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アリシア編
もうひとりのエルフ
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エルフのアリシアは無味無臭。
強行策に出て確かめたから間違いない。
不思議なことだが、受け入れるしかないだろう。
俺と体の相性は最悪だが、別に態度を変えるつもりもないし。
何となく自分の中で答えを出して割り切ることにした。
そんな日の夜遅く、我が家に人が訪ねてきた。
扉を開けると、ギルド長が居た。
「やぁ、ブサクロノくん。久しぶりだね。調子はどうかな?」
「ギ、ギルド長!? こんな時間にどうしました? 何か緊急の用事でも――」
「あぁ、いや、こんな遅くにすまないね。少し時間が取れたから、君の様子を見に来たんだ」
「立ち話もあれですから、家の中で……ちょっとお待ちください!!」
大急ぎでアリシアとその痕跡を地下室に運び入れた。
アリシアの願いは『誰にも見られたくない』なので、ギルド長にも存在を隠す。
少々散らかったままだが、一人暮らしの男の部屋なんてこんなものだろう。
「それで、調子はどうだね?」
「少しはましになった、ってところですかねぇ……」
ギルド長に粗茶を出し、テーブル越しに向かい合ったまま、含みを持たせて答えた。
調子は良いとは言えないのだから、嘘ではない。
「もし、君が良ければギルド職員として復帰しないか?」
「……俺が、ですか。まだ早いかと」
「君が禁忌スキルを使って、しばらく経つ。暴力沙汰の事件を起こしたという話も聞かない。元々、君は心の強い子だ。必ず打ち勝つと思っていた。建前として休職させていたが、そろそろ戻ってきて欲しいというのが私の本音だ。もちろん、ハーゲルもね」
「気持ちはありがたいのですが……」
「まだ不安定だと思う。そう言いたいのかな?」
「はい。何とか日常生活を送れるようになりました。左腕をなくしたことも含めてです。しかし、今の俺はスキルを使えません。使えば、また振り出しに戻ってしまう。そんな俺がギルド長のお役に立てるとは思えません」
そう、今の俺はスキルを使えない。【吸魔】の効果で自身の限界を超えるMPを蓄えて、本来使えないはずの【エクスヒール】で左腕を治さないといけない。
もしスキルを使えば、その分だけMPが減る。
一度でも使えば、ずるずるとスキルを使ってしまう。
だから俺はスキルを使えない。絶対にだ。
例外として、予めサモンしていたシャドーデーモンたちを使って、最低限の防御力を維持しつつ、家の警備や雑用をさせている。
このことをギルド長に話すつもりはない。
会話の流れから、禁忌スキルを使ったことによる副作用だと思わせるまでだ。
「私は禁忌スキルを使ったことはないが、使った人から何度か話を聞いている。度を超えた力が精神を蝕み、破壊衝動や無謀な相手に挑みたくなるそうだ。スキルを使えば、そういう欲求がまた出てくるということかな」
「はい。冒険はもちろんスキルを使うことを戒め、ようやくここまで来ました。必ず完治させます。もう少しだけ俺に時間をください」
嘘をつくことには何とも思ってないが、大恩人であるギルド長の頼みを断るのは心苦しい。
しかし、半端なブタ野郎が戻ったところでたかが知れているし、どうせ戻るなら完璧なブタ野郎のほうがいい。
ギルド長は私利私欲にまみれた人ではない。俺の気持ちを分かってくれるだろう。
「……事務作業だけでもしてくれないか? 給料は満額出すよ」
「えぇ……」
すっかり忘れていたが、ギルド長は私利私欲がひょっこり顔を出すタイプの人だった。
それが邪悪なものではないのだから、別に構わないが。
普段は冷静で大人びているのに、こういう不意打ち的な可愛さがあるよね。
「そんなに忙しいんですか」
「忙しい。君の働きは申し分ないものだった。かつての日常が、今は耐え難い。君がそのうち戻ってくると信じて、冒険者の卵を多めに受け入れてしまったんだ」
「……ヒーラーは出来ませんよ」
「分かっている。なし崩しにさせたりしない。不安なら、契約書でも書こうか」
「……書きます」
「あっはっは! 君らしいね。では明日からよろしく頼むよ」
「早いなぁ。意外と容赦ないなぁ」
「そう言わないでくれ。私も心苦しいんだ。では、失礼するよ。今日はいい夢を見れそうだ」
お茶をグイっと飲み干したギルド長は、笑顔で帰っていった。
「しっかし、どうすっかねぇ……」
ギルド長にあそこまで言われると、断れないから仕方がない。
問題は、俺が家を空けているあいだ、アリシアをどうするかだ。
あんな状態で『いい子で留守番しておくのよ』なんてノリでは済まない。
「なぁ、ナイトメア。俺が出てるあいだ、アリシアの世話してくれね?」
『ボクはキミさ。キミは分身出来るのかな? 出来ないよね』
ナイトメアは自称・俺だ。
俺が知ってることは知ってると言い、俺が知らないことは知っていても知らないと言う。
俺がギルドに出勤したら、当然ギルドに居ることになる。別行動だとか、そういう役割分担はしてくれない。
「でもお前、くっそ迷惑な幻聴の通訳してきたじゃん。俺だけなら聞こえないはずだったじゃん?」
『そう言われると困っちゃうなぁ』
「ちょっとだけ協力してくれないか?」
『出来ないね。ボクはキミさ。キミが見たこと感じたことしか分からない。キミが居なければ目を閉じ耳を塞いでいるのと同じなんだ』
「へーーー。でも幻聴」
『あれはほら、実はキミにも聞こえていたんだ。とても小さい声だったから、1億倍くらいに増幅しただけ、みたいな?』
「その言い訳さぁ、苦しくない?」
『……実はボクの主義に反しないことだったから出来たんだよ。アリシアの世話というキミのお願いは、ボクの意志に関わらず、不可能さ。もうノーコメントだよ』
ナイトメアは実体を持たない。俺の首に巻き付いたり、頭の上で跳ねるこの相棒の体は仮の姿なので、形は変幻自在である。
まるで夜空に星を散らしたかのような幻想的な色。触ると極上の弾力だが、熱はない。温かくも冷たくもない。
仮に痛めつけられても死なない。町一つ分ほど俺と離れると、勝手にワープして戻ってくる前科もある。
カークやネロなど動物の言葉を通訳してくれることは、謎多き相棒の主義に反しないようだ。
ほぼ何もしてくれないのではなく、出来ないのかも知れないが、例外もある。
「俺がレベルを捧げて眷属召喚すりゃイケるよな?」
『イケるけど、それもまた出来ないでしょ。キミが知っての通り、レベルが下がってスキルを忘れるのはもちろん、蓄えたMPは消失するよ。磨かれた魂が当時のレベルの状態に戻るってことだから』
「だめかぁ。でも他の奴隷は買いたくないしなぁ……」
『人が人を信じるのは難しいね』
その後、ボケーっとアリシアのおっぱいを揉みながら良案を考えてみたが、やはり浮かばなかったので、開き直ることにした。
「アリシアよ。実は俺は……凄い魔術師なんだっ!!」
「えっ、はい。知ってますよ。ハイヒール凄いですよね」
「いやそうじゃなくて。うーん、もう見せたほうが早いか」
ベッドに寝かせたアリシアが、宙に浮き上がる。
「ひゃっ……浮いてる!? 何かが持ち上げてる……? こ、これどうなってるんですか!?」
「【星の記憶】を持っている俺は、人類が忘れた特別なスキルを使える。名前は秘密だが、俺の意志で自在に物を動かせるスキルだよ。あまり重い物は無理だが、アリシアの体なら持ち上げられるようだ」
嘘である。実際はシャドーデーモンたちがアリシアを頑張って持ち上げている。
シャドーデーモンは俺の生命線なので、存在を匂わせることすら教えたくない。
しかし、俺が家を空けているあいだは、シャドーデーモンにアリシアのお世話を頼むしかない。
「凄いじゃないですか。本当に魔法使いみたいです」
「欠点もある。これは闇のスキルだから、日の下では使えない」
「変な制約もあるんですねぇ。家の中なら日陰なんですね? そんな重要なことを話して良かったんですか?」
「俺は明日からギルド職員として働かなきゃならん」
「話し声が聞こえたので承知しています。ご主人さまも大変なのに、申し訳ないです……」
「謝るのは止めろ。俺が出かけているあいだは、このスキルでアリシアの世話をする。このスキルはアリシアの願いも聞くからな。試しに何か言ってみな」
「えーっと、トイレに行きたいです」
「はい喜んで!!」
「ご主人さまが私の世話をしたら意味ないですよ……」
「他の願いにしない? トイレは俺が連れて行きたい。いや、ほら、危ないし?」
「はぁ……では、隣の部屋まで行きたいです」
アリシアの体が持ち上がり、ベッドからリビングに向けて進み出す。扉が勝手に開き、アリシアが通ると勝手に閉まった。
無事に運ばれたアリシアは、椅子にそっと置かれていた。
その後も日常生活に関わるお願いを言うと、コップやサラダがテーブルに運ばれる。口元も拭ってくれるぞ。
「ご飯は出てきたけど、空のコップなんですね」
「このスキルは魔術は使えない。水は自分で出してくれ。水道水が欲しいなら、そう頼めば汲んでくれるだろう」
「充分ですよ。こんな便利なスキルがあるなんて、【星の記憶】は可能性に満ちてますね。エルフにはないスキルなので憧れちゃいます」
「珍しいスキルだが、どんなスキルかは習得しないと分からないギャンブルみたいなもんだぞ。エルフは覚えないのか?」
「寿命の短い種族だけらしいです。エルフやドワーフは長命種なので」
「アリシアは妖精や動物と仲良しらしいから、種族の固有スキル的なものか」
「ですね。このスキルも、私で言うところの妖精さんみたいなものかも知れません」
「闇の妖精さんか」
それいいね。そういうことにしておこう。
闇の妖精さん的な存在が力を貸してくれるスキル。
俺が留守のあいだ、アリシアのお世話は頼んだぞ、闇の妖精さん。
強行策に出て確かめたから間違いない。
不思議なことだが、受け入れるしかないだろう。
俺と体の相性は最悪だが、別に態度を変えるつもりもないし。
何となく自分の中で答えを出して割り切ることにした。
そんな日の夜遅く、我が家に人が訪ねてきた。
扉を開けると、ギルド長が居た。
「やぁ、ブサクロノくん。久しぶりだね。調子はどうかな?」
「ギ、ギルド長!? こんな時間にどうしました? 何か緊急の用事でも――」
「あぁ、いや、こんな遅くにすまないね。少し時間が取れたから、君の様子を見に来たんだ」
「立ち話もあれですから、家の中で……ちょっとお待ちください!!」
大急ぎでアリシアとその痕跡を地下室に運び入れた。
アリシアの願いは『誰にも見られたくない』なので、ギルド長にも存在を隠す。
少々散らかったままだが、一人暮らしの男の部屋なんてこんなものだろう。
「それで、調子はどうだね?」
「少しはましになった、ってところですかねぇ……」
ギルド長に粗茶を出し、テーブル越しに向かい合ったまま、含みを持たせて答えた。
調子は良いとは言えないのだから、嘘ではない。
「もし、君が良ければギルド職員として復帰しないか?」
「……俺が、ですか。まだ早いかと」
「君が禁忌スキルを使って、しばらく経つ。暴力沙汰の事件を起こしたという話も聞かない。元々、君は心の強い子だ。必ず打ち勝つと思っていた。建前として休職させていたが、そろそろ戻ってきて欲しいというのが私の本音だ。もちろん、ハーゲルもね」
「気持ちはありがたいのですが……」
「まだ不安定だと思う。そう言いたいのかな?」
「はい。何とか日常生活を送れるようになりました。左腕をなくしたことも含めてです。しかし、今の俺はスキルを使えません。使えば、また振り出しに戻ってしまう。そんな俺がギルド長のお役に立てるとは思えません」
そう、今の俺はスキルを使えない。【吸魔】の効果で自身の限界を超えるMPを蓄えて、本来使えないはずの【エクスヒール】で左腕を治さないといけない。
もしスキルを使えば、その分だけMPが減る。
一度でも使えば、ずるずるとスキルを使ってしまう。
だから俺はスキルを使えない。絶対にだ。
例外として、予めサモンしていたシャドーデーモンたちを使って、最低限の防御力を維持しつつ、家の警備や雑用をさせている。
このことをギルド長に話すつもりはない。
会話の流れから、禁忌スキルを使ったことによる副作用だと思わせるまでだ。
「私は禁忌スキルを使ったことはないが、使った人から何度か話を聞いている。度を超えた力が精神を蝕み、破壊衝動や無謀な相手に挑みたくなるそうだ。スキルを使えば、そういう欲求がまた出てくるということかな」
「はい。冒険はもちろんスキルを使うことを戒め、ようやくここまで来ました。必ず完治させます。もう少しだけ俺に時間をください」
嘘をつくことには何とも思ってないが、大恩人であるギルド長の頼みを断るのは心苦しい。
しかし、半端なブタ野郎が戻ったところでたかが知れているし、どうせ戻るなら完璧なブタ野郎のほうがいい。
ギルド長は私利私欲にまみれた人ではない。俺の気持ちを分かってくれるだろう。
「……事務作業だけでもしてくれないか? 給料は満額出すよ」
「えぇ……」
すっかり忘れていたが、ギルド長は私利私欲がひょっこり顔を出すタイプの人だった。
それが邪悪なものではないのだから、別に構わないが。
普段は冷静で大人びているのに、こういう不意打ち的な可愛さがあるよね。
「そんなに忙しいんですか」
「忙しい。君の働きは申し分ないものだった。かつての日常が、今は耐え難い。君がそのうち戻ってくると信じて、冒険者の卵を多めに受け入れてしまったんだ」
「……ヒーラーは出来ませんよ」
「分かっている。なし崩しにさせたりしない。不安なら、契約書でも書こうか」
「……書きます」
「あっはっは! 君らしいね。では明日からよろしく頼むよ」
「早いなぁ。意外と容赦ないなぁ」
「そう言わないでくれ。私も心苦しいんだ。では、失礼するよ。今日はいい夢を見れそうだ」
お茶をグイっと飲み干したギルド長は、笑顔で帰っていった。
「しっかし、どうすっかねぇ……」
ギルド長にあそこまで言われると、断れないから仕方がない。
問題は、俺が家を空けているあいだ、アリシアをどうするかだ。
あんな状態で『いい子で留守番しておくのよ』なんてノリでは済まない。
「なぁ、ナイトメア。俺が出てるあいだ、アリシアの世話してくれね?」
『ボクはキミさ。キミは分身出来るのかな? 出来ないよね』
ナイトメアは自称・俺だ。
俺が知ってることは知ってると言い、俺が知らないことは知っていても知らないと言う。
俺がギルドに出勤したら、当然ギルドに居ることになる。別行動だとか、そういう役割分担はしてくれない。
「でもお前、くっそ迷惑な幻聴の通訳してきたじゃん。俺だけなら聞こえないはずだったじゃん?」
『そう言われると困っちゃうなぁ』
「ちょっとだけ協力してくれないか?」
『出来ないね。ボクはキミさ。キミが見たこと感じたことしか分からない。キミが居なければ目を閉じ耳を塞いでいるのと同じなんだ』
「へーーー。でも幻聴」
『あれはほら、実はキミにも聞こえていたんだ。とても小さい声だったから、1億倍くらいに増幅しただけ、みたいな?』
「その言い訳さぁ、苦しくない?」
『……実はボクの主義に反しないことだったから出来たんだよ。アリシアの世話というキミのお願いは、ボクの意志に関わらず、不可能さ。もうノーコメントだよ』
ナイトメアは実体を持たない。俺の首に巻き付いたり、頭の上で跳ねるこの相棒の体は仮の姿なので、形は変幻自在である。
まるで夜空に星を散らしたかのような幻想的な色。触ると極上の弾力だが、熱はない。温かくも冷たくもない。
仮に痛めつけられても死なない。町一つ分ほど俺と離れると、勝手にワープして戻ってくる前科もある。
カークやネロなど動物の言葉を通訳してくれることは、謎多き相棒の主義に反しないようだ。
ほぼ何もしてくれないのではなく、出来ないのかも知れないが、例外もある。
「俺がレベルを捧げて眷属召喚すりゃイケるよな?」
『イケるけど、それもまた出来ないでしょ。キミが知っての通り、レベルが下がってスキルを忘れるのはもちろん、蓄えたMPは消失するよ。磨かれた魂が当時のレベルの状態に戻るってことだから』
「だめかぁ。でも他の奴隷は買いたくないしなぁ……」
『人が人を信じるのは難しいね』
その後、ボケーっとアリシアのおっぱいを揉みながら良案を考えてみたが、やはり浮かばなかったので、開き直ることにした。
「アリシアよ。実は俺は……凄い魔術師なんだっ!!」
「えっ、はい。知ってますよ。ハイヒール凄いですよね」
「いやそうじゃなくて。うーん、もう見せたほうが早いか」
ベッドに寝かせたアリシアが、宙に浮き上がる。
「ひゃっ……浮いてる!? 何かが持ち上げてる……? こ、これどうなってるんですか!?」
「【星の記憶】を持っている俺は、人類が忘れた特別なスキルを使える。名前は秘密だが、俺の意志で自在に物を動かせるスキルだよ。あまり重い物は無理だが、アリシアの体なら持ち上げられるようだ」
嘘である。実際はシャドーデーモンたちがアリシアを頑張って持ち上げている。
シャドーデーモンは俺の生命線なので、存在を匂わせることすら教えたくない。
しかし、俺が家を空けているあいだは、シャドーデーモンにアリシアのお世話を頼むしかない。
「凄いじゃないですか。本当に魔法使いみたいです」
「欠点もある。これは闇のスキルだから、日の下では使えない」
「変な制約もあるんですねぇ。家の中なら日陰なんですね? そんな重要なことを話して良かったんですか?」
「俺は明日からギルド職員として働かなきゃならん」
「話し声が聞こえたので承知しています。ご主人さまも大変なのに、申し訳ないです……」
「謝るのは止めろ。俺が出かけているあいだは、このスキルでアリシアの世話をする。このスキルはアリシアの願いも聞くからな。試しに何か言ってみな」
「えーっと、トイレに行きたいです」
「はい喜んで!!」
「ご主人さまが私の世話をしたら意味ないですよ……」
「他の願いにしない? トイレは俺が連れて行きたい。いや、ほら、危ないし?」
「はぁ……では、隣の部屋まで行きたいです」
アリシアの体が持ち上がり、ベッドからリビングに向けて進み出す。扉が勝手に開き、アリシアが通ると勝手に閉まった。
無事に運ばれたアリシアは、椅子にそっと置かれていた。
その後も日常生活に関わるお願いを言うと、コップやサラダがテーブルに運ばれる。口元も拭ってくれるぞ。
「ご飯は出てきたけど、空のコップなんですね」
「このスキルは魔術は使えない。水は自分で出してくれ。水道水が欲しいなら、そう頼めば汲んでくれるだろう」
「充分ですよ。こんな便利なスキルがあるなんて、【星の記憶】は可能性に満ちてますね。エルフにはないスキルなので憧れちゃいます」
「珍しいスキルだが、どんなスキルかは習得しないと分からないギャンブルみたいなもんだぞ。エルフは覚えないのか?」
「寿命の短い種族だけらしいです。エルフやドワーフは長命種なので」
「アリシアは妖精や動物と仲良しらしいから、種族の固有スキル的なものか」
「ですね。このスキルも、私で言うところの妖精さんみたいなものかも知れません」
「闇の妖精さんか」
それいいね。そういうことにしておこう。
闇の妖精さん的な存在が力を貸してくれるスキル。
俺が留守のあいだ、アリシアのお世話は頼んだぞ、闇の妖精さん。
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