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第二章 ― 争奪戦 ―
第33話 はじめまして、おにいちゃん♪
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異世界生活スケジュールにアルバイトが加わり、俺たちは初日から五日目となる今日まで毎日、キノコ集めを行った。
正直なところ、せっかく学校から解放されたのだから、家でゴロゴしまくりのスローライフを送りたかったのだが、オルガがうるさいので仕方ない。オルガにガミガミ言われるより、外に出てキノコ集めてた方がマシだ。ジェニーたちにも会えるしな。
食事を共にした日の後も、ジェニーたちとは交流が続いている。彼女たちとは友達になれそうで嬉しい。
「よし、この辺り一帯のバッタモンダケの駆逐完了っと」
俺は額の汗を拭い、一面に転がっているバッタモンダケを籠の中へどんどん投げ入れていく。
バッタモンダケ――Lv3のモンスターをこれだけ毎日倒してるんだ。そろそろ俺のレベルも上がっていそうだよな。一度ギルドに行ってステータス見てもらおうかな。
「ショウマ様ー! こっちに来てください!」
などと考えていると、少し離れたところで行動しているマリンの声が聞こえた。
「何だ?」
声がした方に向かって少し歩くと、木々によって隠されていたマリンの姿が現れる。
「見てください、この子」
「この子?」
マリンの目の前には、緑色のドレスを着た幼女がいた。
幼女と目が合う。
「こんにちは、おにいちゃん♪」
俺に気がつくと、無垢な笑顔で幼女は言った。
「ああ、こんにちは」
ハイライトが効いている緑色の目に、太ももまで伸びたボリュームのある金髪のロングヘア。現実感がない。まるで人形のような――絵本から飛び出してきたような雰囲気を感じさせる女の子だった。
それもそのはずだった。
その子は、俺たち人間にはないものを持っていた。
「そ、それ……ネコの耳?」
幼女の頭にはネコミミがぴょこりと生えていた。
お尻にはふわふわした尻尾もある。
「かわいい!」
「えへへっ」
堪らずマリンがその子の頭をナデナデすると、幼女は嬉しそうに笑う。
ファンタジーあるあるの獣人ってやつか? いいぞ、ここに来て一番ファンタジーっぽい!
「君はここで何をしてるんだ?」
お近づきになりたいと思い、話しかける。
「お散歩だよ」
「こんな森に一人でか? 危ないぞ、近くにはモンスターもいるし」
「怖くなんてないよ。ミンナ愛しくて可愛い子たちなんだもん♪」
「そ、そうか?」
うーむ、幼さ故か、状況が理解できていないのかな? 放っておくわけにもいかないし、家があるところまで送っていくべきか。
「おねえちゃん、私とおトモダチになってくれるの?」
頭を撫で続けているマリンに幼女が抱きつく。
「いいよ、お姉ちゃんがお友達になって、たくさん遊んであげる」
マリンの敬語じゃない話し方を初めて聞く。新鮮だ。
「わーい♪ 嬉しー、おトモダチだぁ。おトモダチぃ」
「なぁ、君、名前はなんて――」
「わーたーなーべーくーん!」
幼女に名前を尋ねようとしたとき、遠くからジェニーの声がしたので、そちらの方に顔を向けた。
すると、ジェニーが俺たちに全力疾走で向かっている姿が見えた。普段だるそうに過ごしているジェニーがダッシュとは珍しい。
「おお、ジェニー」
ジェニーが俺たちの前まで来ると立ち止まり、辺りをキョロキョロし出した。
「今、何かいた?」
「ああ、実はネコミミ少女が……ってあれ?」
振り向くと、マリンの側にいたはずの幼女はいなくなっていた。
「ふえ?」
抱きつかれていたはずのマリンですら、行方を見失ってしまったようだった。
「おっかしいな。確かにそこにいたんだけ……ど!?」
ジェニーが俺にめっちゃ顔を近づけていた。
ツッコミを入れそうになるが、今まで見たことのなかったジェニーの真剣な表情に圧倒され、口を開けることができない。
俺を数秒の間見つめた後、今度はマリンにも同じ行いをする。
「……ん、特に問題はなさそう」
「おい、ジェニーどうしたんだよ急に」
「んー、なんとなく二人がヤバイ気がして、走ってきた」
「何だよそれ。俺たちがバッタモンダケにやられてるとでも思ったのか?」
「なんとなく思っただけ。平気ならそれでいいやー。あ、いっけね、メシュくん置いてきちゃったよー」
ジェニーは踵を返して、メシュを探しに歩き出した。
「ったく、人騒がせなやつだな。ま、今日の分のキノコもだいたい取り終わったし、探すの手伝って帰るとするか」
「あ、でもさっきの子が……一人で大丈夫かな?」
「そうだな。メシュを探しながらあの子も探すか。日没前に見つかるといいが」
俺とマリンは、ジェニーの後を歩きだした。
「……ケホッコホッ……」
正直なところ、せっかく学校から解放されたのだから、家でゴロゴしまくりのスローライフを送りたかったのだが、オルガがうるさいので仕方ない。オルガにガミガミ言われるより、外に出てキノコ集めてた方がマシだ。ジェニーたちにも会えるしな。
食事を共にした日の後も、ジェニーたちとは交流が続いている。彼女たちとは友達になれそうで嬉しい。
「よし、この辺り一帯のバッタモンダケの駆逐完了っと」
俺は額の汗を拭い、一面に転がっているバッタモンダケを籠の中へどんどん投げ入れていく。
バッタモンダケ――Lv3のモンスターをこれだけ毎日倒してるんだ。そろそろ俺のレベルも上がっていそうだよな。一度ギルドに行ってステータス見てもらおうかな。
「ショウマ様ー! こっちに来てください!」
などと考えていると、少し離れたところで行動しているマリンの声が聞こえた。
「何だ?」
声がした方に向かって少し歩くと、木々によって隠されていたマリンの姿が現れる。
「見てください、この子」
「この子?」
マリンの目の前には、緑色のドレスを着た幼女がいた。
幼女と目が合う。
「こんにちは、おにいちゃん♪」
俺に気がつくと、無垢な笑顔で幼女は言った。
「ああ、こんにちは」
ハイライトが効いている緑色の目に、太ももまで伸びたボリュームのある金髪のロングヘア。現実感がない。まるで人形のような――絵本から飛び出してきたような雰囲気を感じさせる女の子だった。
それもそのはずだった。
その子は、俺たち人間にはないものを持っていた。
「そ、それ……ネコの耳?」
幼女の頭にはネコミミがぴょこりと生えていた。
お尻にはふわふわした尻尾もある。
「かわいい!」
「えへへっ」
堪らずマリンがその子の頭をナデナデすると、幼女は嬉しそうに笑う。
ファンタジーあるあるの獣人ってやつか? いいぞ、ここに来て一番ファンタジーっぽい!
「君はここで何をしてるんだ?」
お近づきになりたいと思い、話しかける。
「お散歩だよ」
「こんな森に一人でか? 危ないぞ、近くにはモンスターもいるし」
「怖くなんてないよ。ミンナ愛しくて可愛い子たちなんだもん♪」
「そ、そうか?」
うーむ、幼さ故か、状況が理解できていないのかな? 放っておくわけにもいかないし、家があるところまで送っていくべきか。
「おねえちゃん、私とおトモダチになってくれるの?」
頭を撫で続けているマリンに幼女が抱きつく。
「いいよ、お姉ちゃんがお友達になって、たくさん遊んであげる」
マリンの敬語じゃない話し方を初めて聞く。新鮮だ。
「わーい♪ 嬉しー、おトモダチだぁ。おトモダチぃ」
「なぁ、君、名前はなんて――」
「わーたーなーべーくーん!」
幼女に名前を尋ねようとしたとき、遠くからジェニーの声がしたので、そちらの方に顔を向けた。
すると、ジェニーが俺たちに全力疾走で向かっている姿が見えた。普段だるそうに過ごしているジェニーがダッシュとは珍しい。
「おお、ジェニー」
ジェニーが俺たちの前まで来ると立ち止まり、辺りをキョロキョロし出した。
「今、何かいた?」
「ああ、実はネコミミ少女が……ってあれ?」
振り向くと、マリンの側にいたはずの幼女はいなくなっていた。
「ふえ?」
抱きつかれていたはずのマリンですら、行方を見失ってしまったようだった。
「おっかしいな。確かにそこにいたんだけ……ど!?」
ジェニーが俺にめっちゃ顔を近づけていた。
ツッコミを入れそうになるが、今まで見たことのなかったジェニーの真剣な表情に圧倒され、口を開けることができない。
俺を数秒の間見つめた後、今度はマリンにも同じ行いをする。
「……ん、特に問題はなさそう」
「おい、ジェニーどうしたんだよ急に」
「んー、なんとなく二人がヤバイ気がして、走ってきた」
「何だよそれ。俺たちがバッタモンダケにやられてるとでも思ったのか?」
「なんとなく思っただけ。平気ならそれでいいやー。あ、いっけね、メシュくん置いてきちゃったよー」
ジェニーは踵を返して、メシュを探しに歩き出した。
「ったく、人騒がせなやつだな。ま、今日の分のキノコもだいたい取り終わったし、探すの手伝って帰るとするか」
「あ、でもさっきの子が……一人で大丈夫かな?」
「そうだな。メシュを探しながらあの子も探すか。日没前に見つかるといいが」
俺とマリンは、ジェニーの後を歩きだした。
「……ケホッコホッ……」
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