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第一章 ― ワールドガイダンス ―
第20話 フィラディルフィア王国 東区
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期待に胸を膨らませながら、歩く。
一歩一歩進む度に、門の先の景色が明確になっていく。
木造、木造、木造。
漆喰と木で組み立てられた家が多く建ち並んでいた。
ってめっちゃ和風ーー?!
完全に江戸時代あたりを題材にした時代劇で見たことがある建物しかなかった。
ヨーロッパは? 西洋は? と、キョロキョロ辺りを見回すと、江戸の街並みの中に明らかに異質な建物がいくつかある。それらは全体的に白くて四角く、細かな彫刻がなされている。西洋の建物もあるにはあるが圧倒的に和風が大半を占めていた。
「お前さん、めっちゃ和風とか思ったろ?」
隣にいたオルガが俺の顔を覗きこんでくる。
「な、何でわかった」
「ワハハ! だいたい初めてここに来たヤツはそう考えるからな。ここらはな、王国の中でも東に位置しているんだが。日本人とか台湾人とか東アジアからの転生者は決まって東に現れるもんだから東区は自然と日本人が多くなって、建てられる家の傾向もそれに対応したものになったってわけだ」
「へぇ」
チリンチリン。
人が往来している中、自転車が景気よくベルを鳴らして走っているのが見えてしまった。
……過去と現在がごちゃまぜになったような世界だな。
「それじゃオルガ、私クエストあるからー」
レイヤが俺たちに向かって手を振る。
クエスト……仕事ってことだよな多分。
「おう。気をつけてな」
「ショウマ君……マリンちゃんのこと、短い間でも大切にしてあげてね」
ん?
レイヤは杖を持つ男とともに去って行った。
何か含みのある言い方だったな。まあいいか、それより――。
「これからどうするんだよ、おっさん。正直重いからそろそろ腰を落ち着けたいんだけど」
初めは余裕があったが、だんだん腕が疲れてきた。これが乳酸が溜まってーとかいうやつかな。
おや? 何故かオルガがヤレヤレ顔になっている。
「あ、あ……」
マリン?
「今すぐ降ります! もう大丈夫ですから!」
「わっとお?!」
マリンが急に暴れたために、俺はバランスを崩して倒れてしまった。
「いててて……マリンごめ――!」
目を開けると、マリンの顔がすぐ近くにあった。
マリンが仰向けになっているところに、俺が上からかぶさるような形になっている。
キラキラした目に、地面に広がる青い髪。
偶発的に起きてしまったこととはいえ、女の子を押し倒したような光景に心臓が高鳴る。
「……昼間の、しかも公衆の面前で何興奮してやがんだ」
「はっ!」
オルガの一言で我に返った。
俺はすぐに立ち上がると、マリンの手を掴んで引っ張り起こした。
「ハハハ! 興奮なんてしてるわけななないでしょーががが! やだなーオルガくんはもー! 面白くも無いじょジョーダン言わんでよー!」
笑いながら、マリンの服や髪についた砂をパタパタと払う。
「ご、ご主人様?」
「壊れたか」
「アーッハッハッハ!」
……死ぬほど恥ずかしい。
一歩一歩進む度に、門の先の景色が明確になっていく。
木造、木造、木造。
漆喰と木で組み立てられた家が多く建ち並んでいた。
ってめっちゃ和風ーー?!
完全に江戸時代あたりを題材にした時代劇で見たことがある建物しかなかった。
ヨーロッパは? 西洋は? と、キョロキョロ辺りを見回すと、江戸の街並みの中に明らかに異質な建物がいくつかある。それらは全体的に白くて四角く、細かな彫刻がなされている。西洋の建物もあるにはあるが圧倒的に和風が大半を占めていた。
「お前さん、めっちゃ和風とか思ったろ?」
隣にいたオルガが俺の顔を覗きこんでくる。
「な、何でわかった」
「ワハハ! だいたい初めてここに来たヤツはそう考えるからな。ここらはな、王国の中でも東に位置しているんだが。日本人とか台湾人とか東アジアからの転生者は決まって東に現れるもんだから東区は自然と日本人が多くなって、建てられる家の傾向もそれに対応したものになったってわけだ」
「へぇ」
チリンチリン。
人が往来している中、自転車が景気よくベルを鳴らして走っているのが見えてしまった。
……過去と現在がごちゃまぜになったような世界だな。
「それじゃオルガ、私クエストあるからー」
レイヤが俺たちに向かって手を振る。
クエスト……仕事ってことだよな多分。
「おう。気をつけてな」
「ショウマ君……マリンちゃんのこと、短い間でも大切にしてあげてね」
ん?
レイヤは杖を持つ男とともに去って行った。
何か含みのある言い方だったな。まあいいか、それより――。
「これからどうするんだよ、おっさん。正直重いからそろそろ腰を落ち着けたいんだけど」
初めは余裕があったが、だんだん腕が疲れてきた。これが乳酸が溜まってーとかいうやつかな。
おや? 何故かオルガがヤレヤレ顔になっている。
「あ、あ……」
マリン?
「今すぐ降ります! もう大丈夫ですから!」
「わっとお?!」
マリンが急に暴れたために、俺はバランスを崩して倒れてしまった。
「いててて……マリンごめ――!」
目を開けると、マリンの顔がすぐ近くにあった。
マリンが仰向けになっているところに、俺が上からかぶさるような形になっている。
キラキラした目に、地面に広がる青い髪。
偶発的に起きてしまったこととはいえ、女の子を押し倒したような光景に心臓が高鳴る。
「……昼間の、しかも公衆の面前で何興奮してやがんだ」
「はっ!」
オルガの一言で我に返った。
俺はすぐに立ち上がると、マリンの手を掴んで引っ張り起こした。
「ハハハ! 興奮なんてしてるわけななないでしょーががが! やだなーオルガくんはもー! 面白くも無いじょジョーダン言わんでよー!」
笑いながら、マリンの服や髪についた砂をパタパタと払う。
「ご、ご主人様?」
「壊れたか」
「アーッハッハッハ!」
……死ぬほど恥ずかしい。
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