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第二章 寝泊り開始編
第二十三話 時間割(春香1泊目)
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優衣さん朝おっぱい事件の後、俺は大学で授業を受け終えて、岐路へとついていた。
授業中、春香からトークアプリに『今日家行っていい?』とメッセージが届いており、授業が終わった後予定のなかった俺は、
『あぁ、別にいいぞ。何時ごろ来るの? 迎えに行くけど』
と送っておいた。
春香からの返信は、電車に乗り込んだ頃に来た。
内容を確認すると、
『もう最寄りの駅に着いたから早く来て』
と返信が帰って来た。あいつ、仮に俺がダメって言っても、絶対来たやつだろこれ。
春香の返信に、思わずに苦笑の笑みを浮かべながらも、
『分かった、もうすぐ駅着くから待ってろ』
と返信を返して、最寄り駅へと急いだ。
◇
最寄り駅に到着して階段を登り改札口を抜けると、柱のところにスマホを操作しながら待っている春香がいた。相変わらずの金髪に、フリルの白いスカートとオレンジのカーディガンを羽織り、爽やかな感じがする格好で、肩にはピンクのボストンバックを提げていた。
俺は春香の元へ向かって手を振った。
「おまたせ」
俺が声を掛けると春香もニコっと微笑んで手をあげた。今日は機嫌が良好なようで何よりだ。
「お、意外と早かったじゃん」
「お前は、なんでこんなに早いんだよ……」
「だって、今日全休だし」
「全休……だと!?」
『全休』
世の大学生が羨ましがるワードランキングでは間違いなく上位に入る言葉の一つだ。
『全休』とは、大学生の間では、授業がなく一日中休みの平日のことを言うのだが、土曜日も含めて週六授業の俺にとっては、夢のまた夢のワードだった。俺はおそるおそる春香に尋ねた。
「お前、大学週何回?」
「え? 週四だけど」
週四……だと!?
俺が絶望したように口を大きく開けていると、春香がキョトンと首を傾げる。
「あれ? 大地もしかして週五?」
春香はちょっと申し訳なさそうに聞いてきた。しかし、春香の頭の辞書には、土曜日授業というワードは存在していないらしく、当たり前のように土日休み前提で聞いてきた。俺は悲壮感漂う声でぼそっと呟いた。
「いや、週六だけど……」
俺が答えると、春香はポカンと呆けたように口を開け、頭の上にはてなマークが浮かんでいるような表情を見せていた。
しばらくして、ようやく週六というワードの意味を理解したのか、春香の表情が驚いたものに変わる。
「はぁ!? 週6って、土曜日も授業あるの!?」
「そうだよ」
「何それ、高校の時よりも辛いじゃん。かわいそ」
春香が俺に同情の目で見つけてくる。
「やめろ、憐れむ目をするな! まあ、高校の時も部活で土曜日行ってたし、別にあんまり変わらねぇよ」
俺は捨て台詞のようにそんなことを嘆いた。
「うわぁー……」
すると、春香はジトっとした目で俺を見つけてくる。
「な、なんだよ……?」
俺は睨み返し、何か言いたげにしている春香に言葉の続きを促す。
「社会の闇にドップリと染まってるー」
「うるせぇよ、とっとと行くぞ」
俺は負け惜しむようにスタスタと歩き始める。
「うわ、誤魔化したぁー」
春香はニヤッと勝ち誇ったような笑みを浮かべながら、後をついてきた。
くそっ……必修授業め! 絶対に許すまじ。
◇
スーパヘ立ち寄り、夕食の食材などを調達して春香とアパートへ向かっている途中、お互いの時間割を見せあうことになった。
「うわっ、何この時間割、空き時間多! 授業の取り方下手くそなの!?」
「しょうがねーだろ、取れる授業が間に全然ねぇんだよ」
「それにこの必修科目の見事な別れ具合……あんたの学部鬼畜だね」
「ほっとけ」
春香の時間割を見せてもらうと、授業がある日は基本的に三、四コマ授業を入れており、空き時間があっても一コマ分のみ、効率よく授業が受けられるシステムになっていた。
一方俺の方は、六週のため一日一コマしか授業がない日もあり、二限の後五限の授業まで膨大な空き時間を遊ばせてしまうという、超非効率的な時間割となっていた。
「いいなぁー。俺もこんな感じに授業取りたかった」
思わずため息交じりにそんな独り言が出てしまう。
「ふふーん、いいでしょ! って言っても、友達が教えてくれたんだけどね」
自慢げに春香は胸を張って言ってくる春香の言葉を聞いて、俺はつい頬を緩めてしまう。そんな俺の反応が不思議だったのか、春香はキョトンと首を傾げた。
「どうしたの急に? ニヤニヤして気持ち悪いよ」
「ひでぇな、お前」
にやけた顔しただけなのにディスられちゃったよ。
俺は一つ咳ばらいをしてから、言葉を続けた。
「いや、あんなに心配してたくせに、問題なく友達出来たんだなっと思ってよ」
俺がそう言うと、春香はポっと頬を赤くした。おそらく、俺の部屋で不安な表情を見せていた時のことを思い出したのだろう。
春香は俯きながらぽそっと口を開く。
「うん……ありがとね色々と……」
感謝の言葉を述べてきた春香に対して、俺はふっと微笑んだ。
「どういたしまして」
お互いにどこか嫌じゃない和やかな沈黙が訪れつつ、アパートへ向かっていった。
授業中、春香からトークアプリに『今日家行っていい?』とメッセージが届いており、授業が終わった後予定のなかった俺は、
『あぁ、別にいいぞ。何時ごろ来るの? 迎えに行くけど』
と送っておいた。
春香からの返信は、電車に乗り込んだ頃に来た。
内容を確認すると、
『もう最寄りの駅に着いたから早く来て』
と返信が帰って来た。あいつ、仮に俺がダメって言っても、絶対来たやつだろこれ。
春香の返信に、思わずに苦笑の笑みを浮かべながらも、
『分かった、もうすぐ駅着くから待ってろ』
と返信を返して、最寄り駅へと急いだ。
◇
最寄り駅に到着して階段を登り改札口を抜けると、柱のところにスマホを操作しながら待っている春香がいた。相変わらずの金髪に、フリルの白いスカートとオレンジのカーディガンを羽織り、爽やかな感じがする格好で、肩にはピンクのボストンバックを提げていた。
俺は春香の元へ向かって手を振った。
「おまたせ」
俺が声を掛けると春香もニコっと微笑んで手をあげた。今日は機嫌が良好なようで何よりだ。
「お、意外と早かったじゃん」
「お前は、なんでこんなに早いんだよ……」
「だって、今日全休だし」
「全休……だと!?」
『全休』
世の大学生が羨ましがるワードランキングでは間違いなく上位に入る言葉の一つだ。
『全休』とは、大学生の間では、授業がなく一日中休みの平日のことを言うのだが、土曜日も含めて週六授業の俺にとっては、夢のまた夢のワードだった。俺はおそるおそる春香に尋ねた。
「お前、大学週何回?」
「え? 週四だけど」
週四……だと!?
俺が絶望したように口を大きく開けていると、春香がキョトンと首を傾げる。
「あれ? 大地もしかして週五?」
春香はちょっと申し訳なさそうに聞いてきた。しかし、春香の頭の辞書には、土曜日授業というワードは存在していないらしく、当たり前のように土日休み前提で聞いてきた。俺は悲壮感漂う声でぼそっと呟いた。
「いや、週六だけど……」
俺が答えると、春香はポカンと呆けたように口を開け、頭の上にはてなマークが浮かんでいるような表情を見せていた。
しばらくして、ようやく週六というワードの意味を理解したのか、春香の表情が驚いたものに変わる。
「はぁ!? 週6って、土曜日も授業あるの!?」
「そうだよ」
「何それ、高校の時よりも辛いじゃん。かわいそ」
春香が俺に同情の目で見つけてくる。
「やめろ、憐れむ目をするな! まあ、高校の時も部活で土曜日行ってたし、別にあんまり変わらねぇよ」
俺は捨て台詞のようにそんなことを嘆いた。
「うわぁー……」
すると、春香はジトっとした目で俺を見つけてくる。
「な、なんだよ……?」
俺は睨み返し、何か言いたげにしている春香に言葉の続きを促す。
「社会の闇にドップリと染まってるー」
「うるせぇよ、とっとと行くぞ」
俺は負け惜しむようにスタスタと歩き始める。
「うわ、誤魔化したぁー」
春香はニヤッと勝ち誇ったような笑みを浮かべながら、後をついてきた。
くそっ……必修授業め! 絶対に許すまじ。
◇
スーパヘ立ち寄り、夕食の食材などを調達して春香とアパートへ向かっている途中、お互いの時間割を見せあうことになった。
「うわっ、何この時間割、空き時間多! 授業の取り方下手くそなの!?」
「しょうがねーだろ、取れる授業が間に全然ねぇんだよ」
「それにこの必修科目の見事な別れ具合……あんたの学部鬼畜だね」
「ほっとけ」
春香の時間割を見せてもらうと、授業がある日は基本的に三、四コマ授業を入れており、空き時間があっても一コマ分のみ、効率よく授業が受けられるシステムになっていた。
一方俺の方は、六週のため一日一コマしか授業がない日もあり、二限の後五限の授業まで膨大な空き時間を遊ばせてしまうという、超非効率的な時間割となっていた。
「いいなぁー。俺もこんな感じに授業取りたかった」
思わずため息交じりにそんな独り言が出てしまう。
「ふふーん、いいでしょ! って言っても、友達が教えてくれたんだけどね」
自慢げに春香は胸を張って言ってくる春香の言葉を聞いて、俺はつい頬を緩めてしまう。そんな俺の反応が不思議だったのか、春香はキョトンと首を傾げた。
「どうしたの急に? ニヤニヤして気持ち悪いよ」
「ひでぇな、お前」
にやけた顔しただけなのにディスられちゃったよ。
俺は一つ咳ばらいをしてから、言葉を続けた。
「いや、あんなに心配してたくせに、問題なく友達出来たんだなっと思ってよ」
俺がそう言うと、春香はポっと頬を赤くした。おそらく、俺の部屋で不安な表情を見せていた時のことを思い出したのだろう。
春香は俯きながらぽそっと口を開く。
「うん……ありがとね色々と……」
感謝の言葉を述べてきた春香に対して、俺はふっと微笑んだ。
「どういたしまして」
お互いにどこか嫌じゃない和やかな沈黙が訪れつつ、アパートへ向かっていった。
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