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新島真乃(一人称・夢の中で触手攻め・寸止め焦らし)

新島真乃④

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 男の腕の触手の束がほぐれて、いくつもの触手が私に向かってくる。ミミズのお化けみたいで、見ているだけで気分が悪くなった。
 妖魔なんかに負けるはずないのに……!
 私は退魔師としての力――霊力をありたっけ込めて、触手に縛られている手足を動かしてみるけれど、やっぱりビクともしなかった。……逃げられない。
 二本の触手が私の足元から伸び上がって、スカートの下でもぞもぞと動いている。こいつら、私のショーツを下げている!?
 男根が、先っぽから根元まで露(あらわ)になる。大きくて、太くて、たくましい肉の塊。私の華奢な女の子の体には、似ても似つかない異物。だけど今、はっきりと分かるのは、この得体の知れないモノが、私の体と意識に繋がっているということ。
 だからショーツを下ろし終わった触手が、肉の棒にしゅるしゅると巻き付いてきたとき、そのヌルヌルとした感触に、私は腰を震わせてしまった。
「卑怯者! こんなことして、あんた最低よ!」
 絶対に殺してやる――という敵意を込めて、触手男を睨んだ。だけど触手男は涼しい顔をしている。
「お前の体は喜んでいるように見えるが?」
 触手がぬめった体を擦り付けるようにして、器用に私の肉棒をしごき始めると、私は快楽で腰が引けてしまい、脚もガクガクしてじっとしていられなかった。
「こんなので喜ぶわけないでしょ!? 気色悪いだけなんだから!」
「そう言って、昨日、派手に絶頂していたのは誰だ?」
「なんのことか、分からないわ」
「何をわめこうが、最後にはお前は、自分から求めるようになる」
「どうかしらね?」
 私は精一杯強がって、余裕があるように見せた。気持ちだけは負けちゃダメ。なんとかして、あいつの隙を見つけて、ここから逃げなきゃ。
 私は注意深く、妖魔の弱点や隙をうかがう。その間も、肉棒に絡み付いた触手は、寄せては返す波のように、あえてゆっくりと上下していて、妙にもどかしい。巻き付いた触手が肉棒のどの辺りをどのように動いているかが、手に取るように分かるから、下を向かなくても、肉棒と触手のイメージが頭の中に浮かんでくる。その雑念を無理やり追い払おうとするけれど、肉棒の先っぽを触手が撫でていくとき、特に鮮やかな快感が走って、下半身に意識を取られてしまう。だから私は、目線では触手男や周囲の状況を探っていても、脳はその情報を全く処理できずにいて、今にも崩れてしまいそうな理性を保ち続けるだけで精一杯だった。
 こんなはずじゃなかったのに……。
 触手に肉棒を撫でられるだけで、私は何もできなくなってしまう。これじゃあ、ただの無力な少女じゃないの。
「どうした? さっきの余裕はどこへ行った?」
 触手男が私をあざ笑う。
 私は気の利いた返しを考える余裕もなく、押し寄せる快楽をやり過ごすために全神経を使っている有様だ。
 肉棒が歓喜に震えているのが、はっきりと伝わってくる。感じてはダメ。求めてはダメ。だけど、私の肉棒は言うことを聞かず、すでに肉がパンパンに腫れ上がって、一秒ごとにビクッと跳ねて、先っぽには玉の汁を浮かばせ、さらなる快楽を求めてしまう。
 こんなの、ずるい。
 男の人のモノが、こんなに気持ちいいなんて、ずるい。快感が強すぎる。こんなふうに逃げようがない状態で、ニュルニュルの触手でおちんちん全体をシコシコされたら、快楽に耐えられるわけない。おちんちんのことしか、考えられなくなってしまう……。
「はぁ……♡ はぁ……♡ ……っ♡ はぁ……♡」
 やばい……。
 私は息も絶え絶えで、変な汗もかいていて、おかしくなりそうだった。
 気を抜いたら、また達してしまう。昨日みたいに、おちんちんの先からえっちな液体を撒き散らしてしまう……。
 そんなの、イヤだ。
「やめ……なさい。んぁっ♡ ……っ♡」
「お前のビクビクが、伝わってくるぞ。ヘンタイめ」
「ちがうっ……! あぅっ♡」
 肉棒への刺激が強すぎる。お腹の奥の奥から熱いものが湧き上がり、膨らんで、私の意識を全てさらっていく。
 やばい……やばいやばいやばい……!
「あっ♡ だめっ♡ はぁん♡ やめてっ♡ あ゛あ゛っ♡! ああもうっ♡! イクッ――♡♡♡!!」
 その瞬間、触手がぎゅっと締まり、ぴたりと動きを止めた。
 うそっ!? どうして!?
「う……あ゛ッ♡!?」
 絶対にイッちゃう、と思ったのに、なんで!? イキそうなのにギリギリでイケなくて、おちんちんがイキたいイキたいって、触手に埋もれたままビクン、ビクンってしている。今、1ミリでも触手が動いてくれたら、ダムが決壊するみたいに、限界まで膨らみ切った熱いものを全部吐き出すことができるのに……!! 
「なんでよ……。なんでなのよ……」
 こんなヤツにイかされるなんて、イヤだと思ってたのに、こんなところで止められてしまうと、胸が締め付けられるように苦しくなった。
「イきたいときにイけると思うなよ。立場をわきまえろ」
「……っ!」
 屈辱的なことを言われ、触手男への忘れていた憎しみが蘇る。私の前にいるのは妖魔――敵だ。
「ほう、まだそんなふうに反抗的な目ができるのか」
 男は呟くと、さらに二本の触手を腕から伸ばしてきた。その触手は胸の辺りのシャツをつかみ、乱暴に引き千切った。
「きゃっ!?」
 シャツが前だけ破れて、水色のブラが男の前に晒されてしまった。さらに触手はそのブラまで引き裂き、胸に巻き付いてくる。
「いやっ!!」
 私が悲鳴をあげても、触手たちは欲望に駆られた獣の手のように、容赦なく胸を揉みしだく。かと思えば、胸の真ん中でいつもよりピンと大きくなっている乳首を、くすぐるように細かく撫でたりしてくる。
「やめて♡! んんぅっ♡!」
 誰にも触らせたことのないところを男に見られ、しかも触手に弄(もてあそ)ばれ、恥ずかしくて顔から火が出そうだった。自分で触るときはあまり感じないのに、触手に触られると快楽がピリピリと頭の中を駆け抜けていく。
 私が胸で感じている自分に戸惑っていると、肉棒に巻き付いていた触手まで動き始めた。一旦は落ち着いて緊張が緩んでいた肉棒は、数秒のうちに再び硬さを取り戻し、あっという間に快楽の臨界点に近づく。
「同時なんて、むりぃ……♡」
 乳首を触手の先端でコリコリされるのも、ぐにゅっと形が変わるほど強く揉まれるのも、私にとっては初めてで、新しい快感に翻弄されっぱなしだった。肉棒も一分も経たないうちに、さっきイキかけたときと同じくらい、激しくビクビクと痙攣してしまう。乳首と肉棒の両方から絶え間なく生まれてくる痺れるような気持ち良さが重なり合って、どっちで感じているのか分からない。体が私の意思を無視して何度もビクッとなる。もう全部が気持ち良すぎて、何も考えることができなかった。脳が焼き切れそうになって、全身が勝手に弓のように後ろにのけぞっていく――。
「んぁあ゛ッ♡! やあ゛あ゛っ♡! もうイクッ♡! イ゛ッちゃうぅぅぅぅぅぅッ♡♡♡♡!!!」
 今度こそイッてしまう、イカされてしまう、と思ったとき、また触手が動きを止めた。のけぞった体が、のけぞったままブルブルと出鱈目(でたらめ)に痙攣して、息ができなくて苦しくなる。……イキ切れない。
 山の頂上まであと一歩というところから一番下まで転がり落ちていくような、大きな失望が襲ってきた。
「あ゛ッ♡!? い゛やッ♡!! なんでッ!? どうして止めちゃうの!?」
「立場をわきまえろと言っただろう? 勝手にイクのは許さない」
「そんな……」 
 また胸の内側が、荒縄で締め付けられるように痛んだ。
 下半身の筋肉が硬く強張って、じんじんと疼いているけれど、どうすることもできず、私は歯を食いしばって、疼きがおさまるのを待つ。ヌメヌメの触手に包まれたまま、まだかすかにビクついている肉棒は、鎖で繋がれた猛犬が威嚇しているみたいだ。
「フゥ……♡ フゥ……♡ フゥ……♡」
 その疼きが少しだけおさまってくると、また触手が動き始めた。乳首と肉棒の同時攻め。
「あんッ♡ また!? ん゛ぅうッ♡!」
 もう止まらない。恥ずかしい声も、体中の痙攣も、快楽を求める心も――。
 早く楽になりたくて――溜まっているものを出し切ってしまいたくて、快楽に身を預けてしまう。
「あ゛ッ♡! あ゛あ゛もうッ♡! イクッ♡!! イクぅッッ♡♡♡!!イ゛ッちゃううううッッッ――――♡♡♡♡♡!!!」
 今度こそ、もう絶対に達してしまうと思ったのに、触手はまたしても絶妙なタイミングで動かなくなってしまった。
「なんで!? でもこれ……あ゛――ッ♡!? だめぇッ――♡ くるッ!? う゛ぅぅぅ――ッッッ♡♡♡」
 今度のは今までとは違って、快楽の波は簡単には引かなかった。イッてないけどイッてる。進むことも戻ることも許されない。そんな中途半端な快感に襲われ、確かに気持ちいいのに、その気持ち良さを半分しか感じることができない。極上のグルメの一口目を食べた直後に、それを没収されてしまったかのような仕打ち。ジグソーパズルの最後の1ピースがどこにもなかったときのような失望と絶望。ひどい。こんなの、虐待だ……。
「フゥ……♡ フゥ……♡ フゥ……♡」
 苦しくて辛いけれど自分では何もできない。だから、ただ耐えるだけ。汗が前髪を伝って、ぽたりと床に垂れる。息を吸って吐くだけで、敏感すぎる体が小さく反応してしまう。目がチカチカして、体も熱い。私はもうほとんど精神力だけで意識を保っていた。これ以上、こんなことを続けられたら、きっとおかしくなってしまう……。
「辛そうだな? イカせてほしいか?」
 触手男の言葉は耳から入ってくるけれど、ノイズみたいに聞こえて、何と言っているか分からなかった。
「呪いをかけてやる。俺の許可なしでは、イケなくなる呪いだ。呪いを解いてほしいなら、一週間後、またこの場所に来い」
 ぷっつりと意識が途切れた。
 私はまぶたの裏に明るさを感じて、目を開けた。
 自分の家の、自分の部屋。カーテンから朝日が差し込んでいる。
 ――私、ミキの夢から戻ってきたの? でも、いつ戻ってきたのだろう?
 部屋の中を見回しても、当然、男も触手もいない。股の間に手をやると、男根も生えていなかった。
 だけど下着は、昨日よりももっと濡れていた。
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