吉田定理の小説以外

赤崎火凛(吉田定理)

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企画用駄文『チョコレート』

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 君は悪い女だ。いつも男に色目を使い、誘惑している。同級生の男共は君の甘えるような声にすっかり騙されて、だらしなく頬を弛緩させる。先輩共、挙句には男性教師共まで君に声を掛けられただけで腑抜けに成り果てる。嗚呼、何という地獄だ。君は自分の顔が他人からどう思われているかをよく理解して、偽りの笑顔を振り撒いている。皆が君の笑顔を見るためにくだらない冗談を言ったり身の丈以上の知識を披露しようとしたりしている。彼らの口から発せられる言葉は無価値で退屈で時に汚物のようでさえあるが、君は無知な乙女の振りをして、むしろ男共の庇護欲を増長させる。いつ阿呆が勘違いを犯して君の肩や髪に触れようとするか分かったものではない。君が自分に気があるのではないかと思い込む馬鹿者も生まれてこないとも限らない。そういう輩が放課後に君を空き教室に呼び出して、陳腐な言葉を並べて愛の告白をしたとしても、君は風に舞う蝶のようにそれをかわして逃げおおせるに違いない。だからと言って盛りの付いた獣のような男が君に愛の言葉を語ること、それ自体が君を俗物たらしめるような行為であり、決して許されることではない。君は高嶺の花、それも単なる魅力的な女性ではなく、告白することさえ禁忌であると思わせるような雲の上の存在でなければならない。決してその肩、その髪に手を振れようなどとは誰も考えない、触れればその手が焼け落ちるのではないかと心から恐れられるような神性をまとわなければならない。完璧、完全、超人、神、そんな言葉が似合う君でもチョコレートなんていう俗なものを食べる。私のあげたチョコレート。君が正しく生きている限り、毒なんか入っていないさ。


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2023Pixiv企画用
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