俺のチートって何?

臙脂色

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第一章   ― ワールドガイダンス ―

第11話 胡散臭い

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 「傷口にガーゼを当ててっと、良し」

 俺の腹部を止血して、オルガは満足そうにしている。が。

 「全然良くねぇよ! いきなりモンスターと戦わせるとかあんた何考えてるんだ!」

 こっちは不満だらけだ。オルガには半信半疑のままついてきたけど、コイツはやっぱり信用できない。俺を甚振って楽しんでるだけじゃないのか?
 だったらさっさと縁を切って、マリンと一緒に街に向かうべきだ。
 待てよ、そもそもマリンだって信用できない。自分をいきなりご主人様と呼び慕ってくる女の子。どう考えたって裏があるだろ。ひょっとしてオルガとグルになって美人局つつもたせとかの可能性もあるんじゃ。

 「そう怒るなよ。この世界で生きていくために必要な確認だったんだ」
 「何の確認だ」

 自分でもわかる。今の俺の声には怒りが籠ってドスがきいてる。

 「その説明は歩きながらするとしよう」

 「この状態で歩けっていうのかよ?!」

 「薬草のおかげで今は痛みが抑えられてるだろう? 止血もしてるし、少しの間なら平気だ」

 ……少しの間、というワードに不安を覚えるのは俺だけだろうか。

 「どの道街に行かないと本格的な治療はできないぞ。マリンは俺が運んでやるから、ほら」


 いろいろ言いたいことはあるが、仕方ない。
 今一度オルガを信じて付き合うか。

 オルガは俺が立ち上がったことを確認すると、マリンを抱きかかえようとした。

 「あ……」

 のだが、マリンはこれを避けた。

 「忘れていた。パートナーは主人以外に触れられるのを嫌がるんだったな。ナベウマ」

 はいはい、命令しろってか。俺はマリンを背負ってやれる状態じゃないし、街までマリンを歩かせるわけにもいかない。オルガの言うことを聞くのは癪だが、言う通りにするとしよう。

 命令を下すと、マリンは素直にオルガに抱えられた。そこはもう少し渋々な態度を取ってほしいと思ってしまう俺。本当に命令したとおりのことをするんだな。


 「さて、話を戻すぞ」

 街へと再び歩き出してすぐ、オルガが口を開けた。

 「俺が確認したかったのは、ナベウマのチート能力が何なのかの確認だ」
 「チート能力?」

 ズルい能力って意味か?

 「わかりやすくいえば超能力みたいなもんだ。転生者は一人一つ必ず特異な能力をもってこの世界にやってくる。俺が見せた『鋼の肉体スチールボディ』もそれだ」

 「俺にもそんな能力が?」

 「さぁな。戦闘系のチートであれば、さっきの様に危機的状況に陥ればだいたい覚醒するはずだが、そうじゃなかったからな。戦いに関する能力ではないかもしれん」

 「それであんな荒っぽいことを……他にやりようはなかったのかよ」

 「やりようはあるが、他の方法は時間も手間もかかるからな。あれが一番手っ取り早い確認方法なんだよ」


 時間も手間もかかっていいから、別の方法にしてほしかった。
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