俺のチートって何?

臙脂色

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第二章   ― 争奪戦 ―

第28話 キノコ狩り~!

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 初心者ギルドからの帰り道。

 「キノコ集めるだけの仕事かぁ。退屈だな」

 俺はぼやいていた。

 「お仕事楽しみじゃないんですか?」

 マリンが聞いてくる。

 「拾ったものを食えるならまだしもだけど、集めるだけじゃね。マリンは楽しみなのか?」

 「はい。楽しみですよ。生えてるキノコは一種類だけじゃないみたいですし、どんなキノコがあるのか興味があります」

 「ふーん、そういう考えもあるのか……マリンってさ、趣味とかあるの?」

 ふと、気になった。
 マリンは何に興味を持っていて、何が好きなんだろう。

 「趣味ですか……」

 遠くを見るマリン。

 「小さい頃はよく小物作りをしていた覚えがあります」

 「小物作りって例えば何を作るの?」

 裁縫とかで作るっていう漠然としたイメージはあるが、具体的なことはわからない。

 「作った経験があるのは、人形や財布やバック、帽子とかですね。他にもいろいろありますよ」

 「へぇ、マリンは手先が器用なんだな」

 「そんな、器用なんて言われるほどじゃないですよ」

 「今度何か作ってもらおうかな。あ、財布。財布作ってくれよ。巾着袋じゃ隙間から金貨が落っこちそうなんだよな」

 「いいですよ。でも、作るには材料と裁縫道具が必要なんですけど……」

 訴えるようにマリンが俺に視線を送る。

 「おう、買おう買おう。せっかくバイトするんだし、好きなもの買っちまおう」

 「ありがとうございます! ……あの、ショウマ様の趣味は何ですか?」

 「俺? 俺の趣味か……」

 うーむ。
 スポーツもゲームも満遍なくやってるけど、どれか一つに拘ってるわけでもないからなぁ。改めて考えると俺って無個性だな。マリンが興味津々に瞳をこっちに向けているが、どうしたものかな。ここで、趣味無いとか言ったら、つまんない男だと思われるかな……。

 「……と……友達と話すことかなー?」

 無理矢理捻り出した。
 ってオイィッ?! 友達と話すことって何だよ! それは趣味って呼んでいいものか?! こんなのマリンも呆れて――。

 「素敵な趣味ですね!」

 マリンは屈託の無い笑顔で言った。
 ああ、マリン! 君は本当に優しい娘だねぇ!

 「どんなお話をするんですか?」

 「そうだなぁ。友達のA君とはよくギャルゲーの話をするか――」

 アホか俺はぁ?! ギャルゲーの話しなんて持ち出したら引かれちゃうだろ!

 「……ぎゃるげーって何ですか?」

 せ、セーフ。まだ誤魔化せるぞ。

 「えーっとねー、主人公の男がー、女の子やと仲良くなってー、彼らには悩み事があるんだけどー、そういうのを頑張って解決してー、最後に女の子やとすごく仲良くなるゲームかなー」

 ……我ながら酷い説明だ。
 男の部分をかなり強調して言ったから、女の子がいっぱい出てくるゲームだとは思われていないはず。
 でも、嘘は言ってないぞ。大抵のギャルゲーには親友の男キャラが出てくるわけだし、実際親友キャラがいい味を出してる作品は多いし。

 「わぁ、面白そう。私もやってみたいです」

 「そ、そうだな。いつかな」


 そのまま他愛の無い会話を続けながら、オルガの宿へと帰った。
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