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第一章 ― ワールドガイダンス ―
第18話 ステータス
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勢いこそあったマリンだったが、ネズミモンスターを殺すのに、そこそこ時間を要した。女の子な上、あの細腕なんだから、当然といえば当然のことではある。じっくりと作業を行った分、彼女の手は血に塗れていた。
マリンは酷く動揺……していなかった。血に対して不快そうな表情こそしてはいるが、気分を悪くしている様子はない。俺の手がもしあんなに血だらけだったら、目眩を起こしそうだ。
……そういえば昔、母親が言ってたような気がするな。女は血に慣れてるって。
「お二人とも、お疲れ様でした」
男がマリンにアルコールが染みたティッシュを手渡しながら言った。あれだけのことをやらせておいて、何の感慨も無い口調だ。
「それではステータスを拝見させていただきます」
男の目の瞳孔部分が青く光り出した。少しビビる俺。
「渡辺 勝麻さんレベル2、マリンさんレベル2、各ステータス標準」
レベル? ステータス?
これはまたずいぶんとゲームっぽい単語が飛び出してきたな。俺はゲーマーではないが、知名度の高いゲームはだいたいやっている。レベルだのステータスだのは、ほとんどのゲームで見かけるな。
「お二人とも、『階層跳躍』ではないことが確認できましたので、身分証明書を発行させていただきます」
男は懐から白紙のカードを2枚取り出すと、ボールペンでさらさらと慣れた手つきでカードに文字を書き込んでいく。
って、ボールペンあるのかよ。アルコール除菌といい、実はこの世界、元の世界とあんまり文明の発展度にあまり差がないんじゃないだろうか。
ボールペンをしまうと、男はそれぞれのカードに印鑑らしきものを押し、俺とマリンへ渡した。
「これであなた方は正式な国民となりました。ようこそフィィラディルフィア王国へ」
フィラディルフィア王国。この国の名前か。
「よし、行くぞ」
オルガが歩き出す。
男もそれに続く。
「マリン」
怪我も治って体力が回復した俺は、再びマリンを背負うとする。前のときのように、またマリンが遠慮がちな態度になったので、命令して無理やりオンブした。
マリンは酷く動揺……していなかった。血に対して不快そうな表情こそしてはいるが、気分を悪くしている様子はない。俺の手がもしあんなに血だらけだったら、目眩を起こしそうだ。
……そういえば昔、母親が言ってたような気がするな。女は血に慣れてるって。
「お二人とも、お疲れ様でした」
男がマリンにアルコールが染みたティッシュを手渡しながら言った。あれだけのことをやらせておいて、何の感慨も無い口調だ。
「それではステータスを拝見させていただきます」
男の目の瞳孔部分が青く光り出した。少しビビる俺。
「渡辺 勝麻さんレベル2、マリンさんレベル2、各ステータス標準」
レベル? ステータス?
これはまたずいぶんとゲームっぽい単語が飛び出してきたな。俺はゲーマーではないが、知名度の高いゲームはだいたいやっている。レベルだのステータスだのは、ほとんどのゲームで見かけるな。
「お二人とも、『階層跳躍』ではないことが確認できましたので、身分証明書を発行させていただきます」
男は懐から白紙のカードを2枚取り出すと、ボールペンでさらさらと慣れた手つきでカードに文字を書き込んでいく。
って、ボールペンあるのかよ。アルコール除菌といい、実はこの世界、元の世界とあんまり文明の発展度にあまり差がないんじゃないだろうか。
ボールペンをしまうと、男はそれぞれのカードに印鑑らしきものを押し、俺とマリンへ渡した。
「これであなた方は正式な国民となりました。ようこそフィィラディルフィア王国へ」
フィラディルフィア王国。この国の名前か。
「よし、行くぞ」
オルガが歩き出す。
男もそれに続く。
「マリン」
怪我も治って体力が回復した俺は、再びマリンを背負うとする。前のときのように、またマリンが遠慮がちな態度になったので、命令して無理やりオンブした。
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