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夜鷹編
ひとりになってクロノ死す
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完璧な土下座を決めて、ギルドに住み込む権利を得た俺は、真面目に働いている。床のモップがけに、ウェイトレス。皿洗いもしたし、何枚も割った。もちろん、ヒーラーも毎日やっている。
ハゲに頼んでヘルシーなメニューにして貰っているので、体重は現状維持だ。こんな生活がずっと続くといいな……そう思っていたら、クビになった。
「ブサクロノくん、もう家に帰りたまえ」
「うわぁぁぁ、嫌だあぁぁぁ! 帰りたくねぇよぉぉぉ! 靴磨きもしますから、ギルドに泊めてくださいよぉぉぉっ!」
「……落ち着きなさい。何も死ねと言っているわけではない。家の修理費用についても心配しなくていい」
「壊れても請求しないでくれるんですかっ!?」
「そう言えたら良かったのだがね。あの家の持ち主は私ではないんだ。それでも君にとっては、理不尽で納得できないだろう? だから、私なりに秘策を考えて来たのだよ」
「さ、流石はギルド長……そこまで俺のことを考えてくれていたなんて……っ」
「契約の内容は、『出ていくときに修理費用を支払う』だったね。聡い君ならもう分かっただろう? ずっと借りれば修理費用を払わなくていいんだよ?」
借金があるなら、さらに借金して一本化すればいいじゃない。アントワネット借金論をさらりと述べてきた。
「あんまりだぁぁぁぁぁぁっ!」
「君にはすまないと思っているが、ここはギルドなんだ。資料室が荒らされた形跡もあるし、このままではギルド運営に支障をきたす可能性がある。ヒーラーはしばらく休んでいいから、自分の身を守ることだけ考えなさい」
粘り強く交渉を続けたが、正午には叩き出されてしまったのである。なるべく人通りの多い道を歩きながら家に戻ると、少しだけ心が安らいだ。俺は何をそんなに心配していたのかと笑いながら、ドアノブに手をかけた。
「……鍵が開いてる。まっ、まさか!?」
家のなかを確認すると、一見して荒らされた様子はない。それでも嫌な予感がして、寝室の扉を開けると、床に血で文字が書かれていた。
――ナイトメアを渡せ。
俺はほっとした。これくらいの傷なら弁償費用は安いはず。まずは寝転がって今後の方針を固めようとしたとき、ベッドのシーツがズタズタに切り裂かれていることに気づいた……。
「あっ、あぁぁ……シーツが……レイナとの思い出が……」
残り香などとっくに薄れてなくなっている。それでも、一緒に過ごした思い出が詰まっていた。遺体も遺品も戻らなかったレイナの唯一の品だった。
「ククッ……クククッ……ハーッハッハッハ! やってくれるじゃないか!」
『ボクらの大事なものを奪ったらどうなるか。分からせてあげよう。それに、逃げてばかりも癪だしね』
「俺は死なないし、ナイトメアは渡さない。この戦い、絶対に勝つぞ」
突き刺さっていた短剣を床に投げ捨て、寝転がる。復讐するにも作戦は必要だ。誰かに命を狙われている。その事実を知ったら、どうするのか? 人によって様々な行動を取ると思うが、俺の取った行動は……。
「みんなー、おまたせ! ナイトメアを連れてきたよ~っ!」
昼の広場で声を張り上げると、町人が集まってくる。今日もナイトメアは大人気だ。
『大した度胸だね。流石のボクも驚いたよ。ナイトメアは渡さない(キリッ)とか言っておきながら、平然とボクを売るんだもん。しかも毎日』
(人聞きの悪いことを言うな。これは敵情視察だ)
目的はあくまでナイトメアの拉致のはず。そう考えた俺は、あえて人に囲まれる選択をした。仮に俺の命が狙われているとしても、同じことをしただろう。
少し考えれば分かることだ。絶海の孤島に集まった面識のない男女が、『この中に殺人犯が居るかもしれないんだぞ。一緒になんて寝られるかっ!』と言って自室にこもったとして、どうなるか。はい、死んだ。
サスペンスに思いを馳せていると、小さな女の子が話しかけてくる。何度か話したことがあるので、おじさん何でも答えちゃう。
「ねぇねぇ、オークのおじちゃん。この子はどこで見つけたの?」
「空から降ってきたんだ。いやぁ、驚いたよ!」
「おじちゃんの嘘つき。昨日は土の中から出てきたって言ったのに」
「はっはっは! 嘘じゃないとも。空から降ってきて、地面に埋まったのさ。おじさんはそれを掘り返したんだよ!」
「そっかぁ! ぶにぶにしてるから、生きてたんだねっ! ……じゃあ、おじさんはどうなの」
笑顔を浮かべたまま、短剣を持って体当たりをしてきた。いきなりのことで俺が避けられるはずもなかった。
「……おじさんもねぇ、死なないんだよ!」
「う、うそっ……刺さらないっ!?」
体当たりは群衆から刃物を見えないようにするフェイクだった。防具の隙間を狙った攻撃は、直前で止まっている。手首を掴んで得物を奪い取り、石畳の上に落とす。そこでようやく、一斉に悲鳴があがった。
「こんな町中で刃物を出したら危ないよぉ? おじさんと一緒に、衛兵さんのところに行こうねぇ!」
「やっ、離して! この変態!」
「強い言葉だねぇ。ママに教わったのかな? ……みなさんのなかに、この子の保護者はいらっしゃいますか?」
持ち上げて見せびらかしたものの、誰もが首を振って離れていく。とにかく騒ぎを大きくして衛兵が来るのを待つしかない……。
(ナイトメアのおかげでやっと釣れたよ。あとは芋づる式で捕まって、晴れて冒険者に戻れるわけだ。もう出てきていいぞ)
『あっ、ごめん。ボクは今、馬車に揺られてるよ』
(……なぜにぃ!?)
『いやぁ、捕まっちゃって。たぶんあの子の仲間だね』
(なんてこった。必ず助け出すから、待っていてくれ)
追いかけたい気持ちをぐっと抑える。お互いにどこか余裕を感じるのは、腕のなかに悪党の一味が居るからだ。こいつから情報を引き出さないと、ナイトメアにはたどり着けない。ナイトメアは俺が知らないことを答えないのだから。
「……何の騒ぎだ!? ま、またお前か! ブサクロノ!」
「ガイルさんじゃないですか。お久しぶりです。悪党に刺されかけまして。この子を捕まえてくださいよ」
門番&衛兵のガイルさんにサイコ少女を見せつけるが、腕のなかでぐったりして動かない。まさか俺が捕まったりして……?
「ブサクロノ……話は牢屋で聞こう」
「そんなぁぁぁぁっ! 誤解ですってばぁぁぁっ!」
俺の叫びも虚しく、続々とやってきた衛兵に囚われたのだった……。
「出してくれぇぇぇ! 俺は被害者だぁぁぁ!」
牢屋に放り込まれた俺は、見張り役に聞こえるように抗議する。だって他に方法がないんだもん。鉄格子をぶち壊して脱獄したら刑期が伸びるだけである。
「冤罪だ! それでも僕はやってない!」
「静かにしろ! あの女は取り調べの最中だ。騒ぎ立てて邪魔をするなら、お前の牢獄暮らしが伸びることになるぞ!」
確かに。いい大人が冤罪で取り乱してどうする。口を閉じた俺は、鉄格子を掴んだまま動きを止めた。
「……いや、こっち見るなよ。寝るなり座るなりしていいぞ」
俺は何も答えない。とにかく衛兵を見つめる。冷たかった鉄格子も、今ではほんのり人肌に温まっている。
「……分かったから。騒がないなら喋っていいから!」
「親切にどうも。君、若いね。衛兵になって何年目?」
「許可した瞬間にぐいぐい来るな。まだ半年だ」
「まだ日が浅いのに、しっかりとした対応ができるんだな。おじさんが若かった頃はもっと余裕がなかったのに。君は凄いな」
「……よ、よせよせ! 俺はまだ半人前さっ!」
恥ずかしそうに頬をかく地味で真面目な衛兵さん。あなたの弱点はどこですか。おじさん知ってるよ。そういう人ほど、褒められたら弱いんだよね。
「ブサクロノと言ったか。奇妙な呪いには驚かされたが、ガイルさんがお前を気にかけるわけだ」
「……なんですと? 気にかけたら身近に起きたい派なのか? 籠の中の鳥っていうか、豚小屋の中のブタにするのか!?」
「違うさ。俺たち衛兵は市民の身を守る。だけど市民権を持たない人を見捨てたいわけじゃない。こうして捕らえているのは、お前を合法的に守るためなんだ」
野郎のツンデレキター。確かに人が行き交う町の中より、牢屋のほうが安全だ。中に居る人は衛兵のみなので、すれ違いざまに刺される心配はない。怪しいやつが近づいてきたらすぐに気付く。牢屋は、最高の待合室だったのだ。
静かな牢獄でただ待つだけの時間は退屈だ。うとうとしていると、荒い足音が聞こえてきた。入ってきたのは、ガイルさんだった。
「……ブサクロノは起きているか!? 寝ているなら叩き起こすぞ!」
「おっ、起きてまーす!」
「あの女を取り調べたら、大変なことが分かった。これを見ろ」
ガイルさんが、女物の服を持っていた。俺を刺そうとした女の子が着ていた服ではなかろうか? ま、まさか……!?
「まずいですって。違法ロリはまずいですって!」
「……誤解だ。この服をよく見ておけ」
ガイルさんが手を離すと、ふわりと落ちるはずの服は、勢いよく落下した。鈍い金属音が牢屋に響き渡る……。
「……おしゃれと防御力を兼ね揃えた服ですか?」
「ばかもの。ただの女の子が、そんな高い装備を身に着けているはずがないだろう。この服には暗器が隠されている」
床に落ちた服のスカートをちらりとめくる。内側にはダガー、ナイフ、煙幕、針など物騒なものが縫い付けられていた……。
「異常さには気づいたな? 取り調べの結果、あの女は夜鷹の構成員だった」
「……夜鷹って何ですか?」
「数千年の歴史を持つとされる犯罪組織だ。今度こそ、死ぬかもしれんな」
ハゲに頼んでヘルシーなメニューにして貰っているので、体重は現状維持だ。こんな生活がずっと続くといいな……そう思っていたら、クビになった。
「ブサクロノくん、もう家に帰りたまえ」
「うわぁぁぁ、嫌だあぁぁぁ! 帰りたくねぇよぉぉぉ! 靴磨きもしますから、ギルドに泊めてくださいよぉぉぉっ!」
「……落ち着きなさい。何も死ねと言っているわけではない。家の修理費用についても心配しなくていい」
「壊れても請求しないでくれるんですかっ!?」
「そう言えたら良かったのだがね。あの家の持ち主は私ではないんだ。それでも君にとっては、理不尽で納得できないだろう? だから、私なりに秘策を考えて来たのだよ」
「さ、流石はギルド長……そこまで俺のことを考えてくれていたなんて……っ」
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借金があるなら、さらに借金して一本化すればいいじゃない。アントワネット借金論をさらりと述べてきた。
「あんまりだぁぁぁぁぁぁっ!」
「君にはすまないと思っているが、ここはギルドなんだ。資料室が荒らされた形跡もあるし、このままではギルド運営に支障をきたす可能性がある。ヒーラーはしばらく休んでいいから、自分の身を守ることだけ考えなさい」
粘り強く交渉を続けたが、正午には叩き出されてしまったのである。なるべく人通りの多い道を歩きながら家に戻ると、少しだけ心が安らいだ。俺は何をそんなに心配していたのかと笑いながら、ドアノブに手をかけた。
「……鍵が開いてる。まっ、まさか!?」
家のなかを確認すると、一見して荒らされた様子はない。それでも嫌な予感がして、寝室の扉を開けると、床に血で文字が書かれていた。
――ナイトメアを渡せ。
俺はほっとした。これくらいの傷なら弁償費用は安いはず。まずは寝転がって今後の方針を固めようとしたとき、ベッドのシーツがズタズタに切り裂かれていることに気づいた……。
「あっ、あぁぁ……シーツが……レイナとの思い出が……」
残り香などとっくに薄れてなくなっている。それでも、一緒に過ごした思い出が詰まっていた。遺体も遺品も戻らなかったレイナの唯一の品だった。
「ククッ……クククッ……ハーッハッハッハ! やってくれるじゃないか!」
『ボクらの大事なものを奪ったらどうなるか。分からせてあげよう。それに、逃げてばかりも癪だしね』
「俺は死なないし、ナイトメアは渡さない。この戦い、絶対に勝つぞ」
突き刺さっていた短剣を床に投げ捨て、寝転がる。復讐するにも作戦は必要だ。誰かに命を狙われている。その事実を知ったら、どうするのか? 人によって様々な行動を取ると思うが、俺の取った行動は……。
「みんなー、おまたせ! ナイトメアを連れてきたよ~っ!」
昼の広場で声を張り上げると、町人が集まってくる。今日もナイトメアは大人気だ。
『大した度胸だね。流石のボクも驚いたよ。ナイトメアは渡さない(キリッ)とか言っておきながら、平然とボクを売るんだもん。しかも毎日』
(人聞きの悪いことを言うな。これは敵情視察だ)
目的はあくまでナイトメアの拉致のはず。そう考えた俺は、あえて人に囲まれる選択をした。仮に俺の命が狙われているとしても、同じことをしただろう。
少し考えれば分かることだ。絶海の孤島に集まった面識のない男女が、『この中に殺人犯が居るかもしれないんだぞ。一緒になんて寝られるかっ!』と言って自室にこもったとして、どうなるか。はい、死んだ。
サスペンスに思いを馳せていると、小さな女の子が話しかけてくる。何度か話したことがあるので、おじさん何でも答えちゃう。
「ねぇねぇ、オークのおじちゃん。この子はどこで見つけたの?」
「空から降ってきたんだ。いやぁ、驚いたよ!」
「おじちゃんの嘘つき。昨日は土の中から出てきたって言ったのに」
「はっはっは! 嘘じゃないとも。空から降ってきて、地面に埋まったのさ。おじさんはそれを掘り返したんだよ!」
「そっかぁ! ぶにぶにしてるから、生きてたんだねっ! ……じゃあ、おじさんはどうなの」
笑顔を浮かべたまま、短剣を持って体当たりをしてきた。いきなりのことで俺が避けられるはずもなかった。
「……おじさんもねぇ、死なないんだよ!」
「う、うそっ……刺さらないっ!?」
体当たりは群衆から刃物を見えないようにするフェイクだった。防具の隙間を狙った攻撃は、直前で止まっている。手首を掴んで得物を奪い取り、石畳の上に落とす。そこでようやく、一斉に悲鳴があがった。
「こんな町中で刃物を出したら危ないよぉ? おじさんと一緒に、衛兵さんのところに行こうねぇ!」
「やっ、離して! この変態!」
「強い言葉だねぇ。ママに教わったのかな? ……みなさんのなかに、この子の保護者はいらっしゃいますか?」
持ち上げて見せびらかしたものの、誰もが首を振って離れていく。とにかく騒ぎを大きくして衛兵が来るのを待つしかない……。
(ナイトメアのおかげでやっと釣れたよ。あとは芋づる式で捕まって、晴れて冒険者に戻れるわけだ。もう出てきていいぞ)
『あっ、ごめん。ボクは今、馬車に揺られてるよ』
(……なぜにぃ!?)
『いやぁ、捕まっちゃって。たぶんあの子の仲間だね』
(なんてこった。必ず助け出すから、待っていてくれ)
追いかけたい気持ちをぐっと抑える。お互いにどこか余裕を感じるのは、腕のなかに悪党の一味が居るからだ。こいつから情報を引き出さないと、ナイトメアにはたどり着けない。ナイトメアは俺が知らないことを答えないのだから。
「……何の騒ぎだ!? ま、またお前か! ブサクロノ!」
「ガイルさんじゃないですか。お久しぶりです。悪党に刺されかけまして。この子を捕まえてくださいよ」
門番&衛兵のガイルさんにサイコ少女を見せつけるが、腕のなかでぐったりして動かない。まさか俺が捕まったりして……?
「ブサクロノ……話は牢屋で聞こう」
「そんなぁぁぁぁっ! 誤解ですってばぁぁぁっ!」
俺の叫びも虚しく、続々とやってきた衛兵に囚われたのだった……。
「出してくれぇぇぇ! 俺は被害者だぁぁぁ!」
牢屋に放り込まれた俺は、見張り役に聞こえるように抗議する。だって他に方法がないんだもん。鉄格子をぶち壊して脱獄したら刑期が伸びるだけである。
「冤罪だ! それでも僕はやってない!」
「静かにしろ! あの女は取り調べの最中だ。騒ぎ立てて邪魔をするなら、お前の牢獄暮らしが伸びることになるぞ!」
確かに。いい大人が冤罪で取り乱してどうする。口を閉じた俺は、鉄格子を掴んだまま動きを止めた。
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俺は何も答えない。とにかく衛兵を見つめる。冷たかった鉄格子も、今ではほんのり人肌に温まっている。
「……分かったから。騒がないなら喋っていいから!」
「親切にどうも。君、若いね。衛兵になって何年目?」
「許可した瞬間にぐいぐい来るな。まだ半年だ」
「まだ日が浅いのに、しっかりとした対応ができるんだな。おじさんが若かった頃はもっと余裕がなかったのに。君は凄いな」
「……よ、よせよせ! 俺はまだ半人前さっ!」
恥ずかしそうに頬をかく地味で真面目な衛兵さん。あなたの弱点はどこですか。おじさん知ってるよ。そういう人ほど、褒められたら弱いんだよね。
「ブサクロノと言ったか。奇妙な呪いには驚かされたが、ガイルさんがお前を気にかけるわけだ」
「……なんですと? 気にかけたら身近に起きたい派なのか? 籠の中の鳥っていうか、豚小屋の中のブタにするのか!?」
「違うさ。俺たち衛兵は市民の身を守る。だけど市民権を持たない人を見捨てたいわけじゃない。こうして捕らえているのは、お前を合法的に守るためなんだ」
野郎のツンデレキター。確かに人が行き交う町の中より、牢屋のほうが安全だ。中に居る人は衛兵のみなので、すれ違いざまに刺される心配はない。怪しいやつが近づいてきたらすぐに気付く。牢屋は、最高の待合室だったのだ。
静かな牢獄でただ待つだけの時間は退屈だ。うとうとしていると、荒い足音が聞こえてきた。入ってきたのは、ガイルさんだった。
「……ブサクロノは起きているか!? 寝ているなら叩き起こすぞ!」
「おっ、起きてまーす!」
「あの女を取り調べたら、大変なことが分かった。これを見ろ」
ガイルさんが、女物の服を持っていた。俺を刺そうとした女の子が着ていた服ではなかろうか? ま、まさか……!?
「まずいですって。違法ロリはまずいですって!」
「……誤解だ。この服をよく見ておけ」
ガイルさんが手を離すと、ふわりと落ちるはずの服は、勢いよく落下した。鈍い金属音が牢屋に響き渡る……。
「……おしゃれと防御力を兼ね揃えた服ですか?」
「ばかもの。ただの女の子が、そんな高い装備を身に着けているはずがないだろう。この服には暗器が隠されている」
床に落ちた服のスカートをちらりとめくる。内側にはダガー、ナイフ、煙幕、針など物騒なものが縫い付けられていた……。
「異常さには気づいたな? 取り調べの結果、あの女は夜鷹の構成員だった」
「……夜鷹って何ですか?」
「数千年の歴史を持つとされる犯罪組織だ。今度こそ、死ぬかもしれんな」
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