5 / 46
狐獣人アコン
くそザコンちゃんとエリクサー
しおりを挟む
コンちゃんはクソザコ。でも大事な仲間だ。
ウリボーを蹴飛ばし、倒れたコンちゃんの元に駆け寄る。
「う、嘘……死んでる……?」
どれだけ揺さぶっても、コンちゃんは動かない。息をしていない。
なんて日だ。こんなにかわいい仲間を、初戦にして失うなんて……。
「うぅ、コンちゃん。温もりがなくなるまでモフモフして、火葬してあげるからね」
「……ココン」
仲間との別れを惜しんでいると、コンちゃんがむくりと起き上がった。
「……あのウリボーは強敵だった」
「コンちゃん? 死んだんじゃ……?」
「ココン? コンは死なない。ちょっと魂が抜けただけ」
「???」
「コンは体質で魂が抜けやすい。でもコンは死霊術師。自分で戻れる」
「えっと、つまり、死んでないってこと?」
「そう。仮死状態……ううん、より深い眠りのようなもの。心配無用」
「深い眠りかぁ……魂の意識あるの? 周りを見れるの?」
「もちろん。あのラスボスを倒すなんて、リサも中々強い」
ふむ、魂になっても状況を把握できるんだね。
仮死状態のとき、エッチないたずらをするとバレちゃうのか。
いや、もっと仲良しになればきっと許してくれるね。
「これで依頼達成。でも、どんどん狩るべき」
「あの、コンちゃん。言い難いけど、コンちゃんって弱――」
「コンは強い」
「うん、気持ちは分かるけど――」
「コンは強い」
「危ないから、せめてもっと弱い敵から――」
「コンは強い」
なんて頑固者なんだ。がんこちゃん。ガンコンちゃんだ。
何を言っても、『コンは強い』と一蹴されてしまう。
コンちゃんの説得は無理そうだね。
「コンちゃん、怪我はない?」
「心配いらない。ちょっとしたかすり傷」
「心配だなぁ。これあげる。エリクサーだよ」
「ココン!? エリクサー!?」
「俺、1日1本、好きなポーションを取得できるんだ。プロフィールで見せたでしょ?」
「リサは非常識。まさかエリクサーとは思わない」
「コンちゃんに言われたくないなぁ……」
「そのスキルは隠すべき。悪い人が寄って来る」
「じゃあ、二人だけの秘密だね♡」
あとはコンちゃんの弱みを握って結婚したい。
コンちゃんは落ち着いてるように見えるけど、生き急いでる感じがするんだよね。
何か秘密を抱えているはず……。
「依頼は達成したけど、どうしよっか?」
「ウリボーの死体は、討伐証明になる」
「持ち帰ればいいんだね。【アイテムボックス】」
討伐証明《・・・・》がスっと消える。触らずとも回収できるのは便利だね。
「ココン? かなりレアなスキルを持ってる」
「そうなの? コンちゃんも亜空間から杖を取り出したよね?」
「コンのは【ネクロボックス】」
【ネクロボックス】は、死霊術師専用の収納スキルだ。
死体や一部を収納するためのスキルで、関係ない物を入れると容量が激減する。
「死体だからコンちゃんが入れる?」
「コンの【ネクロボックス】は限界。できればリサに入れて欲しい」
「おっけー。コンちゃんの頼みなら何でも聞いちゃうよ♡」
「ありがとう。どんどん狩る!」
森の境界線や、畑の周囲を歩いていると、害獣に出会う。
そのたびにコンちゃんは前に出て――。
「ココーン!?」
KO!!
「ココーン!?」
KO!! PERFECT!!
「ココーン!?」
YOU DEAD。
ウリボーはもちろん、メスのホーンラビットにもぶっ飛ばされる。
メスのホーンラビットは、角が生えていないほぼウサギだ。
コンちゃんがぶっ飛ばされた距離から察するに、ウリボーよりは強い気がする。
「ココン。大量!」
ちょっと誇らしげに胸を張るコンちゃんだが、倒したのは俺だ。
でも、コンちゃんがぶっ飛ばされる光景はなんだか癖になってきた。
かわいいし、見ていて面白い……コンちゃんは最高だ。
「ねぇ、コンちゃん。メンタル強いのは分かったけど、もっと強い魔物が出たらどうするの?」
「コンは強い。問題ない」
目が泳いでるんだよなぁ。
自分が弱い自覚はあるのかもしれない。
そうなると、なぜそこまで無理をするのだろう……?
「ねぇ、コンちゃん。悩みがあるなら、俺に話して――」
森の奥から、木々をなぎ倒しながら、何かが迫ってくる。
飛び出してきたのは、体長2メトルはあるビッグボアだった。
「リサ、下がって。こいつは強敵!」
「うん、コンちゃんも気をつけて!」
コンちゃんはクソザコ。でも、死霊術師のスキルを一度も使っていない。
今までとは顔付きが違う。本気で戦うのだろう。
コンちゃんの本当の実力、見せて貰うよ!!
「ココーン!?」
「コンちゃぁぁぁん!?」
コンちゃんがビッグボアの突進を受け、ぶっ飛ばされた。
それはもう、派手に飛んでいく……。
「滞空時間が長いなぁ」
今まで出会った魔物の中で、一番強そうだ。
蹴飛ばそうものなら、俺もコンちゃんのようになってしまう。
こうなったら、攻撃魔法を使うしかない!!
「【ストーンバレット】」
魔法陣が浮かび上がり、拳大の石つぶてが放たれた。
直撃したビッグボアは、ゆっくりとその場に倒れ込んだ……。
ウリボーを蹴飛ばし、倒れたコンちゃんの元に駆け寄る。
「う、嘘……死んでる……?」
どれだけ揺さぶっても、コンちゃんは動かない。息をしていない。
なんて日だ。こんなにかわいい仲間を、初戦にして失うなんて……。
「うぅ、コンちゃん。温もりがなくなるまでモフモフして、火葬してあげるからね」
「……ココン」
仲間との別れを惜しんでいると、コンちゃんがむくりと起き上がった。
「……あのウリボーは強敵だった」
「コンちゃん? 死んだんじゃ……?」
「ココン? コンは死なない。ちょっと魂が抜けただけ」
「???」
「コンは体質で魂が抜けやすい。でもコンは死霊術師。自分で戻れる」
「えっと、つまり、死んでないってこと?」
「そう。仮死状態……ううん、より深い眠りのようなもの。心配無用」
「深い眠りかぁ……魂の意識あるの? 周りを見れるの?」
「もちろん。あのラスボスを倒すなんて、リサも中々強い」
ふむ、魂になっても状況を把握できるんだね。
仮死状態のとき、エッチないたずらをするとバレちゃうのか。
いや、もっと仲良しになればきっと許してくれるね。
「これで依頼達成。でも、どんどん狩るべき」
「あの、コンちゃん。言い難いけど、コンちゃんって弱――」
「コンは強い」
「うん、気持ちは分かるけど――」
「コンは強い」
「危ないから、せめてもっと弱い敵から――」
「コンは強い」
なんて頑固者なんだ。がんこちゃん。ガンコンちゃんだ。
何を言っても、『コンは強い』と一蹴されてしまう。
コンちゃんの説得は無理そうだね。
「コンちゃん、怪我はない?」
「心配いらない。ちょっとしたかすり傷」
「心配だなぁ。これあげる。エリクサーだよ」
「ココン!? エリクサー!?」
「俺、1日1本、好きなポーションを取得できるんだ。プロフィールで見せたでしょ?」
「リサは非常識。まさかエリクサーとは思わない」
「コンちゃんに言われたくないなぁ……」
「そのスキルは隠すべき。悪い人が寄って来る」
「じゃあ、二人だけの秘密だね♡」
あとはコンちゃんの弱みを握って結婚したい。
コンちゃんは落ち着いてるように見えるけど、生き急いでる感じがするんだよね。
何か秘密を抱えているはず……。
「依頼は達成したけど、どうしよっか?」
「ウリボーの死体は、討伐証明になる」
「持ち帰ればいいんだね。【アイテムボックス】」
討伐証明《・・・・》がスっと消える。触らずとも回収できるのは便利だね。
「ココン? かなりレアなスキルを持ってる」
「そうなの? コンちゃんも亜空間から杖を取り出したよね?」
「コンのは【ネクロボックス】」
【ネクロボックス】は、死霊術師専用の収納スキルだ。
死体や一部を収納するためのスキルで、関係ない物を入れると容量が激減する。
「死体だからコンちゃんが入れる?」
「コンの【ネクロボックス】は限界。できればリサに入れて欲しい」
「おっけー。コンちゃんの頼みなら何でも聞いちゃうよ♡」
「ありがとう。どんどん狩る!」
森の境界線や、畑の周囲を歩いていると、害獣に出会う。
そのたびにコンちゃんは前に出て――。
「ココーン!?」
KO!!
「ココーン!?」
KO!! PERFECT!!
「ココーン!?」
YOU DEAD。
ウリボーはもちろん、メスのホーンラビットにもぶっ飛ばされる。
メスのホーンラビットは、角が生えていないほぼウサギだ。
コンちゃんがぶっ飛ばされた距離から察するに、ウリボーよりは強い気がする。
「ココン。大量!」
ちょっと誇らしげに胸を張るコンちゃんだが、倒したのは俺だ。
でも、コンちゃんがぶっ飛ばされる光景はなんだか癖になってきた。
かわいいし、見ていて面白い……コンちゃんは最高だ。
「ねぇ、コンちゃん。メンタル強いのは分かったけど、もっと強い魔物が出たらどうするの?」
「コンは強い。問題ない」
目が泳いでるんだよなぁ。
自分が弱い自覚はあるのかもしれない。
そうなると、なぜそこまで無理をするのだろう……?
「ねぇ、コンちゃん。悩みがあるなら、俺に話して――」
森の奥から、木々をなぎ倒しながら、何かが迫ってくる。
飛び出してきたのは、体長2メトルはあるビッグボアだった。
「リサ、下がって。こいつは強敵!」
「うん、コンちゃんも気をつけて!」
コンちゃんはクソザコ。でも、死霊術師のスキルを一度も使っていない。
今までとは顔付きが違う。本気で戦うのだろう。
コンちゃんの本当の実力、見せて貰うよ!!
「ココーン!?」
「コンちゃぁぁぁん!?」
コンちゃんがビッグボアの突進を受け、ぶっ飛ばされた。
それはもう、派手に飛んでいく……。
「滞空時間が長いなぁ」
今まで出会った魔物の中で、一番強そうだ。
蹴飛ばそうものなら、俺もコンちゃんのようになってしまう。
こうなったら、攻撃魔法を使うしかない!!
「【ストーンバレット】」
魔法陣が浮かび上がり、拳大の石つぶてが放たれた。
直撃したビッグボアは、ゆっくりとその場に倒れ込んだ……。
0
お気に入りに追加
107
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる