俺のチートって何?

臙脂色

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第一章   ― ワールドガイダンス ―

第5話 オルガ

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 「お、転生者はっけーん」

 「―!」

 後ろから渋い感じのおっさん声が聞こえ、振り返る。

 おいおい、何だよあの西洋ファンタジーに出てきそうな鎧は。

 赤い鎧を着た40代くらいの男がそこにはいた。

 「お熱いところ、悪いけど邪魔するよ。お前さん転生しただろ? そっちの青髪がパートナーか」

 こいつ……俺が別の世界からやってきたことを知ってる? それにパートナーって何だ?

 「右も左もわからんだろ。説明しながら村まで送ってやるからついてこい」

 この場合、信用してホイホイついていっていいのか? ……少なくとも、いきなり殺されるってことはない……よな?

 俺はその男の言葉に従った。


 「俺の名はオルガだ。よろしくな。坊主の名は?」

 「渡辺 勝麻だ」
 「ワタナベ ショウマねー」

 おっさんはカタコト口調で俺の名を復唱した後、顎に手を当てた。

 「そのままだとファンタジーっぽくないから、ナベウマって改名するのはどーだ?」

 「何だよそれ、人の名前勝手に変えるなよ。つか、ナベウマの方がファンタジーの欠片もないぞ」

 ん? ファンタジーっぽく? 異世界と聞いてファンタジーな世界を想像していたけど、普通ファンタジー世界の住人がファンタジーなんて口にしないよな。もしかしてここは元の世界とあまり違わない世界観なのか?

 「さて、どっから説明したもんかね……とりあえず、俺も坊主と同じ転生者だってことは言っておくか」

 「え?!」

 「フハハハ! そうだよな! 誰だってそういう反応になるよな。俺もそうだった」

 オルガも俺と同じ転生者?
前の世界で死んでここに来たってことか?

 「見えたぞ、街だ」

 遠くが見渡せる切り立った崖の近くで、オルガが遠くを指差した。その指差す先を目で追うと、驚愕した。広大な平原の中央に巨大な文明――街があったのだ。中心には城があり、その周りを中世ヨーロッパ風の城下町が囲っているのが見える。

 この、日本ではまずお目にかかれないであろう景色は!

 「すっげー! まさに異世界だ!」

 「あそこの街の人口の3割近くが転生者だ」

 「転生者そんなにいんの?!」

 異世界転生者ってオンリーワンなイメージがあったんだけどな。ちょっと寂しい。
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