上京して一人暮らし始めたら、毎日違う美少女が泊まりに来るようになった

さばりん

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第二章 寝泊り開始編

第二十一話 酔っ払い夜(優衣1泊目)

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 土日回って月曜日。
 衝撃的な朝を迎えた土曜日は、二日酔いが酷く頭がズキズキと痛んでいたので、新学期開始一週間足らずで早くも初めての自主休校じしゅきゅうこうをしてしまった。

 授業があるのに休んでしまった背徳感はいとくかんと申し訳なさと共に、休んで休日を自由に過ごすという開放感を早くも覚えてしまった。なるほど、こうして一人暮らしの大学生は、家が近いからと余裕余裕と調子ぶっこいて、徐々に遅刻や自主休校が増え、堕落だらくした生活に陥り、そのまま大学をフェードアウトしていくんだなと実感した。

 そんな自堕落じだらく大学生にならぬよう、俺は心を入れ替えて、何とか重い腰を上げて大学へ登校した。

 今日は授業が午後からで朝ゆっくりと眠れたの功を奏して、気持ちを切り替えるにはちょうど良かった。

 これ以上自主休校したら、落第らくだいまっしぐらだしね。
 それに、女優業をしながら大学に通っている綾香に面目めんもくが立たなくなっちゃうし、ここはもう一度身を引き締めないと!

 そう自分に言い聞かせて、なんとか大学へと登校し授業教室へ向かうと、先についた健太が席を取ってくれていた。俺は健太の元へ駆け寄っていき、開口一番に謝った。

「おはよう、健太。そして、先週はごめん!」
「おう、大地! いいって、気にするな。こういうのはお互いさまって事よ!」
 
 健太はケロっとした口調で気にしている様子はまるでなく、あっさりと簡単に許してくれた。だがその直後、ニヤリとした笑みを浮かべ、俺に肩を回してきて小声で話しかけてくる。

「で、あの後どうたっだんだよ?」
「え?」
「とぼけんな。愛梨さんに家まで送ってもらったんだろ? 俺が帰った後のこと、詳しく教えろよ。せっかく二人きりにしてやったんだからよ」

 健太がニヤニヤしながら聞いてくる。

「いやぁ、実は夜のこと全く記憶になくて……朝起きたら愛梨先輩の書置きだけ置いてあって、あとは全然覚えてないんだよ」
「なんだよそれ、つまんねぇの」

 健太は期待外れだとでも言った様子で、俺の肩から腕を離して席に戻ってしまう。
 まあ、朝起きたら隣に寝てたことは、愛梨さんにトップシークレットって言われてるし、例え友達であろうとも、女の子と交わした秘密は口外できない。すまんな友よ。

そんなやり取りをしていると、詩織と綾香も教室へとやって来た。

「おはよっす! おぉ、大地復活してる! 大丈夫だった?」
「おう、詩織。心配かけてすまんな、この通り元気だよ」
「大地くん……よかったぁ……土曜日授業来なかったから心配してたんだよ」
「心配してもらっちゃってごめんね綾香。土曜日は二日酔いが酷くて欠席しただけだから、もう大丈夫だよ」
「よかったぁ……」

 綾香は本当に心配してくれていたようで、ほっと胸を撫でおろしてくれた。
 こんな美少女女優にプライベートで心配してもらえるなんて……大地感激!

「二人はあの後大丈夫だった? 普通に帰れた?」
「もっちろん! 綾香っちにりつくゲスイ男どもは、全員私が追い払ってやったわ!」
「私たちは詩織ちゃんがいたから平気だったよ」
「そかそか、なら安心だ」

 そんな会話を交わしながら、何がともあれ俺の初の新入生歓迎会は、ハプニングの連続がありながらも幕を閉じ、日常の大学生活が戻って来た。


 ◇

 家に帰った後、のんびりとテレビを見てくつろいでいた。
 ふと壁の掛け時計に目をやると、時刻は夜の十時を回ろうとしていた。

 明日も大学の授業があるし、そろそろ寝る準備をしようと立ち上がり、洗面所で歯を磨き始めた時だ。

 ドスドスとアパートの外の廊下の方からものすごい重量感じゅうりょうかんあふれる足音が聞こえてきた。
 
 洗面所でシャカシャカ歯を磨きながら何事かと聞き耳を立てていると、ドスドスという足音は、リズム感が悪く足取りもおぼつかない様子で、徐々に俺の部屋へと近づいてくる。そして、俺の家のドアがドンドンと大きく叩かれる。
 
 俺はびくっと身震いして全身に鳥肌が立った。歯を磨き終えてうがいをした後、恐る恐る玄関へと忍び足で向かい、ドアの小窓を覗いた。
 しかし、小窓から廊下を見ても、人影の姿はなく、心細く灯る蛍光灯の光に照らされた薄暗い廊下の手すりしか見えない。
 
 恐る恐るドアノブに手を掛けて、意を決してドアを開けようとすると、コンと何かぶつかった。何かドアに引っ掛かっているらしい。

 少し力を入れてドアを無理やり押し開けると、チラっと人の足首のようなものが見えた。どうやら、誰かがドアに寄りかかっているらしい。

「もしも~し」

 俺が問いかけると、心もとない声が返ってくる。

「う~ん……」
 
 うなり声を上げている声のトーンから察するに、どうやら寄りかかっているのは女性のようだ。
 俺はなんとか一人分通れる隙間すきまを開けることに成功し、顔を外にのぞかせた。
 するとそこには、完全に脱力しきった状態で、ドアを壁代わりにして寄りかかって地べたに座り込んでいるスーツ姿の優衣ゆいさんがいた。表情は緩みきっており、茹で上がったように顔を真っ赤にして、夢うつつな感じだ。様子から見て泥酔でいすいしているらしい。

「ちょっと優衣さん、こんなところで寝てたら風邪ひきますよ」

 俺が声を掛けると、優衣さんはモソモソと身体を動かす。

「うーん。ただいま……お母さん」
「お母さんじゃないです。大地です」
「ん? 大地くん? にひぃ~ただいまぁ~」
「いやっ、ただいまじゃなくて……」

 どうしようこの状況……とりあえず、ここで寝られるのも困るので、優衣さんを家へ運んであげることにする。

「優衣さん、家の鍵はどこにありますか?」

 俺がそう尋ねると、五秒くらい経ってからようやく反応が返って来た。

「鍵ぃ~? あぁ~バッグ……」

 優衣さんが手元に掴んでいる黒いバッグを動かした。どうやらそこに家の鍵が入っているようだ。

「ちょっと、失礼しますよ」

 そういって俺は、優衣さんの手からバッグを拝借して、中身をあさって家の鍵を探す。
 だが、スマホや財布などは見つかったが、いくら探しても家の鍵は見つからない。一応、優衣さんのスーツのすそポケットも探してみたが、鍵は見つからなかった。

「ないな……どうしよう」

 その間に、優衣さんはスヤスヤと寝音を立てながら眠ってしまっていた。
 はぁっと大きなため息をついて、俺は仕方なく優衣さんを俺の部屋に引き取ってあげることにした。
 
 優衣さんをおぶると、予想していたよりも軽く、すぐに持ちあげることが出来た。
 背中に優衣さんの大きな胸が当たっているが、今は意識せずに優衣さんを介抱するのが優先だ。
 そう言い聞かせて、一度玄関に座らせて靴を脱がせる。

「優衣さん一回靴脱がしますよ」

 う~んと唸りながらも、ダラッと脱力した優衣さんの身体は、今にもべたっと地べたに倒れこみそうだ。その身体を支えながら、俺はなんとかヒールを脱がしていく。

 ようやく脱がしたところで、俺は次の作業へと移る。

「そこに寝っ転がっててもいいので、ちょっと待っててくださいね」

 そう優衣さんに言い残して、俺は先に部屋の中へと入り、押し入れから来客用の布団を取りだして部屋に敷き、優衣さんを置ける状態を整える。
 
 再び玄関に行くと、案の定優衣さんはしかばねのように横たわっていた。

「優衣さん、布団まで頑張れますか?」

 俺が尋ねると、優衣さんは「うん。」と小さな声で頷いた。

「捕まっていいですからね、頑張って!」

 優衣さんの腕を俺の肩に回して、半ば強引に起き上がらせ、太もも辺りを掴んで再びおんぶして持ち上げる。
 
 またも、優衣さんの色々と柔らかい部分が俺の背中に直撃しているが、ここは気にせずにちゃっちゃか優衣さんを運んでいく。
 
 布団の前まで優衣さんを運び、ゆっくりと布団へ下ろしてあげる。

「はい、布団に着きましたよ。そのままリラックスしてください」
 
 俺がそう言うと、グデーンと優衣さんは布団に寝っ転がった。俺は寝転がった優衣さんにそっと毛布を掛けてあげる。
 
「よしっ、これでひとまずいいかな」
 
 ようやく優衣さんを布団に運び終えて、額を拭う。
 それにしても、優衣さんの胸……凄い柔らかかったなぁ……。
 思わず自分の背中に引っ付いた感触を思い出してしまうが、首を横に振って忘れて、ひとまず自分も睡眠の準備を整える。
 
 優衣さんと少し間を取って隣に布団を敷き、トイレを済ませる。

 再び布団を敷いた部屋に戻ってくると、優衣さんがモゾモゾと動いていた。
 俺は慌てて優衣さんのところへ向かう。

「どうしました?」
「んんっ、暑い……」

 スーツを着たまま毛布を掛けてしまったので、暑息苦しくなってしまったようで、もがきながら必死にスーツを脱ごうとしていた。

「あぁ、ちょっと待って」

 俺は慌てて毛布をはがした。優衣さんはスーツのボタンではなくブラウスのボタンを外してしまっており、綺麗な鎖骨と紫色のブラがスーツ越しに見え隠れしていた。

 俺は咄嗟とっさに視線を逸らすが、チラっと優衣さんのスーツのボタンへ視線を集中させて、スーツのボタンを外して脱がせてあげる。
 
 脱がしてあげたのはいいが、ブラウスののみになったせいで、鎖骨や紫色のブラ越しに見える胸の谷間がより鮮明に見えるようになってしまい、意識が自然とそちらへ向いてしまう。
 
 なんとか視線を逸らして、脱がしたスーツをシワが付かないようにハンガーに掛けてあげた。
 すると、まだ何やらモゾモゾと物音が聞こえたので、優衣さんの方を振り返ると、今後はパンツを脱ごうと、ジッパーに手を掛けて今にも脱ぎ出そうとしていた。

「うわ、ちょっと! それは毛布の中でやって!」

 咄嗟に俺は、優衣さんに毛布を掛けて隠す。
 
毛布を掛けられた優衣さんは、少々動きづらそうにしていたが、しばらくすると「ふぅ~」と満足そうな吐息を漏らして表情を緩ませた。どうやら無事にズボンを脱ぎ終えたらしい。

 すると、布団からちょこっと脱ぎ終えたズボンがはみ出しているのが見えた。俺はそっとそのズボンを回収して、シワにならないようにハンガーに掛けてあげることにした。
 布団にくるまっていたせいなのか、脱いだばかりだったからなのかは分からないが、脱ぎたてのスーツパンツは、ぬくぬくしていて温かかった。
 そして今、布団の中では下着姿の優衣さんが……っていかんいかん、余計なことを考えるな俺!
 自分自身にそう言い聞かせるように、首を左右に振って煩悩を振り払う。
 
 少し落ち着いたところで、目覚ましのタイマーをセットして、自分の布団へと入り、部屋の明かりを消した。
 
 横になって優衣さんの方を確認すると、スヤスヤと吐息を立てて眠っている。
 
 俺もその要素を確認して、仰向けになって目を閉じた。最後にドタバタして疲れてしまったのか、すぐに眠気が襲ってきてくれた。
 
 俺の思考は、そのままゆっくりと睡魔の闇へと吸い込まれていった。
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