俺のチートって何?

臙脂色

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第二章   ― 争奪戦 ―

第26話 初心者ギルド

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 「おい、ナベウマ。ギルドに行って来い」

 朝食の最中、藪から棒にオルガが言ってきた。

 「急に何だよ。ギルドって?」

 日本で有名なあの某ハンティングゲームのギルドか?

 「ハローワークみたいなところだ」

 予想と全然違った。

 「働いて来いと?」

 「それ以外に何があるってんだ?」

 「でもさ、わざわざギルド行く必要はないよ。大通りにあるいくつかの店がアルバイト募集してるから、二週間後ぐらいにそこで雇ってもらおうと思ってる」

 オルガが黙り、頭をワシワシと掻く。
ああ、これは文句を垂れるパターンだ。

 「ナベウマ。お前さん、夏休みの宿題は最終日にやる性格だろ」

 ギクッ! 何故それを!

 「お前さんの人生だし勝手だが、そうやってギリギリまで動こうとせずダラダラと過ごしているのは褒められたことじゃないぞ」
 「わ、わかったよ。明後日くらいには行くよ」

 「それにだ。アルバイトはせいぜい時給900Gだろう? 仮に週5で一日8時間働き、金がそのままもらえるとして……月に14万G程度しか稼げない。それでどうやって暮らすつもりだ?」

 「14万もあれば十分じゃ? 2万Gの安いアパート見つけたから、なんとかなると思うんだけど」

 「それ、電気代とか水道代も考えてるか?」
 「それくらい考えてるよ」

 「家具を買う余裕はあるのか? 税金は? 保険は? 貯金は? 病気にかかったら治療代払えるのか? そもそもマリンちゃんに質素な暮らしを続けさせ――」
 「だーっ! わかったよ! 行くよ、行きます! ギルドに行けばいいんだろ!」

 「おう、行ってきな。身分証明書はちゃんとポッケに突っ込んでおけ。あと、冒険者ギルドでもなく魔法ギルドでもないからな。初心者ギルドってところだからな、間違えるなよ」


 初心者ギルドに向かうことを余儀なくされ、俺とマリンは外に出た。

 オルガのやつ、口うるさいったらない。まるで自分の母親みたいだ。
……親父はうるさくなかったな……。


 街の案内板に従い、無事に初心者ギルドに到着する。この建物も木造だが、内装は和風モダンといった感じで、古臭くなく現代風だ。

 「こんにちは。ただいま順番待ちですので、こちらの番号が呼ばれるまでお待ちください」

 入り口付近にいたウェイトレスのような格好をした女性から、25番と記された紙を渡される。

 呼ばれるのを待つ間、辺りを観察していたが、どうも俺と同じ状況である人々が多く見受けられた。
俺とマリンのように、男女一組が受付係と話しており、服装もジャージ姿がほとんど。中には、マリンが最初着ていたのと同じ布面積が小さいワンピースを着たままの女の子もいる。

 で、ここで新たなことに気がつく。
女性の方が主導権を握っている組がいくつかあった。しかも、その組では男性側のほとんどが茶色の無地の短パンと半袖を着ている。

 考えてみれば、転生者が必ず男だとは限らないよな。女の転生者だっているだろう。
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