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絆編
逃げずに戦いクロノ死す
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ライオネルが死んだ。前に立っていたライオネルは、瞬きのあいだに目の前から消えたのだ。だからだろう、実感がない。
「走って! 彼はまだ生きているかもしれない! ここは僕に任せて、早く!」
そうだ。ライオネルが死んだと決まったわけではない。赤龍から何らかの攻撃を受けて離脱したのは間違いないが、生きているなら治せる!
「ファウスト……死ぬなよ!」
「僕は死にません。ひとりのほうが都合がいい。援軍とともにまた会いましょう」
見捨てるわけではない。今は、ライオネルの安否が気になる。瀕死の状態の人と、まだ無傷な人。これは優先順位の問題だ。
振り返ると、へし折れた木々が見える。これをたどっていけば、ライオネルにたどり着くはずだ。
「ライオネル! 今行く! それまで死ぬな!」
「……誰が死んだって?」
走り出そうとしたそのとき、ライオネルが俺を横切り、前衛に復帰した。
「お前、生きてたのか!?」
「当たり前だろ。ちょっと尻尾でぶっ叩かれただけだぜ……ヒール頼む」
「ご無事で何よりです。しかし、復帰せずに逃げてください。実力差は分かったはずでは?」
「バカ言うな。久々のフル装備で、狭い視界に慣れてないだけだぜ。そこをまんまと突かれちまったが……やっぱり龍は賢いねぇ!」
どうしよう、何か深い話をしている気がするが、理解が追いつかない。基本的に化け物に遭遇するたびに逃げてきた俺は、戦う知識がない。
龍は人の言葉を理解する。だから、下手なことは聞けない。だが、どうしても聞きたいことがある。
「おい、赤龍はバカなんじゃないのか!?」
「赤龍は間違いなく、バカですよ。けれど、バカでいいんです。規格外の身体能力と、生命力を持っている。小細工など必要ないんです」
「そんで厄介なことに、戦いとなると途端に賢くなる。ご自慢の巨体をコレでもかと見せつけたあと、兜の死角に尻尾で最速の攻撃をする。フル装備じゃなかったら、ヤバかったぜ」
戦闘センスか。なんと都合の悪い話か。曇りなきバカで居て欲しかった。今の俺では逆立ちしたって勝てない。戦いにならない。
――最後に一度だけ聞く。そこのブタを見捨てて逃げれば、追わぬ。
雰囲気が変わった。これが赤龍の本性か……。
俺は自分を弱くみせて、土壇場で相手を煽る。まさか俺の得意分野で先手を打たれていたとは……。
「ははっ、やっぱり赤龍はバカですね。彼は僕の友人だ!」
「ガードが仲間を見捨てて逃げることはないぜ。最初に死ぬのはこの俺だ。不意打ちで調子に乗ってんじゃねぇ!」
ファウスト……ライオネル……お前らは、本当にバカだ。そして、俺もバカだ。腹を決めよう。俺に何が出来るかは知らないが、こいつらを死なせるわけにはいかない!
「そんじゃ、俺は後ろで隠れてるから、あとはよろしく!!」
なるべく太そうな木の裏に隠れて、【ウィスパー】を使う。あとはありったけのシャドーデーモンをサモンして、生存率を上げて、目を使えるようにする。
赤龍の攻撃は、俺の目では見えない。シャドーデーモン越しの視界で、ようやく戦いを見る資格を得る!
微動だにしなかった赤龍の尾が、高速でライオネルに伸びる。
「同じ鉄は踏まねぇよ……うぼぁっ!」
いや、ダメじゃん! ツッコミを入れる暇もなく、龍の爪がファウストに振り下ろされる。だが、その攻撃はライオネルによって防がれた。
遠くから見ていた俺には分かる。確かにライオネルは尻尾に吹き飛ばされた。【アクセル】を使ってすぐに戻ってきて、ファウストを守ったのだ。
「なるほど。これがガードの戦い方ですか。少し任せますよ。【オブセッション:アイアンゴーレム】」
ファウストは魔物の素材を使って自分を強化する。ライオネルが前に立ったこのタイミングで変身することで、予備動作……いわば隙を隠したのか。
大爪を盾で受け止めたライオネルは、押しつぶされないように堪えるのがやっとだ。がら空きになった横腹に、赤龍の太い尻尾が伸びる。
「【シャドウバインド】」
拘束スキルを使ってみたが、何の効果も見られない。やはり格上の相手には通用しない。あまり気分は良くないが、即死さえしなければ俺が回復すればいい。
だが、龍の尻尾がライオネルに届くことはなかった。ファウストが庇った……いや、自ら当たりに行った。重厚な金属を叩いたような、鈍い音がした。
「なかなか、効きますねぇ……っ」
黒ローブが裂け、鈍い輝きを持った肌が顕になる。アイアンゴーレムの防御力で、正面から受けきったのか……。
それでも無傷とはいかない。口の端から血が伝っている。すかさず【ヒール】をかけて、ファウストを回復した。
本来ならば、俺の視線ではふたりの背中しか見えない。シャドーデーモンを展開しているからこそ、ふたりの表情や、怖くて近づけない龍の鱗の質感まで見ることが出来るのだ。
大丈夫だ。俺も役に立てている。この調子なら、援軍が来るまで耐えられる。俺の希望的観測を否定するのは、赤龍の象徴であるブレスだ。
ふたりは攻撃を受け止めているが、悪く言えばその場から動けない。その様子を見下ろしている赤龍が、大口を開けてまとめて焼き尽くそうとしている!
「【バリア】【バリア】【バリア】」
龍の顔が炎に飲まれる。これは大したダメージにならない。目的は目隠しだ。ブレスは派手な炎に目が行きがちだが、至近距離で受ける龍の吐息は嵐に近い。カラスを逃したときには数秒持ってくれたバリアが、あっという間に砕け散った。
「……ふぅ、助かったぜ」
「間一髪、でしたね」
さすがは最強のガードと、自称Bランク。俺が稼いだ時間で避けてくれた。今はまだ祈るような気持ちで支援に徹しているが、最低限の精度はある。
ふたりにもシャドーデーモンを付けている。これは防御目的ではなく、目としてだ。ふたりの行動をあらゆる角度から見ることで、精度は高まる。時間が経てば経つほど、より正確な支援を行える。
今は押されているとしても、必ず風向きを変えてやる!
「……ちっとばかしキツイな」
自分を鼓舞した途端にこれかよ。人のやる気に水を差さないでくれ。心が折れそうだ……いや、イケると自分を誤魔化していただけか。
赤龍は強い。戦いを間近で見た今だからこそ分かる。格が違うのだ。
防御力に自信があるライオネルでも、尻尾や爪の攻撃を正面から受け切ることは難しい。タンクが装備する重装備と違い、ライオネルは機動力を殺さない金属鎧……相手が赤龍では、軽装備と言っても過言じゃない。
つまり、軽いのだ。恵まれた体格から繰り出される攻撃は一発が重く、ライオネルはどうしたって吹き飛ばされるか、大きく後ずさってしまう。
だからこそライオネルは受けきらないことを選んだ。自分だけが狙われたとき、半端に抵抗するくらいなら、吹き飛ばされて追撃を防ぐ。すぐに【アクセル】で前衛に戻る。これを繰り返している。
無難でありベスト。俺がガードだったとしても、同じことをしただろう。だが、冷静に考えると、問題だ。酷く危うい場面の連続なのだから。
「早く援軍が到着すると良いのですが……」
耐久性を上げたファウストは、ライオネルと並んで正面に立ち、俺を守る立ち回りだ。それでいて、攻撃を受け止めたライオネルが無防備にならないように、カバーしてくれている。
ふたりが傷を負えば【ヒール】を使い、息切れが始まれば【メディック】で体調管理をしている。ブレスだって【バリア】を使って直撃はさせない。
つまり、今は首の皮一枚繋がった状態で持ちこたえ続けている。もし誰かひとりでも欠けてしまえば、あっという間に俺たちは死ぬだろう。
会話はせずとも、各々が状況を把握している。けれど、やはり俺は一歩出遅れていた。ふたりがまずいという状況を、今やっと理解したのだ。
「本当にヤバそうだな……」
真新しかったライオネルの鎧には、傷と凹みがハッキリと残っている。ド派手な白い塗装も剥げ落ち、ブレスの余波で金属が赤く輝くこともある。
ファウストは、攻撃を避けようとする動きが増えてきた。攻撃を受けると、最初に比べて明らかにダメージが増えている。もしかすると、オブセッションには時間制限があるのかもしれない。
今、俺が分かるのはこれだけだ。現状を打破する閃きは浮かばない。分からないことは、聞くしかない。たとえリスクがあるとしても、手遅れになる前に。
「どうすればいい!?」
「防戦一方は不利です。攻撃に転じなければ。しかし、それが出来ないんです!」
「悪いな。ちょっと相性が悪くてよ……っ」
「ムリもありません。セオリーを逸脱してますから。赤龍を討伐するには、信頼できるタンクが3人必要です。そして3人のヒーラーと、9人のアタッカー。本来、15人で挑むべき強敵なんですよ……」
タンク3人。その意味が分かる。爪と、尻尾と、ブレス……赤龍の手数に対応できる人数だ。
「せめて、もうひとりタンクが居れば……っ」
レスキューバードを飛ばして、何分経った? 援軍が来るまで持ちこたえられるのか? いや、それが難しいと思っているから、ファウストは焦りを隠せない段階になっている。
「不甲斐ねぇ。でも、最後までお前らを守らせてくれ……っ」
肉の焼けた臭いがする。ぼんやりと赤く発光する鎧の下は、どうなっている? 態度には出さずとも、今も肌を焼かれているのではないか……?
ライオネルの鎧も、長くは持たないだろう。もし壊れれば、いつ致命傷を負ってもおかしくない。辛うじて凌いでいるブレスに対処できなくなる。
タンク。タンクさえ居れば、この腐った状況を変えられる。まだ間に合うはずだ。頼むから早く来てくれ……。
いや、待てよ……? タンクなら居るじゃないか。
「俺がやる!」
「走って! 彼はまだ生きているかもしれない! ここは僕に任せて、早く!」
そうだ。ライオネルが死んだと決まったわけではない。赤龍から何らかの攻撃を受けて離脱したのは間違いないが、生きているなら治せる!
「ファウスト……死ぬなよ!」
「僕は死にません。ひとりのほうが都合がいい。援軍とともにまた会いましょう」
見捨てるわけではない。今は、ライオネルの安否が気になる。瀕死の状態の人と、まだ無傷な人。これは優先順位の問題だ。
振り返ると、へし折れた木々が見える。これをたどっていけば、ライオネルにたどり着くはずだ。
「ライオネル! 今行く! それまで死ぬな!」
「……誰が死んだって?」
走り出そうとしたそのとき、ライオネルが俺を横切り、前衛に復帰した。
「お前、生きてたのか!?」
「当たり前だろ。ちょっと尻尾でぶっ叩かれただけだぜ……ヒール頼む」
「ご無事で何よりです。しかし、復帰せずに逃げてください。実力差は分かったはずでは?」
「バカ言うな。久々のフル装備で、狭い視界に慣れてないだけだぜ。そこをまんまと突かれちまったが……やっぱり龍は賢いねぇ!」
どうしよう、何か深い話をしている気がするが、理解が追いつかない。基本的に化け物に遭遇するたびに逃げてきた俺は、戦う知識がない。
龍は人の言葉を理解する。だから、下手なことは聞けない。だが、どうしても聞きたいことがある。
「おい、赤龍はバカなんじゃないのか!?」
「赤龍は間違いなく、バカですよ。けれど、バカでいいんです。規格外の身体能力と、生命力を持っている。小細工など必要ないんです」
「そんで厄介なことに、戦いとなると途端に賢くなる。ご自慢の巨体をコレでもかと見せつけたあと、兜の死角に尻尾で最速の攻撃をする。フル装備じゃなかったら、ヤバかったぜ」
戦闘センスか。なんと都合の悪い話か。曇りなきバカで居て欲しかった。今の俺では逆立ちしたって勝てない。戦いにならない。
――最後に一度だけ聞く。そこのブタを見捨てて逃げれば、追わぬ。
雰囲気が変わった。これが赤龍の本性か……。
俺は自分を弱くみせて、土壇場で相手を煽る。まさか俺の得意分野で先手を打たれていたとは……。
「ははっ、やっぱり赤龍はバカですね。彼は僕の友人だ!」
「ガードが仲間を見捨てて逃げることはないぜ。最初に死ぬのはこの俺だ。不意打ちで調子に乗ってんじゃねぇ!」
ファウスト……ライオネル……お前らは、本当にバカだ。そして、俺もバカだ。腹を決めよう。俺に何が出来るかは知らないが、こいつらを死なせるわけにはいかない!
「そんじゃ、俺は後ろで隠れてるから、あとはよろしく!!」
なるべく太そうな木の裏に隠れて、【ウィスパー】を使う。あとはありったけのシャドーデーモンをサモンして、生存率を上げて、目を使えるようにする。
赤龍の攻撃は、俺の目では見えない。シャドーデーモン越しの視界で、ようやく戦いを見る資格を得る!
微動だにしなかった赤龍の尾が、高速でライオネルに伸びる。
「同じ鉄は踏まねぇよ……うぼぁっ!」
いや、ダメじゃん! ツッコミを入れる暇もなく、龍の爪がファウストに振り下ろされる。だが、その攻撃はライオネルによって防がれた。
遠くから見ていた俺には分かる。確かにライオネルは尻尾に吹き飛ばされた。【アクセル】を使ってすぐに戻ってきて、ファウストを守ったのだ。
「なるほど。これがガードの戦い方ですか。少し任せますよ。【オブセッション:アイアンゴーレム】」
ファウストは魔物の素材を使って自分を強化する。ライオネルが前に立ったこのタイミングで変身することで、予備動作……いわば隙を隠したのか。
大爪を盾で受け止めたライオネルは、押しつぶされないように堪えるのがやっとだ。がら空きになった横腹に、赤龍の太い尻尾が伸びる。
「【シャドウバインド】」
拘束スキルを使ってみたが、何の効果も見られない。やはり格上の相手には通用しない。あまり気分は良くないが、即死さえしなければ俺が回復すればいい。
だが、龍の尻尾がライオネルに届くことはなかった。ファウストが庇った……いや、自ら当たりに行った。重厚な金属を叩いたような、鈍い音がした。
「なかなか、効きますねぇ……っ」
黒ローブが裂け、鈍い輝きを持った肌が顕になる。アイアンゴーレムの防御力で、正面から受けきったのか……。
それでも無傷とはいかない。口の端から血が伝っている。すかさず【ヒール】をかけて、ファウストを回復した。
本来ならば、俺の視線ではふたりの背中しか見えない。シャドーデーモンを展開しているからこそ、ふたりの表情や、怖くて近づけない龍の鱗の質感まで見ることが出来るのだ。
大丈夫だ。俺も役に立てている。この調子なら、援軍が来るまで耐えられる。俺の希望的観測を否定するのは、赤龍の象徴であるブレスだ。
ふたりは攻撃を受け止めているが、悪く言えばその場から動けない。その様子を見下ろしている赤龍が、大口を開けてまとめて焼き尽くそうとしている!
「【バリア】【バリア】【バリア】」
龍の顔が炎に飲まれる。これは大したダメージにならない。目的は目隠しだ。ブレスは派手な炎に目が行きがちだが、至近距離で受ける龍の吐息は嵐に近い。カラスを逃したときには数秒持ってくれたバリアが、あっという間に砕け散った。
「……ふぅ、助かったぜ」
「間一髪、でしたね」
さすがは最強のガードと、自称Bランク。俺が稼いだ時間で避けてくれた。今はまだ祈るような気持ちで支援に徹しているが、最低限の精度はある。
ふたりにもシャドーデーモンを付けている。これは防御目的ではなく、目としてだ。ふたりの行動をあらゆる角度から見ることで、精度は高まる。時間が経てば経つほど、より正確な支援を行える。
今は押されているとしても、必ず風向きを変えてやる!
「……ちっとばかしキツイな」
自分を鼓舞した途端にこれかよ。人のやる気に水を差さないでくれ。心が折れそうだ……いや、イケると自分を誤魔化していただけか。
赤龍は強い。戦いを間近で見た今だからこそ分かる。格が違うのだ。
防御力に自信があるライオネルでも、尻尾や爪の攻撃を正面から受け切ることは難しい。タンクが装備する重装備と違い、ライオネルは機動力を殺さない金属鎧……相手が赤龍では、軽装備と言っても過言じゃない。
つまり、軽いのだ。恵まれた体格から繰り出される攻撃は一発が重く、ライオネルはどうしたって吹き飛ばされるか、大きく後ずさってしまう。
だからこそライオネルは受けきらないことを選んだ。自分だけが狙われたとき、半端に抵抗するくらいなら、吹き飛ばされて追撃を防ぐ。すぐに【アクセル】で前衛に戻る。これを繰り返している。
無難でありベスト。俺がガードだったとしても、同じことをしただろう。だが、冷静に考えると、問題だ。酷く危うい場面の連続なのだから。
「早く援軍が到着すると良いのですが……」
耐久性を上げたファウストは、ライオネルと並んで正面に立ち、俺を守る立ち回りだ。それでいて、攻撃を受け止めたライオネルが無防備にならないように、カバーしてくれている。
ふたりが傷を負えば【ヒール】を使い、息切れが始まれば【メディック】で体調管理をしている。ブレスだって【バリア】を使って直撃はさせない。
つまり、今は首の皮一枚繋がった状態で持ちこたえ続けている。もし誰かひとりでも欠けてしまえば、あっという間に俺たちは死ぬだろう。
会話はせずとも、各々が状況を把握している。けれど、やはり俺は一歩出遅れていた。ふたりがまずいという状況を、今やっと理解したのだ。
「本当にヤバそうだな……」
真新しかったライオネルの鎧には、傷と凹みがハッキリと残っている。ド派手な白い塗装も剥げ落ち、ブレスの余波で金属が赤く輝くこともある。
ファウストは、攻撃を避けようとする動きが増えてきた。攻撃を受けると、最初に比べて明らかにダメージが増えている。もしかすると、オブセッションには時間制限があるのかもしれない。
今、俺が分かるのはこれだけだ。現状を打破する閃きは浮かばない。分からないことは、聞くしかない。たとえリスクがあるとしても、手遅れになる前に。
「どうすればいい!?」
「防戦一方は不利です。攻撃に転じなければ。しかし、それが出来ないんです!」
「悪いな。ちょっと相性が悪くてよ……っ」
「ムリもありません。セオリーを逸脱してますから。赤龍を討伐するには、信頼できるタンクが3人必要です。そして3人のヒーラーと、9人のアタッカー。本来、15人で挑むべき強敵なんですよ……」
タンク3人。その意味が分かる。爪と、尻尾と、ブレス……赤龍の手数に対応できる人数だ。
「せめて、もうひとりタンクが居れば……っ」
レスキューバードを飛ばして、何分経った? 援軍が来るまで持ちこたえられるのか? いや、それが難しいと思っているから、ファウストは焦りを隠せない段階になっている。
「不甲斐ねぇ。でも、最後までお前らを守らせてくれ……っ」
肉の焼けた臭いがする。ぼんやりと赤く発光する鎧の下は、どうなっている? 態度には出さずとも、今も肌を焼かれているのではないか……?
ライオネルの鎧も、長くは持たないだろう。もし壊れれば、いつ致命傷を負ってもおかしくない。辛うじて凌いでいるブレスに対処できなくなる。
タンク。タンクさえ居れば、この腐った状況を変えられる。まだ間に合うはずだ。頼むから早く来てくれ……。
いや、待てよ……? タンクなら居るじゃないか。
「俺がやる!」
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