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マゾスライム
コンVSマゾスライム
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絶対服従のはずのマゾスライムの反逆が始まろうとしている。
戦闘に参加し、痛い目に合いたいマゾスライム。
ザコスライムに死なれるとちょっとだけ困るから反対するリサとコン。
リサは問答無用で宿にぶち込めばいいと楽観的だが、コンはマゾスライムの覚悟を崇高なものと勘違いし、推し量ろうとしたことで話がややこしくなった。
よく分からないけど、コンちゃんが楽しそうだからいいか♡
リサはストーンゴーレムベンチに座って、二人を見守ることにした。
「冒険は危険がいっぱい。戦闘は命のやり取り。気持ちだけじゃ勝てないもの」
マゾスライムは勝つ気はまったくない。
リサを庇って魔物の攻撃を受け、気持ちよくなれればそれでよかった。
「ココン。そこまでの覚悟があるなら、見せてもらう。コンと戦って実力を示す」
「えっ、戦うの? 長くなりそう?」
「魔物にとって力が全て。分からせるしかない。リサは優しくて叱《しか》れないから、代わりにコンが戦う」
「俺のために♡ がんばれコンちゃん♡」
コンは杖を取り出すと、スライムと距離を取ってから向き合う。
この戦いは止まらない。止める人がいない。
死霊術師のコンVSクソザコマゾスライム。
絶対に負けられない戦いが、今始まる……!!
「【ネクロファイア】」
コンが放った闇の炎を、スライムは粘体を縮めて避けた。
いくらマゾスライムでも、弱点の炎魔法は受けると危ないからだ。
「ココン。避けるとはなかなか――」
強者の余裕を醸し出していたコンだが、スライムの回避行動には、続きがある。
縮めた体を勢いよく伸ばし、渾身の体当たりをした。
コンは、それをあえて受けることにした。
「ココーン!?」
「コンちゃぁぁぁぁん!??!??」
スライムの体当たりを受けたコンが、ぶっ飛ばされた。
さすがに魂は抜けなかったが、派手に2バウンドしたあと、ムクリと起き上がる。
そして、がくっと膝をついた……。
「ココン!? スライムに負け……ココン」
コンは魂喰らいの【ソウルドレイン】を受け、弱くなっている。
しかし、少しずつ元の力を取り戻している自覚があった。
わざと受けたまではいいが、クソザコスライムにワンパンされてしまった。
あまりのショックに、ひどく混乱していた。
混乱したのは、マゾスライムも同じだった。
まさかコンに勝てるとは思っていなかった。
不本意ながら接待されているのかと思うも、コンの落ち込みっぷりは本物で、だからこそマゾスライムも何がなんだか分からなかった。
リサだけは、ひょっとして負けるんじゃないか?
少しだけ思ったものの、そのまさかが起きてしまった。
しばらく微妙な空気になったが、マゾスライムはハっとした。
自分はコンより強い。戦闘に参加できると喜んだ。
あとは、ご主人さまから承諾を得るだけ――。
しかし、リサは激怒した!!
「ちょっと! どうしてコンちゃんを傷つけたの!? 信じらんない!!」
「リサ、これは勝負だから……」
「コンちゃんは黙ってて。これは飼い主とペット。躾のお話なんだから」
「こ、ココン」
リサが激怒したのは、コンを信じているからこそだ。
魔物にとって力こそパワー。なら、スライムより弱いコンに従うはずがない。
かなり適当なリサでも、それだけは許せなかった。
「よく聞きなさい。コンちゃんは俺の大切な人なの。どんな理由があっても、傷つけることは許さない。逆らうことも許さない。コンちゃん=俺なわけ!!」
リサの暴君《ぼうくん》のような発言に、マゾスライムは痺れた。
最高のご主人さまに飼われて、ただただ幸せだった♡
「コンちゃんが居なかったら、あんたを見つけてないし、ペットにしてないわけ。つまりコンちゃんはあんたの飼い主同然なの!!」
マゾスライムは認識を改めた。
コンはマゾスライムにとって、リサに引き合わせてくれた恩人になった。
「あんたは力がすべてだと思ってるようだけど、大間違いだよ。俺もコンちゃんも人間で、飼い主なわけ。人間社会で暮らしていくんだから、俺たちのルールに従えないなら、いらない。今すぐ森に帰りなさい!!」
「リサ、スライムは頑張っただけ」
「いいや、だめだよ。コンちゃんに右の頬をぶたれたら、左の頬も差し出しなさい。俺とコンちゃんの希望は、何よりも優先する。分かった!?」
マゾスライムは衝撃を受けた。
自分なりにリサに気に入られている自覚はあったし、力も示した。
それなのに、まさかのリリース宣言をされてしまった。
マゾスライムは、もうリサなしでは生きられない体にされている♡
マゾとしてはもちろん、スライムという生物としても、リサの【上質なマナ】の心地よさを知ったからには、戻れない♡
元から逆らうつもりはなかったが、絶対服従を細胞に深く刻みつけた♡
その証拠に、マゾスライムは粘体に包まれていた核を差し出した♡
「ココン!? 核はスライムの命そのもの。それを差し出すなんて」
「よろしい。自分の立場が分かったなら、今まで通り飼ってあげる」
リサの苛烈な躾は、のちに正しいと証明されるが、まだ先の話だ。
お知らせ
間違っていたルビを修正します。しました。
まだ抜けてたらごめんね。
戦闘に参加し、痛い目に合いたいマゾスライム。
ザコスライムに死なれるとちょっとだけ困るから反対するリサとコン。
リサは問答無用で宿にぶち込めばいいと楽観的だが、コンはマゾスライムの覚悟を崇高なものと勘違いし、推し量ろうとしたことで話がややこしくなった。
よく分からないけど、コンちゃんが楽しそうだからいいか♡
リサはストーンゴーレムベンチに座って、二人を見守ることにした。
「冒険は危険がいっぱい。戦闘は命のやり取り。気持ちだけじゃ勝てないもの」
マゾスライムは勝つ気はまったくない。
リサを庇って魔物の攻撃を受け、気持ちよくなれればそれでよかった。
「ココン。そこまでの覚悟があるなら、見せてもらう。コンと戦って実力を示す」
「えっ、戦うの? 長くなりそう?」
「魔物にとって力が全て。分からせるしかない。リサは優しくて叱《しか》れないから、代わりにコンが戦う」
「俺のために♡ がんばれコンちゃん♡」
コンは杖を取り出すと、スライムと距離を取ってから向き合う。
この戦いは止まらない。止める人がいない。
死霊術師のコンVSクソザコマゾスライム。
絶対に負けられない戦いが、今始まる……!!
「【ネクロファイア】」
コンが放った闇の炎を、スライムは粘体を縮めて避けた。
いくらマゾスライムでも、弱点の炎魔法は受けると危ないからだ。
「ココン。避けるとはなかなか――」
強者の余裕を醸し出していたコンだが、スライムの回避行動には、続きがある。
縮めた体を勢いよく伸ばし、渾身の体当たりをした。
コンは、それをあえて受けることにした。
「ココーン!?」
「コンちゃぁぁぁぁん!??!??」
スライムの体当たりを受けたコンが、ぶっ飛ばされた。
さすがに魂は抜けなかったが、派手に2バウンドしたあと、ムクリと起き上がる。
そして、がくっと膝をついた……。
「ココン!? スライムに負け……ココン」
コンは魂喰らいの【ソウルドレイン】を受け、弱くなっている。
しかし、少しずつ元の力を取り戻している自覚があった。
わざと受けたまではいいが、クソザコスライムにワンパンされてしまった。
あまりのショックに、ひどく混乱していた。
混乱したのは、マゾスライムも同じだった。
まさかコンに勝てるとは思っていなかった。
不本意ながら接待されているのかと思うも、コンの落ち込みっぷりは本物で、だからこそマゾスライムも何がなんだか分からなかった。
リサだけは、ひょっとして負けるんじゃないか?
少しだけ思ったものの、そのまさかが起きてしまった。
しばらく微妙な空気になったが、マゾスライムはハっとした。
自分はコンより強い。戦闘に参加できると喜んだ。
あとは、ご主人さまから承諾を得るだけ――。
しかし、リサは激怒した!!
「ちょっと! どうしてコンちゃんを傷つけたの!? 信じらんない!!」
「リサ、これは勝負だから……」
「コンちゃんは黙ってて。これは飼い主とペット。躾のお話なんだから」
「こ、ココン」
リサが激怒したのは、コンを信じているからこそだ。
魔物にとって力こそパワー。なら、スライムより弱いコンに従うはずがない。
かなり適当なリサでも、それだけは許せなかった。
「よく聞きなさい。コンちゃんは俺の大切な人なの。どんな理由があっても、傷つけることは許さない。逆らうことも許さない。コンちゃん=俺なわけ!!」
リサの暴君《ぼうくん》のような発言に、マゾスライムは痺れた。
最高のご主人さまに飼われて、ただただ幸せだった♡
「コンちゃんが居なかったら、あんたを見つけてないし、ペットにしてないわけ。つまりコンちゃんはあんたの飼い主同然なの!!」
マゾスライムは認識を改めた。
コンはマゾスライムにとって、リサに引き合わせてくれた恩人になった。
「あんたは力がすべてだと思ってるようだけど、大間違いだよ。俺もコンちゃんも人間で、飼い主なわけ。人間社会で暮らしていくんだから、俺たちのルールに従えないなら、いらない。今すぐ森に帰りなさい!!」
「リサ、スライムは頑張っただけ」
「いいや、だめだよ。コンちゃんに右の頬をぶたれたら、左の頬も差し出しなさい。俺とコンちゃんの希望は、何よりも優先する。分かった!?」
マゾスライムは衝撃を受けた。
自分なりにリサに気に入られている自覚はあったし、力も示した。
それなのに、まさかのリリース宣言をされてしまった。
マゾスライムは、もうリサなしでは生きられない体にされている♡
マゾとしてはもちろん、スライムという生物としても、リサの【上質なマナ】の心地よさを知ったからには、戻れない♡
元から逆らうつもりはなかったが、絶対服従を細胞に深く刻みつけた♡
その証拠に、マゾスライムは粘体に包まれていた核を差し出した♡
「ココン!? 核はスライムの命そのもの。それを差し出すなんて」
「よろしい。自分の立場が分かったなら、今まで通り飼ってあげる」
リサの苛烈な躾は、のちに正しいと証明されるが、まだ先の話だ。
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