

 俺は額に掻いた冷や汗を手で拭う。

「ありがとう大地くん。向こうでは普通に歩いてても気付かれないから、変装してなかったんだけど……やっぱりこっちだとすぐにばれちゃうみたいだね」
「まあ、こっちで綾香のこと知らない人はいないからね、仕方ないっちゃ仕方ないよ」

 なんとか危機をやり過ごした俺たちは、ひとまず綾香が持っていたキャリケースの中から変装グッズを取り出して、変装を済ませる。

 綾香が変装を終えたところで、タイミングを見計らって、もう一度地下街へ上る階段を登ろうとしたら、ふいに後ろから綾香に腕を掴まれた。

 突然のことに何事かと振り返ると、綾香は頬を染めて俯きながら、黒縁メガネの中から見える黒くて透き通る目をキョロキョロと泳がせていた。

「あのね……大地くん、その、不躾ぶしつけなお願いで申し訳ないんだけど……」
「どうした?」

 俺が心配そうに綾香の顔を覗き込む。綾香は恥ずかしそうにしながらも、意を決したように顔を上げて真っ直ぐに俺を見つめ、とんでもないことを言い放った。

「今から一緒に寝て……くれないかな?」
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