俺のチートって何?

臙脂色

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第一章   ― ワールドガイダンス ―

第6話 友達のA君

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 「痛っ…」

 後ろでマリンの痛がる声が聞こえた。
 何事かとマリンの様子を伺うと、座り込んで足の裏を手で押さえていた。
 足からはわずかだが、出血していた――って。

 「裸足?!」

 別世界に飛ばされたり、女の子が近かったり、おっさんが現れたり、忙しいことばかりで気づかなかった。
 マリンは靴を履いてなかったのだ。本当にワンピース1枚しか着てない状態なのか。

 「マリン」

 マリンに背を向けて、中腰になる。

 「ご主人様?」
 「負ぶさりなよ。痛いんだろ」

 「そんな! 大丈夫ですよ! ご主人様に背負ってもらうなんて――」

 「女の子が痛そうにしてるのを放っておけるわけないだろ。遠慮しなくていいから」

 「……それは命令でしょうか?」

 命令とかではなく、純粋な親切心なんだけどな。
 話が終わりそうにないから、そういうことにしておくか。

 「そう、命令」
 「……わかりました。失礼しますね」

 マリンが背中に乗ってきて、か細い両腕を首に回してきた。

 はぅっ?!

 その瞬間、ある事態に気がついてしまう。

 マリンの柔かな胸の感触が背にぃ!
 すっごくふにふにしてる! これがOPPAI!

 このとき俺は、前の世界で、高校の下校時にギャルゲーマニアである友達のA君が語っていたこと思い出していた。
 A君は、女の子が自分に胸を当ててくるスチュエーションに憧れていた。男なら誰でも妄想するであろう『当ててんのよ』シーンだ。
 「気づかずやってるなら天然ドジッ娘系。確信犯でやっていれば小悪魔系。どっちにしてもおいしい」と、彼は熱弁していたっけな。

 すまないA君。俺は一足先に夢を叶えてしまったようだ。人生で初めて感じる感触に、開いた口が塞がらない。

 「プッ」

 そんな俺の表情を見てか、オルガが軽く笑う。

 「な、なんだよ」
 「いーや、若いっていうのはイイネェと思っただけさ。それより、裸足なのわかってて放置してるのかと思っていたぞ」

 「いろいろありすぎて気づけなかったよ……って、その言い方あんた気づいてたのか」

 「おうともさ。転生者のパートナーっていうのは皆その格好で現れるからな」

 ということは、オルガは足を痛めてるマリンをわかってて放置してたのか? 酷いヤツだな。

 「悪かったな。坊主がどんな人間か見ておきたかったんだ。うんうん、ま、悪ガキではないようだ」

 「……それって褒めてる?」

 「あとは、童貞でスケベだってことがよくわかったぞ」
 「おい!」
 「ワハハハ!」
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