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第三章 GW帰省編
第四十三話 ブラコンな妹
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愛梨さんと綾香のまさかのブッキングを経て、朝起きた二人はいがみ合いながらも、特に言い争いを起こすことなく、各々自分たちの支度を済ませて、何事もなかったかのように俺の家を後にした。
二人は、最後に捨て台詞のように『今度は二人っきりで一緒に寝ようね』と、次の予約まで完了されてしまう始末。
そんな修羅場??をなんとか乗り切った中、世間はゴールデンウィークに突入した。社会人にとっては嬉しい大型連休。しかし、俺たち大学生にGWはない。
いつもの教室で、俺は頬杖をつきながら、怠惰な状態で教授の授業の話を聞いていた。
授業の日程調整が合わないとかなんとかで、うちの大学は、祝日は休み扱いにはならず、普通に授業がある。マジで大学の上層部は何を考えてるんだ? 小学校から高校までの学校は休みで、大半の社会人も休みなんだし、大学も休みにしようぜ! それに、教授の事情で勝手に平日の授業が休講になったりするんだから、授業の回数がどうたらこうたらとか、考えないでいい気がする。
俺はそんな小言をぶつくさ考えながら、教室を眺める。
GWということもあり、家族でどこか出かける人や、遊びの予定を入れている人が多いらしく、いつもの授業の人数の半分以下しか授業を受けていない。大学は授業の出席に関してはあまり重視はしていないため、自主休校してる人が多いみたいだ。
そして、俺もその自主休校の波に乗る形でこの授業が終わり次第。来週の金曜日まで、北の大地へと帰還する。本当は夏休みまで帰る予定はなかったものの、妹からのラブコールには勝てなかった。可愛い妹のお願いされちゃ、帰省しないなんて選択肢は俺にはないからない!
授業の最後に、教授が珍しく授業内で課題を出してきた。GWで人が少ないこともあり、来てくれた人に対価として、この課題を提出すれば、期末テストに加点してくれるとのことだった。
教授側もGWは人が減るというのを見越して、こういう世間の波に逆らって、意地悪なことしてきやがる。俺が帰省している間に、他の授業でもこのような課題が出ないことを祈るしかない。
俺は、さくっと課題を終わらせて、前の教授へ手渡して席に戻る。
腕時計を確認する。飛行機の時間までは、まだ余裕があるが、GWで混雑していることも予想して早めに空港へ向かっておこう。
席に戻り、手早く荷物をまとめて、支度を進めていると、健太に声を掛けられた。
「大地、もう行く感じ?」
「うん、まだ飛行機までは時間あるけど、ちょっと早めに行こうと思う」
「そっか。気をつけて行って来いよ」
「ノート代のお土産よろしくー」
俺がいない間の出席とノートを代わりに取っておいてくれる対価として、詩織たちからはお土産を要求されている。
「はいよ、まあ、無難なのでいいだろ?」
「1人に対して12個入りのやつね」
「まさかの1人1箱?!」
「それはそうでしょ、一週間いないんだから! ね、綾香っち」
「え!? あ、あはは……」
詩織に突然話を振られ、綾香は苦笑いを浮かべてた。
顔には出していないが、愛梨さんとのブッキングの出来事で、多少尾を引いている部分はあるだろう。
「帰省、楽しんできてね」
「ありがと」
そう一言だけ言葉を交わして、俺は荷物を背負った。
「じゃ、行ってくるわ」
「おう、気を付けてな!」
「いってらっしゃーい」
「お土産よろしく~」
「分かった分かった」
3人に見送られながら、手をヒラヒラと振り返して教室を後にして、俺は空港へと向かった。
◇
空港へ到着すると、GW初日ということもあり、保安検査場は大混雑をしていた。最後尾に並んで保安検査場を通るのに30分近くを要した。早めに空港へ着いておいて正解である。
保安検査場を無事に通り抜け、俺が乗る飛行機が出発する搭乗ゲートへ向かう。
ゲートの近くの椅子には、GWの旅行客と思われるキャリーケースを持った家族連れが多く見受けられ、飛行機を待つ人で混雑していた。
俺は、何とか座れる場所を見つけて椅子に腰掛ける。
しばらくどこを見るでもなく、ボケっと時間を過ごしていると、俺が乗る飛行機の、搭乗開始のアナウンスが流れ、搭乗口へ向かうため立ち上がる。
搭乗ゲートをくぐり、飛行機へ乗りこみ、指定の座席へと着席した。
機内は見渡す限り満席で、多くの旅行客で賑わっている。
しばらくすると、飛行機が動き出し、安全設備のご案内の映像が流れる。
離陸の順番待ちの影響で、予定時刻よりもいくらか遅れていたが、無事に滑走路にたどり着いた飛行機は、エンジン音を鳴り響かせ、猛スピードが加速していき、空へと飛び立った。
俺は無事に飛行機が離陸し、ほっと息を撫で下ろして、新千歳空港までの飛行時間を昼寝に費やすことにした。
◇
ドンっと言う音と共に、ガタガタっと機内が揺れ、俺は目を覚ました。
ブレーキ音と空気抵抗の音が鳴り響き、飛行機が減速していき、身体が持っていかれる。
窓から外を眺めると、飛行機は無事に着陸して、新千歳空港に到着した。
飛行機が駐機場に停車し、シートベルト着用サインが消える。シートベルトを外して荷物棚から荷物を取りだし、降車を待っていた。
しばし待つと、『飛行機のドアが開きました』というアナウンスと共に人の列が動き出し、飛行機から降りた。
飛行機から出ると、都内では感じられない肌寒さを感じた。俺はシャツにジャケットを1枚羽織っていただけなので、思わず身震いをした。
空港の外へ出ると、さらに寒さが身に染みた。
北の大地は5月にも関わらず、冬がようやく開けたくらいの肌寒さ。都内は時に三十度超える日もあったので、寒暖差の違いが如実に表れている。
身体が冷える前に、俺は目的地行きのバスへそそくさと乗りこんだ。
バスに乗りこんでから、手荷物の方に入れておいたグレーのトレーナーを身に着ける。しばらくしてトレーナーを着た効果が表れ、身体が温まってきた。
気が付けばバスの中はほぼ満席状態だった。バスのドアが閉まり、ゆっくりと走り出して、目的地へと向けて出発した。
やはり連休初日ということもあり、道路がとても混雑していた。とはいっても、都内の大渋滞とは違い、渋滞しているわけではなく、普段ほとんど車通りがないような道に、車が走っているので交通量が多いということである。
バスは定刻通りに目的地へと向けて走行していく。
外の北の大地特有の雄大な景色を眺めている間に、遠くの方に広がる、俺の故郷である町が見えてきた。
バスが故郷の街へ入ると、最初に出迎えてくれたのは、辺り一面の草原に、春の花が咲きほこってる幻想的な光景だった。
都内では見られない懐かしい光景に、どこか心がほっと安らぐような感じがする。
しばらく街道沿いの一本道を走ると、住宅街がちらほらと現れ始め、バスは街の中心地へと入っていく。
俺は、バス終点である駅前のバスターミナルの一つ手前の停留所で、降車ボタンを押してバスを降りた。
バスから降りると、この地域特有の海風が身体全体を襲う。
俺は風に逆らうようにバスが通って来た道を戻り、裏路地を右に曲がる。
しばらく一本道を歩き、四つ角を右に曲がると、見慣れた光景が見えてきた。
白塗りの壁に囲まれた2階建ての鉄筋コンクリート製の家は、広々とした庭先に、母親の趣味である沢山の花が綺麗に咲き乱れており、『南』と手作り感満載の表札が味を出していた。
1か月ぶりの実家は、帰ってくるのが1カ月とは思えないほど、久しい感じがした。
俺はしみじみとそんなことを思いながら家のインターフォンを押した。
しばらく、家にいるはずの人物を待っていると、可愛らしい元気な声がインターフォン越しから響いてきた。
「はーい」
「ただいま、大空」
「あっ! お兄ちゃん!」
インターフォン越しのカメラで、俺の姿を確認した妹は、声のトーンが跳ね上がり、嬉しそうな声上げる。慌てた様子でガチャっと受話器を切ったかと思うと、玄関の方から足音が聞こえ、ガラガラと二重扉になっている玄関を開けて、妹が駆け寄ってきた。
「お兄ちゃん、お帰りー!」
とびっきりの笑顔で、俺に飛び付いて出迎えてくれたのが、俺の可愛い可愛い自慢の妹、南大空だ。
少し茶髪がかった肩の辺りまで伸びた黒髪を揺らし、あどけなさが残る顔だちに、パッチリとした可愛らしい目にスベスベの白い肌、スっと小高い小さな鼻に口角をニコっと上げた可愛らしい唇。そんなパーフェクトな妹が、俺の元へ駆け寄ってきて抱き付いてくる。
「ただいま大空ーお兄ちゃんが帰って来たぞー!」
「お兄ちゃん! 会いたかったよ~! お兄ちゃんに会えなくて寂しかったよ~!」
飛びついてきて、顔を俺の胸元辺りでスリスリする妹を、俺はギューっと思いっきり抱きしめた。
この春で中学3年生になった大空は、成長期ということもあり少し体つきがこの1カ月で大人びたような気がした。特に胸の辺りが……これは、愛花よりも大空の方があるのではないかとつくづく思ってしまった。
「はぁ~お兄ちゃん成分充電完了」
「もう平気なのか??」
「まだダメだけど、1週間あるし、この後たっぷり補充するから大丈夫!」
幸せそうな笑みを浮かべながら、大空はエヘヘと笑った。守りたいこの笑顔……
「さ、お兄ちゃん。寒いからとっとと家に入った入った」
「おう!」
妹に腕を引かれながら、1カ月ぶりの実家へ、俺は足を踏み入れた。
二人は、最後に捨て台詞のように『今度は二人っきりで一緒に寝ようね』と、次の予約まで完了されてしまう始末。
そんな修羅場??をなんとか乗り切った中、世間はゴールデンウィークに突入した。社会人にとっては嬉しい大型連休。しかし、俺たち大学生にGWはない。
いつもの教室で、俺は頬杖をつきながら、怠惰な状態で教授の授業の話を聞いていた。
授業の日程調整が合わないとかなんとかで、うちの大学は、祝日は休み扱いにはならず、普通に授業がある。マジで大学の上層部は何を考えてるんだ? 小学校から高校までの学校は休みで、大半の社会人も休みなんだし、大学も休みにしようぜ! それに、教授の事情で勝手に平日の授業が休講になったりするんだから、授業の回数がどうたらこうたらとか、考えないでいい気がする。
俺はそんな小言をぶつくさ考えながら、教室を眺める。
GWということもあり、家族でどこか出かける人や、遊びの予定を入れている人が多いらしく、いつもの授業の人数の半分以下しか授業を受けていない。大学は授業の出席に関してはあまり重視はしていないため、自主休校してる人が多いみたいだ。
そして、俺もその自主休校の波に乗る形でこの授業が終わり次第。来週の金曜日まで、北の大地へと帰還する。本当は夏休みまで帰る予定はなかったものの、妹からのラブコールには勝てなかった。可愛い妹のお願いされちゃ、帰省しないなんて選択肢は俺にはないからない!
授業の最後に、教授が珍しく授業内で課題を出してきた。GWで人が少ないこともあり、来てくれた人に対価として、この課題を提出すれば、期末テストに加点してくれるとのことだった。
教授側もGWは人が減るというのを見越して、こういう世間の波に逆らって、意地悪なことしてきやがる。俺が帰省している間に、他の授業でもこのような課題が出ないことを祈るしかない。
俺は、さくっと課題を終わらせて、前の教授へ手渡して席に戻る。
腕時計を確認する。飛行機の時間までは、まだ余裕があるが、GWで混雑していることも予想して早めに空港へ向かっておこう。
席に戻り、手早く荷物をまとめて、支度を進めていると、健太に声を掛けられた。
「大地、もう行く感じ?」
「うん、まだ飛行機までは時間あるけど、ちょっと早めに行こうと思う」
「そっか。気をつけて行って来いよ」
「ノート代のお土産よろしくー」
俺がいない間の出席とノートを代わりに取っておいてくれる対価として、詩織たちからはお土産を要求されている。
「はいよ、まあ、無難なのでいいだろ?」
「1人に対して12個入りのやつね」
「まさかの1人1箱?!」
「それはそうでしょ、一週間いないんだから! ね、綾香っち」
「え!? あ、あはは……」
詩織に突然話を振られ、綾香は苦笑いを浮かべてた。
顔には出していないが、愛梨さんとのブッキングの出来事で、多少尾を引いている部分はあるだろう。
「帰省、楽しんできてね」
「ありがと」
そう一言だけ言葉を交わして、俺は荷物を背負った。
「じゃ、行ってくるわ」
「おう、気を付けてな!」
「いってらっしゃーい」
「お土産よろしく~」
「分かった分かった」
3人に見送られながら、手をヒラヒラと振り返して教室を後にして、俺は空港へと向かった。
◇
空港へ到着すると、GW初日ということもあり、保安検査場は大混雑をしていた。最後尾に並んで保安検査場を通るのに30分近くを要した。早めに空港へ着いておいて正解である。
保安検査場を無事に通り抜け、俺が乗る飛行機が出発する搭乗ゲートへ向かう。
ゲートの近くの椅子には、GWの旅行客と思われるキャリーケースを持った家族連れが多く見受けられ、飛行機を待つ人で混雑していた。
俺は、何とか座れる場所を見つけて椅子に腰掛ける。
しばらくどこを見るでもなく、ボケっと時間を過ごしていると、俺が乗る飛行機の、搭乗開始のアナウンスが流れ、搭乗口へ向かうため立ち上がる。
搭乗ゲートをくぐり、飛行機へ乗りこみ、指定の座席へと着席した。
機内は見渡す限り満席で、多くの旅行客で賑わっている。
しばらくすると、飛行機が動き出し、安全設備のご案内の映像が流れる。
離陸の順番待ちの影響で、予定時刻よりもいくらか遅れていたが、無事に滑走路にたどり着いた飛行機は、エンジン音を鳴り響かせ、猛スピードが加速していき、空へと飛び立った。
俺は無事に飛行機が離陸し、ほっと息を撫で下ろして、新千歳空港までの飛行時間を昼寝に費やすことにした。
◇
ドンっと言う音と共に、ガタガタっと機内が揺れ、俺は目を覚ました。
ブレーキ音と空気抵抗の音が鳴り響き、飛行機が減速していき、身体が持っていかれる。
窓から外を眺めると、飛行機は無事に着陸して、新千歳空港に到着した。
飛行機が駐機場に停車し、シートベルト着用サインが消える。シートベルトを外して荷物棚から荷物を取りだし、降車を待っていた。
しばし待つと、『飛行機のドアが開きました』というアナウンスと共に人の列が動き出し、飛行機から降りた。
飛行機から出ると、都内では感じられない肌寒さを感じた。俺はシャツにジャケットを1枚羽織っていただけなので、思わず身震いをした。
空港の外へ出ると、さらに寒さが身に染みた。
北の大地は5月にも関わらず、冬がようやく開けたくらいの肌寒さ。都内は時に三十度超える日もあったので、寒暖差の違いが如実に表れている。
身体が冷える前に、俺は目的地行きのバスへそそくさと乗りこんだ。
バスに乗りこんでから、手荷物の方に入れておいたグレーのトレーナーを身に着ける。しばらくしてトレーナーを着た効果が表れ、身体が温まってきた。
気が付けばバスの中はほぼ満席状態だった。バスのドアが閉まり、ゆっくりと走り出して、目的地へと向けて出発した。
やはり連休初日ということもあり、道路がとても混雑していた。とはいっても、都内の大渋滞とは違い、渋滞しているわけではなく、普段ほとんど車通りがないような道に、車が走っているので交通量が多いということである。
バスは定刻通りに目的地へと向けて走行していく。
外の北の大地特有の雄大な景色を眺めている間に、遠くの方に広がる、俺の故郷である町が見えてきた。
バスが故郷の街へ入ると、最初に出迎えてくれたのは、辺り一面の草原に、春の花が咲きほこってる幻想的な光景だった。
都内では見られない懐かしい光景に、どこか心がほっと安らぐような感じがする。
しばらく街道沿いの一本道を走ると、住宅街がちらほらと現れ始め、バスは街の中心地へと入っていく。
俺は、バス終点である駅前のバスターミナルの一つ手前の停留所で、降車ボタンを押してバスを降りた。
バスから降りると、この地域特有の海風が身体全体を襲う。
俺は風に逆らうようにバスが通って来た道を戻り、裏路地を右に曲がる。
しばらく一本道を歩き、四つ角を右に曲がると、見慣れた光景が見えてきた。
白塗りの壁に囲まれた2階建ての鉄筋コンクリート製の家は、広々とした庭先に、母親の趣味である沢山の花が綺麗に咲き乱れており、『南』と手作り感満載の表札が味を出していた。
1か月ぶりの実家は、帰ってくるのが1カ月とは思えないほど、久しい感じがした。
俺はしみじみとそんなことを思いながら家のインターフォンを押した。
しばらく、家にいるはずの人物を待っていると、可愛らしい元気な声がインターフォン越しから響いてきた。
「はーい」
「ただいま、大空」
「あっ! お兄ちゃん!」
インターフォン越しのカメラで、俺の姿を確認した妹は、声のトーンが跳ね上がり、嬉しそうな声上げる。慌てた様子でガチャっと受話器を切ったかと思うと、玄関の方から足音が聞こえ、ガラガラと二重扉になっている玄関を開けて、妹が駆け寄ってきた。
「お兄ちゃん、お帰りー!」
とびっきりの笑顔で、俺に飛び付いて出迎えてくれたのが、俺の可愛い可愛い自慢の妹、南大空だ。
少し茶髪がかった肩の辺りまで伸びた黒髪を揺らし、あどけなさが残る顔だちに、パッチリとした可愛らしい目にスベスベの白い肌、スっと小高い小さな鼻に口角をニコっと上げた可愛らしい唇。そんなパーフェクトな妹が、俺の元へ駆け寄ってきて抱き付いてくる。
「ただいま大空ーお兄ちゃんが帰って来たぞー!」
「お兄ちゃん! 会いたかったよ~! お兄ちゃんに会えなくて寂しかったよ~!」
飛びついてきて、顔を俺の胸元辺りでスリスリする妹を、俺はギューっと思いっきり抱きしめた。
この春で中学3年生になった大空は、成長期ということもあり少し体つきがこの1カ月で大人びたような気がした。特に胸の辺りが……これは、愛花よりも大空の方があるのではないかとつくづく思ってしまった。
「はぁ~お兄ちゃん成分充電完了」
「もう平気なのか??」
「まだダメだけど、1週間あるし、この後たっぷり補充するから大丈夫!」
幸せそうな笑みを浮かべながら、大空はエヘヘと笑った。守りたいこの笑顔……
「さ、お兄ちゃん。寒いからとっとと家に入った入った」
「おう!」
妹に腕を引かれながら、1カ月ぶりの実家へ、俺は足を踏み入れた。
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