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掘られかけてクロノ死す
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「ここがやつのハウスね」
昼過ぎの森に探索に来ている。早朝組の足跡を辿りながら、ホーンラビットの巣穴を探していた。巣と言っても、ひとつあたりの穴に対して1匹か2匹しか居ないらしい。独身にせよ番にせよ、まさにホーンラビットのハウスである。
「……これか。どうやっておびき出そう? 燻り出すのが効果的らしいけど、火事になったら危ないしなぁ。騒ぐと他の魔物が寄ってくるかもだし。そうだ、小便でもするか!」
ぽっかりと空いた穴に、たっぷりと注ぎ込む。いきなり飛び出して来るのではないかとドキドキしたが、残尿を切ってズボンに閉まってから、もそもそと現れた。ベストタイミングだ。
巣穴の出口はひとつである。巣の異変に気づいたとしても、小便が終わる前に出てくると頭から被ることになるのだ。俺なら嫌だ。ホーンラビットもそうだったに違いない。とにかく、ホーンラビットはお怒りである。
頭に生えた角がやや小さい。恐らくはメスが1匹だけ。戦うにはちょうどいい。
剣を抜き、手をかざしてにらみ合う。小さいからと油断するなかれ。ホーンラビットはある意味でゴブリンよりも厄介な生物だ。
小さいがゆえにこちらの攻撃が当て難く、軽快な動きを活かした跳躍からの体当たり。攻撃手段は単純なものだが、自慢の角を正面から受ければ、致命傷になりかねない。ここは慎重に行動せねば……。
(……いつ、動くか?)
マイホームに小便をかけられ怒り心頭でも、ホーンラビットは動かない。じっとこちらを見つめ、隙きあらば反撃に転じる姿勢である。その証拠に、体勢はやや低く、攻撃の要となる後足は、グッと折り畳まれている。
しかしそれはこちらも同じこと。右手に持った剣をホーンラビットに向けるように構え、左腕に固定した円盾で半身を守る。無策で飛び込んできたときは、そのまま串刺しにしてやる。
両者にらみ合いのまま、どれだけの時が過ぎただろうか。知らん、飽きた。それでも気を抜けば命に関わる。わざと隙を作ってカウンターを決めるしかない。
「ばっちこーい!!」
ホーンラビットに背を向け、尻を突き出す。挑発と隙を兼ね揃えた、完璧な攻めの姿勢である。小さな体が、わずかに動いたと思った次の瞬間――。
「どぇぇぇぇぇっ!?」
力強いジャンプで一瞬にして間合いを詰めてきたかと思えば、空中で体を捻ってのドリルスピン。俺はブサイクな格好でどうにか避けたが、ホーンラビットのご自慢の角は、大木に根本まで刺さっていた。
凄まじい貫通力の正体は、あの回転によるウルトラCに違いない。見ると聞くでは大違い。円盾で受けていたら本当に腕を持っていかれていただろう。
「【ダークネス】」
這いずるように立ち上がって、後ろからダークネスを当てると、大木の幹が消し飛んだ。物騒な球体は相変わらず健在で、どれだけ倒しても消える様子がなかったので新しいダークネスで打ち消した。
「環境破壊は気持ちいいぞい……そうだ、ホーンラビットは!?」
探しても見つからない。始めに倒した木には、薄っすらと赤い血の跡が付着している。これは、まさか……。
「……威力、高すぎない?」
思い返せばダークネスの大きさは、ホーンラビットよりわずかに大きかった。それを直撃したのだから、骨も残さず消し去ってしまったようだ。
ホーンラビットには捨てる部位がほとんどない。肉はもちろん、骨からは上質な出汁が取れるらしい。毛皮も売れるし、角は工芸品や鏃として使える。歯や出がらしとなった骨は砕いて肥料になる。1羽1000ルフで売れるのだが……。
「た、タダ働きじゃねーか。こりゃ失敗だ」
ダークネスがダメなら剣を使えばいいじゃない。慣れた人はホーンラビットの首をスパンと切り落として、倒すと同時に血抜きをしてから売るらしい。状態が良いと買取価格も上がるので、積極的に狙っていこう。
「……小便、足りるかなぁ」
レベルアップでステータスが上がる。理論上は膀胱の容量も増えるはずである。どのような理論なのかは暇なときに鼻くそをほじりながら考えよう。くだらないことを考えていても、周囲の警戒は怠っていない。次の巣穴を見つけた。
「……むっ、品切れのようだ。もう出ない」
小便に変わる新たな作戦を考えたとき、頭をよぎったのは脱糞の二文字であった。しかしながら、俺はそこまで外道ではない。尻に穴が空いたら大変だ。よって、優しい戦法を選ぶ。
「穴があるなら、埋めればいいじゃない」
剣で周囲の土を掘り返して、巣穴に落としていく。ご自慢のマイホームを破壊されたくなければ、ホームブレイカー・クロノと戦え。流し込んだ土が、押し返される。ホーンラビットの登場である。
毛の色は白かったが、角が長く、体がひとまわり大きい。大人のオスだ。こいつに勝てれば、タイマンでホーンラビットに負けることはないはずだ。なにより、白い毛皮は買取額が最も高い。必ず仕留める。
「その首を寄越せ!」
剣を振り下ろすと、角に弾き返された。鏃にも使われるだけあってかなりの硬さだ。ホーンラビットの反撃が来る。この至近距離では避けられない。そう思った俺は、とっさに盾を構えた。
貫通力の高さは先ほどの大木で学習済みだ。円盾をまともに受ければ間違いなく貫かれる。だから、盾に角度を付けて、角の威力を分散させるっ!
円盾と角が触れ、火花が散る。受け流しているはずなのに、体当たりの衝撃を殺しきれていない。俺の体勢が崩れて派手に尻もちをついたことが幸いし、ホーンラビットは木の幹に突き刺さった。
「――ふんっ!」
角が抜けずにもがいていたホーンラビットの首に、剣を振り下ろす。ドスンと胴体が落ちた。突き刺さったままの首から流れ落ちた血が、真っ白な毛皮を赤く染めた。毛皮はダメかも知れない……。
「はぁはぁ、強かった。強敵だった。ラスボスだった」
これで最も弱い魔物なのだからやってられない。突き刺さった首を引き抜こうとしたが、これがまた重労働だ。両手だけではどうにもならず、足で幹を蹴りながら全体重をかけてようやく抜けた。そしてすっ転んだ。
「し、しんどい……あっ」
手の中のホーンラビットと目が合ってしまった。光が消えた瞳を見てしまうと罪悪感が一気に押し寄せてくる。これはブルーになる予感。だからあのスキルを使おう。【闇の喜び】だ。
「ククッ、クククッ……ハーッハッハッハァ!」
気持ちは落ち着いた。だが、こんなことではいけない。濁った瞳を正面から見据え、語りかけた。
「お前もどうせ300人くらい殺してきたんだろ。うさぎ界のジャック・ザ・リッパーめ。やりすぎたんだよ、お前は」
真相は闇の中である。酷く疲れたので【メディック】を使った。乱れていた息がスッと落ち着き、長く細い息を吐き終えたら体に溜まっていた疲労がそれなりに和らいだ。
「……でも、疲れたなぁ。帰るかぁ」
胴体と首は別々の麻袋に入れて、背負って歩き出す。地味に重い。戦士系統ならともかく、魔術師のステータスでは荷運びすら怪しいものだ。
「はぁ、はぁ……ラスボス倒したのにレベル上がらないじゃん……」
ヒーラーのバイトとホーンラビットの討伐。これまでで一番頑張ったはずなのだが、両手放しには喜べない結果となった。まぁ、生首を見ながら射精せずに済んだので良しとしよう……。
「あっ、魔物を倒すとレベルが上がるってことは……?」
レベルが上がるたびにその魔物を見ながら射精するハメになる。デッドボールで騒いでいられなくなる。いっそ避けずに背中で当たりにいくリードオフマンのような強靭なメンタルが欲しいものだ。
「あー、しんど……」
少なくとも、背負った得物を重さに耐えかねて投げ出さないくらいには。
やっとの思いでギルドまで戻ってくると、入り口の前に立っていた男が話しかけてきた。それほど親しいわけではないが、互いに面識はあるくらいの微妙な関係だ。なぜか小声である。
「おう、来たかブサイク。面白い話があるから乗ってけよ」
男が手招きをして、指をさした先は、カウンターだ。その中心に座る若い男が頭を抱えていた。周りの人は口を抑えて笑いを堪えているように見えた。
「森でオークのユニークを見たんだとよ。あとは分かるだろ?」
この男もまた笑いを堪えている。俺を煽りたいわけではない。きっと頭を抱えている男は、俺を知らないのだ。
「……なるほど。ちょっと驚かせてやりまっせ」
互いにサムズアップして別れる。こういうことに長い言葉は必要ないのだ。足音を立てないように酒場を進む。唇に人差し指を当てて、俺に気づいた客たちが騒がないようにした。意思の疎通はばっちりである。
そろりそろりとカウンターに近づき、頭を抱えた男の話に耳を傾けた。
「俺、見ちまったんだ。肌色のオークがホーンラビットの生首を掲げながら、笑ってたんだ。恐ろしくてちびるかと思った。もし気づかれていたかと思うとゾッとするぜ……」
まさか闇の喜びを使っているシーンを見られるとは。確かに、はたから見ればヤバイやつである。
「へぇ、それは災難だったな。もう少し具体的な内容じゃないとギルドも調査に乗り出せないぜ。肌色って言われてもなぁ。顔は見たのか?」
「か、顔なら見たさ。だから見ればすぐに分かるんだ」
ハーゲルは最初から俺に気づいている。この会話も、アシストである。酒場の客たちが吹き出す前に、行動に移すとしよう。頭を抱えた男の肩に手を置いて、低い声で語りかける。
「それって、こんな顔ぉぉぉっ……?」
「うぎゃー! で、ででで……出たぁぁぁっ!?」
男が椅子から転げ落ちて腰を抜かすと、酒場は爆笑の嵐である。錯乱しているのか武器に手をかけようとしたので、柄を踏んで抜かせないようにした。
「いやぁ、すみませんねぇ。俺、元からこんな顔なんですよ」
「えっ、はぁっ? に、人間なのか!?」
「もちろん、うちの冒険者だ。俺たちからの復帰祝いってやつさ。冒険者は自分の目で見たものだけを信じる。確かめねぇうちに御大層に話すなってこった。良い教訓になったろ」
どうも面識がないと思っていたら、しばらく冒険者家業をお休みしていたらしい。俺も面白かったので良しとするが、本人からしたらとんだサプライズだ。
「ブサクロノ、今日は奢りだ。換金を済ませて飯食えや」
ゴチである。受付は今日もギルド長だった。ホーンラビットは大銅貨2枚で売れた。毛皮が血で汚れてなければ倍の値段だったらしい。俺が見た張り紙は茶色のうさぎの値段だと今更知った。
好戦的な茶色と違って、白うさぎは臆病で、珍しくはないが狩り難いそうだ。燻し出そうとすると、深く穴を掘って避難するのだとか。この事実はテイマーが見つけたもので、当時はそれなりに話題になったそうだ。
これらの知識は書庫になかった。ギルド長いわく、教わったことが全てではないとのこと。あとはハーゲルが先ほど言っていたことを語られた。どこにでも育成の思惑が隠れ潜んでいる。こちらとしても発見は楽しいので不満はない。
おまけに、ホーンラビットの納品は、武器や弓を使う職がやるもので、普通は魔術師はやらないらしい。魔術スキルだと消し飛ぶのも学習済みなので、なるほど納得である。俺もこれっきりにしよう。
「ダイナマイトプリンうめぇ。タダメシ最高」
「そりゃ良かった。食い終わったらヒーラー頼めるか?」
「別にいいけど、今日は別の人がやるんじゃなかったっけ?」
「それがな、Dランクになっちまったんだ。王都行きが決まって、準備や挨拶回りに追われてヒーラーどころじゃなくなった」
「めでたいことなんだろうが、素直に喜べないな」
「そうなんだよ。だがこればっかりは、しょうがねぇ。それでな、ギルドに所属するヒーラーって、お前を含めてもう二人しか居ないんだよ」
これは最悪である。光の魔術師そのものは全体の2割ほどだ。しかし、酒場で冒険者を癒やすバイトを拒否する者が大半であった。その理由は、MP不足による吐き気と、拘束時間にあると思っている。
冒険を終えて帰ってきたときは、それはもうクタクタである。そこからさらに吐き気を伴うバイトなんざ誰もしたくない。つまり、ヒーラーのバイトをするときは、その日の冒険者家業を休むしかないのだ。
強くなれないし、ランクも上がらない。経験値は微々たるものだ。いくら金を稼げるとしても、やりたくないものはやりたくないのである。例外は、雨の日だけなのだ。濡れたくない、そんな生活感溢れる理由であった。
俺は見習いなので遠征も出来ないし、近場で数時間の探索を終えて帰るのだからヒーラーをする気力があるはず。そう思われているのだろうが、俺は弱いので疲れ具合は他の冒険者と変わらない気がする。今日はラスボス倒したし。
「あーあー、聞こえなーい」
「頼む! 新しく光の魔術師が入ってくるまででいいから!」
「いつ入ってくるんだよ?」
「……………………」
「おい、何か言えよ。ギルド長も同じ考えなのか?」
「あぁ、話し合った結果だからな。だがギルド長から話を切り出すと、不当な圧力に成りかねないってことで……」
「ハゲになら文句を言っていい、と。俺も強くなりたいんだけど、分かる?」
「つ、罪滅ぼしってわけじゃねぇが、ヒーラーの日は食事代は無料にする。それと治療した人数に応じてギルドから追加金を払おうと思ってるんだが……」
「いくらよ? おじさんに言ってみ? 怒らないから」
「一人につき、大銅貨1枚でお願いします……」
殊勝なハゲである。俺は新人だから貧乏くじを引かされやすい。そもそも、頭ごなしに言われたとしても、俺に拒否権はないのだ。条件を上乗せして貰っただけましと考えるしかない。
「……分かった。新しい子が来たら、しっかり冒険させてくれよな」
「あぁ、もちろんだ! ついでに、ここだけの話だが、今後の冒険者としての活動に少しだけポイントを上乗せするつもりだ。少しだぞ? 少しだけ昇格しやすくなるから、腐らないで頑張ってくれ」
これは便宜ではない。ギルドの都合で行動を制限するのだから、活動出来なかった期間を貢献度として補填する帳尻合わせである。
「それはどうでもいいから、早く新しい子を見つけてくれよな。ランク上がっても実力が伴わないなら意味ないだろうが……」
「分かってるって。俺が声をかければ、光の魔術師くらいすぐに見つかるぜ。それまで穴埋めをよろしくな!」
そう言われて、はや2週間が経過していた。もう一人のヒーラーはノイローゼ気味になって遠征から戻らない。日帰り出来るはずの距離なのにである。ほぼ毎日、俺がヒーラーをこなすことになった……。
そして見習い期間を終えて、晴れて一人前になったのだ。その貫禄は、俺の体に如実に現れていた。すれ違う冒険者たちも俺の貫禄を見て凄いと噂するほどである。
「おい、見ろよ。あいつ凄ぇな……」
「あぁ……凄ぇ腹だな」
「あと凄ぇ顔だ……」
もちろん褒められてなどいない。単純に、ものっそい太った。ストレートに言えば、デブである。なぜこんなことになったのか? ストレスからのやけ食いが原因ではない。肥満の正体は、ポーションだった。
ポーションのカロリーは高い。数本飲めば、どこぞのヤバげなチョコレートドリンクに勝るとも劣らないカロリーである。それを知らされたのは、俺がパーフェクトなデブになってからだった……。
冒険に出ているときは飲みまくっても問題ないのだが、連日のようにギルドでヒーラーをしていた俺が、運動する機会などない。この世界、舐めてた。隠された理由がまだあったなんて流石の俺も思わなかった。
「このハゲ! どうすんだよ!? 歩くだけで膝が痛いわっ!」
「す、すまん! やっと新しい子を見つけたんだ! ダイエ……冒険者家業を頑張ってくれ!」
「そりゃ皆、断るわけだわ! ヒーラーって男ばかりだな、なんて思ってたらこれだよ。女子は絶対にやらないだろこれ……」
聖職者が治療に銀貨1枚取るわけである。当時のヒーラー騒動の連中がキレてボイコットするのも当たり前だ。完全に騙された。
「か、金も貯まっただろうし新しい装備を買える。悪いことばかりじゃなかっただろ……?」
「元の防具、デブって着れねぇんだよ! 新しい防具を買ったら、これまでの稼ぎがパァだろうが! しかも痩せたらまた買い直しになるだろうがっ」
「分かった、分かったから。新しい防具代はギルドで出すから……」
こうして膝に重力を受けてしまった俺の冒険者生活が始まった……。
昼過ぎの森に探索に来ている。早朝組の足跡を辿りながら、ホーンラビットの巣穴を探していた。巣と言っても、ひとつあたりの穴に対して1匹か2匹しか居ないらしい。独身にせよ番にせよ、まさにホーンラビットのハウスである。
「……これか。どうやっておびき出そう? 燻り出すのが効果的らしいけど、火事になったら危ないしなぁ。騒ぐと他の魔物が寄ってくるかもだし。そうだ、小便でもするか!」
ぽっかりと空いた穴に、たっぷりと注ぎ込む。いきなり飛び出して来るのではないかとドキドキしたが、残尿を切ってズボンに閉まってから、もそもそと現れた。ベストタイミングだ。
巣穴の出口はひとつである。巣の異変に気づいたとしても、小便が終わる前に出てくると頭から被ることになるのだ。俺なら嫌だ。ホーンラビットもそうだったに違いない。とにかく、ホーンラビットはお怒りである。
頭に生えた角がやや小さい。恐らくはメスが1匹だけ。戦うにはちょうどいい。
剣を抜き、手をかざしてにらみ合う。小さいからと油断するなかれ。ホーンラビットはある意味でゴブリンよりも厄介な生物だ。
小さいがゆえにこちらの攻撃が当て難く、軽快な動きを活かした跳躍からの体当たり。攻撃手段は単純なものだが、自慢の角を正面から受ければ、致命傷になりかねない。ここは慎重に行動せねば……。
(……いつ、動くか?)
マイホームに小便をかけられ怒り心頭でも、ホーンラビットは動かない。じっとこちらを見つめ、隙きあらば反撃に転じる姿勢である。その証拠に、体勢はやや低く、攻撃の要となる後足は、グッと折り畳まれている。
しかしそれはこちらも同じこと。右手に持った剣をホーンラビットに向けるように構え、左腕に固定した円盾で半身を守る。無策で飛び込んできたときは、そのまま串刺しにしてやる。
両者にらみ合いのまま、どれだけの時が過ぎただろうか。知らん、飽きた。それでも気を抜けば命に関わる。わざと隙を作ってカウンターを決めるしかない。
「ばっちこーい!!」
ホーンラビットに背を向け、尻を突き出す。挑発と隙を兼ね揃えた、完璧な攻めの姿勢である。小さな体が、わずかに動いたと思った次の瞬間――。
「どぇぇぇぇぇっ!?」
力強いジャンプで一瞬にして間合いを詰めてきたかと思えば、空中で体を捻ってのドリルスピン。俺はブサイクな格好でどうにか避けたが、ホーンラビットのご自慢の角は、大木に根本まで刺さっていた。
凄まじい貫通力の正体は、あの回転によるウルトラCに違いない。見ると聞くでは大違い。円盾で受けていたら本当に腕を持っていかれていただろう。
「【ダークネス】」
這いずるように立ち上がって、後ろからダークネスを当てると、大木の幹が消し飛んだ。物騒な球体は相変わらず健在で、どれだけ倒しても消える様子がなかったので新しいダークネスで打ち消した。
「環境破壊は気持ちいいぞい……そうだ、ホーンラビットは!?」
探しても見つからない。始めに倒した木には、薄っすらと赤い血の跡が付着している。これは、まさか……。
「……威力、高すぎない?」
思い返せばダークネスの大きさは、ホーンラビットよりわずかに大きかった。それを直撃したのだから、骨も残さず消し去ってしまったようだ。
ホーンラビットには捨てる部位がほとんどない。肉はもちろん、骨からは上質な出汁が取れるらしい。毛皮も売れるし、角は工芸品や鏃として使える。歯や出がらしとなった骨は砕いて肥料になる。1羽1000ルフで売れるのだが……。
「た、タダ働きじゃねーか。こりゃ失敗だ」
ダークネスがダメなら剣を使えばいいじゃない。慣れた人はホーンラビットの首をスパンと切り落として、倒すと同時に血抜きをしてから売るらしい。状態が良いと買取価格も上がるので、積極的に狙っていこう。
「……小便、足りるかなぁ」
レベルアップでステータスが上がる。理論上は膀胱の容量も増えるはずである。どのような理論なのかは暇なときに鼻くそをほじりながら考えよう。くだらないことを考えていても、周囲の警戒は怠っていない。次の巣穴を見つけた。
「……むっ、品切れのようだ。もう出ない」
小便に変わる新たな作戦を考えたとき、頭をよぎったのは脱糞の二文字であった。しかしながら、俺はそこまで外道ではない。尻に穴が空いたら大変だ。よって、優しい戦法を選ぶ。
「穴があるなら、埋めればいいじゃない」
剣で周囲の土を掘り返して、巣穴に落としていく。ご自慢のマイホームを破壊されたくなければ、ホームブレイカー・クロノと戦え。流し込んだ土が、押し返される。ホーンラビットの登場である。
毛の色は白かったが、角が長く、体がひとまわり大きい。大人のオスだ。こいつに勝てれば、タイマンでホーンラビットに負けることはないはずだ。なにより、白い毛皮は買取額が最も高い。必ず仕留める。
「その首を寄越せ!」
剣を振り下ろすと、角に弾き返された。鏃にも使われるだけあってかなりの硬さだ。ホーンラビットの反撃が来る。この至近距離では避けられない。そう思った俺は、とっさに盾を構えた。
貫通力の高さは先ほどの大木で学習済みだ。円盾をまともに受ければ間違いなく貫かれる。だから、盾に角度を付けて、角の威力を分散させるっ!
円盾と角が触れ、火花が散る。受け流しているはずなのに、体当たりの衝撃を殺しきれていない。俺の体勢が崩れて派手に尻もちをついたことが幸いし、ホーンラビットは木の幹に突き刺さった。
「――ふんっ!」
角が抜けずにもがいていたホーンラビットの首に、剣を振り下ろす。ドスンと胴体が落ちた。突き刺さったままの首から流れ落ちた血が、真っ白な毛皮を赤く染めた。毛皮はダメかも知れない……。
「はぁはぁ、強かった。強敵だった。ラスボスだった」
これで最も弱い魔物なのだからやってられない。突き刺さった首を引き抜こうとしたが、これがまた重労働だ。両手だけではどうにもならず、足で幹を蹴りながら全体重をかけてようやく抜けた。そしてすっ転んだ。
「し、しんどい……あっ」
手の中のホーンラビットと目が合ってしまった。光が消えた瞳を見てしまうと罪悪感が一気に押し寄せてくる。これはブルーになる予感。だからあのスキルを使おう。【闇の喜び】だ。
「ククッ、クククッ……ハーッハッハッハァ!」
気持ちは落ち着いた。だが、こんなことではいけない。濁った瞳を正面から見据え、語りかけた。
「お前もどうせ300人くらい殺してきたんだろ。うさぎ界のジャック・ザ・リッパーめ。やりすぎたんだよ、お前は」
真相は闇の中である。酷く疲れたので【メディック】を使った。乱れていた息がスッと落ち着き、長く細い息を吐き終えたら体に溜まっていた疲労がそれなりに和らいだ。
「……でも、疲れたなぁ。帰るかぁ」
胴体と首は別々の麻袋に入れて、背負って歩き出す。地味に重い。戦士系統ならともかく、魔術師のステータスでは荷運びすら怪しいものだ。
「はぁ、はぁ……ラスボス倒したのにレベル上がらないじゃん……」
ヒーラーのバイトとホーンラビットの討伐。これまでで一番頑張ったはずなのだが、両手放しには喜べない結果となった。まぁ、生首を見ながら射精せずに済んだので良しとしよう……。
「あっ、魔物を倒すとレベルが上がるってことは……?」
レベルが上がるたびにその魔物を見ながら射精するハメになる。デッドボールで騒いでいられなくなる。いっそ避けずに背中で当たりにいくリードオフマンのような強靭なメンタルが欲しいものだ。
「あー、しんど……」
少なくとも、背負った得物を重さに耐えかねて投げ出さないくらいには。
やっとの思いでギルドまで戻ってくると、入り口の前に立っていた男が話しかけてきた。それほど親しいわけではないが、互いに面識はあるくらいの微妙な関係だ。なぜか小声である。
「おう、来たかブサイク。面白い話があるから乗ってけよ」
男が手招きをして、指をさした先は、カウンターだ。その中心に座る若い男が頭を抱えていた。周りの人は口を抑えて笑いを堪えているように見えた。
「森でオークのユニークを見たんだとよ。あとは分かるだろ?」
この男もまた笑いを堪えている。俺を煽りたいわけではない。きっと頭を抱えている男は、俺を知らないのだ。
「……なるほど。ちょっと驚かせてやりまっせ」
互いにサムズアップして別れる。こういうことに長い言葉は必要ないのだ。足音を立てないように酒場を進む。唇に人差し指を当てて、俺に気づいた客たちが騒がないようにした。意思の疎通はばっちりである。
そろりそろりとカウンターに近づき、頭を抱えた男の話に耳を傾けた。
「俺、見ちまったんだ。肌色のオークがホーンラビットの生首を掲げながら、笑ってたんだ。恐ろしくてちびるかと思った。もし気づかれていたかと思うとゾッとするぜ……」
まさか闇の喜びを使っているシーンを見られるとは。確かに、はたから見ればヤバイやつである。
「へぇ、それは災難だったな。もう少し具体的な内容じゃないとギルドも調査に乗り出せないぜ。肌色って言われてもなぁ。顔は見たのか?」
「か、顔なら見たさ。だから見ればすぐに分かるんだ」
ハーゲルは最初から俺に気づいている。この会話も、アシストである。酒場の客たちが吹き出す前に、行動に移すとしよう。頭を抱えた男の肩に手を置いて、低い声で語りかける。
「それって、こんな顔ぉぉぉっ……?」
「うぎゃー! で、ででで……出たぁぁぁっ!?」
男が椅子から転げ落ちて腰を抜かすと、酒場は爆笑の嵐である。錯乱しているのか武器に手をかけようとしたので、柄を踏んで抜かせないようにした。
「いやぁ、すみませんねぇ。俺、元からこんな顔なんですよ」
「えっ、はぁっ? に、人間なのか!?」
「もちろん、うちの冒険者だ。俺たちからの復帰祝いってやつさ。冒険者は自分の目で見たものだけを信じる。確かめねぇうちに御大層に話すなってこった。良い教訓になったろ」
どうも面識がないと思っていたら、しばらく冒険者家業をお休みしていたらしい。俺も面白かったので良しとするが、本人からしたらとんだサプライズだ。
「ブサクロノ、今日は奢りだ。換金を済ませて飯食えや」
ゴチである。受付は今日もギルド長だった。ホーンラビットは大銅貨2枚で売れた。毛皮が血で汚れてなければ倍の値段だったらしい。俺が見た張り紙は茶色のうさぎの値段だと今更知った。
好戦的な茶色と違って、白うさぎは臆病で、珍しくはないが狩り難いそうだ。燻し出そうとすると、深く穴を掘って避難するのだとか。この事実はテイマーが見つけたもので、当時はそれなりに話題になったそうだ。
これらの知識は書庫になかった。ギルド長いわく、教わったことが全てではないとのこと。あとはハーゲルが先ほど言っていたことを語られた。どこにでも育成の思惑が隠れ潜んでいる。こちらとしても発見は楽しいので不満はない。
おまけに、ホーンラビットの納品は、武器や弓を使う職がやるもので、普通は魔術師はやらないらしい。魔術スキルだと消し飛ぶのも学習済みなので、なるほど納得である。俺もこれっきりにしよう。
「ダイナマイトプリンうめぇ。タダメシ最高」
「そりゃ良かった。食い終わったらヒーラー頼めるか?」
「別にいいけど、今日は別の人がやるんじゃなかったっけ?」
「それがな、Dランクになっちまったんだ。王都行きが決まって、準備や挨拶回りに追われてヒーラーどころじゃなくなった」
「めでたいことなんだろうが、素直に喜べないな」
「そうなんだよ。だがこればっかりは、しょうがねぇ。それでな、ギルドに所属するヒーラーって、お前を含めてもう二人しか居ないんだよ」
これは最悪である。光の魔術師そのものは全体の2割ほどだ。しかし、酒場で冒険者を癒やすバイトを拒否する者が大半であった。その理由は、MP不足による吐き気と、拘束時間にあると思っている。
冒険を終えて帰ってきたときは、それはもうクタクタである。そこからさらに吐き気を伴うバイトなんざ誰もしたくない。つまり、ヒーラーのバイトをするときは、その日の冒険者家業を休むしかないのだ。
強くなれないし、ランクも上がらない。経験値は微々たるものだ。いくら金を稼げるとしても、やりたくないものはやりたくないのである。例外は、雨の日だけなのだ。濡れたくない、そんな生活感溢れる理由であった。
俺は見習いなので遠征も出来ないし、近場で数時間の探索を終えて帰るのだからヒーラーをする気力があるはず。そう思われているのだろうが、俺は弱いので疲れ具合は他の冒険者と変わらない気がする。今日はラスボス倒したし。
「あーあー、聞こえなーい」
「頼む! 新しく光の魔術師が入ってくるまででいいから!」
「いつ入ってくるんだよ?」
「……………………」
「おい、何か言えよ。ギルド長も同じ考えなのか?」
「あぁ、話し合った結果だからな。だがギルド長から話を切り出すと、不当な圧力に成りかねないってことで……」
「ハゲになら文句を言っていい、と。俺も強くなりたいんだけど、分かる?」
「つ、罪滅ぼしってわけじゃねぇが、ヒーラーの日は食事代は無料にする。それと治療した人数に応じてギルドから追加金を払おうと思ってるんだが……」
「いくらよ? おじさんに言ってみ? 怒らないから」
「一人につき、大銅貨1枚でお願いします……」
殊勝なハゲである。俺は新人だから貧乏くじを引かされやすい。そもそも、頭ごなしに言われたとしても、俺に拒否権はないのだ。条件を上乗せして貰っただけましと考えるしかない。
「……分かった。新しい子が来たら、しっかり冒険させてくれよな」
「あぁ、もちろんだ! ついでに、ここだけの話だが、今後の冒険者としての活動に少しだけポイントを上乗せするつもりだ。少しだぞ? 少しだけ昇格しやすくなるから、腐らないで頑張ってくれ」
これは便宜ではない。ギルドの都合で行動を制限するのだから、活動出来なかった期間を貢献度として補填する帳尻合わせである。
「それはどうでもいいから、早く新しい子を見つけてくれよな。ランク上がっても実力が伴わないなら意味ないだろうが……」
「分かってるって。俺が声をかければ、光の魔術師くらいすぐに見つかるぜ。それまで穴埋めをよろしくな!」
そう言われて、はや2週間が経過していた。もう一人のヒーラーはノイローゼ気味になって遠征から戻らない。日帰り出来るはずの距離なのにである。ほぼ毎日、俺がヒーラーをこなすことになった……。
そして見習い期間を終えて、晴れて一人前になったのだ。その貫禄は、俺の体に如実に現れていた。すれ違う冒険者たちも俺の貫禄を見て凄いと噂するほどである。
「おい、見ろよ。あいつ凄ぇな……」
「あぁ……凄ぇ腹だな」
「あと凄ぇ顔だ……」
もちろん褒められてなどいない。単純に、ものっそい太った。ストレートに言えば、デブである。なぜこんなことになったのか? ストレスからのやけ食いが原因ではない。肥満の正体は、ポーションだった。
ポーションのカロリーは高い。数本飲めば、どこぞのヤバげなチョコレートドリンクに勝るとも劣らないカロリーである。それを知らされたのは、俺がパーフェクトなデブになってからだった……。
冒険に出ているときは飲みまくっても問題ないのだが、連日のようにギルドでヒーラーをしていた俺が、運動する機会などない。この世界、舐めてた。隠された理由がまだあったなんて流石の俺も思わなかった。
「このハゲ! どうすんだよ!? 歩くだけで膝が痛いわっ!」
「す、すまん! やっと新しい子を見つけたんだ! ダイエ……冒険者家業を頑張ってくれ!」
「そりゃ皆、断るわけだわ! ヒーラーって男ばかりだな、なんて思ってたらこれだよ。女子は絶対にやらないだろこれ……」
聖職者が治療に銀貨1枚取るわけである。当時のヒーラー騒動の連中がキレてボイコットするのも当たり前だ。完全に騙された。
「か、金も貯まっただろうし新しい装備を買える。悪いことばかりじゃなかっただろ……?」
「元の防具、デブって着れねぇんだよ! 新しい防具を買ったら、これまでの稼ぎがパァだろうが! しかも痩せたらまた買い直しになるだろうがっ」
「分かった、分かったから。新しい防具代はギルドで出すから……」
こうして膝に重力を受けてしまった俺の冒険者生活が始まった……。
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