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10、母
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手首に鈍い痛みを感じた。凜はゆっくりとまぶたを開いた。ぼんやりとした視界の真ん中にいるのは、雪菜だろうか。だがどうして服を着ていないのだろう? 雪菜と唇を重ねて、一つになって、それから……。昨日のことが、おぼろげにしか思い出せない。
急速に周りがはっきりと見えてきた。裸の雪菜。奇怪な植物のつるの壁に、磔にされているではないか。両の手首と足首に、つるが巻き付いて拘束している。意識はないのか、苦悶の表情を浮かべたまま、うなだれている。
「雪菜! おい、雪菜! どうしたんだ!?」
呼びかけにピクリとも反応しなかった。
首を動かすと、自分も同じように磔にされていることが分かった。手足を動かそうとするが、手首足首できつく縛られており、自由がきかない。それに、自分の体にも雪菜の体にも、あれが生えたままだった。妖魔を倒してから、かなり時間が経ったはずなのに。
次々と浮かぶ疑問を保留にして、まずは状況を確認することにした。つたが地を、壁を好き放題に這い回っていて、密林のような景色だ。だが、つたとつたの間から見覚えのある家具やカーテンの模様や本の背表紙が見えたことにより、ここが自分の部屋の中だと理解した。部屋全体が謎のつたに覆われてしまっているのだ。
「おはよう、凜」
声のしたほうを見ると、母が胸の前で腕組みをして立っていた。
「気分はどう?」
気分はよくなかった。頭にもやがかかったように思考はうまくまとまらないし、体もだるい。だがそんなことより聞きたいことがある。
「母さん、雪菜はどうしたんだ? この植物は何?」
「心配しなくても雪菜は大丈夫よ。クスリがきいているだけだから」母は雪菜を見て、ふふっと笑みをこぼした。笑っている場合ではない、と凜は叫びたかったが、母の妙な態度が気にかかった。
「この子たち、可愛いでしょ?」
「可愛い……?」
「そうよ? ステキな形をしてる」
母は壁を這う太いつるに手を伸ばしたかと思うと、我が子の頭を撫でるように、優しく、愛おしそうに触った。
「何を言ってるんだ、母さん」
「あなたこそ、まだ分かってないのねぇ。……あら、お目覚めかしら?」
母の視線を追うと、雪菜がたった今、意識を取り戻したところだった。
「雪菜!」
「お姉ちゃん……? これ、何!?」
「さて、二人とも、ごきげんよう」
雪菜が母に気づき、目を丸くした。「お母さん……!?」
「母さん、あたしたちを助けて」
「どうして?」
「どうしてって、そんなの見れば分かるじゃないか」
「あなたたちはそのままでいいのよ? 最強の退魔師さんたち」
その物言いで、凜はハッとさせられた。不吉な想像が頭をよぎる。
「おまえは……誰だ!?」
「ようやく気付いてくれたんですねぇ」母が母らしくない下卑た笑みを浮かべた。「いやぁ、愉快愉快! ワタシが演じる母はいかがでしたかねぇ? あなたがたがワタシの話をあまりに簡単に信じてくれるんで、今まで逆に不安で不安でたまりませんでしたよぉ」
「お姉ちゃん、この人って……」
「ヒトじゃない。こいつは妖魔だ」そうであれば、全て説明が付く。だがいつから母と入れ替わっていたのか?
「いろいろ聞きたそうな顔をしてますねぇ? あなたがたの母はワタシに敗北したのですよ」
「そんなっ……」雪菜が眉根を寄せた。「お母さんが……負けるなんて……」
「確かに戦闘経験豊富で技の切れも一級品、はっきり言って強敵でした。ワタシも大半の力を失って再生不可能な状態に陥り、危うく死にかけたくらいですから。この体を乗っ取らなければ、完全に破滅するところでしたよ」
「じゃあ、おまえは、母さんの体を……」
「ええ、すでにワタシの体になりましたがねぇ。ワタシは霊気を操ることもできず、妖魔としての力も残っていない以上、貧弱な人間の体では無力でした。いずれバレて浄化されるのが落ちです。しかしこれはワタシにとってチャンスでもあった。つまり、次世代の最強と名高い退魔師の姉妹を、ここで潰しておくチャンスですよ。だから一計をめぐらせてもらいました」
「じゃあ、わたしがスライムに待ち伏せされたのは……」
「もちろんですとも。あなたがたの作戦はずっとワタシに筒抜けでしたからねぇ。何の意味もない作戦を立てて、いざ妖魔討伐に向かう姿は、健気で滑稽でしたよ」
母の姿の妖魔は、着ていた服をはらりと落とした。現われた母の裸体には、ありえないものが付いていた。
「……っ!?」雪菜が息を飲んだ。雪菜も思わず、唇を噛んだ。
「どうです? あなたがたのより、立派でしょう?」
母の美しい裸体、その下半身には、巨大なオトコのものが備わっていた。赤く腫れ上がって、禍々しい姿をしているのに、自分の体はそれを欲しているのが分かった。呪いをかけた妖魔の王は、こいつだ。だから未だに誰の体も元に戻っていないのだ。
凜は妖魔への奇襲作戦の朝、母に見送られたときのことを思い出した。あのとき、凜と雪菜は、順に母と抱擁を交わし、二人とも違和感を抱いていた。今思えば、その違和感の正体は、母にあるはずのない巨大なオトコのものの感触だったに違いない。すでに母が乗っ取られていて、服の下にあんな禍々しいものを隠しているなんて、どうして想像できるだろうか?
凜は両手を拘束しているつたを、なんとか引き裂こうとして、力を入れたり、残っている霊気を集中させたりしてみた。だが霊気がまるでコントロールできない。
「無駄ですよ。あなたがたには、特殊な毒を注入させてもらいました。すでにまともに霊気を編めない体になっているはずです」妖魔は無力な二人を見て、満足そうに頷いた。「ついでに、その毒には媚薬も入っていましてねぇ、さっきから体がうずいて仕方ないんじゃないでしょうか? 『入れてください』と先にお願いしたほうにだけ、入れてあげますよ?」
「誰がそんなこと言うか」凜は気丈に振舞ったが、下半身は確かにうずいていた。呪いと媚薬の影響だろう。
「お母さん……」雪菜が切ない声で母を呼んだ。雪菜の内ももを伝って、透明の液体が滴っていた。「お母さんの、それを……わたしに……」
「だめだ雪菜!」
ハッとして我に返る雪菜。「い、いま、わたしは、何を言いかけて……」
「これがほしかったんじゃないのですか?」妖魔が雪菜に近づき、モノを雪菜の濡れた内ももに当てた。「我慢は体に悪いですよ」
「熱い…………」雪菜はとろんとした目で、見下ろしている。
「雪菜、正気に戻るんだ! そいつは母さんを殺した敵だ!」
「殺したわけではありませんよ。肉体は正真正銘、あなたがたの母のものです」妖魔は自分の胸を揉みしだいてみせた。「それに、あなたもほしくてたまらないんじゃないですかねぇ? リン?」
「ふざけるな。よくも母さんを……」
「まだ媚薬があまりきいてないんでしょうかねぇ。ちょっとだけサービスしてあげますか」妖魔が言うと、大人の腕ほどもある太いつたが、意思を持っているかのようにグネグネと身をくねらせながら、凜のほうへ伸びてきた。それはもう単なる植物のつたではなく、異形の生物の触手と呼んだほうが正確だ。
触手は意外にも器用に動いて、凜の胸に巻き付くようにして取り付くとともに、先端で乳首を弾いた。
「くっ……」
凜は唇をキッと引き結んで声を我慢した。心が折れなければ、心さえ折れなければ、逆転のチャンスは
「素直に、従順になったほうが幸せですよ。もうあなたたちは、ワタシの玩具として生きることしかできないのですから。身も心も全てワタシに従順になるか、もしくは先に心が壊れたら、操り人形として使わせてもらいます」
「そんなこと……! ふあっ……!」
不意に凜は高い声を出してしまった。床を這って進んできた別の触手がいきなり凜の肉棒を撫でたからだった。
「今の声、いいじゃないですか」
「……うるさい」凜は母を――妖魔をにらみつける。「んぁ……」だが続けて肉棒を撫でられると、甘い声が漏れるのを止められなかった。
「お姉ちゃん……、わたし……、もうっ……」
「お姉ちゃんが感じているのを見て、妹さんもなおさらほしくなってしまったようですねぇ?」
「だめだ、雪菜……。んっ……くはぁ……やめろ……」
「わたし……、ほしい……ほしいよっ」雪菜が身をよじるのは、脱出のためではなく、抑えられない性欲に翻弄されているからに見えた。ぽたり、ぽたりと雪菜の股間からは、清水が垂れる。
「何がほしいか、ちゃんと言えたらあげますよ。逆に素直になれない頑固者には、お仕置きをあげますよ」
「父さんと母さんのためにも、柏崎家の誇りを、忘れちゃだめだ雪菜」
「わ、わたし、ほしくない……! いらない……、そんなもの……」柏崎家の誇り、という言葉がきいたのか、雪菜が反抗の姿勢を見せた。苦しそうだが、まだ心は折れていないということだ。きっとどこかに打開策があるはず……。
「余計なことは言わなくていいですよ」妖魔が母の手で凜の乳首を強くつまんだ。
「んひゃあっ!」声が我慢できなかった。それは確かに、幼い頃、頭を撫でてくれた母の手だった。強くて優しかった、大好きな手が、今は自分の乳首をいやらしくこねくり回している。記憶と現実の乖離に理解が追い付かず、心は揺れているのに、体のほうはジーンと熱いものが下腹部の一点に集まって、これでもかと反応している。
「妹にもサービスしてあげましょうか。ワタシは気が短いのでね、あまり長々とつまらない抵抗をされると、なえてしまうのですよ」
シュルシュルと二本の触手が雪菜に伸びたと思ったら、先端がパックリと花弁のように、ヒルの口のように開いた。
「い、いやっ……!」雪菜はおびえている。「気持ち悪い。来ないで!」
「大丈夫ですよ、すぐ愛おしくなりますから」
妖魔の合図で、その花弁のような口が雪菜の胸の固くとがったところに吸い付いた。
「にゃうぅ!?」雪菜の体が跳ね、双眸が大きく見開かれた。「いやっ! んんっ! いやあ、やめっ……、んっあ……、吸わないで……、ああああっ!!」
雪菜は十秒もしないうちに達してしまった。凜は妹の絶頂から目を背けたかったはずなのに、どうしてか凝視してしまった。
「あなた、羨ましいと思ったんじゃないですか?」妖魔が凜の乳首をねじりながら問う。「この手より、触手のほうがよほど気持ちがいいですよ?」
「誰が、あんなもの。絶対に後悔させてやる。浄化してやる」
「自分が置かれた状況をまだ理解していないようですねぇ」凜の両胸にも触手の口が飛びついた。とたんに頭から爪先まで電撃が走り、凜は達してしまった。触手の口の中は、温かくてぬめっていて、不規則に収縮、圧迫が起こって、雪菜の中とよく似ていた。それに加えて細かく、ひねったり引っ張ったりする動きもあって、次に襲ってくる快楽の予測がつかない。
「何度かイカせてあげますよ。姉と妹と、どっちが先に音を上げるか、眺めてますから」
触手は凜の最も感じるところを的確にこねくり回してくる。何とかして快楽に屈しまいとする凜の意志を、ことごとく予測不可能な動きで裏切り、凜の体に眠っていた女の悦びを呼び起こし、増大させる。一分も経たないうちに、凜は二度目の絶頂を迎え、淫らな水をビチャビチャと落として、水たまりを作ってしまった。
「おねえっ、ちゃん……、おねっ……んっ……、いやっ……、いっ……クぅうぅぅ……っ!!」
雪菜も乳首だけで絶叫するようにして達し、そのたびに潮を吹いていた。このままでは二人ともおかしくなってしまう。だがどうすることもできない。
凜が四度目の絶頂を迎えたとき、ついに雪菜が折れた。「中で、イキたいの……。それを、入れてください。お願いだから、それを、わたしに、入れて……」涙をいっぱいにたたえた虚ろな瞳には、妖魔のたくましすぎるモノしか映っていなかった。
「よくお願いできましたね。ご褒美をあげましょう」
「ほしい……、ください……」
――やめろっ!
凜の声は声にならない。
――雪菜、抵抗するんだ! そんなのも、欲してはだめだ!
「こんなにビチョビチョにして、退魔師ともあろう者が、恥ずかしくないんですかねぇ?」妖魔はしゃがみこんで、雪菜の秘所を指で左右にぱっくりと開いた。極上の愛液が垂れてくるのを、母の口で受け止め、ごくりと一口に飲み干すと、満足そうな笑みを浮かべて口元をぬぐい、「なんと素晴らしい」と誉めた。巨根を雪菜の秘所に押し当て、少し前後に動かして擦り付けて、雪菜が「お願い、早く」と言うと、「正直になってきましたね。ワタシも正直、もう我慢の限界でしたよ」と答えた。
――やめてくれ! 雪菜ッ!!
「やめろぉおおおおおおおッ!!」
妖魔がグッと腰を突き出した。
「かっ……はっ……」雪菜が苦しげにあえいだ。「すごい……、太くて、こんなの……」
「すぐに楽になりますよ」
凜は体中の力という力が抜け落ちて、抜け殻のように、うなだれた。あの雪菜が――真面目で才能もあって頭もよくて誰からも愛されていた、双子の妹が、自ら男のモノを、しかも妖魔のモノを求め、受け入れてしまった……。
妖魔が母の姿で腰を振る。母が妹を犯しているという目の前の現実から目を背けても、二人の艶めかしい声までは、遮断できない。
「んあっ……、いいっ……、おかあさんの、しゅごいっ……、しゅごいの……」
「まだ半分しか入れていませんよ」
「ぜんぶ、むり……、入るわけない……」
「無理じゃなくて、入れるんですよ。ワタシの精には百パーセント、妖魔を妊娠させる力があるんです。あなたには、一番目の子供を産んでもらいますから、光栄に思っていいですよ」
「んはぁっ……、ようまのっ、こどもは……、いやっ……」
「さっきまで喜んでいたくせに、今更遅いですねぇ。さあ、いきますよ!」妖魔は根元まで押し込んだ。痛がる雪菜を無視して、大きく激しくストロークする。
「いだいっ! あああああああっ!! こわれる……、こわれちゃうっ! いやぁああああッ!」
「このくらいじゃ壊れませんよ。さあ、ワタシからのご褒美を受け取りなさい!」
「いやあっ……、やめて……! んんぁっ! あああっ! イクっ! ふぅあっ!! おかあさんのっ、ようまの、おちんぽでっ、……イッちゃぅうううううううっ!!」
母が動きを止めて、穢れた精を雪菜の膣内に注ぎ込んだ。雪菜は白目を向いて、人間の体にこんな動きができるのかと信じられないほどデタラメに痙攣した。雪菜の瞳はもう何も見ていなくて、表情は幸福と絶望の形を半々に保ったまま固まり、頬には涙が伝い、唇の端からはだらしなくよだれが垂れているばかりだった。
凜は妹が妖魔の子を孕まされる一部始終を、瞬きもせず見つめ、脳に焼き付けたくないのに焼き付けることになってしまった。一度目を背けたはずなのに、もう一度見ないではいられなかったのだ。何も言葉が出なかった。雪菜が母に、妖魔に穢された、穢されてしまったという思いが、頭をめぐっていた。
「反抗的なお姉ちゃんには、お仕置きをあげますよ。ワタシが妹を楽しんでいる間、しばらく触手に遊んでもらいなさい」
いくつもの触手が凜の体に巻き付き、吸い付いた。秘所を無理やりこじ開けて、お尻の穴にまで、そのぬめぬめした体を押し込もうとしてくる。
「くはぁ……、やめろっ……! そんなとこ、やめろ! んっ……、はぁ……、んあああああっ!!」
未知の快楽が、凜の未熟な肢体を覆い尽くし、性器をしゃぶり尽くし、脳髄を焼き尽くした。
急速に周りがはっきりと見えてきた。裸の雪菜。奇怪な植物のつるの壁に、磔にされているではないか。両の手首と足首に、つるが巻き付いて拘束している。意識はないのか、苦悶の表情を浮かべたまま、うなだれている。
「雪菜! おい、雪菜! どうしたんだ!?」
呼びかけにピクリとも反応しなかった。
首を動かすと、自分も同じように磔にされていることが分かった。手足を動かそうとするが、手首足首できつく縛られており、自由がきかない。それに、自分の体にも雪菜の体にも、あれが生えたままだった。妖魔を倒してから、かなり時間が経ったはずなのに。
次々と浮かぶ疑問を保留にして、まずは状況を確認することにした。つたが地を、壁を好き放題に這い回っていて、密林のような景色だ。だが、つたとつたの間から見覚えのある家具やカーテンの模様や本の背表紙が見えたことにより、ここが自分の部屋の中だと理解した。部屋全体が謎のつたに覆われてしまっているのだ。
「おはよう、凜」
声のしたほうを見ると、母が胸の前で腕組みをして立っていた。
「気分はどう?」
気分はよくなかった。頭にもやがかかったように思考はうまくまとまらないし、体もだるい。だがそんなことより聞きたいことがある。
「母さん、雪菜はどうしたんだ? この植物は何?」
「心配しなくても雪菜は大丈夫よ。クスリがきいているだけだから」母は雪菜を見て、ふふっと笑みをこぼした。笑っている場合ではない、と凜は叫びたかったが、母の妙な態度が気にかかった。
「この子たち、可愛いでしょ?」
「可愛い……?」
「そうよ? ステキな形をしてる」
母は壁を這う太いつるに手を伸ばしたかと思うと、我が子の頭を撫でるように、優しく、愛おしそうに触った。
「何を言ってるんだ、母さん」
「あなたこそ、まだ分かってないのねぇ。……あら、お目覚めかしら?」
母の視線を追うと、雪菜がたった今、意識を取り戻したところだった。
「雪菜!」
「お姉ちゃん……? これ、何!?」
「さて、二人とも、ごきげんよう」
雪菜が母に気づき、目を丸くした。「お母さん……!?」
「母さん、あたしたちを助けて」
「どうして?」
「どうしてって、そんなの見れば分かるじゃないか」
「あなたたちはそのままでいいのよ? 最強の退魔師さんたち」
その物言いで、凜はハッとさせられた。不吉な想像が頭をよぎる。
「おまえは……誰だ!?」
「ようやく気付いてくれたんですねぇ」母が母らしくない下卑た笑みを浮かべた。「いやぁ、愉快愉快! ワタシが演じる母はいかがでしたかねぇ? あなたがたがワタシの話をあまりに簡単に信じてくれるんで、今まで逆に不安で不安でたまりませんでしたよぉ」
「お姉ちゃん、この人って……」
「ヒトじゃない。こいつは妖魔だ」そうであれば、全て説明が付く。だがいつから母と入れ替わっていたのか?
「いろいろ聞きたそうな顔をしてますねぇ? あなたがたの母はワタシに敗北したのですよ」
「そんなっ……」雪菜が眉根を寄せた。「お母さんが……負けるなんて……」
「確かに戦闘経験豊富で技の切れも一級品、はっきり言って強敵でした。ワタシも大半の力を失って再生不可能な状態に陥り、危うく死にかけたくらいですから。この体を乗っ取らなければ、完全に破滅するところでしたよ」
「じゃあ、おまえは、母さんの体を……」
「ええ、すでにワタシの体になりましたがねぇ。ワタシは霊気を操ることもできず、妖魔としての力も残っていない以上、貧弱な人間の体では無力でした。いずれバレて浄化されるのが落ちです。しかしこれはワタシにとってチャンスでもあった。つまり、次世代の最強と名高い退魔師の姉妹を、ここで潰しておくチャンスですよ。だから一計をめぐらせてもらいました」
「じゃあ、わたしがスライムに待ち伏せされたのは……」
「もちろんですとも。あなたがたの作戦はずっとワタシに筒抜けでしたからねぇ。何の意味もない作戦を立てて、いざ妖魔討伐に向かう姿は、健気で滑稽でしたよ」
母の姿の妖魔は、着ていた服をはらりと落とした。現われた母の裸体には、ありえないものが付いていた。
「……っ!?」雪菜が息を飲んだ。雪菜も思わず、唇を噛んだ。
「どうです? あなたがたのより、立派でしょう?」
母の美しい裸体、その下半身には、巨大なオトコのものが備わっていた。赤く腫れ上がって、禍々しい姿をしているのに、自分の体はそれを欲しているのが分かった。呪いをかけた妖魔の王は、こいつだ。だから未だに誰の体も元に戻っていないのだ。
凜は妖魔への奇襲作戦の朝、母に見送られたときのことを思い出した。あのとき、凜と雪菜は、順に母と抱擁を交わし、二人とも違和感を抱いていた。今思えば、その違和感の正体は、母にあるはずのない巨大なオトコのものの感触だったに違いない。すでに母が乗っ取られていて、服の下にあんな禍々しいものを隠しているなんて、どうして想像できるだろうか?
凜は両手を拘束しているつたを、なんとか引き裂こうとして、力を入れたり、残っている霊気を集中させたりしてみた。だが霊気がまるでコントロールできない。
「無駄ですよ。あなたがたには、特殊な毒を注入させてもらいました。すでにまともに霊気を編めない体になっているはずです」妖魔は無力な二人を見て、満足そうに頷いた。「ついでに、その毒には媚薬も入っていましてねぇ、さっきから体がうずいて仕方ないんじゃないでしょうか? 『入れてください』と先にお願いしたほうにだけ、入れてあげますよ?」
「誰がそんなこと言うか」凜は気丈に振舞ったが、下半身は確かにうずいていた。呪いと媚薬の影響だろう。
「お母さん……」雪菜が切ない声で母を呼んだ。雪菜の内ももを伝って、透明の液体が滴っていた。「お母さんの、それを……わたしに……」
「だめだ雪菜!」
ハッとして我に返る雪菜。「い、いま、わたしは、何を言いかけて……」
「これがほしかったんじゃないのですか?」妖魔が雪菜に近づき、モノを雪菜の濡れた内ももに当てた。「我慢は体に悪いですよ」
「熱い…………」雪菜はとろんとした目で、見下ろしている。
「雪菜、正気に戻るんだ! そいつは母さんを殺した敵だ!」
「殺したわけではありませんよ。肉体は正真正銘、あなたがたの母のものです」妖魔は自分の胸を揉みしだいてみせた。「それに、あなたもほしくてたまらないんじゃないですかねぇ? リン?」
「ふざけるな。よくも母さんを……」
「まだ媚薬があまりきいてないんでしょうかねぇ。ちょっとだけサービスしてあげますか」妖魔が言うと、大人の腕ほどもある太いつたが、意思を持っているかのようにグネグネと身をくねらせながら、凜のほうへ伸びてきた。それはもう単なる植物のつたではなく、異形の生物の触手と呼んだほうが正確だ。
触手は意外にも器用に動いて、凜の胸に巻き付くようにして取り付くとともに、先端で乳首を弾いた。
「くっ……」
凜は唇をキッと引き結んで声を我慢した。心が折れなければ、心さえ折れなければ、逆転のチャンスは
「素直に、従順になったほうが幸せですよ。もうあなたたちは、ワタシの玩具として生きることしかできないのですから。身も心も全てワタシに従順になるか、もしくは先に心が壊れたら、操り人形として使わせてもらいます」
「そんなこと……! ふあっ……!」
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「今の声、いいじゃないですか」
「……うるさい」凜は母を――妖魔をにらみつける。「んぁ……」だが続けて肉棒を撫でられると、甘い声が漏れるのを止められなかった。
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「父さんと母さんのためにも、柏崎家の誇りを、忘れちゃだめだ雪菜」
「わ、わたし、ほしくない……! いらない……、そんなもの……」柏崎家の誇り、という言葉がきいたのか、雪菜が反抗の姿勢を見せた。苦しそうだが、まだ心は折れていないということだ。きっとどこかに打開策があるはず……。
「余計なことは言わなくていいですよ」妖魔が母の手で凜の乳首を強くつまんだ。
「んひゃあっ!」声が我慢できなかった。それは確かに、幼い頃、頭を撫でてくれた母の手だった。強くて優しかった、大好きな手が、今は自分の乳首をいやらしくこねくり回している。記憶と現実の乖離に理解が追い付かず、心は揺れているのに、体のほうはジーンと熱いものが下腹部の一点に集まって、これでもかと反応している。
「妹にもサービスしてあげましょうか。ワタシは気が短いのでね、あまり長々とつまらない抵抗をされると、なえてしまうのですよ」
シュルシュルと二本の触手が雪菜に伸びたと思ったら、先端がパックリと花弁のように、ヒルの口のように開いた。
「い、いやっ……!」雪菜はおびえている。「気持ち悪い。来ないで!」
「大丈夫ですよ、すぐ愛おしくなりますから」
妖魔の合図で、その花弁のような口が雪菜の胸の固くとがったところに吸い付いた。
「にゃうぅ!?」雪菜の体が跳ね、双眸が大きく見開かれた。「いやっ! んんっ! いやあ、やめっ……、んっあ……、吸わないで……、ああああっ!!」
雪菜は十秒もしないうちに達してしまった。凜は妹の絶頂から目を背けたかったはずなのに、どうしてか凝視してしまった。
「あなた、羨ましいと思ったんじゃないですか?」妖魔が凜の乳首をねじりながら問う。「この手より、触手のほうがよほど気持ちがいいですよ?」
「誰が、あんなもの。絶対に後悔させてやる。浄化してやる」
「自分が置かれた状況をまだ理解していないようですねぇ」凜の両胸にも触手の口が飛びついた。とたんに頭から爪先まで電撃が走り、凜は達してしまった。触手の口の中は、温かくてぬめっていて、不規則に収縮、圧迫が起こって、雪菜の中とよく似ていた。それに加えて細かく、ひねったり引っ張ったりする動きもあって、次に襲ってくる快楽の予測がつかない。
「何度かイカせてあげますよ。姉と妹と、どっちが先に音を上げるか、眺めてますから」
触手は凜の最も感じるところを的確にこねくり回してくる。何とかして快楽に屈しまいとする凜の意志を、ことごとく予測不可能な動きで裏切り、凜の体に眠っていた女の悦びを呼び起こし、増大させる。一分も経たないうちに、凜は二度目の絶頂を迎え、淫らな水をビチャビチャと落として、水たまりを作ってしまった。
「おねえっ、ちゃん……、おねっ……んっ……、いやっ……、いっ……クぅうぅぅ……っ!!」
雪菜も乳首だけで絶叫するようにして達し、そのたびに潮を吹いていた。このままでは二人ともおかしくなってしまう。だがどうすることもできない。
凜が四度目の絶頂を迎えたとき、ついに雪菜が折れた。「中で、イキたいの……。それを、入れてください。お願いだから、それを、わたしに、入れて……」涙をいっぱいにたたえた虚ろな瞳には、妖魔のたくましすぎるモノしか映っていなかった。
「よくお願いできましたね。ご褒美をあげましょう」
「ほしい……、ください……」
――やめろっ!
凜の声は声にならない。
――雪菜、抵抗するんだ! そんなのも、欲してはだめだ!
「こんなにビチョビチョにして、退魔師ともあろう者が、恥ずかしくないんですかねぇ?」妖魔はしゃがみこんで、雪菜の秘所を指で左右にぱっくりと開いた。極上の愛液が垂れてくるのを、母の口で受け止め、ごくりと一口に飲み干すと、満足そうな笑みを浮かべて口元をぬぐい、「なんと素晴らしい」と誉めた。巨根を雪菜の秘所に押し当て、少し前後に動かして擦り付けて、雪菜が「お願い、早く」と言うと、「正直になってきましたね。ワタシも正直、もう我慢の限界でしたよ」と答えた。
――やめてくれ! 雪菜ッ!!
「やめろぉおおおおおおおッ!!」
妖魔がグッと腰を突き出した。
「かっ……はっ……」雪菜が苦しげにあえいだ。「すごい……、太くて、こんなの……」
「すぐに楽になりますよ」
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「んあっ……、いいっ……、おかあさんの、しゅごいっ……、しゅごいの……」
「まだ半分しか入れていませんよ」
「ぜんぶ、むり……、入るわけない……」
「無理じゃなくて、入れるんですよ。ワタシの精には百パーセント、妖魔を妊娠させる力があるんです。あなたには、一番目の子供を産んでもらいますから、光栄に思っていいですよ」
「んはぁっ……、ようまのっ、こどもは……、いやっ……」
「さっきまで喜んでいたくせに、今更遅いですねぇ。さあ、いきますよ!」妖魔は根元まで押し込んだ。痛がる雪菜を無視して、大きく激しくストロークする。
「いだいっ! あああああああっ!! こわれる……、こわれちゃうっ! いやぁああああッ!」
「このくらいじゃ壊れませんよ。さあ、ワタシからのご褒美を受け取りなさい!」
「いやあっ……、やめて……! んんぁっ! あああっ! イクっ! ふぅあっ!! おかあさんのっ、ようまの、おちんぽでっ、……イッちゃぅうううううううっ!!」
母が動きを止めて、穢れた精を雪菜の膣内に注ぎ込んだ。雪菜は白目を向いて、人間の体にこんな動きができるのかと信じられないほどデタラメに痙攣した。雪菜の瞳はもう何も見ていなくて、表情は幸福と絶望の形を半々に保ったまま固まり、頬には涙が伝い、唇の端からはだらしなくよだれが垂れているばかりだった。
凜は妹が妖魔の子を孕まされる一部始終を、瞬きもせず見つめ、脳に焼き付けたくないのに焼き付けることになってしまった。一度目を背けたはずなのに、もう一度見ないではいられなかったのだ。何も言葉が出なかった。雪菜が母に、妖魔に穢された、穢されてしまったという思いが、頭をめぐっていた。
「反抗的なお姉ちゃんには、お仕置きをあげますよ。ワタシが妹を楽しんでいる間、しばらく触手に遊んでもらいなさい」
いくつもの触手が凜の体に巻き付き、吸い付いた。秘所を無理やりこじ開けて、お尻の穴にまで、そのぬめぬめした体を押し込もうとしてくる。
「くはぁ……、やめろっ……! そんなとこ、やめろ! んっ……、はぁ……、んあああああっ!!」
未知の快楽が、凜の未熟な肢体を覆い尽くし、性器をしゃぶり尽くし、脳髄を焼き尽くした。
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ごく普通の女子高校生の黒澤 彩花 (くろさわ あやか)、そしてとある小さな国のお姫様であるクリスティア=カーマイオーネ。
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その8つ目の不思議とは、学園の3階の階段フロアで深夜0時になると階段が出現し4階が存在すると言うもの・・・
それを聴いた彩花は冗談話だろうと笑いながら話を流していた。
一方クリスティアは、何かが引っ掛かっていた。
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