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第一章 ― ワールドガイダンス ―
第12話 チートについて
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「急いでチート能力を確認しなきゃいけない理由でもあるのかよ」
「あるとも。ナベウマお前はこれからどうやって生活費を稼ぐか考えてるか?」
む。
そういえば俺はこれからどうやって暮らせばいいんだろう。常識外れの状況を受け入れるので精一杯で、先のことなんて考えていなかった。
オルガの質問に、首を横に振る。
「だろうな。いいかよく聞け。この世界での職業は自分が持つ能力によって決まる。例えば俺のような戦闘向きの能力は、モンスターの討伐、護衛、探索が主な仕事になる。生産系の場合は服、料理、建物、道具といった具合にいろいろ作る。魔法が使えるやつは――」
「魔法?! この世界魔法があんの?!」
実にファンタジーらしい響きじゃないか!
いいね、まさに剣と魔法のRPGって感じだ!
「話を遮るなよ。やれやれ、今回の転生者はずいぶんと子供っぽいな」
「んなっ!」
カチンッときたぞ。
「ほれ、すぐ感情が面に出る。おまけに大人に対する話し方もなっちゃいない」
「どんな態度をとろうが俺の勝手だろ。親でもないのに説教すんなよ」
……父親面しやがって胸糞悪い。
こういう奴に限ってダメ人間だったりするんだよな。
……チッ、嫌なこと思い出しちまった。
俺は唇をゆがめて、不快そうな表情をオルガに向けた。
「ご主人様、大丈夫ですか?」
そんな俺の顔を見たマリンが心配そうにこちらを見つめる。
「少しムカついただけ、平気だよ」
無意識に声にはまだ怒りが籠っていた。
オルガは何事も無かったかのように先程の話しを続ける。
「魔法使いは使える魔法の種類によって仕事内容ががらりと変わるが、だいたいはエンチャントがメインになる」
「エンチャント?」
「例えば、ナベウマの止血のために使ったそのガーゼ。全く血が滲み出てこないだろ?」
オルガに言われて腹を見ると、ガーゼは確かに血で赤く染まってはいたが、滲みでそうなほどではなかった。
あれだけ出血してたのに、どうなってるんだこれ?
「そのガーゼには『能力向上』のチート魔法がかけられていて、その能力はその物体の能力を一つだけ指定して高めることができるというものだ」
「じゃあこのガーゼは吸水性を高めてるってことか?」
オルガが頷く。
「とまぁ、以上のようにチート能力は人々の生活に深く関わっているわけだ。自分のチート能力を知ることの重要性が少しはわかったか?」
「あるとも。ナベウマお前はこれからどうやって生活費を稼ぐか考えてるか?」
む。
そういえば俺はこれからどうやって暮らせばいいんだろう。常識外れの状況を受け入れるので精一杯で、先のことなんて考えていなかった。
オルガの質問に、首を横に振る。
「だろうな。いいかよく聞け。この世界での職業は自分が持つ能力によって決まる。例えば俺のような戦闘向きの能力は、モンスターの討伐、護衛、探索が主な仕事になる。生産系の場合は服、料理、建物、道具といった具合にいろいろ作る。魔法が使えるやつは――」
「魔法?! この世界魔法があんの?!」
実にファンタジーらしい響きじゃないか!
いいね、まさに剣と魔法のRPGって感じだ!
「話を遮るなよ。やれやれ、今回の転生者はずいぶんと子供っぽいな」
「んなっ!」
カチンッときたぞ。
「ほれ、すぐ感情が面に出る。おまけに大人に対する話し方もなっちゃいない」
「どんな態度をとろうが俺の勝手だろ。親でもないのに説教すんなよ」
……父親面しやがって胸糞悪い。
こういう奴に限ってダメ人間だったりするんだよな。
……チッ、嫌なこと思い出しちまった。
俺は唇をゆがめて、不快そうな表情をオルガに向けた。
「ご主人様、大丈夫ですか?」
そんな俺の顔を見たマリンが心配そうにこちらを見つめる。
「少しムカついただけ、平気だよ」
無意識に声にはまだ怒りが籠っていた。
オルガは何事も無かったかのように先程の話しを続ける。
「魔法使いは使える魔法の種類によって仕事内容ががらりと変わるが、だいたいはエンチャントがメインになる」
「エンチャント?」
「例えば、ナベウマの止血のために使ったそのガーゼ。全く血が滲み出てこないだろ?」
オルガに言われて腹を見ると、ガーゼは確かに血で赤く染まってはいたが、滲みでそうなほどではなかった。
あれだけ出血してたのに、どうなってるんだこれ?
「そのガーゼには『能力向上』のチート魔法がかけられていて、その能力はその物体の能力を一つだけ指定して高めることができるというものだ」
「じゃあこのガーゼは吸水性を高めてるってことか?」
オルガが頷く。
「とまぁ、以上のようにチート能力は人々の生活に深く関わっているわけだ。自分のチート能力を知ることの重要性が少しはわかったか?」
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