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ギルド職員編
見極めてクロノ死す
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「マルス……いや、弟子よ。町の外に出たことはあるのか?」
「何度かあります。でも、一人で出歩いたことはありません」
冒険者になるために地方からアルバにやってきた子どもたちは、山道に慣れているし、素人なりにも魔物を倒したことがある。だからマルスのようなお坊ちゃんは、冒険者としては生意気なクソガキ未満からスタートか。
もし女の子だったら、身体測定から始めるが、生憎とマルスは男である。実は女の子でした、なんてオチは存在しない。俺くらいになると骨格で分かるから。よって体力測定をすることにした。
心にジャージとホイッスルを装備し、存在しない竹刀を地面に叩きつける。冒険者の装備をしている俺は、体育教師よりよほどガチな格好なのだが、雰囲気は大事だからな。
「反復横跳び、始めっ!」
年相応の身軽な動きで横っ飛び。からの、踏ん張りきれずにずっこける。ひょっとして、ギャグでやってるのか……?
「どうした、立て!」
「くっ……はい! まだやれます!」
記録は、60秒で10回……転びすぎだ。傷だらけになっても立ち上がる根性は褒めてやろう。
「グラウンド10週、始めっ!」
すぐにヘロヘロになる。記録は30分。普通に歩いたほうが早い気がする。子供ゆえの未熟な体格で、それでも走ろうとした根性は褒めてやろう。
「腕立て伏せからの、腹筋……始めっ!」
記録はどちらも5回。お坊ちゃんだから同年代の市民の子よりステータスが劣るとして、まるでセンスを感じない。なんか、昔の俺を思い出す。
「お前、職は何だ? 戦士やレンジャーではないよな?」
「はぁはぁ……ま……じ……っ……」
何だって? 声が枯れてて聞こえない。お疲れのようだし、ヒールとメディックで治療する。お坊ちゃんを傷物にしても困るしね。
「ま、魔術師です。火と光の魔術師です」
「えぇ……最初に言えよ。魔術師に体力測定してる俺、間抜けじゃん」
「いえ、先生も魔術師なのに戦士の格好をしていますから、僕も頑張ろうと思いまして……それで、その……張り切りすぎて声が枯れました」
薬師ギルドのイベントの話を聞いたマルスは、大きな声を出すことが大事だと思ったらしい。大人しい家系のお坊ちゃまが声を張り上げる機会などないので、体力測定を始める前から喉が限界だったらしい。
「……まぁ、声は大きいほうがいいよ。助けを求めやすいからな。でも魔術師なんだから、魔術スキルを見せてくれ」
「分かりました! 火のっ、ま……じ……っっっ」
「うん、声は張り上げなくていいから。【メディック】」
火の魔術は、威力が高い。火傷状態にして、持続ダメージも期待できると聞いている。マナが尽きたら鎮火する。ダークネスより環境破壊度は低いかもしれない。
もし魔物を消し炭にしてしまっても、魔石は無傷で燃え残るので、冒険者向きの属性だそうだ。ダークネス先生は魔石も木っ端微塵にするんだよね……。
魔術の師匠として、一番弟子の素質……見極めさせて貰おうかっ!
「いきます。【ファイヤーボール】」
燃え盛る巨大な火の玉が、木製の的を消し炭にした。凄い威力だ……ちょっと待って。こいつ、俺より強くねぇ……?
「先生、どうですか!? 僕が使える中級スキルです!」
「免許皆伝だ。俺が教えることは何もない……」
「せ、先生!? どうしてスネてるんですか!?」
だって俺、中級スキルとかないし。【エンチャント・ダークネス】はそれっぽいけど、あれは見世物じゃないし。ひと目で分かる強さって大事ね。
「見た目は派手ですけど、思ったより威力はないですよ。先生が使ってるダークネスの足元にも及びません」
「オマエ、イイヤツ。トモダチ」
『子供に慰められてどうするの……』
首元に巻き付いていたナイトメアが、うにょっと顔を出した。すると、マルスが目を輝かせて見上げてくる。相棒のチャーミングさは男にも人気である。
「触るか? ダークネスを褒めてくれたお礼だ」
「いいんですか!? 可愛い魔物だと聞いてたので、期待してたんです。でも、予想以上の可愛さですねっ」
いっそのこと相棒目当てなら、適当に触らせてお帰り願うのだが、意外にもあっさりと返却された。最速記録である。
「……先生。可愛い動物が居たら、患者さんの心は安らぐと思いますか?」
「あぁ、アニマルセラピーか。効果は高いよ。アレルギーとかは知らないけど」
「僕もそのうち、ペットを飼いたいです。犬と猫、どっちがいいと思います?」
「アニマルセラピーとしてか? そういう考えは良くない。ペットは家族だ。打算で考えると、お互いに悲しい思いをする」
「やっぱり先生は凄いです! 勉強になります!」
「マルスは魔術師だから、サモンした魔物でいいんじゃないか? 魔物と言っても、可愛いやつも居るだろ」
「なっ、なるほど。勉強になります!」
マルスと話していると、思いもしなかった考えがポンポン出てくる。俺も可愛い魔物をサモンして、娼婦を釣ろうかな。闇はヤバそうだけど、光なら可愛いやつ居るっしょ。たぶん。
しかし、アルバじゃ厳しいかもしれない。俺からしたら可愛いホーンラビットですら、一般市民にとっては魔物であり、恐怖の象徴である。遠く離れた町の見知らぬ可愛い魔物。おまけに属性縛りがある。かなり先の話になるか……。
「そんじゃ、北の森に行くか」
「すみません。冒険は父から止められていて……」
「冒険じゃないヨ。フィールドワークだヨ」
「フィールドワークなら仕方ないですネ」
物分りの良い弟子と、北の森にやってきた。ここは俺がたびたび訪れている場所なので、化け物が居ないことは確認済みだ。
俺にとっては見慣れた景色も、マルスには新鮮だろう。ついでにちょっと怖いのか、やたらと腕を掴んでくる。女の子だったらなぁ……。
「マルス、上を見ろ。高い木の上に、青プラムが実ってる。あれを素手で取れるか?」
「素手で、ですか!? 肩車しても届かないし、木の幹が細くて登って取るのも難しそうです……」
こいつ、着眼点がいいな。どこぞのクソガキと違って賢い。柔軟な発想が備われば薬草採取なら楽にこなせるようになるだろう。
「俺が手本を見せよう。まず、木の幹に手を添えます。掴みます」
「木を揺らして取るんですね!?」
「【ダークネス】で伐採します。倒れた木から青プラムを取ります。甘酸っぱくて美味しいです」
「えぇーっ!? 素手って言ったのに、ズルいですよ……でも美味しいです」
「最終的に素手で掴んだからセーフだ。とにかく引き出しを増やしておけ」
スキルの組み立ては俺には教えられない。属性が違うし、被ってる光は回復魔法くらいしか使わない。フラッシュはいずれ習得させるけど。
「次は紫色の実があるな。あれを食べたい。だが、毒があるかもしれない。どうすればいいと思う?」
「えーっと、持ち帰って人に聞きます」
「うむ、正解だ。他にも、獣が食べていた形跡があれば毒はない。それすらなかったら、パッチテストをする。欠片を肌に乗せて、少し待つ。赤くなれば毒だ」
マルスは目を輝かせて取り出した手帳に走り書きをしている。素直っていいね。クソガキたちだったら、今ごろ耳くそほじっていることだろう。
「次は、あの断崖を登ろう。ロープはないものとする。どうする?」
「土の魔術師なら、地形を加工して登れるんですけど……僕だったら、ファイヤーボールで木を倒して足場にします」
「正解だ。だが、道具やスキルを使わずとも登れる。その方法を教えよう」
崖は意外ともろく、素手で登るには適さない。まずは周辺を歩き、地盤がしっかりしている場所を探す。ここで重要なのは、人が入れるくぼみを見つけることだ。
「くぼみに入って、背中と両足を支えに少しずつ登ればいい。本当は岩場でやるんだが、探す時間がなかったから許せ。この脳筋登りのメリットは、両手を使わず済むところだ」
「僕もやってみていいですか!?」
どうぞどうぞ。運動音痴なマルスだったが、小柄ゆえに体重が軽く、俺より楽そうに登っていた。
「体を動かすのも楽しいですね、先生!」
「そうだろう。俺たちは魔術師だから運動は苦手だが、運動せざるを得ない。とくに光の魔術師は、ポーション太りがあるから……」
「そっ、そうですね。先生ほど深刻な人は少ないですけど、明日は我が身です」
「えぇ……俺ってそんなに太ってたのか……」
「先生は、治療拒否をしないと聞いています。尊敬します!」
イイコダナー。境遇が似てると、俺の体型を理解して貰えるのか。聖職者もそんな小さなことから集まって組織になったんだろうなぁ。
その後も役に立つか分からないサバイバル技術を教えているが、マルスは不満のひとつも漏らさない。こいつの目的は薬草採取だと思うのだが……。
「関係ないこと教えてるのに、文句も言わないんだな」
「最初は僕もそう思いました。でも、関係あるんですよね? パッチテストは、毒草を収穫せずに済みます。両手を使わない崖登りは、高所に生えた薬草採取に役立ちます!」
控えめに言って、自慢の弟子。まさか俺の意図が言わずに伝わる日が来るとは。きっと親の教育が良いのだろう。ロイスさんも人前じゃなければポンコツじゃないのね。
「120点満点あげちゃう。俺の目が届く範囲で、好きに薬草採取していいよ。せっかく来たんだし、片っ端から拾っとけ」
頭を下げて、駆け出した小さな後ろ姿を眺める。まるで孫を見てるおじいちゃんの気分。まだそんな歳じゃないけどね。フォッフォッフォッ。これはバ○タン星人だからセーフ。
マルスが座り込んで、手帳に絵を書き込んでいる。植物図鑑を作っているのだろう。食べられるものなら冒険者ギルドの書庫に書かれているが、薬の材料となればゼロからのスタートか。
非効率すぎる。そんなことを考えていると、ふとあるアイディアが降りてきた。試す価値はあるかもな。
「何度かあります。でも、一人で出歩いたことはありません」
冒険者になるために地方からアルバにやってきた子どもたちは、山道に慣れているし、素人なりにも魔物を倒したことがある。だからマルスのようなお坊ちゃんは、冒険者としては生意気なクソガキ未満からスタートか。
もし女の子だったら、身体測定から始めるが、生憎とマルスは男である。実は女の子でした、なんてオチは存在しない。俺くらいになると骨格で分かるから。よって体力測定をすることにした。
心にジャージとホイッスルを装備し、存在しない竹刀を地面に叩きつける。冒険者の装備をしている俺は、体育教師よりよほどガチな格好なのだが、雰囲気は大事だからな。
「反復横跳び、始めっ!」
年相応の身軽な動きで横っ飛び。からの、踏ん張りきれずにずっこける。ひょっとして、ギャグでやってるのか……?
「どうした、立て!」
「くっ……はい! まだやれます!」
記録は、60秒で10回……転びすぎだ。傷だらけになっても立ち上がる根性は褒めてやろう。
「グラウンド10週、始めっ!」
すぐにヘロヘロになる。記録は30分。普通に歩いたほうが早い気がする。子供ゆえの未熟な体格で、それでも走ろうとした根性は褒めてやろう。
「腕立て伏せからの、腹筋……始めっ!」
記録はどちらも5回。お坊ちゃんだから同年代の市民の子よりステータスが劣るとして、まるでセンスを感じない。なんか、昔の俺を思い出す。
「お前、職は何だ? 戦士やレンジャーではないよな?」
「はぁはぁ……ま……じ……っ……」
何だって? 声が枯れてて聞こえない。お疲れのようだし、ヒールとメディックで治療する。お坊ちゃんを傷物にしても困るしね。
「ま、魔術師です。火と光の魔術師です」
「えぇ……最初に言えよ。魔術師に体力測定してる俺、間抜けじゃん」
「いえ、先生も魔術師なのに戦士の格好をしていますから、僕も頑張ろうと思いまして……それで、その……張り切りすぎて声が枯れました」
薬師ギルドのイベントの話を聞いたマルスは、大きな声を出すことが大事だと思ったらしい。大人しい家系のお坊ちゃまが声を張り上げる機会などないので、体力測定を始める前から喉が限界だったらしい。
「……まぁ、声は大きいほうがいいよ。助けを求めやすいからな。でも魔術師なんだから、魔術スキルを見せてくれ」
「分かりました! 火のっ、ま……じ……っっっ」
「うん、声は張り上げなくていいから。【メディック】」
火の魔術は、威力が高い。火傷状態にして、持続ダメージも期待できると聞いている。マナが尽きたら鎮火する。ダークネスより環境破壊度は低いかもしれない。
もし魔物を消し炭にしてしまっても、魔石は無傷で燃え残るので、冒険者向きの属性だそうだ。ダークネス先生は魔石も木っ端微塵にするんだよね……。
魔術の師匠として、一番弟子の素質……見極めさせて貰おうかっ!
「いきます。【ファイヤーボール】」
燃え盛る巨大な火の玉が、木製の的を消し炭にした。凄い威力だ……ちょっと待って。こいつ、俺より強くねぇ……?
「先生、どうですか!? 僕が使える中級スキルです!」
「免許皆伝だ。俺が教えることは何もない……」
「せ、先生!? どうしてスネてるんですか!?」
だって俺、中級スキルとかないし。【エンチャント・ダークネス】はそれっぽいけど、あれは見世物じゃないし。ひと目で分かる強さって大事ね。
「見た目は派手ですけど、思ったより威力はないですよ。先生が使ってるダークネスの足元にも及びません」
「オマエ、イイヤツ。トモダチ」
『子供に慰められてどうするの……』
首元に巻き付いていたナイトメアが、うにょっと顔を出した。すると、マルスが目を輝かせて見上げてくる。相棒のチャーミングさは男にも人気である。
「触るか? ダークネスを褒めてくれたお礼だ」
「いいんですか!? 可愛い魔物だと聞いてたので、期待してたんです。でも、予想以上の可愛さですねっ」
いっそのこと相棒目当てなら、適当に触らせてお帰り願うのだが、意外にもあっさりと返却された。最速記録である。
「……先生。可愛い動物が居たら、患者さんの心は安らぐと思いますか?」
「あぁ、アニマルセラピーか。効果は高いよ。アレルギーとかは知らないけど」
「僕もそのうち、ペットを飼いたいです。犬と猫、どっちがいいと思います?」
「アニマルセラピーとしてか? そういう考えは良くない。ペットは家族だ。打算で考えると、お互いに悲しい思いをする」
「やっぱり先生は凄いです! 勉強になります!」
「マルスは魔術師だから、サモンした魔物でいいんじゃないか? 魔物と言っても、可愛いやつも居るだろ」
「なっ、なるほど。勉強になります!」
マルスと話していると、思いもしなかった考えがポンポン出てくる。俺も可愛い魔物をサモンして、娼婦を釣ろうかな。闇はヤバそうだけど、光なら可愛いやつ居るっしょ。たぶん。
しかし、アルバじゃ厳しいかもしれない。俺からしたら可愛いホーンラビットですら、一般市民にとっては魔物であり、恐怖の象徴である。遠く離れた町の見知らぬ可愛い魔物。おまけに属性縛りがある。かなり先の話になるか……。
「そんじゃ、北の森に行くか」
「すみません。冒険は父から止められていて……」
「冒険じゃないヨ。フィールドワークだヨ」
「フィールドワークなら仕方ないですネ」
物分りの良い弟子と、北の森にやってきた。ここは俺がたびたび訪れている場所なので、化け物が居ないことは確認済みだ。
俺にとっては見慣れた景色も、マルスには新鮮だろう。ついでにちょっと怖いのか、やたらと腕を掴んでくる。女の子だったらなぁ……。
「マルス、上を見ろ。高い木の上に、青プラムが実ってる。あれを素手で取れるか?」
「素手で、ですか!? 肩車しても届かないし、木の幹が細くて登って取るのも難しそうです……」
こいつ、着眼点がいいな。どこぞのクソガキと違って賢い。柔軟な発想が備われば薬草採取なら楽にこなせるようになるだろう。
「俺が手本を見せよう。まず、木の幹に手を添えます。掴みます」
「木を揺らして取るんですね!?」
「【ダークネス】で伐採します。倒れた木から青プラムを取ります。甘酸っぱくて美味しいです」
「えぇーっ!? 素手って言ったのに、ズルいですよ……でも美味しいです」
「最終的に素手で掴んだからセーフだ。とにかく引き出しを増やしておけ」
スキルの組み立ては俺には教えられない。属性が違うし、被ってる光は回復魔法くらいしか使わない。フラッシュはいずれ習得させるけど。
「次は紫色の実があるな。あれを食べたい。だが、毒があるかもしれない。どうすればいいと思う?」
「えーっと、持ち帰って人に聞きます」
「うむ、正解だ。他にも、獣が食べていた形跡があれば毒はない。それすらなかったら、パッチテストをする。欠片を肌に乗せて、少し待つ。赤くなれば毒だ」
マルスは目を輝かせて取り出した手帳に走り書きをしている。素直っていいね。クソガキたちだったら、今ごろ耳くそほじっていることだろう。
「次は、あの断崖を登ろう。ロープはないものとする。どうする?」
「土の魔術師なら、地形を加工して登れるんですけど……僕だったら、ファイヤーボールで木を倒して足場にします」
「正解だ。だが、道具やスキルを使わずとも登れる。その方法を教えよう」
崖は意外ともろく、素手で登るには適さない。まずは周辺を歩き、地盤がしっかりしている場所を探す。ここで重要なのは、人が入れるくぼみを見つけることだ。
「くぼみに入って、背中と両足を支えに少しずつ登ればいい。本当は岩場でやるんだが、探す時間がなかったから許せ。この脳筋登りのメリットは、両手を使わず済むところだ」
「僕もやってみていいですか!?」
どうぞどうぞ。運動音痴なマルスだったが、小柄ゆえに体重が軽く、俺より楽そうに登っていた。
「体を動かすのも楽しいですね、先生!」
「そうだろう。俺たちは魔術師だから運動は苦手だが、運動せざるを得ない。とくに光の魔術師は、ポーション太りがあるから……」
「そっ、そうですね。先生ほど深刻な人は少ないですけど、明日は我が身です」
「えぇ……俺ってそんなに太ってたのか……」
「先生は、治療拒否をしないと聞いています。尊敬します!」
イイコダナー。境遇が似てると、俺の体型を理解して貰えるのか。聖職者もそんな小さなことから集まって組織になったんだろうなぁ。
その後も役に立つか分からないサバイバル技術を教えているが、マルスは不満のひとつも漏らさない。こいつの目的は薬草採取だと思うのだが……。
「関係ないこと教えてるのに、文句も言わないんだな」
「最初は僕もそう思いました。でも、関係あるんですよね? パッチテストは、毒草を収穫せずに済みます。両手を使わない崖登りは、高所に生えた薬草採取に役立ちます!」
控えめに言って、自慢の弟子。まさか俺の意図が言わずに伝わる日が来るとは。きっと親の教育が良いのだろう。ロイスさんも人前じゃなければポンコツじゃないのね。
「120点満点あげちゃう。俺の目が届く範囲で、好きに薬草採取していいよ。せっかく来たんだし、片っ端から拾っとけ」
頭を下げて、駆け出した小さな後ろ姿を眺める。まるで孫を見てるおじいちゃんの気分。まだそんな歳じゃないけどね。フォッフォッフォッ。これはバ○タン星人だからセーフ。
マルスが座り込んで、手帳に絵を書き込んでいる。植物図鑑を作っているのだろう。食べられるものなら冒険者ギルドの書庫に書かれているが、薬の材料となればゼロからのスタートか。
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