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自称天使レア

裏オークションに参加する

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 トイレから出てきたショタはスッキリとした顔で微笑んだ。
 それを見てリサもにこりと笑い、席に戻れば勝ち確な商談が始まる。


「どう? 買いたくなったんじゃない?」
「最高でした♡ これは流行りますよ。いえ、文化にすべきかと!!」
「そう? 違いがよく分からないけど」
「新しいことは、上流層に受け入れられることから始まります。彼らのお墨付きがあれば、勝手にプッシュしてくれるので、中流層に浸透し、流行りとなります。そして下流層に行き渡り、文化となるわけです。力む時代は終わりですね♡」

「ふーん? 偉い人たち、気に入ってくれるかな?」
「ドハマリしますよ。ドインカ農耕国のうこうこくの男は、例外なくどすけべですから」
「そうなんだ♡ じゃあ、いくらで買ってくれるのかな?」
「ロイヤリティ契約を結びませんか? 毎月、売上に応じたキックバックをリサさんにお支払いします。買取なら大金が手に入りますが、それっきりです」
「んー、大金は欲しいけど、不労所得ふろうしょとくって最高だよね♡」


 奴隷購入の資金については、エリクサーが売れれば問題ない。
 不労所得に憧れたリサは、その場で契約書にサインをしてその日を終えた。


 数日後、再びショタの元を訪れたリサは、エリクサーの出どころを聞かれた。


「俺が錬金術師なんだから、言わなくても分かるでしょ。で、本物だった?」
「エリクサーは本物でした。1000万アドで買取します!!」
「わぉ♡ じゃあ残りのエリクサーも買い取ってね♡」


 リサは4本のエリクサーを出した。


「へっ……先日と合わせて5本もですか!?」
「買い取ってくれないの?」
「買います!! でも、非常に貴重なものなので、ぽんぽん出されて驚いたというか……」
「まだまだ作れるよ。流通は、そっちで操作してね。俺の名前を出すのも禁止」
「もちろん金の卵は保護しますよ。5000万アドとなると大金ですが、現金にします? それとも小切手で?」
「現金で。そうそう、いい奴隷を買いたいんだけど、コネとかなぁい♡?」
「あぁ、それで資金集めでしたか。それなら、もうすぐ裏オークションがあるので、入場券を差し上げますよ」


 裏オークションは、上流層がお忍びで参加する一種の娯楽だ。
 市場には流通しない訳ありだったり、高級な物が出品される。
 自然と希少価値のある奴隷も出品されるだろう。

 ショタ自体はまだまだ駆け出しだが、師匠のコネで入手したチケット。
 それをリサに渡すのだから、いかにリサへの評価が高いかが伺える。


「ありがと♡ また何かあったら、よろしくね♡」


 リサは現金を【アイテムボックス】に収納すると、投げキッスをして、ショタ邸宅を後にした。


 日銭を稼ぐ駆け出し冒険者のリサは、5千万アドの軍資金を手に入れた。
 1日1本エリクサーを取得できるリサは、月給3億アドの価値がある。
 もっとも、ほいほい出せば相場が下がるから、乱用はできないが。


 そして、待ちに待った裏オークションの日がやってきた。
 チケットは1枚しかないし、教育に悪そうなのでコンはお留守番だ。
 渡された仮面をつけたリサは、会場に入る。
 劇場のような構造で、すれ違う人々は仕立ての良い服から察するに、みんな金持ちだ。


「ようこそ! ウェルカム! ここは紳士淑女の憩いの場! どんな欲望も、金さえあれば叶うのです! これより裏オークションの開催します!!」


 司会の男のしょーもない挨拶が終わると、最初の品物が運び込まれる。
 スポットライトを浴びて輝くのは、ポーションと思われるものだ。


「エントリーNO1……奇跡の回復薬・エリクサー!! 100万アドからスタートです!!」
「げっほげほっ」


 リサがむせるのも無理はない。あれはリサが出品したエリクサーだ。
 それがいきなり転売されるとは、商人のフットワークは凄まじい。
 それが2000万アドで落札されたのだから、リサもモヤッとする。


(2000万アドって……売値の倍じゃん。まぁ、チケット代ってことで)


「エントリーNO2……月光石のペンダント!! 全ステータス・魔法の威力を上昇させる魔術師垂涎まじゅつしすいぜん逸品いっぴん……いえ、国宝級の代物です!!」


 しかしリサ。意外にもこれをスルー。
 欲しくないと言えば嘘になるが、オナペットに比べれは優先順位は低い。
 最終的に1億アドで落札された。


 その後は王家死蔵しぞうの名剣や、容量の大きなマジックバックなどが出品された。
 もちろんリサはスルー。会場の金持ち連中も反応が鈍かった。

 この場に居る半数以上の金持ちは、後半に出てくる奴隷を目的に来ているのだ。


(仮面越しにも分かる。面構えが違うね)


 およそ碌でもない面構えなのだろうが、リサにとってはライバルだ。
 大金持ちと嗜好しこうが被らないことを祈りながら、メインイベントの訪れを待った……。
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