俺のチートって何?

臙脂色

文字の大きさ
上 下
25 / 172
第一章   ― ワールドガイダンス ―

第22話 みきみきつんぱかるていは

しおりを挟む
 ちょっと待ってくれ。
 自然な流れでマリンが残っているが、オルガが保護してくれるんじゃないのか? 俺が面倒を見ろと?

 ……パートナー、か。

 オルガが言っていた言葉を改めて咀嚼そしゃくする。
 マリンは俺のパートナーだと言っていた。マリン自身、俺のことを何故か慕っているし、命令に従う。 ……ああ、ダメだ。謎が多すぎる。

 「悩み事ですか?」

 マリンが首をかしげて、心配そうにこちらを見ている。
 そんな些細な仕草にですら、ドキっとしてしまうのだから俺ってチョロイな。

 「えっとさ、マリンって両親はどこに住んでるんだ?」

 とにかく、マリンについてもっと知る必要があるだろう。

 「…………」

 え? その間は何? もしかしてこれ聞いちゃいけなかったやつ?

 「両親は私が小さい頃に亡くなってしまいました」

 いけなかったやつだあ!

 「ごめん……嫌なこと思い出させちゃって」

 「いいえ。もう昔のことですから」

 「……それからもずっと一人だったの? 身寄りとかは?」

 「いません。両親が死んでから私、ご主人様と会ったあの森の中で、ずっと一人で過ごしてきましたから」

 あの森の中を一人で? にわかに信じがたいぞ。
 例え上手いことモンスターとの遭遇を避け、食糧を調達できたとしても、身なり――特に髪が整いすぎているのは絶対におかしい。普通そんな環境にいたら髪なんてすぐボサボサになるはずだ。

 冷静に考えられる環境になって、改めて考えてしまう。
 俺はマリンを信用していいのか?

 ……うーん。
 どーかなぁ。
 いーのかなぁ。

 ……ああもう! メンドくせぇ!
 こうやってウジウジ考えるのは性に合わねぇ!
 とりあえず、他のことからやるぞ。

 と、意気込んでみたものの、何からやるべきか。

 ふと、マリンの足元に視線を落とす。

 うん、まずはマリンの靴が必要だな。
 ワンピース1枚なのも良くないし、服も買いに行くか。あとは――ッ!!

 ある事に気づいてしまった俺は、固唾を飲み込む。

 「ま、ママママママリンさん?」

 「は、はい? どうしました?」

 俺のキョドリっぷりに、マリンが少し驚く。

 「これからさ、マリンの靴とか服を買いに行こうと思うんだけど」

 「いいんですか?!」

 マリンが両手を胸の前で合わせて、目を輝かせる。

 「そ、それでさ。その……ブ……ブ……ジャー」

 「すみません。よく聞こえなかったのでもう一度言ってもらえますか?」

 「ブラジャー! とパンツ! もほしいぃい?!」

 力み過ぎて最後声が裏返った。

 「あ……あう……はい、お願いします……」

 マリンが顔を耳まで真っ赤にする。
 それと同じくらい俺も赤面してしまう。


 本当は、今ブラジャーをつけているのか、パンツを穿いているのか聞こうと思ったが、返答次第では理性が爆発しかねなかったのでやめておくことにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

モブです。静止画の隅っこの1人なので傍観でいいよね?

紫楼
ファンタジー
 5歳の時、自分が乙女ゲームの世界に転生してることに気がついた。  やり込んだゲームじゃ無いっぽいから最初は焦った。  悪役令嬢とかヒロインなんてめんどくさいから嫌〜!  でも名前が記憶にないキャラだからきっとお取り巻きとかちょい役なはず。  成長して学園に通うようになってヒロインと悪役令嬢と王子様たち逆ハーレム要員を発見!  絶対お近づきになりたくない。  気がついたんだけど、私名前すら出てなかった背景に描かれていたモブ中のモブじゃん。  普通に何もしなければモブ人生満喫出来そう〜。  ブラコンとシスコンの二人の物語。  偏った価値観の世界です。  戦闘シーン、流血描写、死の場面も出ます。  主筋は冒険者のお話では無いので戦闘シーンはあっさり、流し気味です。  ふんわり設定、見切り発車です。  カクヨム様にも掲載しています。 24話まで少し改稿、誤字修正しました。 大筋は変わってませんので読み返されなくとも大丈夫なはず。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【書籍化進行中、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...