俺のチートって何?

臙脂色

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第一章   ― ワールドガイダンス ―

第21話

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 そんなこんなあって。
 門からマリンを背負い直して歩くこと体感30分。俺たちはとある二階建ての木造住宅の前に着く。

 「ここが一ヶ月間、お前さんらの家になるところだ」

 「……なんていうか、普通に家だな。もっとこう、アパートっぽいものを想像してたぞ。それとも一軒丸々俺たちが借りていいってことなのか?」

 「ナベウマ、お前さん民宿を知らんのか?」

 「聞いたことはあるけど……」

 「ふむ、簡単に言えば、俺の家に空いてる部屋があるから自由に使ってよし、ということだな。ちょうど、先輩転生者たちが一気に退去していったから、静かに過ごせるぞ」


 静かか、それはいいな。前の世界ではアパート住まいだったが、上の階のドンドン歩く音がうるさいのなんの。


 オルガに案内され、家の中へ。最初に受けた印象は、意外にも綺麗、だった。田舎に住んでいるお婆ちゃん家を想像していたが、壁紙が剥がれている箇所もないし、フローリングもしっかりとワックスがけされていて光沢を放っている。
 とりあえず、ここなら裸足でも問題ないのでマリンを背中から降ろすことにした。あー疲れた。

 油断すると転がり落ちそうな階段を登り、一番奥に進んで右手にある襖が開けられると、そこには6畳ほどの畳部屋があった。4人で囲んでちょうどの大きさの四角い机が一つと、隅に真っ白な敷布団、掛け布団が置いてある。あと言えることは、窓にガラスの変わりに障子がはめられていることくらいか。妙に茶色っぽい障子だが、障子って雨とかに濡れて大丈夫なものだっけ?

 「今日から一ヶ月、ここがお前さんたちの拠点になる。トイレ、キッチンは一階にある共有のやつだ。風呂に関しては近くに銭湯があるからそこに行け……少し待ってろ」

 オルガが部屋を出て下の階に下りていった。
 それほど時間が経たない内にオルガは戻ってきた。丸々と膨らんだ巾着袋を片手に持って。

 「一ヶ月分の生活費10万ゴールドだ。好きなように使えばいい。ちなみにゴールドの価値はだいたい日本円と同じで1Gあたり1円だ。わかりやすいだろ?」

 「……あのさ」
 「何だ?」

 「さっきから言ってるその一ヶ月なんだけど、過ぎたらどうなんの?」

 「当然、ここから出てってもらう。あと国への納税義務も発生するぞ」
 「お金は?」

 「自分で稼ぐんだな」

 「………ど――」
 「どうやって稼ぐかは自分で考えなナベウマ。質問すれば大人が皆答えてくれるような世界じゃないんだここは。ちったー自立するんだな」

 オルガは俺とマリンを残して部屋から出た。
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