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企画用駄文『我が家の庭の真ん中に石がある』
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我が家の庭の真ん中に石がある。
その石がいつからそこにあるのか私にはわからないが、とにかく非常に邪魔な石である。高さが四メートルくらいあって、幅も五メートルくらいはあり、巨大すぎて動かそうにも動かせないのが厄介である。石の色は緑とも青とも言えるような色で、一日の間に時間帯によって日光の差し方が変わると、見える色が微妙に変わっていく。早朝などはすがすがしく爽やかなブルーだが、日中には濁った沼のような緑になり、夕方は濃い群青の重たそうな色をしている。表面はすべすべしていて全体的には裾の長い山のような形をしており、登るのは簡単ではない。子供の頃はよく天辺まで登っては滑り台のように降りてきて遊んだ記憶があるが、大人になった今となっては到底そのように登れる気はしない。父になぜあのような大きな石が庭の、よりにもよって真ん中に鎮座しているのかと尋ねたことがある。しかし父の回答は、要領を得ず、父が物心ついた頃にはあったという。ここに家を建てたのは父の父、つまり私の祖父であるが、すでに祖父母は他界しており、真相を知る者はいない。もしかすると祖父はよほど石が好きだったのではないかと思う。この石がはるか昔からこの場所にあって、石のせいでなかなか売れないでいたこの土地を買ったにせよ、まっさらなこの土地を買った後でこの石も石屋か誰かから買って置いたにせよ、普通の感覚ではこのようなことはしない。かなりの物好きの所業である。去年、父が亡くなった。家も庭もこの石も私の所有物となった。さあ、どうしてくれようか、と仕事が休みの日には日がな一日眺めながら考えている。
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2023Pixiv企画用
その石がいつからそこにあるのか私にはわからないが、とにかく非常に邪魔な石である。高さが四メートルくらいあって、幅も五メートルくらいはあり、巨大すぎて動かそうにも動かせないのが厄介である。石の色は緑とも青とも言えるような色で、一日の間に時間帯によって日光の差し方が変わると、見える色が微妙に変わっていく。早朝などはすがすがしく爽やかなブルーだが、日中には濁った沼のような緑になり、夕方は濃い群青の重たそうな色をしている。表面はすべすべしていて全体的には裾の長い山のような形をしており、登るのは簡単ではない。子供の頃はよく天辺まで登っては滑り台のように降りてきて遊んだ記憶があるが、大人になった今となっては到底そのように登れる気はしない。父になぜあのような大きな石が庭の、よりにもよって真ん中に鎮座しているのかと尋ねたことがある。しかし父の回答は、要領を得ず、父が物心ついた頃にはあったという。ここに家を建てたのは父の父、つまり私の祖父であるが、すでに祖父母は他界しており、真相を知る者はいない。もしかすると祖父はよほど石が好きだったのではないかと思う。この石がはるか昔からこの場所にあって、石のせいでなかなか売れないでいたこの土地を買ったにせよ、まっさらなこの土地を買った後でこの石も石屋か誰かから買って置いたにせよ、普通の感覚ではこのようなことはしない。かなりの物好きの所業である。去年、父が亡くなった。家も庭もこの石も私の所有物となった。さあ、どうしてくれようか、と仕事が休みの日には日がな一日眺めながら考えている。
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2023Pixiv企画用
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