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半龍人シャロン
家ですわ
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「屋敷が欲しいですわ!!」
やんごとなき男爵家の三女・シャロンが、空気を読めない発言をした。
「うちにそんな余裕はありませーん」
「そうだぞシャロン殿。安宿だろうと住めば都だ」
「だったら、あなた達は声を抑えなさいな」
「声……?」
「毎日毎日、夜遅くまでズコバコアンアンと騒がしいのですわ」
「oh……まさかコンちゃんも聞いてたの!?」
「コンは聞いてない」
「コンちゃん優しい♡ 好き♡」
「リサさんの趣味にとやかく言うつもりはないけれど、安宿は筒抜けですわよ。コンさんに気を使わせるのは、あなたも不本意ではなくって?」
「ふんふん、じゃあ屋敷があったらシャロンも混ざるんだね?」
「どうしてそうなりますの……おほん、検討してもよくってよ?」
「よーし、家を探そう♡」
シャロンにそんなつもりはなかったが、うまくおだてて屋敷をゲットする作戦だ。
リサもシャロンの打算に気づいているが、外堀から埋めるつもりだった。
フーゴというパトロンを得たことで、貧乏とは無縁だ。
金はないが資産価値は持っている。それがリサだ。
さっそくコネを使って屋敷を紹介してもらい、リサ御一行は空き屋敷を訪ねた。
「ここが俺たちのハウスね♡」
「ほぅ、立派なものだ。少し良からぬ気配がするが」
「ココン。居る」
「バレるの早ぁい。なんかやべーガチな悪霊が出るんだって」
「あら、まぁ、事故物件でしたの? 殴り殺せるかしら」
「んー、触れるなら殺せるんじゃない?」
「それもそうですわね。そもそも、一度死んだのでしょう? そんな負け犬はザコですから、わたくしの相手にはならないですわね。おほほのほ」
「私は天使だ。下等なゴーストなど、何もせずとも浄化して見せよう」
悪霊を舐め腐っていたリサたちは、陽気に屋敷に入っていく。
侵入者に気づいたガチ目な悪霊が目を覚ました。
――我が屋敷を荒らそうとは。祟り殺してくれる……。
この屋敷の悪霊は、巷では伝説に近い存在だ。
呪い殺した人間の数は1000人を越え、女子供だろうと容赦はしない。
物理無効・魔法耐性を持ち、聖水などはまるで効果がない。
屋敷内に居る限り、ほとんど無敵に近い。
リサたちも、そんなつよつよ悪霊の餌食となる……はずだった。
悪霊が挨拶代わりのポルターガイストをしようと力を解放したとき、コンが霊体を掴んだ。
「串刺しにしてくれるわ……ぬっ!?」
「ココン。あなたは悪い霊。さようなら」
「待てっ、貴様……まさか……ぬわあああああ!!」
懐から取り出した人形に悪霊を叩き込むと、ネクロファイアで祓った。
「ククク、アレハンドロがやられたか。しかしやつはこの屋敷の中でも最弱。悪霊の面汚しよ……んぐわぁぁぁぁ!!」
「どんぐりの背比べ。来世では仲良くね」
「グハハハ、バキウスもなんと情けない。しかし吾輩は祓えまい。不死王を越えた究極の悪霊の力を見せてやる。全身から血を流し、もがき苦しみながら死ね――うぐわぁぁぁ!!」
「コンは忙しい。さようなら」
なんかやべー悪霊がぽんぽん出てきたが、コンはさらりと浄化していった。
知らぬうちにコンに命を救われていたリサたちは、のんきに首を傾げていた。
「あれー? 悪霊出ないね?」
「ココン。きっとコンたちが強くて逃げた」
「そうかもな。私は天使だ。下等な霊など恐れをなして逃げ出すだろうな!!」
「レアさん、あなた出ていってくださる? わたくし、その悪霊とやらと戦ってみたいのだけれど?」
「諦めることだ。私の高貴さは離れていても伝わった!!」
「あら、まぁ、そうですわねぇ。このウザさは、逃げ出しますわねぇ」
「だねー。レアにビビるなんて、よわよわゴーストだね」
「図らずとも守ってしまった。高貴な血筋の天使に感謝してもいいんだぞ♡」
「はいはい。あざすっと。まっ、フーゴが嘘ついてたんだろうね。怖がらせて楽しんでたんだよ」
悪霊はかなりガチ目なやつだったが、天使序列第二位のレアの神聖さで力を削がれ、力を取り戻しつつある死霊術師《ネクロマンサー》のコンのあわせ技で浄化された。
そのことを知るのは、スーパー死霊術師のコンだけだった。
こうして、リサ御一行は念願のマイホームを手に入れた。
それぞれ好きな部屋を割り当てることとなり、リサはベッドが一番大きな部屋を選ぶことにした。
年代物の調度品や、見るからに高そうな家具を見渡したリサは、満足げに頷いた。
「うわ♡ もうこれ、ラブホじゃん♡」
気合の入ったセックスルームとしか思わないリサを知れば、職人が化けて出てもおかしくないのだろうが、コンに出落ちされるのは間違いない。
(うふふ、よく分からないけどラッキー。約束通り屋敷は手に入れたし、シャロンを口説いちゃおうっと♡)
やんごとなき男爵家の三女・シャロンが、空気を読めない発言をした。
「うちにそんな余裕はありませーん」
「そうだぞシャロン殿。安宿だろうと住めば都だ」
「だったら、あなた達は声を抑えなさいな」
「声……?」
「毎日毎日、夜遅くまでズコバコアンアンと騒がしいのですわ」
「oh……まさかコンちゃんも聞いてたの!?」
「コンは聞いてない」
「コンちゃん優しい♡ 好き♡」
「リサさんの趣味にとやかく言うつもりはないけれど、安宿は筒抜けですわよ。コンさんに気を使わせるのは、あなたも不本意ではなくって?」
「ふんふん、じゃあ屋敷があったらシャロンも混ざるんだね?」
「どうしてそうなりますの……おほん、検討してもよくってよ?」
「よーし、家を探そう♡」
シャロンにそんなつもりはなかったが、うまくおだてて屋敷をゲットする作戦だ。
リサもシャロンの打算に気づいているが、外堀から埋めるつもりだった。
フーゴというパトロンを得たことで、貧乏とは無縁だ。
金はないが資産価値は持っている。それがリサだ。
さっそくコネを使って屋敷を紹介してもらい、リサ御一行は空き屋敷を訪ねた。
「ここが俺たちのハウスね♡」
「ほぅ、立派なものだ。少し良からぬ気配がするが」
「ココン。居る」
「バレるの早ぁい。なんかやべーガチな悪霊が出るんだって」
「あら、まぁ、事故物件でしたの? 殴り殺せるかしら」
「んー、触れるなら殺せるんじゃない?」
「それもそうですわね。そもそも、一度死んだのでしょう? そんな負け犬はザコですから、わたくしの相手にはならないですわね。おほほのほ」
「私は天使だ。下等なゴーストなど、何もせずとも浄化して見せよう」
悪霊を舐め腐っていたリサたちは、陽気に屋敷に入っていく。
侵入者に気づいたガチ目な悪霊が目を覚ました。
――我が屋敷を荒らそうとは。祟り殺してくれる……。
この屋敷の悪霊は、巷では伝説に近い存在だ。
呪い殺した人間の数は1000人を越え、女子供だろうと容赦はしない。
物理無効・魔法耐性を持ち、聖水などはまるで効果がない。
屋敷内に居る限り、ほとんど無敵に近い。
リサたちも、そんなつよつよ悪霊の餌食となる……はずだった。
悪霊が挨拶代わりのポルターガイストをしようと力を解放したとき、コンが霊体を掴んだ。
「串刺しにしてくれるわ……ぬっ!?」
「ココン。あなたは悪い霊。さようなら」
「待てっ、貴様……まさか……ぬわあああああ!!」
懐から取り出した人形に悪霊を叩き込むと、ネクロファイアで祓った。
「ククク、アレハンドロがやられたか。しかしやつはこの屋敷の中でも最弱。悪霊の面汚しよ……んぐわぁぁぁぁ!!」
「どんぐりの背比べ。来世では仲良くね」
「グハハハ、バキウスもなんと情けない。しかし吾輩は祓えまい。不死王を越えた究極の悪霊の力を見せてやる。全身から血を流し、もがき苦しみながら死ね――うぐわぁぁぁ!!」
「コンは忙しい。さようなら」
なんかやべー悪霊がぽんぽん出てきたが、コンはさらりと浄化していった。
知らぬうちにコンに命を救われていたリサたちは、のんきに首を傾げていた。
「あれー? 悪霊出ないね?」
「ココン。きっとコンたちが強くて逃げた」
「そうかもな。私は天使だ。下等な霊など恐れをなして逃げ出すだろうな!!」
「レアさん、あなた出ていってくださる? わたくし、その悪霊とやらと戦ってみたいのだけれど?」
「諦めることだ。私の高貴さは離れていても伝わった!!」
「あら、まぁ、そうですわねぇ。このウザさは、逃げ出しますわねぇ」
「だねー。レアにビビるなんて、よわよわゴーストだね」
「図らずとも守ってしまった。高貴な血筋の天使に感謝してもいいんだぞ♡」
「はいはい。あざすっと。まっ、フーゴが嘘ついてたんだろうね。怖がらせて楽しんでたんだよ」
悪霊はかなりガチ目なやつだったが、天使序列第二位のレアの神聖さで力を削がれ、力を取り戻しつつある死霊術師《ネクロマンサー》のコンのあわせ技で浄化された。
そのことを知るのは、スーパー死霊術師のコンだけだった。
こうして、リサ御一行は念願のマイホームを手に入れた。
それぞれ好きな部屋を割り当てることとなり、リサはベッドが一番大きな部屋を選ぶことにした。
年代物の調度品や、見るからに高そうな家具を見渡したリサは、満足げに頷いた。
「うわ♡ もうこれ、ラブホじゃん♡」
気合の入ったセックスルームとしか思わないリサを知れば、職人が化けて出てもおかしくないのだろうが、コンに出落ちされるのは間違いない。
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