俺のチートって何?

臙脂色

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第一章   ― ワールドガイダンス ―

第14話 レイヤ

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 体感で10分くらい歩いたときだった。
 道に出た。獣道とは違う、明らかに人の手によって整えられた砂利道で、普通自動車がこの世界にあれば3台は平行して走れるほどの幅がある。

 「ここまで来れば、王国まではすぐだ」

 オルガは道に沿って歩き出した。向かう先には崖から見えていた街がある。遠くの崖から見ていたときと違い、この距離まで来ると、都市がどれほど巨大なものなのかわかった。

 「でっかいな。一体人口どんだけいるんだ?」

 「約300万だ。全人類の6割があそこで暮らしている」

 「うへー、多いな」

 とは言ってみたが、数が大きすぎて現実感が湧かない。東京の人口と同じぐらいだろうか? いや、それよりは少ないか?日本の人口が約1億2千万なのは知ってるが、各都道府県の人口なんて考えたこともなかったのでわからない。

 って、そんなことはどうでもいいか。
 あの街にはどんな光景が広がっているんだろう。
 RPGのような夢に満ちた活気溢れる街だといいなぁ。

 俺はワクワクしながらオルガの後を歩いた。


 しばらく歩き続けて、小さな丘になっているところを超えると、ついに街の門が見えた。門もまた巨大で、ヨーロッパ風にアーチ状の形になっている。
 そこでようやく、王国が高い壁に囲まれていることに気がつく。壁の外側には水堀もあり、街を出入りするには門を通るしかなさそうな造りだ。

 「オルガ」

 女性の声にハッとする。

 前から人影が現れた。それも二人。
 一人は女性。オレンジ髪のショートヘアで毛先は外ハネしている。鎧を着て剣を腰に差している姿からして剣士か。
 もう一人は白いマントを羽織った男性で、自身の身長と同じぐらいの長さの杖を片手に握っている。それとは逆の手で白い袋を持ち歩いているが、あれは何だろう。


 「その子が転生者? 今回はずいぶんと若そうな子が来たわね。私はレイヤ。貴方の名前は? 歳はいくつ?」
 「渡辺 勝麻。18だ」

 「へぇ~、未成年転生者なんて初めて見たわ。ヨロシクね、ショウマくん」

 見た感じ20代ぐらいのレイヤが、俺を興味深そうにまじまじと見てくる。
 グイグイ来るなこの人。

 「お前さん、18だったのか。どおりで言動がいちいち子供っぽいわけだな」

 オルガがすごく納得したような口調でウンウンと何回も頷く。
 ほっとけ。


 「あら、この子!」

 レイヤがオルガに抱き上げられているマリンに気がつくと、うわずった声をあげた。

 「めちゃくちゃ可愛い! こんなキュートな娘がパートナーだなんて贅沢よ、贅沢!」
 「ふぇ? わ、わわ」

 マリンの頬に、レイヤは自らの頬を合わせスリスリした。
 マリンは助けて欲しそうにこちらに視線を送ってくるが、こういうテンションの持ち主を相手にするのは苦手だ。
 マリンには悪いが成り行きを見守ることにしよう。

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